【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

国税庁が大幅に業務を増やして全世帯主の銀行口座に振り込む定額給付金は「ある種減税措置なのでありうる」玉木雄一郎代表が否定せず、自民党などは「銀行口座とマイナンバー紐付け法案」を今国会提出へ

2020年05月21日 22時49分46秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]玉木雄一郎国民民主党代表、2年前の2018年、国会内で宮崎信行撮影。

 特別定額給付金1人10万円の各世帯への振り込みについて、総務省と市町村が一部で「オンライン申請の中止」なるなど一部で混乱していることに関連して、自民党など与党が「今回地方自治体が入手した銀行口座の情報とマイナンバーを紐づけする法案」を提出する公算が高まっています。

 財務省出身の玉木雄一郎さんはきのう(令和2年2020年5月20日)の国民民主党定例記者会見(無料オンライン会議サービス「Zoom」)で、「口座をつくっていただいて、あるいは既にあるのでもいいのですが、それとマイナンバーとを紐づけして、国民にとって非常に利便性が高まる形での改善ということを提案するほうが現実的だし早い」と語り、法案に前向きな姿勢をみせました。

 但し、「税務に役立てようと思っても、ありとあらゆる口座を全部紐づけしようと思うと、あまり欲張らないほうがいい」とくぎをさしました。

  この件について、私が「国税庁は新しい仕事をしたがらないが、国税庁が所得税非課税を含めて全世帯の銀行口座に定額給付金を振り込むこともありうるか」と質問しました。

 玉木代表は「現在の仕組みでいうと、総務省が地方公共団体にお願いするのでこういう形になっていますが、ある意味、本来徴収すべき税金をとらないという形で10万円なり20万円を渡すということになれば、ある種これは減税措置なので、そうなると国税を経由してやるというのも一つ考え方としてはあると思います。それは我々が言っている給付付き税額控除に非常に近いものになっていくのだなと思います」と述べました。

 国税庁の業務が拡大する制度改正について、政党党首が言及することはきわめてまれ。これまでは、例えば「かんぽ学資保険の保険料を所得税控除して国税庁に確定申告したが、学齢期を迎えた子がいるのに、衆議院に提出した資産・所得報告書に載せていないのではないか」などと分析して、衆議院議員をビビらすやり方で、財務省・国税庁の政治的影響力を保ってきました。このため、衆議院議員が国税庁長官の資質を問題視することがあっても、国税庁に関する制度改正などに言及することは与野党問わず、ほとんどありません。

 国民民主党は財務省出身の幹部が多く、連合とともに、労働者を日本酒漬けにして酒税の増収をはかろうとする、いかがわしい幹部もいます。玉木さんも休業補償をめぐる遅滞についても「財務省はもうそこまで力がない」との表現で古巣をかばう姿勢を今月見せました。

 2012年の社会保障と税の一体改革法(財務省は成立後に平成24年税制抜本改革法と呼び名を一方的に変更)で、検討事項となった「給付つき税額控除」は安倍晋三政権で検討が取りやめとなりました。これはもともと「負の所得税」という新自由主義の発想で、源泉所得税と申告所得税の差額を利用すれば、国の税収は減らないはずですが、確定申告者が1500万人増えると予想され、国税庁は手間がかかることを懸念して、一貫して反対しています。

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【自民対立憲】「65歳定年延長」を見直しへ、安倍晋三首相・世耕参議院自民党幹事長「自治労つぶし」明確、立党で最大の恩義の「人間・枝野幸男」どう受けて立つか

2020年05月21日 22時22分49秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[写真]人事院、5年前の2015年撮影。

 「平成23年度人事院勧告」(江利川毅総裁=民主党政権でその後更迭)に盛り込まれた「公務員の定年を60歳から65歳に引き上げるプログラム」が突如暗礁に乗り上げたました。

 「国家公務員法・検察庁法など改正案」(201閣法52号)は今週月曜日に審議の中断と今国会での採決見送りが決まりました。未付託の「地方公務員法改正案」(201閣法53号)とともに、秋の国会に継続される見通しでした。

