【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【5/19】検察庁法の成功体験で国会は前へ熟議へ、公益通報者保護法案で尾辻かな子さん「公文書管理法は対象外。修正議論を」消費者相「14年間で裁判で保護は2件だけ」

2020年05月19日 18時12分10秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]警視庁前でサングラス姿になった宮崎信行、きょねん秋。

 東京五輪をやっていたら、日本人が豊かな国だと羨む産油国の代表で一人ぐらい亡命する人はいたと思いますよ。警視庁前でサングラス姿でセルフィーできる。それほど自由な国は、日本以外にはあまりありません。

 検察庁法改正案先送り決定ーー有権者にとって大きな成功体験になりました。2008年4月のガソリン値下げ隊に勝るとも劣らじ。当時20歳の有権者が、現在は36歳ぐらいの有権者になります。さほど時間は経過していませんが、そろそろ、変化の胎動が出始めるのではないでしょうか。

 第201回通常国会は一気に正常化。地銀とバスの独禁法特例法はあす成立のはこびとなり、2020年11月末から2030年11月末まで有効になりそう。公益通報者保護法改正案では、参考人質疑をとりやめて各会派のヒアリング文書が会議録に掲載されることになりました。第2次補正予算案審議をひかえる衆議院予算委員会は、医官・経済学者から参考人質疑をすることを全会一致で決めました。嵐が過ぎ去り、つかの間の、熟議の国会となります。

 概算要求の締め切りが、1か月遅れの9月30日(水)となりそうです。が、世の中は、早めに落ち着きそうな気配が出てきました。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 令和2年2020年5月19日(火)】

●14年間で裁判で保護は2例、森友公文書改竄は対象外なのに消費者庁次長は「ガイドラインで対象」と強弁

 先週末に本会議で審議された「公益通報者保護法改正案」(201閣法41号)の法案審査が始まりました。まず、土屋品子委員長が「理事会で参考人招致の求めがありましたが、新型コロナウイルス感染症への懸念があるので、各会派が参考人から話を聞いた文書を提出し、きょうの会議録に末尾に添付することにした」と発言しました。

 霞が関で、立憲民主党の尾辻かな子さんを評価する声が相次いでいます。尾辻さんは「森友学園の公文書改竄は公益通報保護の対象になるのか」と問いました。消費者庁長官は濃厚接触として自宅隔離していることもあり、同庁次長が答弁し「公文書管理法も含めたガイドラインを周知徹底していきたい」としました。ところが、法律上の刑事罰・行政罰の対象ではないと尾辻さんが指摘し、政府も認めました。尾辻さんが、法律により保護された例がいくつあるかと問うと、衛藤晟一消費者相は「裁判で保護されたのは2例だ」。尾辻さんは「14年間放っているあいだに、他の国はどんどん進んでEU指令にまでなっている」としました。改正案で取締役や1年以内の退職者も保護の対象になりました。しかし、下請け企業は対象外で、尾辻さんは「西宮冷蔵も今回は対象外だ」と指摘し、修正協議を与野党に呼びかけました。

 本当にこういう貧乏なくせに閉鎖的な日本会社員にうんざりします。内部通報者を潰すなら、少なくとも10億円以上の特許に限ってほしいですね。そういうこと考えないんですよね。

【衆議院予算委員会 同日】

 1分間開かれました。棚橋泰文委員長が、あす20日(水)午後1時から、政府有識者会議で、医系技官OBの尾身さん、国立感染症研究所長の脇田さん、新しく加わった経済学者の竹森俊平・慶大教授の3人に対する参考人質疑を行うことを提案。異議なしで決まりました。5月後半の参考人質疑は異例。第2次補正予算案審議が近づいているため、与野党の環境整備だと考えられます。

 今入った情報ですが、あすは総理不在ですが、衆参予算委員会ともNHKで中継されるようです。

【衆議院本会議 同日】

 「日本と、アルゼンチン、ウルグアイ、ペルー、ジャマイカ、ウズベキスタン、モロッコ各々との租税協定承認案」(201条約6、7、8、9、10、11号)が起立採決されました。共産党反対、自公立国社など賛成多数で承認すべきだと決まり、参議院に送られました。

