宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

子ども家庭庁設置法案が実質審議入り、政府案・自公案・立憲案・維新案同時審議なのでいずれにせよ会期内成立は確実「みどりの食料システム法」参議院で可決し成立

2022年04月22日 17時58分56秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]野田聖子さん、3年前の2019年月、長野市で、宮崎信行撮影。

 今国会の目玉法案上位2本の1つ、こども家庭庁設置法案が実質審議入り。政府案、自公案、立憲案、維新案を同時に審議するかたちで、いずれにせよ、結論が今国会で出るのは確実。

【閣議 きょう令和4年2022年4月22日(金)】
 「建築物省エネ法改正案」(208閣法おそらく61号)が閣議決定されました。意地悪く言えば、有権者が公文書の改竄に慣れてしまって「建設受注統計」の不正が国会で広がらなかったから、ともいえます。

【衆議院内閣委員会 きょう令和4年2022年4月22日(金)】
 「子ども家庭庁設置法案」(208閣法38号・39号)が実質審議入りしました。「自公の基本法案」(208衆法25号)、「立憲対案」(208衆法8号)、「維新対案」(208衆法27号)が並行して審議される異例の展開となります。

 このため、共産党国対委員長代理の塩川鉄也さんは「自公の法案が出るから、わざと理念を政府原案から落としたのか」という趣旨の確認の質疑がありました。

 自見はな子・山田太郎両自民党参議院議員がとりまとめた提言(2021年5月の当ニュースサイト内記事参照)では「こども庁」(仮称)でしたが、「子ども家庭庁」(仮称)として提出されました。

 これを問われた野田聖子大臣は「新たな行政組織は、昨年12月に閣議決定した子ども政策の新たな推進体制に関する基本方針で定めた」という答弁を続けました。「家庭」を問われた野田大臣は「私の場合は、父が養子に出るのではなく、私がかわりに養子に出た」という答弁をするため、自民党内での名称変更問題は国会審議で広がらないように感じます。

 れいわ新選組の大石あき子さんは「自民党の松本尚委員が、三十数万人の視覚障害者がおられその8割は視野狭窄だ、と語ったが特定の障害とそれに苦しむ人への差別だ」と述べ「松本委員の謝罪と撤回と議事録の削除を求める」と話しました。理事会協議事項となりました。

【参議院本会議 同日】
 重要広範議案「薬機法など改正案」(208閣法42号)が審議入りし、岸田文雄首相は「補正予算案を編成する」と答弁しました。
 
 「改正地方公務員育児休業法」(208閣法11号)は全会一致で可決し、成立しました
 「みどりの食料システム促進法」(208閣法32号)と「改正植物防疫法」(208閣法33号)は全会一致で可決し成立しました。208閣法32号の附則2条により「平成11年法律110号」は廃止されます。

【衆議院厚生労働委員会 同日】
 「児童福祉法改正案」(208閣法49号)と「それに対する立憲対案」(208衆法28号・208衆法30号)が趣旨説明されました。政府側と有識者の意見が対立していた児童養護施設の「卒業」を18歳より延ばせる規定があるため、こちらも2016年国民投票法から続く「18歳成年」の原則の特例になります。厚労・消費者委員会では、もうしばらく「18歳成年」の是非が国会で審議されることになりそうです。

【衆議院法務委員会 同日】
 「刑法改正案」(208閣法57号・58号)と「立憲対案」(208衆法31号)の法案審査1回目。こちらも「拘禁刑」というよりも、「侮辱罪」の方が与野党の対立になります。

【衆議院環境委員会 同日】
 「特定外来種被害防止法改正案」(208閣法46号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。なおこれに先立つ法案審査では質問時間の配分が、自民15分、立憲78分、維新33分、公明15分、国民9分という計算式が謎の配分でした。立憲は永年在職表彰議員の近藤昭一元環境副大臣と篠原孝元農林水産副大臣が質問しました。なぜかを取材に行くとミイラ取りがミイラになりかねな分野なので、いずれ暇なら聞いてみます。