 参議院自民党の世耕弘成幹事長(参議院清和会=清風会)が火曜日の定例記者会見で、報道によると「これだけ経済が苦しくなって雇用環境が厳しくなっているなかで、国家公務員や地方公務員だけ給料も下がらないまま、5年も定年延長されて良いのか」「逆に立ち止まって考え直す良い時間ができた」「前提なくしっかりと検討してはいかがでしょうか」と語りました。

 これを受けて、安倍晋三首相(自民党総裁、清和会)は、さきほど、令和2年2020年5月21日(木)、官邸で記者団に「その中で、参議院の世耕幹事長も御自身のお考えを述べられたわけでありまして、今、社会的な状況も、大変厳しい状況にあるわけでございまして、この法案をつくった時とは状況が違っているのではないかという、そういう考え方も述べておられ、党にもそういう意見があるということも承知しております。そうしたことも含めて、しっかりと検討していく必要がある 」と述べました。

 国家公務員・地方公務員の定年を60歳に留め置くことを強調した発言。

 2017年10月に前原誠司氏による突然の野党破壊により、直前の最大野党代表選で敗れた枝野幸男・代表代行は、元社会党書記長の赤松広隆さんの助言を受けて、立憲民主党を立ち上げました。赤松さんは「運輸労連」ですが、「自治労」が党本部職員ゼロの立憲に対して「大作戦」と題した枝野代表が一日で7都市をリレーする街頭演説会を仕立てて、大動員をしました。赤松さんは初代最高顧問を経て、2度目の衆議院副議長に。枝野代表のもとでは、選対会議に必ず自治労組織内参議院議員が同席するなど、自治労が最大の支持団体となりました。

 ですから、立憲とか枝野代表ではなく、「人間・枝野」として自治労を裏切るわけにはいきません。仮に距離をとるとしても、次の解散総選挙以降になるでしょう。

 世耕・安倍コンビの自治労攻撃は、人間・枝野にとっては猛烈なカウンターパンチになりました。

 但し、立憲国会議員の多くは県連の首長選対応を含めて、自治労に不満をかかえており、今回の騒動が立憲から見て災い転じて福となす総選挙結果につながるかもしれません。

 6月17日の会期末に、衆議院の委員会が「継続」の手続きをとるか、手続きしないで「廃案」にするかどうかの与野党攻防が水面下で続きそうです。

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【5/21】和気あいあいと全会派共同修正で公益通報者保護法改正案が可決すべき、玄葉光一郎「2031年のことを考えると復興・防災庁が必要だ」

2020年05月21日 17時33分30秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
【写真】梅雨明け直後の永田町、2年前の2018年6月29日、宮崎信行撮影。

【追記 午後7時】
あすの本会議がないと下述しましたが、あす衆議院本会議はあります。確認が不十分でした。【追記終わり】

 摩訶不思議なことに、6月17日の閉会から、9月30日の当初予算案の概算要求締め切りまで、長い夏休みとなりそうです。もちろん夏の消費がどうなるか誰にも見えない不思議な夏となります。今国会で初めて、自民党、公明党、立国社、共産党、維新の全5会派共同提出の修正案を可決し、熟議の閉幕モードに入りました。

【衆議院法務委員会理事懇談会 令和2年2020年5月21日(木)】

 前日の設定どおりの午後4時30分を定刻とした法務委員会の理事懇。けさ発売の週刊文春では、黒川弘務・東京高検検事長が、「検察vs小沢一郎」の著書がある産経新聞記者や朝日新聞社員らが、40平米の記者のマンションで6時間以上マージャンに興じ、長年にわたり乗車経験がある元ハイヤー運転手が「10万円すった」という趣旨の話をかつて黒川氏の下車直後に記者同士がしていた、と証言しました。文春は日曜日の午前10時に黒川氏に取材。月曜日の朝の新聞で「検察庁法改正案」見送りとの打ち出しにつながった可能性があります。

