(このエントリーの初投稿日時は2015年4月6日午後10時でそれからバックデートする予定)
政府は、このエントリーの初投稿日時からすると、先週になる平成27年2015年4月3日(金)の閣議で、
「農協法・農地法・農業委員会法を改正する法律案」(189閣法71号)を決定し、衆議院に提出しました。
自民党国対委員長は、召集前から、この法案の審議は連休明けの5月から始める意向を表明しており、終盤国会で「集団的自衛権を行使する切れ目のない安保法制整備関連法案」(未提出)とは別に、衆参農水委員会で白熱した議論になると考えられます。今国会で参議院での採決、可決までいく日程感が予想され、修正議論も起きそうです。
法案は、単位農協(地域農業、JA)が自由な経済活動を行い、農業所得の向上に「全力投球できる」のがねらい。農水省PDFでは実に226ページという極めてボリュームの大きい法案で、通例もっとも多い年次税制改正法案の半分程度という旧法改正法案としては大変な量になります。
全農(JA全中)が一般社団法人になり、県中央会が単位農協連合会の位置づけになります。
農地法は6次産業化(農商工連携)を促すため、農業生産法人の要件を見直します。これとは別に衆参内閣委に付託されるとみられる、「第5次地方分権一括法案」(189閣法51号)には、4万ヘクタールを超える農地の転用の許可が、農水省から県庁に移管されることになっており、今国会での成立は確実な情勢。農業生産法人の要件緩和については、商社がこれまでのように農地を取得する方向性から、付加価値の高い農産品に限り農業者からJAを通さず集荷する方向性への転換を図っている、との観測があります。
農業委員会法は、選挙から、市町村長の専任制に変更します。
昨年末の総選挙によって誕生した、第47期衆議院において、民主党は、JAや、その組合長、JAの政治団体的な性格をもつ「農政連」の支持を得て当選した議員が極めて多くなりました。その一方で、維新の党では江田憲司代表の地元は全国的にJA准組合員が極めて多く、住宅ローン販売では、地元地銀・信金や都銀とのみつどもえの戦いが続く地域です。このような背景から、民主党と維新の党が意見対立することは確実で、今国会で野党の足並みが最も乱れる法案と思われます。
JA全中の機能縮小は、農林中央金庫(Nochu)の資金量を減らすことを、安倍官邸の取り巻き民間人がねらっているとの観測もあり、農中のあり方も問われます。
農水省は今国会に4本の法案を出していますが、この法案が圧倒的に重要であり、本会議での代表質問も行われますが、委員会での審議は早い段階に入るとみられ、関連団体の働きかけも活発になると考えられます。准組合員制度の拡充に関しては、農業者のみなさんも、たとえ融資の残債があっても、「我こそは日本列島の守り手なり」と、勇気をもって発言してください。このままでは終わりです。
この法案に限っては、民主党よりも江田維新の党を応援したい気もしますが、もう少し各党の意見を見極めたいです。
以上
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015
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