宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆議院は古屋圭司・議運委員長の朝日1面スキャンダルで本会議が流会する波乱の週明け

2018年07月17日 17時08分34秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

(11時55分初投稿で、その後随時更新。)

[画像]岡田克也さんも委員長席に詰めたかけた、公職選挙法改正案の強行採決、2018年7月17日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正特別委員会 平成30年2018年7月17日(火)】

 良心の呵責なく、来夏からの参議院議員通常選挙で、埼玉を2増し(改選定数4人区)、比例を4増して、その一部に拘束名簿式の特定枠を設ける、「公職選挙法改正案」(196参法17号)が強行採決され、可決すべきだと決まりました。本会議に上程。野党は徹底抗戦するかまえで、会期中の本会議で採決できず廃案になることが半々の割合で予想されます。

 「政治改革派はあなたです」とばかりに、平成の海部俊樹内閣から羽田孜内閣までの4内閣と、朝まで生テレビ、日比谷公会堂などを席巻した、政治改革。きょうは、あのときの、二大スター、非世襲なのに32歳で当選した岩屋毅さん、非世襲なのに36歳で当選してしかも竹下派だった岡田克也さんが与野党に分かれて審議しました。あの熱病はなんだったのか。あれはジュリアナみたいなバブルの残り香だったんだろうと、平成の終わりに、私は冷静に振り返るようになりました。

 岡田さんは、現実的に、参議院の定数を増やした場合に、院の権限を減らすような改革をするという覚悟があるのか、と問いました。衆議院議員が、参議院の議員立法発議者に「覚悟」を質問するのは異例。

 この後、午前11時28分ごろに、自民党の白須賀貴樹さんが、質疑の打ち切り動議を提出。直後に、立憲の森山浩行さんが、平沢勝栄特別委員長の不信任動議を提出。速記を中断し、理事が協議した後、午前11時33分頃から、岩屋理事が委員長席に座り議事を取りました。森山さんは趣旨説明で、法案の審議が拙速だと批判。討論はなく、採決され、立国共などの賛成少数で否決されました。平沢委員長が復席。ただちに、強行採決。

 法案は、立国共維の反対、自公の賛成多数で可決すべきだ、と決まりました。

【参議院内閣委員会 同日】

 「IRカジノ施設実施法案」(196閣法64号)で総理入り質疑。

○参議院厚生労働委員会は定例日ですが開かれておらず、水道法改正案(196閣法48号)は参議院で会期末を迎えて廃案(継続調査の手続きがとられる見通し)になります。

【衆議院本会議 同日】

 けさの、古屋圭司・議院運営委員長のスキャンダル。午前10時半ごろに、委員長室前で記者団に「ほとんど差がない」と弁明。理事懇などがもめており、本会議の開会は大幅にずれ込み見通し。

 各党禁足(きんそく、本会議場まで十数分で間に合う永田町・赤坂などに待機)のまま、待機。

 午後4時半ごろに、一部会派が代議士会。その後、午後5時ごろに流会となりました。

【衆議院東日本大震災特別委員会 同日】

 もともと設定は、本会議散会後の開催予定でしたが、本会議が流会したので、この委員会も流会しました。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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会期末週の火曜日のっけから衆議院議院運営委員長の不祥事「ノート事務所のもの」認める、6増0減法案が不透明に

2018年07月17日 04時31分10秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]けさの朝日新聞1面トップ。

 さあいよいよ、第196回通常国会も会期末を迎えました。

 といっても、海の日3連休明けですから、きょうは火曜日です。会期末の7月22日は日曜日。ですから、衆議院本会議の定例日は、あと3回、きょう7月17日火曜日の午後1時から、そして、7月19日木曜日、20日金曜日しかありません。ここで、議運委員長解任決議案と内閣不信任決議案が提出されることは既定論戦。もちろん、前日までに設定すれば、土日も本会議は開けます。

 異例の週明けです。古屋圭司・衆議院議院運営委員長のスキャンダルが、朝日新聞1面トップ。これは、4世議員・古屋さんの政治資金パーティーの売り上げが、政治資金収支報告書に過少に記載された疑惑。朝日は、写真を載せた「ノート」と報告書の金額があっていないと指摘。古屋事務所は、このノートが古屋事務所から流出したことを認めました。しかし、ノートは、パー券の送付先のリストと説明。一般的に、事務所はパー券を郵送で一方的に送り、それから銀行に入金するかどうかを決めてもらう、という商慣行。ですが、「ノート」には、金額の記載もあり、1枚当たりの定価は同じはずですから、金額が書いてあるのは不自然です。

 いずれにせよ、円満ではないかたちで、最近古屋事務所を去った元秘書がリークしたものとみられますが、その人物の詮索は無用。古屋さんの説明が待たれます。

 与野党内外で物議をかもしている、「公職選挙法を改正して参議院選挙で6増0減して比例代表特定枠を一部導入する法案」(196参法17号)は、「衆議院が後議の院」で、けさ9時から委員会を審議し、今週中に衆・本会議で可決・成立するはこびでした。一部では秋の臨時国会でも施行は間に合うとの指摘もあります。既定路線である、衆・議運委員長解任決議案の提出に前後して、交代人事があることもありうる展開に。

 古屋さんは当選10回。国政情報センターの「国会議員要覧第一別冊」の最新版では、成蹊大学卒業の国会議員は3名居て、成蹊高校の卒業生は2名。古屋さんは安倍さんは、成蹊高校→成蹊大学→自民党衆議院議員という2人だけのパス。よき兄貴分の側近の古屋さん。入閣が遅れていましたが、2012年の政権再交代による第2次安倍内閣で、満を持して初入閣。背番号「96」を着た安倍首相が東京ドームで「憲法96条先行改正」というメッセージを発しながら始球式をする。このわけのわからないパフォーマンスも古屋先輩が長年育て上げた議連のアピールでした。

 会期末週に、衆・議運委員長のスキャンダル報道があるのは、5年前の第183回通常国会でもありました。自民党の佐田玄一郎委員長が、異性の学生と金銭を伴う関係があったのではないかと週刊新潮が報道。参院選を控えて延長がなかったため、佐田さんは「逃げ切りセーフ」でしたが、閉会直後に辞任し、選挙無しに議運筆頭理事が委員長になりました。

 上述の通り、衆・議運委員長解任決議案と、内閣不信任決議案の提出は既定路線でしたから、今週は、古屋、安倍「兄弟」が衆で問われる、展開となります。衆参との連携がうまくいかなかった第196回国会ですが、連携がうまくいかないゆえに、野党が会期末に漁夫の利を得るかもしれません。祈りましょう。

 泣いても笑っても、第196回通常国会は、残りあと6日間。民主主義では3度も選挙で政権交代した平成の、最後の通常国会会期末。経済社会ではあまりいいことがなかったけど、普通選挙による政権交代が3回もあった「平成デモクラシー」として、そこそこ日本史に残るでしょう。その、平成の、30年の総決算の、6日間。

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