宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

野党過去官僚が気を吐く、小沼巧さん「平成11年から法律間違っていたのを隠して改正しようとしている」指摘し与党委員長も激怒、有志の会本会議で「温対法」一会派だけ反対

2022年04月07日 17時27分51秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]霞が関で、陽炎の中、青信号に向かって歩く人たち、おととし8月上旬、宮崎信行撮影。

 「経済安全保障法案」(208閣法37号)が衆議院を通過。米筋によると、露軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)から撤退しているという情報もあります。石川県区補選の出陣式には茂木敏充幹事長が行きました。

 立憲民主党が55年体制の社会党化しているとの批判があります。まったく違う点があります。東大法学部などの大学から新卒で、人事院の国家公務員1首相の法律職などの試験に合格した官僚が、野党の議員をやっています。労働省出身の女性官僚が社会党の比例代表にいたり、非東大の農林官僚の社会党議員・大蔵官僚の民社党議員が複数人区選出で数人いただけです。過去官僚が野党議員をしているのは明治維新後最多の良い時代を過ごしています。

【参議院農林水産委員会 きょう令和4年2022年4月7日(木)】
 「農林水産物及び食品の輸出促進法改正案」(208閣法53号参先議の法案審査。1巡のみで質疑終局。採決され、全会一致で可決すべきだと決まりました。

 茨城県区2人区で立憲民主党公認で初当選した、元経産官僚・小沼巧さんが気を吐きました。小沼さんは改正法案(改め文)の中に、現行JAS法69条第1項第3号の「指定農林物質」を、今回の改正で「指定農林物資」に改める内容が含まれていると指摘。現行JAS法第2条は「この法律において農林物資とは」という定義規定があると指摘。農林水産省は2条の「農林物資」を69条で「物質」と書き間違え、平成11年から誤った状態が続いていたことを明らかにしました。大臣は「深くお詫びします」と語りました。

 小沼さんは「なぜ今まで気づかなかったのか」と語りました。小沼さんは長谷川岳委員長に善処策を理事会で協議するよう求めました。

 会議中に長谷川岳委員長が発言。「条文の誤りと大臣の謝罪があったが、委員会は各会派との信頼関係でなりたっているため、謝りがあった場合は委員会に報告するなど誠実な対応をとることを農林水産省に厳しく申し上げます」と発言しました。与党委員長が省に「厳しく申し上げます」と語るのは異例。

【衆議院本会議 同日】
 「経済安全保障法案」(208閣法37号)と「それに対する維新対案」(208衆法10号)が上程されました。立憲民主党は本庄知史さんが賛成討論をしました。採決の結果、208衆法10号は維新の賛成のみにとどまり否決され、廃案となりました。208閣法37号は、共れ反対、自公立維国有の賛成多数で可決し、参議院に送られました

 「地球温暖化対策推進法改正案」(208閣法28号)も上程。環境委員会では全会一致でした。きょうの本会議では賛成多数で可決し、参議院に送られました。有志の会が反対に回りました。有志の会の所属議員は吉良州司・北神圭朗・福島伸享・緒方林太郎・仁木博文の5名でうち3名は過去官僚(北神大蔵・福島経産・緒方外務)。今回の反対はおそらく株式会社の官民ファンド設立に関してと思われますが、前回の改正法は今月1日に施行したばかりで、パリ協定を国内法にしてまだ1週間という段階です。首相も代わり急ぐべき時期ではなく、上述のJAS法の細かいミスも起こりかねません。

 「旅券法改正案」(208閣法29号)と「東日本大震災に係る旅券発給特例法廃止法案」(208閣法30号)全会一致で可決し、参議院に送られました

 「衆議院規則などの改正規則案」が議運委員長から趣旨弁明され、次の第209回国会召集日から、各議員への官報配布をやめ、会議録もペーパレス化できるとする規定が全会一致で可決し、改正されました。

 この後、趣旨説明と代表質問がありました。「電波法及び放送法改正案」(208閣法18号)が総務大臣から、「情報通信行政の改革の推進に関する法律案」(208衆法26号)が中司宏・日本維新の会衆議院議員から趣旨説明されました。208閣法18号は前回の解散で完全廃案になった2法案の1つである、NHK中間法人の設立が束ねて盛り込まれました。

 維新は質疑答弁の演説で、新聞社と放送局は資本系列化されたクロスオーナーシップをとっており、NHKの年間収入8000億円から分かる通り、民放の電波使用料ももっと価値があるとみられ、電波オークションなどをとるべきだと主張しました。

【衆議院憲法審査会 同日】
 今回は大きな進展はありませんでした。まず会長が「前回は時間切れで質問したいのにできなかった議員がいたので、まず自由に発言してもらいたい」とし、自民党の4期の山田賢司さんが発言。この後、立憲民主党の中川正春さんはウクライナ憲法の緊急事態条項が話題になっていることを念頭に「ロシアのプーチンを見て、我が日本でも権力者・為政者の暴走を止めるしくみが必要。緊急事態条項を議論したいならば、権力行使の限界と運用プロセスを定めることを共通した基本理念としたい」と語りました。中川さんは付け加えて「改正国民投票票のCM規制の附則も議論すべきだ」と付け加えました。