 「都市再生特別措置法改正案」(201閣法21号)は共反対、自公立国など賛成多数で可決し、参議院に送付されました。

 「大気汚染防止法改正案」(201閣法51号)は共反対、自公立国など賛成多数で政府原案のまま可決し、参に送付されました。

【参議院内閣委員会 同日】

 「地銀とバスの独禁法特例法案」(201閣法31号)が共産党反対、自民党、公明党、立憲、国民などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。あす成立のはこび。公布日から6か月後に施行し、それから10年後に廃止。ですから、令和2年2020年11月末から令和12年2030年11月末まで有効な政策になります。この法案の担当は、内閣官房日本再生総合事務局特例法案準備室。私も批判していた、長崎県内での地銀合併で、公正取引委員会が国家観を欠いた行政をしたために、内閣官房に仕事をとられ、多くを失うことになりました。

【衆議院財務金融委員会 同日】

 「金商法を改正して金融サービス取引法とする法案」(201閣法40号)が趣旨説明されました。次回の審議は未定。包括的な改正に限られますが、各種金融サービスをあっせんする代理店のようなものができるように思えますので、経営コンサルタントや税理士事務所などの経営者はチェックしてみたらいいかもしれません。

【衆議院東日本大震災復興特別委員会 同日】

 「復興庁設置法改正案」(201閣法33号)の対政府質疑が始まりました。与党が順に質問しますが、トップバッターは根本匠さん。「安倍内閣では初代復興大臣なので、私が質問した方がいいと言われた」と質疑しました。話は変わりますが、根本さんは、宏池会事務総長として、岸田文雄・自民党政調会長の第1次補正審議でのミスを取り戻そうと必死のようです。ところで、きょう予定されていた、岸田さんと、逢坂誠二・立憲民主党政調会長との会談は急きょ中止ないし延期されました。何があったのでしょうか。法案に戻ると、復興庁の延長は10年ですが、様々な内容を束ねた法案なので、賛否が分かれるかもしれません。玄葉光一郎さんも質問しました。

【参議院経済産業委員会 同日】

 「5G支援法案」(201閣法22号)と「GAFAをデジタルプラットフォーマーとして規制する法案」(201閣法23号)の法案審査がありました。

 一時、週刊誌報道があった、高橋はるみ・自民党議員も質問しました。

 第一委員会室で開かれました。昨日のバッター表では「委員会室 未定」とあり、下述の国交委は「24委員会室で開催 但し、変更するときは筆頭理事間協議のうえで委員長に一任する」という注意書きがありました。ソーシャルディスタンスのために、経済産業委員会は第一委員会室になりました。経産委は21人、国交委は25人ですが、こちらの法案の方が政府参考人が多かったのかもしれません。また両方とも国民民主党の委員長なので調整しやすかったのでしょう。昭和30年代の国会は、開議10分前にいきなり委員会室を変更して強行採決してしまうようなめちゃくちゃな国会運営をしていたそうで、今は公報に載った委員会室は、変えられないことになっています。規則か先例に書いてあると思います。

【参議院国土交通委員会 同日】

 第24委員会室で開かれ、「道路法改正案」(201閣法15号)が共反対、自公立国など賛成多数で可決すべきだと決まりました。あす成立のはこび。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 「年金制度改革法案」(201閣法34号衆修正)が加藤勝信大臣と、岡本充功衆議院議員から趣旨説明されました。そのまま、質疑がありました。世論は不発で、まったく興味が持たれていません。

【衆議院原子力問題調査特別委員会 同日】

 一般質疑がありました。自民党の古田圭一さんは「東電福島第一原発の処理水(汚染水ともいう)は2年後にタンクが満杯になる」と指摘しました。

【衆議院議院運営委員会 同日】

 大詰めが近づきます。

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