【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「岡田克也代表に安保法制委員会で先頭に立って取り仕切ってほしい」 安住淳・民主党国対委員長代理

2015年04月22日 23時59分52秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]安住淳・民主党国会対策委員長代理=画像は2014年3月14日の衆議院インターネット審議中継からスクリーンショットのため、肩書は現在と違います。

 民主党の安住淳国会対策委員長代理は、平成27年2015年4月22日(火)の定例記者会見で、

 「自称・国の存立を全うし切れ目のない安保法制のための整備法案」(5月15日ごろ提出)の審議について、

 「私なりに考えるには、党を代表するような方に先頭を切って委員会を しきっていただくのがイチバン

 と語り、岡田克也代表(ネクスト総理)に、委員会審議の先頭に立ってもらう考えを示しました。

 ただ、安保法制関連法案のメニューや、特別委員会設置について、自民党国対(佐藤勉委員長)からまったく説明がないとして、特別委設置に関する意見の表明を保留しました。

 安住淳さんは、民主党政権で、衆議院安全保障委員長、防衛副大臣を務めた後、衆参ねじれ、東日本大震災、福島東京電力原発事故という未曽有の国難となった第177回通常国会(震災国会)で、岡田克也代表・安住淳国対委員長・玄葉光一郎政調会長大臣(岡田3兄弟)で、ナローパス(狭い道)を走りながら考えて、閣法成立率80%という民主党政権でもっとも成功した国会をつくりあげました。



 岡田克也さんは連休に入院し、網膜剥離の治療のために暫定的に入れていた医療器具を取り除く医療処置を受けますが、さほど安静にする必要もなく、連休明けに速やかに復帰。5月20日(水)午後3時、安倍晋三首相との歴史的になってしまうであろうQT(党首討論)で完全復帰します。
  


特定防衛調達法が成立で川崎重工業株式暴騰、地域公共交通官民ファンド法案が衆委員会可決

2015年04月22日 19時22分20秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]国会議事堂、某年5月1日、筆者撮影。

【平成27年2015年4月22日(水) 法律公布】

 「改正在外公館名称・位置・給与法」が平成27年4月22日法律14号として公布され、施行されました。グルジア大使館がジョージア大使館に変わりましたが、当所は4月1日施行だったのに、22日施行になって、一人の日本国民として申し訳ない気持ちが少しします。国会の189閣法11号の採決は全会一致でした。

 「都市農業振興基本法」が平成27年4月22日法律14号として公布され、施行しました。参議院農林水産委員長提出の議員立法、189閣法5号で、全会一致で可決・成立していました。今後は、税制改正でどのような政策減税が入るかが焦点になります。

【同日 参議院本会議】

 「特定防衛調達法(189閣法20号)」が採決され、投票総数237、賛成221、反対16の賛成多数で可決し、成立しました。

 なお、あぶく銭師御用新聞の「日経新聞電子版」によると、純国産哨戒パトロール機「P1」(ピーワン)の、20機(1機あたり170億円)の今年から7年間の長期契約が決まった、川崎重工業株式会社の株式価格が暴騰。前日終値615円が、635円へ、3・2%上がりました。実際には法律成立により利益確定売りもあったと考えられ、株式の価値上昇はそれ以上と考えられます。

 「独立行政法人大学評価・学位授与機構法改正案」(189閣法39号)は投票総数237、賛成226、反対11で可決し、衆議院に送られました。

【同日 衆議院国土交通委員会】

 「地域公共交通官民ファンド法案」(189閣法19号)が共産党の反対、自公民維の賛成多数で可決しました。共産党の本村伸子さんは討論で「自治体の責任を薄め、住民合意のないLRT(ライト・レイル・トランジット)に出資しかねない」としました。

【同日 衆議院外務委員会】 

 4条約の承認を求める件を可決しました。

 「日本モンゴル経済連携協定」(189条約1号)
 「WTO世界貿易機関協定の改定」(189条約2号)は、共産党の反対、自公民などの賛成多数で承認。共産党の穀田恵二さんは「1995年のWTO協定の提携時から、主権侵害を招き、発展途上国に貧困を押し付ける条約だとして反対してきた」と語りました。

 この後、「ASEANプラス3にマクロ経済調査事務局を設立する協定」(189条約3号)
 「国際コーヒー協定」(189条約7号)は全会一致で承認しました。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 「電力システム改革第3弾の電気事業法改正法案」(189閣法29号)が引き続き、審査されました。この中で、無所属の野間健さんも質疑しました。野間さんの質疑をもっと聞きたいと思いました。

【同日 衆議院法務委員会】

 「裁判員裁判法改正案」(189閣法41号)が審査されました。日本共産党の清水健史さんが「もっと慎重な審議を」求めました。きょうの採決はありませんでした。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 「国民健康保険を市単位から県単位に広げる法案」(189閣法28号)について、法案審査や、参考人質疑がありました。

【同日 衆議院文部科学委員会】

 「オリンピック担当大臣を新設する、2020年東京オリンピック・パラリンピック特別措置法案」(189閣法15号)「2019年ラグビー・ワールドカップ特別措置法案」(189閣法16号)が審議入りしました。

