【参議院予算委員会 第186回通常国会閉会中審査「集団的自衛権と安全保障」集中審議 2014年7月15日(火)】
2014年7月1日の「集団的自衛権発動など武力行使の新3要件など安全保障法制の再構築」の閣議決定後、参議院では初めての審議となりました。
野党側筆頭理事をこの1年間務めてきた、民主党の大塚耕平さんは、パネルで、「安保法制再構築という目的は○(まる)、集団的自衛権と個別的自衛権の整理は△(さんかく)、やり方は×(ばつ)」として、青信号、黄色信号、赤信号にたとえ、民主党の方針を可視化しました。
大塚さんは、「集団的自衛権の中に、自国のための集団的自衛権と、他国のための集団的自衛権という区別はないはずだ」とただすと、岸田外相は「国際法上そういう議論はない」とあっさり認めました。大塚さんは「国際法上まったく使われていない」としました。大塚さんは「国際的に集団的自衛権発動の根拠が、(憲法解釈と国際法とで)内外で違う説明をしていることになっており、内閣は整理すべきだ」「集団的自衛権を自国のためと他国のために分類することはできず、今後集団的自衛権を取り込んだ個別的自衛権という概念の検討も必要になる」と指摘しました。
福山哲郎さんは「内閣による憲法解釈の変更は、文民統制(シビリアン・コントロール)の変更の1回しかないが、今回は2回目になるのか」と問うと、横畠裕介・内閣法制局長官は「2度目になる」と認めました。
自民党が「憲法解釈の変更」としているのに対して、公明党は「憲法解釈の再整理」と説明していましたが、法制局長官が「2度目の解釈変更」と認めたことで、公明党の説明は崩れ去ったことになります。
松野グループ(日本維新の会・結いの党)の片山虎之助さんがなぜ、来年の通常国会に法案提出がずれ込むのかと問うと、安倍首相(自民党総裁)は、「まず閣議決定をして解釈を変えたが、法案作成は膨大な作業になり、時間がかかると事務方からも聞いている」とし、法案作成作業の長期化について、「事務方」からの意見があったことを初めて吐露しました。
日米防衛協力の指針ガイドラインの再改定については、きょうも日米背広組の協議がなされていることが答弁で明らかになりました。
最後に日中関係について、小野寺防衛相は「ホットラインのメカニズムを要請している」と語りました。
次回の国会審議がいつになるかは未定で、2か月間前後あく可能性もあります。
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[写真]交流協議機構第5回訪中団出発にあたって所感を述べる海江田万里民主党代表(ネクスト総理)、2014年7月15日(火)、民主党本部、筆者(宮崎信行)撮影。
民主党と中国共産党の政党間交流機構(2-party-talks)である「交流協議機構」の、第5回目の日本からの訪中団(海江田万里団長)が15日から17日まで訪中。2007年に発足してからの7年間で5回目の訪中となりました。1回目は国会議員100名ら450名の団員、2回目は国会議員200名ら総勢650名でしたが、第5回訪中団は、国会議員ら15名ほどとなりました。北澤俊美元防衛大臣も顧問として参加。
これほど回次によって人数の違う団を受け入れる北京の、良くも悪くも、好き嫌い別にして、その懐の深さは、さすがは万里の長城という感じです。海江田団長は出発にあたり党本部で日中プレスのぶら下がりに答えました。7年前の第1次野党期に発足しながら、与党期の「尖閣事件」のとき、交流協議機構のホットラインが開かなかったことを問われ、「(民主党が)野党の時だけやって、与党の時は(交流を)やらないということではいけない」とし、自民党政府が「政治家同士の議論がない状況なので、今民主党が中国共産党の政治局常務委員らと話すことで一歩前進になればいい」と語りました。ちなみに、小沢グループの反乱を鎮圧するため、総理代表が人事異動したので、中国幹部が特定の政治家を頼り直接電話したところ時差もありすでに就寝しており留守電。翌朝見慣れぬ番号を不審に思い、電話しなかったよう。民主党も人治政治だったというわけですが、今はもうそんなことはないでしょう。
中国側プレスの集団的自衛権に対する問いには「今のような拙速な議論をしないで、閣議をやってしまうやり方には大いに問題がある」と語りました。
まさに、安倍自民党が数の力で、千里の道を千里馬(チョンリマ)で駆け抜けるのに対して、海江田民主党は「万里の道も一歩から」。
このような政党間交流機構が、他の野党にあるのでしょうか。もちろん、ありません。
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