【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【5/15】先週末に世論激変の「検察庁法改正など法案」は強行採決の観測も武田良太大臣不信任案提出で来週に持ち越し、元検事総長が改正に反対の意見書提出など異論はくすぶり続ける公算

2020年05月15日 17時48分48秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」

 週末のツイッターで世論ががらりと変わりました。検事総長68歳定年を含んだ法案は衆議院内閣委員会で答弁者に武田良太公務員制度担当相(兼)国家公安委員長に森まさこ法相を加えた質疑をしました。この後、休憩。緊張感が走りましたが、野党が武田大臣不信任案を提出したため、午後4時27分頃に散会。採決は来週以降に持ち越しました。

【衆議院内閣委員会 令和2年2020年5月15日(金)】

 「国家公務員法・国会職員法・検察庁法など改正案」(201閣法52号)。

 前回、公務員制度相だけの答弁では不十分だとして退席した、立国社の後藤祐一さんの持ち時間の途中から再開しました。共産党の藤野保史さんが「武田大臣は「行政権を捜査できる検察庁を、巨悪を眠らせないのではなく巨悪が安心して眠れる法案だ」と強調しましたが、武田大臣1人の答弁では「本来なら検察庁が答えるべきだが、質問通告をもらえなかったのは残念だ」と精一杯かわしました。

 この後、先日の国対委員長合意にもとづき、森まさこ法務大臣が参加。この時間帯には、政府を支持する立場とみられる人がツイッターで、2013年の特定秘密保護法強行採決時の野党の対応を批判する映像を拡散。ここでみると、森さんは上下白のスーツ姿。きょうも上下白のスーツ姿でしたので、あわや強行採決かと思いました。法相入りの質疑で後藤さんは「この後、午後3時に、松尾元検事総長らが法務省を訪れ、法案に反対する意見書を提出する」とし、森法相も報道では知っていると答弁。維新の足立康史さんは「共産党の質問時間が40分で、維新は4分だ」とパネルで説明しだして、ツイッターなどで緊張が走りましたが、松本文明委員長は午後3時44分頃に休憩を宣言しました。この後、武田大臣不信任決議案が提出され、午後4時27分頃に委員会を再開して、その旨を発言し、散会しました。次回の本会議以降に再開することになります。内閣委員会は、与野党の国会対策上、水曜日、金曜日が定例日で、木曜日が予備日だとされています。ただし、火曜日に開くことができないわけでもありません。

【衆議院本会議 同日】

 「公益通報者保護法改正案」(201閣法41号)が衛藤晟一消費者相から趣旨説明され、堀越啓仁さんが代表質問をしました。

【参議院本会議 同日】

 「年金制度改革法案」(201閣法34号衆修正)が趣旨説明され、代表質問。

 この後、「株式会社日本政策投資銀行法を5年延長する法律」(201閣法24号)が採決され、過半数の賛成で可決し、成立しました。

 「森林組合法改正案」(201閣法45号参先議)が採決され、過半数で可決し、衆議院に送られました。

 「電気通信事業法など改正案」(201閣法28号)が過半数で可決し、成立しました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 事前プロセスが大紛糾した「著作権法などを改正する法律案」(201閣法49号)が萩生田幸一文部科学大臣が「リーチサイトの設置に罰則を設ける」などと趣旨説明し、審議入りしました。質疑は次回。散会。

【衆議院外務委員会 同日】

 「日本とアルゼンチン、ウルグアイ、ペルー、ジャマイカ、ウズベキスタン、モロッコ各々との租税協定」(201条約6、7、8、9、10、11号)が共産党反対、自公立国社などの賛成多数で承認すべきだと決まりました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「都市再生特別措置法改正案」(201閣法21号)が共反対、自公立国社などの賛成多数で可決すべきだとしました。

【衆議院環境委員会 同日】

 「大気汚染防止法改正案」(201閣法51号)が共反対、自公立国社などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。採決に先立ち、修正案が2本出ました。金子恵美さんは「石綿アスベストの飛散防止の実効性を高めるために、罰金を50万円から500万円に高めるべきだ」としました。共産党の田村貴昭さんも修正案を出しましたが、討論では金子さんの修正案に賛成するとしました。最終的には政府原案がそのまま通りました。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 本会議に続いて、「公益通報者保護法改正案」(201閣法41号)が審議入りしました。

【衆議院経済産業委員会 同日】

 「電気通信事業法改正案」(201閣法26号)の法案審査が続きました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 「社会福祉法改正案」(201閣法43号)と「立国社共の対案」(201衆法11、12、13号)の審議が続きました。 

【参議院消費者問題及び地方創生に関する特別委員会 同日】

 「スーパーシティー国家戦略特区法改正案」(201閣法5号)の質疑が一巡し、次回も審議することになりました。異論も多いこの法案。しかし、政府与党寄りの人も最近は地方創生、特区ということを言わなくなったと改めて感じます。

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インターネット版官報

Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki










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黒川弘務・東京高検検事長「辞めるしかない」と岡田克也さんが勧告、全国で非常事態解除後に公共事業の含めた大型補正の審議を求める

2020年05月15日 06時35分58秒 | 霞が関人事
[写真]岡田克也さん、5年前の2015年1月、宮崎信行撮影。

 立憲、国民、社民3党と会派を組む「無所属フォーラム」代表の岡田克也さんは、きのう昼、定例の記者懇談会を議員会館内の共用会議室で開きました。

 検察庁法改正案の取り扱いは国対に任せるとしながらも、黒川弘務・東京高等検察庁検事長に対して「政権の思惑とは別に、検察制度の信頼性をどう守るのかという認識に立てば、辞めるしかない」と語りました。

