宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【国会まとめ】衆・予算委はアベノミクス偽装総攻撃で来週重大局面か、衆・本会議で国税・地方税の法案審査の地ならしできる

2019年02月15日 19時48分46秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

 「アベノミクス偽装」が確定的となり、来週月曜日、2019年2月18日(月)午前9時からのテレビ入り集中審議は、政権の存続そのものにかかわる重大な局面になる公算が極めて高くなりました。

 立憲民主党の追及で、厚生労働省が2015年の「毎月勤労統計の改善に関する検討会」の議事録を、けさ、全公開。全6回のうち第5回で阿部座長が「変化するのは当然あり得る話で、それを不自然に調整するというのも、ある意味おかしい話になります」と口をはさんだところ、最終回では官僚が「座長におかれましては、急遽体調不良により御欠席」と報告するなど、生々しい状況が明らかになりました。

 省別の争いでは、ターゲットは、財務省の中江元哉・関税局長に移りました。きょうも参考人として出席しました。与党は守らないという意思もすけてみえます。

【衆議院予算委員会 平成31年2019年2月15日(金)】


 「平成31年度予算案」の審議は6日目で、そのうち一般質疑2日目。

 中江・財務省関税局長が、首相秘書官経験者の参考人として、毎月勤労統計について、2015年に、首相に報告したことはないと語りました。きょねんの柳瀬元秘書官(経産省)同様に、「首相案件でない」ことを強調しました。立憲民主党会派の本多平直さんは「プレッシャーをかけていたびっくりしました」とし、共同通信など各社のスクープが連発されている、厚生労働省関係者らの「魂の叫び」の報道を活用しながら、アベノミクス偽装のさらなる追求を続行。

 共産党は藤野保文さんと宮本徹さんの2期生コンビが激しく攻撃。藤野さんは外国人材拡大の「入管難民法」、宮本さんはF35調達などの中期防について質疑しました。最後、麻生大臣は宮本さんに「あんた時間守りなさいよ。他の党の時間奪っているんだよ」とお得意の場外戦に持ち込みました。麻生さんがルーキーの質問の冒頭に機先を制す発言をするのはいただけませんが、きょうの質問時間に関する反撃は麻生さんに理があるとはいえ、統計以外でも、政府の答弁が劣勢だとうかがわせるものでした。

 次回ですが、週明け18日(月)午前8時55分から、集中審議の1日目で、タイトルは「統計問題等」。質問順は公明、国民、立憲、自民、共産、維新の順になります。国民は9時30分から11時9分まで、立憲は11時9分から15時6分まで登場予定。そのうち山井和則さんは10時39分から11時9分まで、小川淳也さんは13時45分から14時30分までが予定されています。今国会の流れやテレビ入り集中審議であることから中断による遅れはあまりないでしょう。政府側の各人の答弁が注目されます。

【衆議院本会議 同日】

 まず国会同意人事があり、中労委公益委員や、運輸安全委員長などの人事が同意されました。運輸安全委員長に関してはドローンを対象に広げる法改正案(未提出)が今国会で成立すればそれを担当する最初の委員長となります。

 地方税法などの改正案。ことしは大量4法案が同時に審議入りです。

 「平成31年度地方税法改正案」(198閣法4号)

 「特別法人事業税及び同譲与税法案」(198閣法5号)

 「森林環境税及び同譲与税法案」(198閣法6号)

 「平成31年度地方交付税法など改正案」(198閣法7号)

 が石田真敏総務大臣から趣旨説明されました。石田さんは自民党の閉鎖的内部組織「党税調」でライターと呼ばれる幹部を未入閣の時代からつとめてきたエリート議員。自民党からも代表質問に立ち、赤間二郎さんは、「東京一極集中による税の偏在を改善する」と語りました。


[写真]衆議院本会議で質問した、赤間二郎さん、2019年2月の自民党大会会場で、宮崎信行が撮影。

 高井崇志さんの質問に対し、菅義偉・官房長官は、内閣記者会での東京新聞女性記者の排除要請について、そのような意図はない、と答弁しました。

 国民民主党会派で質問した「小沢チルドレン」の日吉雄太さんは「10月からの(0歳児の一部や3歳児からの)保育無償化は、消費税増税が先送りされたらどうなるのか」と給付と負担の関係をただしました。

 「森林環境税」について、会派「社会保障を立て直す国民会議」の重徳和彦さんは、特別会計からの借り入れではなくすぐに課税した方がいいとの持論を展開。

 あまり税制改正に関する法案で答弁に立つことは少ない農林水産省の 吉川貴盛大臣は「市町村が法律で定める範囲内で弾力的に森林経営をするものだ」としました。

【衆議院財務金融員会 同日】
 
 麻生太郎さんが財務大臣と金融担当大臣として所信的発言がありました。次回は、19日(火)午前9時から。予算委員会が地方公聴会で出張している時間帯に、麻生大臣に対する一般質疑を行うとみられます。

【衆議院議院運営委員会 同日】

 本会議の議事。

【参議院 同日】

 ありません。

【定例閣議 同日】

 次の法律案を閣議決定し、国会提出。

アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案(決定)

(内閣官房・内閣府本府・財務・文部科学・農林水産・国土交通省)