 4時30分の時点までに、黒川氏は辞任していません。官邸が稲田検事総長もやめろという趣旨のことを言っていると新聞電子版で報じられています。

 検察官に限れば全員司法試験合格者ですし、東京一括採用、公訴独占主義、起訴便宜主義で、黒川さんは絶対起訴されません。ぜひ、警視庁が4人とも逮捕して、賭博だったと立証して送検してほしいです。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 「公益通報者保護法改正案」(201閣法41号)は、与野党全会派から「政府原案を修正すべきだ」との動議が出ました。政府原案は14年ぶり初めての法改正で、保護対象に取締役や退社1年以内の元社員などを加える内容で不十分だとの指摘が野党から出ていました。内容は「裁判での、公益通報者が不利益となりかねない証拠の立証責任を、政府が肩代わりすることを、3年後見直し規定の中に追加する」という趣旨に解釈できるものだと思います。採決の結果、修正案を全会一致で可決すべきだと決まりました。動議は、今期で引退する自民党3期生「ジョイフル」の穴見陽一さんが筆頭発議者となりました。質疑の中で維新の串田誠一さんは「とても良い法案だと思う。消費者庁が魂を入れるガイドラインをつくってほしい」としました。討論で共産党は「かなり抜けている部分が多い」としましたが、賛成しました。

 今国会での、閣法の、全会派一致での修正議決はこれが初めて。

【衆議院東日本大震災復興特別委員会 同日】

 「復興庁の10年設置などの復興庁設置法や特別会計法などの改正案」(201閣法33号)。共産党反対、自公立国社など賛成多数で可決すべきだと決まりました。

 玄葉光一郎さんは「今回は復興庁をそのまま10年延長でいい。しかし、その次の10年はどうなるか。2031年以降は、復興・防災庁にするというような議論が必要だ」と強調しました。

 野党から、エネルギー特別会計と国債整理基金特別会計の勘定間のやり取りをめぐる特別会計法改正が束ね法案になっていることの批判が出ました。経済産業省政府参考人はやりくりが苦しいという趣旨の答弁で自己正当化しました。

【衆議院議院運営委員会 同日】
【参議院議院運営委員会 同日】


 西村康稔さんから新型コロナウイルス感染症の特措法にもとづく緊急事態宣言の地域変更の事前説明がありました。その後、質疑がありました。

 衆の議運では次回の本会議の開催は未定だとしました。きょうあすとも定例日ですが衆議院本会議は開催されません。

 ところで、第4次安倍第2次改造内閣において、コロナ対策の補職辞令が西村さんに出ていませんが、厚労省などはどうやって西村大臣に従っているんでしょうか。

【衆議院総務委員会 同日】

 「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律案」(201閣法27号)が趣旨説明されました。質疑は次回。

●衆議院科学技術・イノベーション特別委員会は理事会を開きました。
●衆議院憲法審査会は、幹事懇談会を開きました。

●参議院は第一種常任委員会の定例日です。内閣、法務、財政金融の3委員会は開催されず。また特別委員会は定例日ではありませんから「スーパーシティ法案」(201閣法5号)の審議はありませんでした。

【参議院外交防衛委員会 同日】

 「日本とアルゼンチン、ウルグアイ、ペルー、ジャマイカ、ウズベキスタン、モロッコ各々との租税協定条約承認案」(201条約6、7、8、9、10、11号)が趣旨説明されました。

【参議院文教科学委員会 同日】

 一般質疑。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 「国民年金法など改正案」(201閣法34号衆修正)

【参議院経済産業委員会 同日】

 「5G支援法案」(201閣法22号)と「GAFAをデジタルプラットフォーマーとして規制する法案」(201閣法23号)

【参議院国土交通委員会 同日】

 「持続可能な白タク全面解禁法案」(201閣法20号)が趣旨説明されました。今国会では地域乗り合いバス関連の法案が他に2本(合併の独禁法特例法、バスターミナル新設財政支援の改正道路法)出ていますが、前日も埼玉県内のバス会社の倒産が報じられました。熊本県内では合併を前提にした経営改革構想が出ているようです。

【参議院環境委員会 同日】

 第一委員会室で開かれました。牧山弘恵さんが第一委員会室の委員長席に座ったことは、政治倫理の確立及び選挙制度改革に関する特別委員長の時代にもあったように思います。

 「大気汚染防止法改正案」(201閣法51号)が小泉進次郎環境大臣から趣旨説明されました。

●あすの予定

上述しましたが、きょう木曜日、あす金曜日は定例日ですが衆議院本会議は開催されません。

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