宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

政府、今(こん)第208回通常国会で5月下旬に補正予算案提出へ、2・5兆円前後、立憲は21兆円の経済対策を参院選で最大の目玉に

2022年04月21日 23時14分40秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 政府は、5月下旬に補正予算案を提出する方針を決めました。2022年5月下旬から6月15日までに衆参本会議・予算委を経て、成立する公算。

 石井啓一幹事長によると、2・5兆円前後となる見通し。

 来週火曜日の追加経済対策の決定の直後に、岸田文雄首相が編成を指示するはこび。

 2016年の大型連休に「熊本地震復旧予備費0・7兆円新設」だけの補正予算案を編成しており、財務省主計局は連休返上になります。既に今月の東京の通勤ラッシュはピークに戻っていますが、世の中で5月の大型連休の予定はない人が8割のようです。

 当ニュースサイト8日付の記事にあるように、立憲民主党国民民主党は4月8日に、各々追加経済対策の対案を政府与党に先んじて発表しました。

 8日付記事にも書きましたが、立憲の「21兆円の生活安全保障」は消費税5%、ガソリン減税、ワーキングプア層などに5万円、政府が受付中の事業復活支援金の支給上限倍増、法案提出済みの中小企業のコロナ債務の減免、地域交通機関の減収補填、観光産業事業継続支援金の新設など、消費・ガソリン減税と現金直接交付の組み合わせ。泉健太代表は自信を深めて、きのうの対面両院議員総会で、改選参院議員や菅直人最高・岡田克也常任顧問らに対して自らパワーポイントを操作して説明し、7月10日の参院選の最大の目玉公約にする方針を示しています。

 国民民主党も同規模の「緊急総合対策」を偶然同じ8日に発表。発表直後の榛葉賀津也幹事長定例記者会見で、榛葉さんがそれを知らないハプニングがありましたが、立憲案と違い、原発再稼働、ウクライナ難民受け入れに0・1兆円、海上保安庁の増強、ヤングケアラー支援法、カスタマーハラスメント対策法、新幹線が脱線した東北地方地震の復旧などの個別メニューが充実。現金給付はありませんが、これに消費減税5%1年間・社会保険料の事業主負担半減の「減税とメニュー」で20兆円規模になります。但し減税の第一項目が揮発油税法のトリガー条項凍結解除で参院選に間に合わない見込みで、参院選公約としては微修正がいりそうです。

 いずれにせよ、「21兆円の追加経済対策を4月8日に先んじて発表」は立憲民主党は第26回参院選最終日まで引っ張れそうな情勢を感じます。

 直近の世論調査では「岸田内閣支持率2ポイントだけ悪化」がありますが、複数回答の支持できない理由で「首相が信用できない」「自公の内閣だから」が突如激減し、「経済政策に実現できない」が10ポイント上がっている調査もあります。1か月で岸田さんへの信用が増したのでなく、ガソリン高・円安は政府のせいだ、という深層心理が現れたとみるのが妥当でしょう。但し、補正を組んで参院選に負けた自民党総裁の中では岸田内閣の支持率はかなり高い水準。

 筆者が独自に調べたら、年間のすべてのガソリンにリッター25円補助すると、総額は1兆800億円。たったそれだけ。軽油を入れても2兆円程度。長期金利が上がり、円安が進行しているから、逆に追加の新規国債を発行して、日本銀行が金融政策決定会合の決定を守って年80兆円ペースに買い取ることが必要。矢野康治財務事務次官と雨宮正佳日本銀行副総裁が正しく国益のために国会や金融政策決定会合のきまりに従うことが求められます。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

民事訴訟法改正案「オンライン」と刑法改正案「懲役刑廃止で拘禁刑」は野党も問題視せずに衆議院本会議、「本土復帰50年決議」は沖縄1区議員が反対のハプニング

2022年04月21日 15時28分07秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[画像]法務省・検察庁・東京地裁前。

 補正予算案が提出することになりそうです。財務省主計局は大型連休無し。初めて調べたのですが、国内のガソリンの流通量は「432億リットル」。25円補助で1兆800億円。たかが。念の為上限枠を多めにとって、軽油をあわせて4兆円くらい計上しても財源は何ら問題なさそうです。

 司法試験受験生はチェックが必要でしょうか。「オンライン民事訴訟法」が衆議院を通過し、「懲役刑をなくす刑法」が審議入り。「黒川弘務検事総長構想」「ウィシュマさん入管庁報告書」の置石がとれて、法務省関係が大きく動きました。

【衆議院本会議 きょう令和4年2022年4月21日(木)】

 「消費者契約法などの改正案」(208閣法41号)が採決。委員会では全会一致でしたが、本会議ではれいわ新選組が反対したので、賛成多数で可決し、参議院に送られました。

 きょねんの予算委や解散で廃案になった改正条項を束ねた「電波法及び放送法改正案」(208閣法18号)は維共れ反対、自公立国有賛成多数で可決し、参議院に送られました。これに先立ち、維新の対案である「電波オークション法案」(208衆法26号)は、自公立国共有れ反対、維賛成の賛成少数で否決し、廃案になりました。テレ朝のエースアナがトヨタ自動車に転職する時勢になんで今ごろという印象。以前も三宅博議員(他界)が初当選してからNHKの報道姿勢をずっと質問し続けていたことがあり、後年ご遺族は「本人はあれを国会でやりたかったようだ」と取材に答えたのを読みました。テレビと国会の質疑で維新はもう少し政党として時勢にあわせて収斂してほしい。