【衆議院経済産業委員会 同日】
 「省エネ法改正案」(208閣法43号)の審議。まず、維新が修正案を委員会に提出しました。法案審査。採決で、維新修正案は維新しか賛成せず否決されました。中盤国会でこのパターンが増えています。政府原案は共産党のみ反対し、自公立維国の賛成多数で政府原案通りに可決すべきだと決まりました。

【衆議院国土交通委員会 同日】
 「航空法改正案」(208閣法44号)はコロナによる航空会社の支援策などが盛り込まれています。長野3区比例で初当選した神津たけしさんらが質疑。採決の結果、全会一致で可決すべきだと決まりました。

【衆議院文部科学委員会 同日】
 「大学10兆円ファンド法案」(208閣法35号)の法案審査1巡目で与党のみ。柴山昌彦さんは文科相在任に前後してずっとメーンストリームにいる印象がありますが、「官製ファンドは批判がつきもの」とけん制しつつ、中曽宏・前日本銀行副総裁が委員長を務める委員会に期待しました。公明党の浮島智子元文部科学副大臣は財務省主計局次長を呼び、ファンドができても毎年度の予算を維持するよう求めましたが「見通しを語るのは困難だ」とすかされました。

 これは筆者の差別ですが、文科省の局長は口調などから、この人は旧科技庁採用だろうなと思って調べるとまずそうだという印象です。ちなみに筆者が橋本総理番記者をやっていたころ、科技庁の新任局長が総理に挨拶した後、記者団に渡した名刺が「課長」で総理番が混乱したことがありました。科技庁の代表電話から問い合わせたら局長が課長と間違えて気づいていなかったようです。巨額な交付金の交付権限は別として、科学技術庁・科学技術事務次官を残して、欲なく官民の研究の企画業務をしてもらったほうが、産学ともに良かったのかもしれません。

【参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会 同日】
 「行政手数料キャッシュレス法案」(208閣法22号)が審議され採決の結果、全会一致で可決すべきだと決まりました。

【参議院ODA・沖縄北方特別委員会 同日】
 「TICAD8」に向けた参考人の意見陳述とそれに対する質疑がありました。第8回アフリカ開発会議は、2022年8月27日・28日にチュニジアで開かれます。アフリカの国は小麦のすべてをウクライナから輸入していた国もあるようで、今回も「風に立つライオン・日本」のイニシアティブに期待が集まると思います。

このエントリーの本文記事は以上です。
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【条約の交渉】日本とニュージーランドの機密情報相互保護条約の交渉へ、日米以外では初、ファイブアイズの企業スパイ牽制と対中国軍事情報でアングロサクソン諸国と連携か

2022年04月22日 12時07分14秒 | 既に提出された【法案】
[写真]外務省、きょねん2021年7月、宮崎信行撮影。

 日本とニュージーランド政府は、きのう令和4年2022年4月21日(木)の首相官邸での首相会談で、「機密情報の相互に保護する協定」の交渉を始めることで合意しました。

 合意すれば、日米以外では初めてのインテリジェンス(機密情報)保護の2国間条約になります。

 ニュージーランドは、英語圏のアングロサクソン5か国がつくる「UKUSA協定いわゆるファイブ・アイズ」のアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの枠組みの一員。日本企業の特許開発・技術維持などの通信傍受はニュージーランドが幹事国として実施し、米英を含む5か国で情報を共有しているとされています。事実、TPP太平洋パートナーシップ協定の幹事国はニュージーランドでした。

 ジョンソン英首相や、茂木敏充・前外相らは中国封じ込めをねらった「シックス・アイズ」構想を打ち上げており、今回の日本とニュージーランドの枠組みは、企業スパイ牽制と、対中国軍事情報の提供でウィンウィンの関係を築く狙いがありそうです。

 協定が合意されれば、条約承認案として衆議院外務委員会などでの審査を受ける国会承認案として提出されることになりそうです。

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