[写真]国会議事堂裏(皇居反対側)にある3つある議員会館の一つ、筆者撮影。
2013年(平成25年)国会を振り返って、もっともエポックメイキング(歴史を画する画期的)な法律に次の1領域2法を挙げます。
第183通常国会(附則・附帯決議国会)で成立した、
「改正災害対策基本法」 (183閣法56号、平成25年6月21日法律54号)
と
「大規模災害復興法」(183閣法57号、平成25年6月21日法律55号)。
そんなものあったかな、というのは当然の受け止めで、参院選を控えた通常国会の会期末の1週前に全会一致で可決した法律なんですから、「犬が人をかじってもニュースでないが、人が犬をかじったらニュースになる」新聞、テレビが報じないのは当然であり、咎めることもありません。
この法律の前段として、昨年の第180通常国会(一体改革国会)で衆院修正のうえ全会一致で成立した改正災害対策基本法の附則第2条に
「政府は、東日本大震災から得られた教訓を今後に生かすため、東日本大震災に対してとられた措置の実施の状況を引き続き検証し、防災に関する制度の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、その結果に基づいて、速やかに必要な措置を講ずるものとする」
との条文がありました。
これにともなう改正が1年後に実現しました。
連休明け国会初日の衆院本会議で趣旨説明がされました。
古屋圭司・防災担当相(自民党)は「昨年六月に公布、施行された災害対策基本法の改正に引き続き、同法の附則及び附帯決議等も踏まえ、さらなる法制化を図ることを目的とするものであります」と演説。
質問に立った、民主党の吉田泉さん(福島5区)は、「一昨年の東日本大震災において、民主党は、政府・与党として、全身全霊、全力で対応をいたしました。そして、そのときのさまざまな教訓を踏まえ、緊急を要する項目について、災害対策基本法改正第一弾を昨年政府として提案し、成立をさせていただきました」と切り出しました。
そして、下野したにもかかわらず、閣法に対して「本改正案の審議においては、災害から国民の命を守ることを最優先に、議員各位が知恵を結集し、あらゆる角度から徹底的に議論し、もし足らざるところがあれば、修正も含めてさらに万全な改正とすることを切に求めまして、私の代表質問を終わります」と議場に呼びかけました。
この法案は、あらかじめ、自治体が高齢者など避難に援助が必要な人の名簿を個人情報を利用してつくることができるようになり、本人の同意で消防と民生委員に提供できるようにするもの。大震災が起きた後では、自治体が被災者台帳の作成・一元化が義務付けられました。政府には、自治体機能が喪失したときに国が代行できるようになり、国が復興本部、復興基本計画をつくる手順が法制化されました。
最終的には、修正なしで政府原案通り、全会一致で可決・成立。
ただ、衆参とも附帯決議案がつき、衆院では民主党の吉田泉さんが提出し、15本の附帯決議をつけました。参議院でも民主党の難波奨二さんが附帯決議案を朗読し、19本の附帯決議をつけました。
15本、19本というと以前ならば異例の多さでしたが、3党協議による法案修正路線と、二大政党がともに与党を経験したこと。そして何よりも、震災後国会に寄せられた国民からの「決められる政治」への圧力で、こういった手法がスタンダードになったのが、2013年国会でした。
東日本大震災の復興は、労賃の上昇と人手不足、資材高と資材不足など新しい局面に入りつつあります道半ばです。
とはいえ、絶対に来る「次の大震災」への備えが法律化されただけでも、震災後日本は前に進んだし、大平洋か日本列島のどこかで年を越す、東日本大震災の行方不明者2600人以上へのご供養、哀悼になりました。
そして、ことしの当ブログでは何度も使った表現ですが、もう一度使わせていただきます。
衆参とも附帯決議の最後の1本は「更に検討を重ね、必要なものについては法改正を図ること」。
さて「法改正を図る」ときの政府は、自民党と民主党のどっちの政府で、誰が大臣でしょうか。
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