 「宅地造成・特定盛土規制法案」(208閣法45号)は修正すべきだとの委員長報告を全会一致で可決し、参議院に送られました。参議院議員にはA4判の追加の紙を挟んで法案が配られることになります。討論では3会派が賛成討論をしましたが、日本維新の会の足立康史さんが委員会での修正協議を批判する異例の展開となり、今後、議運の協議事項になるようです。

 「民事訴訟法などの改正案」(208閣法54号)は立共れ反対、自公維国有賛成多数で可決し、参議院に送られました。期日を半年間にする規定が労働審判・離婚訴訟で不利になる人がいることを懸念し、立・共などが反対に回りました。

 「農地バンクなど農業経営基盤強化法改正案」(208閣法55号)は共反対、自公立など賛成多数。「農村漁村活性化法案」(208閣法56号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。

 この後、「刑法改正案」(208閣法57号など)と「立憲対案」(208衆法11号)が審議入り。古川禎久法相は「再犯は減っているが、まだ5割は再犯だ」とし、懲役刑・禁固刑を廃止して拘禁刑に改める規定を説明しました。これに対して「208衆法11号」の趣旨説明や答弁に立った立憲会派の鎌田さゆりさんや米山隆一さんは、「政府案の侮辱罪の規定だと、お前アホやな、○○議員は総理の器でない、という言葉まで侮辱罪で罰せられる恐れがある」とし、プロレスラー・木村花さんのフジテレビ「テラスハウス」をめぐるツイッター自死事件を取り上げ、「加害目的誹謗等罪」を提案し、今後、法務委員会で議論されることになります。

【衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会 同日】
 「沖縄の本土復帰50年及び沖縄問題の解決促進に関する委員会決議」が採択されました。本会議には上程されませんが、阿部知子特別委員長が関係先に手紙を送るてはずになります。決議は「沖縄の本土復帰50年を本年5月に迎える。国土面積の0・6%に、米軍基地の70・3%が集中。県民所得は7割。政府としては引き続き、沖縄の基地の整理・縮小につとめ、新しい沖縄振興特措法で地元の意見を尊重すべき。とくにコロナ感染症をめぐって、地域経済の影響を最低限にとどめるため、米軍基地から発生する諸問題の解決を求める。世界に広がるウチナーンチュのネットワークを活用した万国津梁について政府も私たちも一翼を担いたい」としました。ところが、異例の運営となり、委員会決議としては異例の討論が通告されました。沖縄1区選出の赤嶺政賢さんで「日米地位協定への言及がない」と文言を問題視し、反対しました。このため採決では、共産反対、自公立など賛成多数で採択される、委員会決議としては異例の結果となり、後味の悪さを感じました。

 これに先立つ一般質疑では、朝日新聞記者として沖縄駐在歴がある山岸一生さんが「沖縄問題では政治家の世代交代も必要。山中貞則さん、橋本龍太郎さん、小渕恵三さん、野中広務さんらが沖縄にかける思いを持っていた」とすると、西銘恒三郎大臣も「屋良朝苗初代知事は私の父の教師で、太平洋戦争に帝国軍で出征するときにあいさつに行った」と昔話を明かし、山岸さんに期待を寄せました。ところが、維新の吉田豊史さん(富山1区比例)が沖縄本島以外の離島も多く回った経験を話す際に「私の地元の富山の置き薬。意外と富山県内では見当たらないこともあるが、沖縄本島、さらには本島以外の離島でもとてもよく見た。やはり県外へ営業に行っているらしい」と話すと、西銘大臣が「それだけ医師が少ないということだ」と返すなど、沖縄県と本土の相互理解の難しさを感じさせるやりとりもありました。

【衆議院災害対策特別委員会 同日】
 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災特別措置法改正案」(208衆法     号)が起草されました。内容は、被災地域が広大になるからと目的規定を書き加え、内閣総理大臣に対して最大規模の被災を前提にするよう求め、津波避難対策特別地域を新設する法改正。全会一致で可決すべきだと決まりました。

【衆議院憲法審査会 同日】
 先週から野党に配慮する議題に。改正国民投票法附則CM規制の参考人の意見陳述とそれに対する質疑だけで、自由討論はきょうはありませんでした。自民党側からすれば喉に刺さった魚の骨のような問題。参考人として出席した日本民間放送連盟専務理事は、過去の経緯を詳しく説明しました。最初の質疑者の自民党の新藤義孝筆頭幹事は「合計4回目で、しかも急な呼びかけにもかかわらずありがとうございました」と丁重に話し「法律以外に、民放連の自主的な取り組みについても聞きたい」と述べました。これに対して民放連専務理事が丁寧に説明した後「私だけでなく常務理事からも説明させます」と語ると、新藤さんは「手短にお願いします」と表情を変えました。次回は公報。

●衆議院国土交通、安全保障、地方創生特別の3委員会は理事懇。

【参議院内閣委員会 同日】
 「経済安全保障法案」(208閣法37号)の参考人質疑。連合審査会の呼びかけも決まりました。

【参議院総務委員会 同日】
 「地方公務員育児休業法改正案」(208閣法11号)を全会一致で可決すべきだと決めました。

【参議院文教科学委員会 同日】
 「教員免許法改正案」(208閣法34号)が趣旨説明されました。ちなみに、一般質疑で、共産党の吉良よし子さんかられいわの舩後靖彦さんへとつながる展開。私は吉良議員が毎回のように時間切れだと委員長から叱られてから、逆にトーンを挙げてまとめることをとがめたい思いを持ち、書きましたが、きょうの吉良さんはは時間通りまとめました。

【参議院農林水産委員会 同日】
 「みどりの食料システム法案」(208閣法32号)と「植物防疫法改正案」(208閣法33号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。

【参議院厚生労働委員会 同日】
 一般質疑。

【参議院経済産業委員会 同日】
 連合審査会の手はず。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2022年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。