ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

安倍首相、読売新聞のインタビューで、集団的自衛権など安保法制再整備「法案は一括提出」と語る【追記有】

2014年07月06日 05時15分50秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]読売新聞インタビューに答える安倍晋三首相、2014年7月5日、首相公邸内で、6日付読売新聞1面から。

 安倍首相は2014年平成26年7月5日(土)、読売新聞(=6日付掲載)のインタビューに答えました。

 集団的自衛権行使などの安全保障法制の再整備について、田中隆之・読売新聞編集局政治部長の「関連法案の一部は(第187回)臨時国会に提出するのか」との質問に答えました。

 安倍首相は「グレーゾーン(事態)から集団的自衛権にかかわるものまで、全体像を国民にお示しする必要がある。どこかから順番に、ということはない。膨大な作業になるため、少し時間がかかる可能性はある。相当大きな法改正になるので、安全保障に精通した担当閣僚を置こうと思っている」と語りました。

 閉会中の内閣改造で、「安保法制担当相」を置くとともに、第187秋の臨時国会への関連法案の提出を見送り、第188通常国会へ先送りする可能性を暗示したものと思われます。

 2014年7月1日のNSCや閣議で決定した「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障体制の整備について」では、最後に法案提出のプログラムを明記しています。

 「4 今後の国内法整備の進め方 (前略)、実際に自衛隊が活動を実施できるようにするためには、根拠となる国内法が必要となる。政府として、以上述べた基本方針の下、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法案の作成作業を開始することとし、十分な検討を行い、準備が整い次第、国会に提出し、国会におけるご審議をいただくこととする」とし、提出時期は明示していませんが、「準備が整い次第」と「五月雨式提出」の可能性も示唆しており、集団安全保障・国連PKO関連だけを秋に出すという観測が浮上しました。この後の首相の記者会見でも質問に答えて、安倍首相は「法改正については、これは直ちに取り組んでいく必要があると思います。今回の閣議決定において、今仰ったようにグレーゾーンにおいて、あるいは集団的自衛権において、あるいは集団安全保障において、自衛隊が活動できるようになるわけではありません。そのための法整備、先ほど申し上げましたようにスタートしていくわけでありますが、この法整備についても与党とよく、スケジュールも含めて連絡をして、緊密な連携をしていきたいとこう思っております。今の段階では、いつまでにとかいうことについては、これからスタートするところでありますから、まだ申し上げる状況ではないと思います」と語っており、やはり提出時期は明言していません。

 しかし、4日後のインタビューで首相が「一括提出」を語ったことは、1本目の法案の提出時期を後ろ倒ししたとも考えられ、第18回統一地方選(来年4月)以降に先送りする可能性があり、2016年後半の第24回参院選・第47回衆院選の前後まで国会審議が続くこともありうる日程感となってきました。

 なお、当ブログは、3か月前に「民主党実力者、集団的自衛権で法案は秋の臨時国会に出せず越年の観測 ガイドライン改定優先との見通し」と報じていました。

首相、安保相新設へ…集団自衛権法案は一括提出(読売新聞) - goo ニュース


【追記 2014年7月6日(日)午前10時半】

 6日放送の「NHK日曜討論」の中で、司会者(島田敏男NHK解説委員)の「秋の臨時国会に1本も法案が出てこないこともあるのか」との問いに、自民党の石破茂幹事長は「それは否定しない。しかし、それはこれからの(法案執筆)作業であって、断定はしない。今は一刻を争う事態ですから、この夏休みにしっかりやります」と語りました。これに先立ち、公明党の井上義久幹事長は「法案を制定して(筆者注・「法案を閣議決定して」の明らか言い誤り)、どのような順で出していくかは、これから(自民党と)よく議論していきたい」と述べ、法案の早期提出に否定的な考えを示しました1日の閣議決定総理記者会見と5日の読売インタビューで安倍首相の発言がぶれたのは、この間に、公明党かの要請だとか、首相側の公明党への配慮があったのかもしれません。

【追記おわり】 

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