 1月の閣議決定による定年延長から始まり、今国会最大の懸案となった「黒川案件」。岡田さんは「そこの問題を解決するのには道は2つ。一つは(稲田)検事総長が(慣例とされる)任期2年で辞めずに(65歳の)定年まで続ける」としました。この場合は、黒川さんの検察官としての63歳定年が先にくるので、黒川さんは検事総長になれない、としました。「もう一つは、黒川氏が自らの判断で身を処して検事総長にならない。その2つしかない」とし「いずれにしても、政権の思惑とは別に、検察制度の信頼性をどう守るのかという認識に立てば、辞めるしかない」とし、黒川氏は自ら辞任すべきだと強調しました。

 検察官があまりやりたがらない、政治家との折衝にあたる、法務省大臣官房長と事務次官を7年以上やったことについて、岡田さんは「民主党政権にも黒川氏はいたと思う。しかし、黒川氏本人の問題というよりも政権側の問題だと思う」とし、安倍首相・菅官房長官ら政権側に黒川氏を官房長・事務次官として重用し続けようとしたとの認識を示しました。

 新型コロナウイルスに関しては、同日夕方に39県で緊急事態宣言が解除され、首相は第2次補正予算案の編成を指示しました。これに先立ち岡田さんは「緊急事態宣言を一遍とは言わないが日本全体として解除できたあかつきには、経済を下支えする3次補正が必要になると思う」としました。その時期について「(6月17日に)国会を閉会してしまうと、場合によっては早くても夏(以降)になる。隙間が出る」とし、「会期の延長も必要になるのではないか」と語り、矢継ぎ早の2次、3次補正の必要性を強調しました。

 岡田さんは「リーマンショックのときのように、自動車や家電の需要を喚起して、一部公共事業も含めた補正を組まないと経済の底が割れ、無残なものになるかもしれない」と語りました。「コンクリートから人へ」をスローガンにした民主党政権の代表的存在である岡田さんが「公共事業の追加」に言及するのはまれ。地元である東海地方の自動車産業からは「受注量は半分以下。2次下請け、3次下請けから悲鳴が上がっている」とし、最大の輸出国である米国が死者数が世界一位で収束が見通せないため「国内需要を作り出していかないといけない」。エコカー減税・家電エコポイントが駆け込み需要を喚起したリーマンショック直後のヒット政策を参考にすべきだとの考えを披露しました。

 蛇足ですが、会議直前に岡田さんに「久しぶりだね」と牽制されてしまいました。とっさに「先週は(平日だが連休明け初日で)なかったので3週ぶりぐらいだと思います」と応じましたが、調べてみたら、4月9日以降、4回ぶり(5週ぶり)の出席でした。岡田さんはこの後、YouTubeも配信しており、私もボランティア活動とはいえ、4番から外されたら当惑しますので、きょうはこの後の国会の混乱が予想されることもあり、早朝から書きました。まだ眠いですが、国会はクライマックスですので。他にも今年の書き漏らしはありますので、土日も含めて、ほどほどに、また執筆していきます。

 以上です。

首相、第2次補正予算案の編成を指示、第201回国会のラスト1週間は予算委員会に

2020年05月15日 04時52分05秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]自民党役員会にのぞむ安倍晋三首相、国会内3階控室「自民党総裁室」で、2年前の2018年、宮崎信行撮影。

 ゆうべ、安倍晋三首相は令和2年度第2次補正予算案の編成を指示しました。想定されるスケジュールは2週間後5月27日(水)にも閣議決定し、6月8日(月)過ぎに国会提出。衆参両院の本会議と予算委員会を5日程度開いて、6月17日(水)よりも前に成立させる、と考えられます。

 第201回通常国会は、残り4週間+3日間。補正予算案審議で全閣僚が1週間縛られますので、法案審議は実質3週間+3日間。与党が確実に成立させたい法案を参議院に送るには、来週火曜日あたりが時期の目安となります。なので、いきなりクライマックスに入りました。

 首相は「世界的な感染の広がりは全く終わりが見えない。リーマン・ショックとは比較にならない100年に1度の危機を迎えている。世界的な大企業すら大きなダメージを受けている。連鎖倒産の事態は絶対に防がないといけない」大企業から中堅・中小企業まで資金繰りの支援のさらなる充実に加え、十分な資本性資金を投入することも可能とし事業存続を協力に下支えする」と記者会見で語りました。

 私は安全圏からの発信ですが、首相の認識は大袈裟だと考えます。しかし、物理的な破壊を民間も含めて復旧復興しようとした東日本大震災と比べて、世界コロナ・ショックによる第三次産業の閉店などはリカバーする動きが弱いので、国から民間に対する極めて潤沢な資金投入は必須だと考えます。

 学生支援は成立済みの1次補正の予備費から出る見通しで、2次補正には家賃支援が入りそうです。また、政投銀による大企業に対する劣後ローンの投入、雇用調整助成金の上限引き上げ、交付金の引き上げなど。このうち、税金による「真水」の支出は交付金などに限られると考えられます。1次補正後の今年度一般会計の歳出入は128・3兆円でそのうち歳入で公債費が占める割合は45・4%。現在の長期金利は「マイナス0・01%」と超安定していますから、まだまだ特例公債は発行できます。

 以上です。