 この後、各会派1名ずつの発言の中で、立憲民主党の奥野総一郎筆頭幹事が、議員傍聴席から安倍晋三元首相がヤジを飛ばしたと発言し、自民党の新藤義孝筆頭幹事が「元総理であっても、どの議員も発言は自由だ」とたしなめる波乱もありました。ひょとすると、会期中に改憲発議案がまとまることも念頭においていいのかもしれません。

【衆議院原子力問題特別委員会 同日】
 立憲民主党の菅直人さんが元総理としては異例の理事をつとめていましたが、野間健さんに交代しました。この後の質疑でも、菅さんが登場しました。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】
 「消費者契約法など改正案」(208閣法41号)と「立憲対案」(208衆法7号)の法案審査1日目3時間コース。柚木道義さんは、自公で議員立法の作業が始まったAVアダルトビデオ18歳強要について、監督官庁をつくるべきだとし、内閣府男女共同参画局長も前向きに答弁しました。次回は12日(火)10時から参考人質疑。

【衆議院総務委員会 同日】
 「地方公務員育児休業法など改正案」(208閣法11号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。次回は12日(火)9時。

【参議院内閣委員会 同日】
 二之湯智国家公安委員長が「道路交通法改正案」(208閣法52号参先議を趣旨説明しました。この法案には特区法改正案が審議未了で廃案になったことによる人間が乗車しない自動運転特区の規定も盛り込まれています。

【参議院文教科学委員会 同日】
 「博物館法改正案」(208閣法31号)。質疑の後、れいわの舩後靖彦さんが反対討論をしました。採決の結果、れ反対、自公立国維共賛成多数で可決すべきだと決まりました。筆者が法人の立場で会員となっているいわゆる竜門社こと公益財団法人渋沢栄一記念財団は渋沢史料館を運営していますが、今次改正で、国立だけでなく、都道府県教育委員会の指導のもと私立博物館の活躍の余地が広がることから、渋沢史料館のデジタルアーカイブ化事業を既に始めました。再開された上野の国立西洋美術館をリアルで見てから渋沢史料館にはしごしたら日が暮れてしまったら、全国どこからでもリモートで。ちなみに、きょうの審議の附帯決議では、「私立博物館は過度に利益を求めないこと」が念押しされました。

【参議院経済産業委員会 同日】
 「貿易保険法改正案」(208閣法28号)は賛成多数で可決すべきだと決まりました。あす成立。反対した共産党の岩渕友さんは「貿易保険の利用割合は諸外国よりも高く、大企業が負うべきリスクを全国民に負わせている」と述べました。

【参議院国土交通委員会 同日】
 「自動車損害賠償保障法及び特別会計法改正案」(208閣法36号参先議)の参考人質疑。

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【2022年前半の国政統一補選】参議院石川県区(奇数組)のみ、きょねんの局地的野党圧勝→全国いっせい総選挙で自公堅勝の皮肉もあり、静かなたたかい

2022年04月07日 11時57分17秒 | 国政統一補欠選挙
 半年に一度の国政統一補欠選挙がきょう令和4年2022年4月7日(木)スタート。現職の石川県知事選転出(落選)による石川県区(奇数組、2025年まで)の補欠選挙が告示されました。

 報道や立花さんのツイートによると、自民党公認・公明党推薦の宮本周司さん、立憲民主党公認・社民党推薦の小山田経子さん、共産党公認の西村ひろしさん、NHK党公認のさいとう健一郎さんの4名が立候補しました。投票日は17日後の4月24日(日)で定数は1。

 このうち自民の宮本さんは比例の奇数組で残り任期3年3カ月ありますが、「商工会青年部」の全国会長になる前は石川の人ですので、立候補しました。今朝の時点では現職で、立候補に伴い前職になったと思います。

 宮本さんの自動失職により、中田宏・元衆議院議員が繰り上げ当選する見通し。

 1年前は、第一声に、自民党は佐藤勉総務会長、小渕優子選対委員長代行(現在は企業・団体本部長)、後藤茂之県連会長(現在は厚労相)、石井準一参議院幹事長代理らが詰め掛けました。立憲民主党も福山哲郎幹事長(参議院議員)が現地に足を運びました。

 が、きょねんの補選・再選挙では、局地的補選に野党は圧勝。これでバネが利き、全国いっせい総選挙では自民党と公明党が議席を減らしながらも単独過半数を大きく上回るという皮肉な結果となりました。

 穴が開いた自民党前職は1人区に2人立候補し、67・2%で当選していました。

 このため、今回は与野党とも総力戦とはならないようです。

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