(このエントリーの初投稿日時は2013年12月28日土曜日午後8時半)
【2013年12月6日(金) 参議院本会議】
第185回臨時国会。
特定秘密保護法(185閣法9号、平成25年12月13日法律108号)
の成立にとまどり、
国家戦略特区法(185閣法18号、平成25年12月13日法律107号)
の成立が延長国会である12月7日午前0時半にずれ込みました。
これだけで、衆参ねじれが解消したにもかかわらず、自民党に緩みがあったことにつながりますし、同時に自民党内で参議院執行部の影響力が多少なりとも増したということになるでしょう。
この会期末から延長国会にわたる今年最後の本会議で、この日を限りに勇退した、第17代参議院事務総長、橋本雅史さんと、この時点で事務次長だった中村剛・第18代事務総長のの矜持をみる場面がありました。
6日未明、特定秘密保護法案のみ緊急上程したうえで、本会議は休憩。
すなわち、再開後に、日程組み換えの動議を提出することが封じられた中で本会議が開かれました。
6日午後10時半。
特定秘密保護法案が議題になりました。
この時点で残り1時間半。
委員長報告に次いで討論に。
討論終局直前に、いったん欠席戦術に出ていた民主党・新緑風会が再び議場に戻りました。
そして、民主党の小見山幸治・議運理事が、参議院規則第138条「出席議員の5分の1以上の要求があるときは、議長は、記名投票により、表決を採らなければならない」にもとづき、要求書を提出しました。
ここで、インターネット越しには、事務総長が議長に「議長の判断ですけど、もう押しボタンで行きますか」という声が聞こえました。
これはなぜかというと、自民党の理事が出ていかず、みんなの党の水野賢一理事が欠席戦術をしており、相手をする理事がおらず、議場内交渉にならなかったようです。みんなの党は「15人欠席、3人出席(3人とも閉会後離党)」と対応が分かれたこともあり、水野理事がいない、ということは与野党・事務局にとっても不確定な要素だったようです。
ここで、事務総長は議長に「ちょっとお待ちください。共産党が今助け舟を出しました」。
これは、反対討論から自席に戻った仁比聡平さんが議運理事として交渉スペースに上がったことで、議場内交渉が起きたようです。
しかし、押しボタン投票を主張する自民党と、堂々めぐり(記名投票)を主張する民主党が議場内交渉は長引きます。
国会法19条の議長の議事整理権にもとづき、参議院先例330に「議長は、記名投票に入るに先立ち、または投票中に投票時間を制限することができる」とあります。 しかし、記名投票中に、牛歩戦術が起き、投票時間を制限しようとしたときに、マイクを奪われてしまうと、延会手続きがとれないかもしれません。そうなると、本会議が無効になりかねません。
そこで、事務次長や事務総長が「議運委員長の(自席の)ところに行って、延会手続きでどうですか、このままいくと日をまたぎます」と、採決前に延会することを提案したようです。
そして、
「規則では、出席議員の5分の1以上の要求があるときは、議長は、記名投票により、表決を採らなければならない、と書いてあります。議長が規則をやぶることは絶対にいけません」
これは、そのように自民党理事が岩城光英・議運委員長(自民党)に伝えてほしいという声だと思われます。
この後、自民党理事が自民党席から議場内交渉スペースに帰り、野党理事、事務次長、事務総長、議長らにこう伝えています。
岩城議運委員長の発言を自民党理事が代弁したものと考えられます。
「我々は押しボタン方式しかないと思っているが、最後は議長判断しかない。もし記名投票と言った場合は、脇先生(脇雅史・参議院自民党幹事長)は議長の首を取るぞとまでおっしゃっているけれども」 。
これに対して、「はいどうぞやってください」との短い声の後、山崎正昭議長は午後11時12分、民主党の要求通り、記名投票表決を宣言しました。
この後、民主党は普通のペースで登壇し、投票総数212、賛成130、反対82で、特定秘密保護法は可決・成立しました。
この後、延会。
午後0時12分から、国家戦略法など3法を可決・成立、1決議を採択。そして、橋本事務総長が辞任し、後任に中村事務総長が就任。散会しました。
なお、異例なことに、会期末処理は会期延長決定前に済んでいました。
議長が規則を破ることは絶対にいけません。
それは、参議院規則に、「しなければならない」と書いてあるから、議長は民主党の要求に応じるしかない。
参議院自民党の実力者が議長の首をとる、と脅しているにもかかわらず、議長(自民党員)を守ることにつながった、参議院事務局トップでありながらも、議長の右腕たる事務総長の知見と判断力のファインプレーを手土産に、中村さんに後を託し、橋本さんはさっそうと事務総長席から去っていきました。
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