【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

電気事業連会長「ここにいる先生方には平素多大にお世話になっている」 連休前国会終了

2015年04月28日 20時33分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 連休前国会が終了して、8連休になりました。

 連休明けは5月7日(木)。

【平成27年2015年4月28日(火)衆議院本会議】

 「オリンピック担当大臣を専任化するオリンピック特措法改正案」(189閣法15号)が自公維民の賛成多数で可決し、参議院に送られました。

 「ラグビーワールドカップ特別措置法改正案」(189閣法16号)は全会一致で、参議院に送られました。

 次に「国民健康保険法改正案」(189閣法28号)が議題に。討論となり、民主党の阿部知子さん、共産党の堀内照文さんがおのおの、反対討論をしました。

 この法案は衆議院の審査の過程で分かったのですが、健康保険組合の後期高齢者医療制度への「支援金」を総報酬割りで計算する内容が含まれています。このことを知っている高所得サラリーマンは、その100人に1人にも満たないでしょう。自分の目、耳、口をふさぐことで、報酬を得るのがサラリーマンなのでしょうか。サラリーマンが民主政治で完全に置き去りにされていると感じざるを得ません。法案は、自公維の賛成多数で可決しました。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 「電力システム改革プログラム第3弾の電気事業法・ガス事業法改正案」(189閣法29号)。

 サラリーマンの親玉ともいえる、関西電力株式会社の社長で、任意団体「電気事業連合会」の八木誠会長らが参考人として呼ばれました。

 八木会長は冒頭、「ここにいらっしゃる先生方は平素、我々電気事業に多大なご理解をいただいていることを感謝します」と語りました。そして「東日本大震災で東京電力福島第一原子力発電所の事故では、同じ電力事業に携わる者としておわび申し上げたい」として、他者なのに、東京電力株式会社による原発爆発とその後相次ぐ不始末をわびました。

 午後の部の大学教授は「電力会社のオール電化は、それほどのコストベネフィットは無く、拡販のために値下げしていた。それはいったん囲い込んでしまえばガスに切り替え得ることは難しいからだ」という意見もありました。耳の痛い人も多いでしょう。高所得サラリーマン層がいかに政治でも経済でも、耳をふさがれてむしり取られているのか。お金をもらえば、それでいいのでしょうか。たんなる口止め料ではないでしょうか。まずは労働の流動性が必要です。

 しかし、はじめて気づきましたが、あすから8連休なんですね。高所得サラリーマンなんかは、前々から予定を立てて、効率的に過ごすんでしょうね。

以上
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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ガイドライン改定・安保法制で、岡田民主党「周辺事態の堅持」と「国会承認ではなく特措法」の2点を訴える

2015年04月28日 14時41分29秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]民主党代表の岡田克也さん、2015年4月28日、衆議院議員会館内民主党政策調査会会議室、筆者(宮崎信行)撮影。

 民主党の岡田克也代表は、平成27年2015年4月28日(火)のNC次の内閣の後、臨時記者会見し、

 ゆうべ改定された2015日米防衛協力のための指針(ガイドライン)で削除された「周辺事態」を堅持するよう求めました。

 岡田さんは「談話」の中で、「今回の改定は「周辺事態」の概念を捨て去り、集団的自衛権の行使も前提に自衛隊の活動を地球規模に広げるものである」とし「周辺の概念は堅持すべきだ」としました。

 記者会見で、すでにガイドラインから削除されたが、と問いました。岡田さんは以下のように述べました。

 「我々は今までの「周辺事態」の考え方に立って、重要影響事態というのは日本の周辺に起こることだという前提で法整備をすべきだと。つまり今までの考え方を堅持すべきだと考えております。それを全世界的(地球規模)に広げてしまうということになると、世界のどこか片隅で起きたことが重要影響事態ということになると、今までとは違う概念になってしまうだろうと思います。同じ法律案ではなくて、全く別のものが出てきたと理解せざるを得ない。そういうものは必要ないというのが私達の考え方であります

 と述べました。

 もう一つ、自民党と公明党による与党のとりまとめでは、「周辺事態法あらため重要影響事態法や、武力攻撃事態法の例外ある国会承認を残し、(集団安全保障の)国際平和支援法のみ例外なき国会承認とする」とある点に関係して、岡田談話は、「自衛隊の海外における歯止めのない活動拡大に反対する。国際社会の平和と安全のための米軍支援は、恒久法ではなく、必要に応じて特措法で検討されるべきである」と書き上げました。これまでの9・11「テロ特措法」や、インド洋上補給のための「テロ特あらため新テロ特措法」のように、国会で特措法をつくるとしました。自公の「恒久法で国会承認」と明確な対立軸が設定されました。