医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(決定)

(厚生労働・財務省)

中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案(決定)

(経済産業・法務・財務省)

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案(決定)

(国土交通・財務・経済産業省)

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【国会まとめ】アベノミクス偽装確定、4年前「実質賃金の統計見直し」は「プラスだと思ったらマイナスで官邸がなんとかしろ」と委員が口をそろえる朝日報道、政権基盤に被弾

2019年02月15日 13時59分17秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

(初投稿は午前5時)

[写真]雪が降る首相官邸、5年前(2014年)2月中旬に、宮崎信行が撮影。

 (追記 午後3時)きょう15日の国会のまとめの部分は、新しい記事に移しました。(追記終わり)

 アベノミクス偽装が確定的になりました。

 安倍政権そのものの基盤を揺るがすことになりそうです。

 疑いがかかった、首相秘書官経験者の中江・財務省関税局長は、2015年に毎月勤労統計のサンプルの入れ替えによる、誤差について問題視したものの、首相に報告したことはないときょう15日の衆議院予算委員会で語りました。

 厚生労働省が、今から4年前、平成27年2015年6月3日(水)に初会合を開いた「毎月勤労統計の改善に関する検討会」について、複数の委員が「プラスだと喜んでいたところ実はマイナスだったということで、官邸が怒っているという話を、誰かから聞いたことがある」「官邸が問題視して、なんとかしろと言う話で厚労省が立ち上げたのが検討会だ」と語っていることが分かりました。きょう、15日付朝日新聞が3面で報じました。

  毎月勤労統計については、報道を受けて、1月の最初の記者会見の冒頭で、根本匠大臣が問題があることを自ら切り出し、徹底調査を明言。監査特別委員会を1月中に設置し、1月中に最終報告書をまとめて、1月中の衆議院厚生労働委員会の閉会中審査で、次官級審議官と官房長が同席しており「自称・第三者委員会」の前提が崩れるというお粗末な対応。通常国会が始まり、野党は(1)不正統計(2)消えた給付金(3)アベノミクス偽装ーーに焦点を絞りましたが、消えた給付金は2000万人が対象とはいえ額が少ないので、世論は盛り上がらず。審議で過去に遡っていっています。

 上記の2015年の初会合で、姉崎猛・統計情報部長(昭和56年労働省入省組)が、

 「皆様方も御承知のように、アベノミクスの成果ということで、賃金の動きが注目されておりまして、この研究会のテーマでございます「毎月勤労統計調査」でとっている賃金、特に実質賃金の動きが世の中的に大変大きな注目を浴びております。昨日、4月の速報を発表させていただいて、プラス0.1ですけれども、24カ月ぶりにプラスになったということでしたので、昨日の夕刊、今日の朝刊も、こんなにいっぱい記事が出たのは何十年ぶりではないかというぐらい久しぶりに大きな記事になっておりまして、世の中的な関心が大変大きくなっているところです」

 と語っています。このころ、安倍政権は、前年末の解散総選挙で議席を減らしながらも政権を維持。解散前は、山井和則さんや柚木道義さんらが「実質賃金がマイナスでアベノミクスは不発」だと追及し、首相が「日本銀行が物価上昇目標を示しているから物価を反映するとマイナスになる」とかわしていました。総選挙で政権を維持した安倍首相ですが、この時期は、その後半年前後にわたって、平和安全法制と労働者派遣法の成立をめざすため、支持率が下がるであろうことが容易に予想されていた時期です。そのため、「24か月ぶりのプラス」がサンプルの入れ替えに伴う誤差であり、実はマイナスだったのではないか、ということで、官邸が統計見直しの検討会の設置を指示したという観測が浮上しています。

 ここでいう「官邸」は、中江元哉・首相事務秘書官(昭和59年大蔵省)をさすとの見立てが有力視されています。他の秘書官だった、柳瀬唯夫さん(昭和59年通産省)は加計学園との接触を疑われましたが、既に局長をやめ国家公務員を卒業しています。一方、中江さんは、現在の財務省関税局長。横浜・成田・神戸などの税関のトップ。財務省は、きょねんは、佐川宣寿・国税庁長官、おととしは佐川・理財局長がターゲットとなり、確定申告シーズンに大きく信頼が揺らぐ事態となりました。財務省では、他の政権で首相秘書官を経験した人物が主計局長をつとめており、夏ごろに事務次官に昇格し、消費税10%を指揮する、という人事構想もあります。これら、安倍政権と、財務省の権力基盤が大きく揺らぐ事態も想定されます。

 きょう、2月15日(金)の衆議院予算委員会基本的質疑2日目では、中江さんが、「元首相秘書官の参考人」として呼ばれる公算が高まっています。週明けの2月18日(月)は、首相入りテレビ入りの集中審議が予定されており、野党が総攻撃に出る公算。

 おそらく自民党国会議員の9割も知らない間に起きた出来事でしょうし、霞が関の官僚は9割9分知らない話です。今後の展開としては、現役キャリア官僚の証人喚問などをした方が、各省庁の忖度空気がかえって改善されるかもしれません。

 7月21日(日)の参院選を控えて、安倍政権の雲行きが怪しくなってきました。

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