【同日 衆議院農林水産委員会】

 「競馬法改正案」(189閣法47号、参議院先議)が審議入りしました。

【同日 衆議院北朝鮮による拉致問題などに関する特別委員会】
【同日 参議院北朝鮮による拉致問題などに関する特別委員会】

 山谷えり子拉致相と岸田文雄外相の所信表明がありました。それにしても外相の出席する委員会はいくらなんでも多すぎます。

【同日 参議院東日本大震災復興および原子力問題調査特別委員会】

 「福島復興再生特別措置法案」(189閣法2号)が採決されました。生活の党の山本太郎となかまたちの山本太郎さんが「福島の放射線被害は続いている」と語り、復興よりも除染などを優先すべきだと反対しました。採決では、同党の反対、自公民維共の賛成多数で可決しました。次の本会議で可決し、成立。具体的には自治体への国庫補助金の変更などで、被災者一人一人の生活にはほとんど関係ない法案です。

【同日 参議院地方創生・消費者問題特別委員会】

 一般質疑がありました。

【同日 参議院統治機構調査会】
【同日 参議院国際政治経済調査会】

 調査がありました。

以上


蟻の一穴を見落とした大メディア 周辺事態法改正(重要影響事態安全確保法)地球の裏側補給は国会承認無し

2015年04月22日 04時11分39秒 | 第189回通常国会2015年安保国会


 私はおとといごろから感づいていたのですが、大メディアが蟻の一穴を見落としました。

 新聞は名数(めいすう、固有名詞と数字)を間違えなければ、訂正はしないのですが、 これは「大誤報」と言っていいと思いますよ。

 2015年4月22日付新聞、現時点で手元には読売しかありませんが、「自衛隊派遣は例外なく事前承認 安保協議が決着 与党 日米指針27日合意」という見出しが立っています。

 この「例外なき国会事前承認」というのは、新法「国際平和支援法(案)」による、多国籍軍などの後方支援は例外なき国会事前承認で、2015日米ガイドラインには「国際的な紛争に対処する米軍や多国籍軍への後方支援」 を明示すると報じられています。さらに過去のイラク人道復興支援PKOについて、先週公明党の北側一雄座長代理が「特措法が必要」としたのに対して、中谷元防衛大臣(自民党)が「改正法でできる」と語ったとの、与党内協議を報じています。

 ところが、そもそもPKOは日本平時で、現地も停戦後の話であり、集団安全保障の範囲であり、集団的自衛権の限定容認とはほとんど関係ない話です。

 今回の安保法制で問題なのは、「周辺事態法を改正し重要影響事態安全確保法を新設する法律案」の方です。まず現行周辺事態法の第5条柱書後段を確認しましょう。

 「ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該後方地域支援、後方地域捜索救助活動または船舶検査活動を実施することができる」とあります。

 新しい法律では、「重要影響事態」に対処して、2015日米ガイドラインに「米軍などへの後方支援の活動地域・内容の拡充(朝鮮半島、南シナ海を想定)」と盛り込まれるようです。

 この新しい言葉、「重要影響事態」は日本平時で、そして現地(地球の裏側含む)は有事です。ここで、現行法の「後方地域」という言葉は削除される見通し。

 昨年7月1日の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の中に次のような文言があります。

 「従来の後方地域あるいはいわゆる非戦闘地域といった自衛隊が活動する範囲をおよそ一体化の問題が生じない地域に一律に区切る枠組みではなく、他国が現に戦闘行為を行っている現場ではない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、当該他国の武力の行使と一体化するものではないという認識を基本とした以下の考え方に立って、(略)他国軍隊に対して、必要な支援活動を実施できるようにするための法整備を進めることとする」

 この7・1閣議決定からすれば、日本平時で現地有事の重要影響事態において、「現に戦闘行為が行われていない現場では、米軍(など)に補給、輸送活動ができる」ということになります。

ということは、例えば、米軍によるシリア・イラク領内での「ISILとの戦い」でも、日本自衛隊が、例えば夜中、(現に戦闘行為が行われていない現場)、米軍部隊に弾薬を補給することもできる、わけです。

 そして、それは「緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ない」と現行法にあり、ここに関する改正は、自民党と公明党の文章には一切出て来ていませんから、改正されないものと思われます。

 高校社会科では、予算案と条約の承認は衆議院が優越する、と習います。実は最も衆議院が優越しているのは、国会の会期で、国会法13条に「両議院の議決が一致しないときは、衆議院の議決したところによる」とあり、両院協議会すら開かずに、衆議院の議決が国会の議決になります。衆議院の過半数とは、すなわち与党のことです。

 さらに国会法では、通常国会の延長は1回まで、臨時国会の延長は2回までとなっていますから、例えば6月24日までの会期を、8月8日まで延長したとすると、6月25日の時点で、8月9日は国会閉会中だということが事前に分かります。だったら、8月9日に米軍からの要請を首相や防衛相が受けて、重要影響事態として、集団的自衛権の発動として、自衛隊を送れることになります。

 すなわち、昨日の高村正彦・北側一雄私案というのものでは「国際平和支援法(案)」の国会事前承認しか書かれておらず、周辺事態法改正について書かれていないのですが、7・1閣議決定と2015日米ガイドラインで、「地球の裏側で、現に戦闘行為が行われていない現場で、米軍(など)への弾薬の補給ができる」ことになっており、その国会事前承認は「例外がある」のです。

 大メディアがこぞってこの蟻の一穴を見逃したのは、必ずしも官邸・自民党の締め付けではなく、高村氏、北側氏の誘導がうまく、それに乗ってしまったものと考えられます。

 そろそろ他の新聞が届いていますので、これから取りに行って読んで、他の新聞の健闘ぶりを確認できることを信じています。

 来週月曜日、4月27日、ついにガイドラインが署名されることになります。



【追記2015年4月22日午前5時】

日経新聞4面は「国会承認、厳格さに差」と見出しがたっており、私の認識にきわめて近い記事が載っています。

【追記おわり】