 前夜の自民党による国民闇討ちである、ガイドラインの改定について岡田談話は「憲法解釈の変更を前提とし、安全保障政策の根幹にかかる大転換であるにもかかわらず、国会での議論も国民の理解もなく、関連法案すら提出していない段階で米国との取り決めを先行させた。まったく順序が逆であり、言語道断である。既成事実をつくったうえで法案審議にのぞもうとする手法は、国民無視、国会無視のきわめて乱暴なやり方で、民主主義に対する挑戦と言っても過言ではなく、到底認められない」と強くなじりました。

 以上


◎2015日米ガイドラインは「地域と地球規模の切れ目のない共同行動」国内法尊重のうえ【追記有】

2015年04月28日 01時59分31秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]米国防総省ペンタゴンが、2015日米ガイドライン署名に関するニュース記事につけたイメージ写真

 岸田文雄外相、中谷元防衛相、ケリー国務長官、カーター国防長官は、平成27年2015年4月27日(月)の日本時間午後11時からあくる午前1時前までの2時間弱会談し、
 「2015年日米防衛協力のための指針いわゆるガイドライン(Guidlines)」に署名しました。1997年のガイドラインと同じくニューヨークで。

 ガイドラインにもとづき、「国の存立を全うし切れ目のない安全保障法制の整備法案」が連休明け国会に提出されます。

 すでに国防総省ペンタゴンのウェブサイトには英語版が発表されています。

 続いて、外務省のウェブサイトにも、日本語版が出ました。

 これによると、新ガイドラインは、

 第1章「ガイドラインの狙い」の中で、日米同盟は、平素(平時)と有事の切れ目のない(seamless)な関係として、グローバルな性質(the global nature)に対応するとしました。

 1978ガイドラインの「極東有事」→1997ガイドラインの「周辺事態」→2015ガイドラインでは「グローバルな性質」と大きくその対象を広げました。

 そして、日本の防衛力は、新しく策定した「国家安全保障戦略(national seburity strategy)」にもとづき、1997同様に「防衛大綱(防衛計画の大綱)」により整備することを明記しました。

 第2章の「基本原則」では、アメリカの核の抑止力の下、日本の非核3原則をまもりながら、「このガイドラインはいかなる両国の、立法、予算、行政上の責任をともなうものではない」と明記しました。これは1998と同様です。

 そして、「同盟調整メカニズム(aliance cordination mechanism)」を常設の機関として設けることになりました。

 この後、日本有事における日米の対応が詳細に記されました。

 飛びます。

第5章「地域と地球の平和と安全のための日米共同行動」では、「米国や第三国(the third country)が攻撃を受けた場合、国際法や十分な国家主権の尊重、両国の憲法と法律にもとづき」次の行動がとれる、としています。

 ・アセット防護(すなわち米艦防護・装備防護)
 ・捜索・救難
 ・海上作戦(海洋安全保障)
 ・弾道ミサイルに対処するための作戦
 ・後方支援としての補給(すなわち兵站、logistics support)

 の5点が盛り込まれました。

 これらは日本有事でもはじめて盛り込まれています。

 このほか、化学兵器、日本での大規模災害、サイバー攻撃、宇宙防衛などでの協力もはじめて盛り込まれています。 

 私の予想よりは、ガイドラインは、「日本の立法、予算」への尊重と「歯止め」がかかっているように思えます。

 来月5月14日(木)ないし15日(金)にも提出される「周辺事態法を改め重要影響事態法を設けたり、自衛隊法、武力攻撃事態法などを改正する一括改正法案」(未提出)と「国際平和支援法案」(未提出)の審議次第では、協力メニューに歯止めをかけることが可能となりました。

【追記 2015年4月28日午前8時】

 NHK首都圏ニュースによると、ちょうどガイドラインが署名された時刻にあたる、午前0時40分、アメリカ陸軍第1軍団・在日陸軍司令部(神奈川県キャンプ座間)に向けて、何らかの発射物があったようです。私は初参りをした神社が天皇陛下のご即位の礼の当朝に燃やされた「トラウマ」もあり、このようなテロ(未遂)事件は断じて容認できません。

【追記おわり】

 以上

宮崎信行