宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

参議院先議の4法案が可決し、衆議院に送付 盛土規制は立憲・共産・有志の会・れいわ4会派で修正案提出も採決にいたらず

2022年04月13日 17時59分21秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 参議院の憲法審査会はバラバラな内容でまとまりがない方向感となりました。経済安保は参議院で審議入りしました。

【参議院本会議 きょう令和4年2022年4月13日(水)】
 「経済安全保障推進法案」(208閣法37号)の趣旨説明があり、重要広範議案ですので、岸田文雄首相、小林鷹之担当相が答弁しました。
 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案」(208参法7号参先議)は賛成多数で可決し、衆議院に送られました。
 「障害者による情報の取得・利用・意思疎通の施策推進法案」(208参法8号参先議)は全会一致で可決し、衆議院に送られました。
 「改正自衛隊法」(208閣法26号)は共産・沖縄の風が反対し、自公立国維が賛成して可決し、成立しました。
 「自賠責保険法及び特別会計法改正案」(208閣法36号参先議)は、共反対、自公立国維賛成多数で可決し、衆議院に送られました。
 「道路交通法改正案」(208閣法52号参先議)は共反対、自公立国維賛成多数で可決し、衆議院に送られました。

【参議院憲法審査会 同日】
●参議院はあまりにバラバラで方向感乏しく
 定例である水曜日で、本会議が散会した後の午後1時に始まりました。
 衆議院側の1か月程度前と同じく「憲法56条第1項の出席に関する考え方」を議題にし、岡崎慎吾参議院憲法審査会事務局長と川崎政司参議院法制局長がブリーフィングし、質疑に答えました。
 まず、自民党で本部と会派の副幹事長である山下雄平さんが衆議院側と軌を一にするよう提案しました。
 共産党の吉良よし子さんは自らの第1子妊娠中に「平和安全法制の強行採決が入院と重なり投票できず、支持者からも意見があった」と述べました。
 立憲民主党の白真勲さんはオンライン出席について「紅白歌合戦で美空ひばりさんがAIで出演したのが本人かどうか確認するのが難しい」と話を横展開。思惑含みの衆議院議員たちと違って、山谷えり子さんが閣僚時代の自慢話を披露するなど、方向感がまとまらずに散会しました。

【衆議院財務金融委員会 同日】
 「関税暫定措置法改正案」(208閣法59号)と「外為法改正案」(208閣法60号)。法案質疑3時間コース。きのう、「重要広範議案扱い」と書きましたが、あくまでも本会議だけで、委員会での首相入り質疑はありませんでした。3時間で質疑は終局。ただちに採決され、全会一致で可決すべきだと決まりました。

 きのうの一部報道では、ロシアを名指しした時限法のように聞こえるニュアンスがありましたが、「国際関係の緊急時」と「暗号資産」を挿入する恒久の法改正です。施行日は208閣法59号が公布日翌日、208閣法60号が公布から20日後。

【衆議院法務委員会 同日】
●今国会最も長い19日間審議がストップし、法相「会期中に書面提出」

 既に記事で書きましたが、19日ぶりに開かれました。一部報道で古川禎久法相のコロナ感染で止まっているとされましたが、実際の理由は別にありました。さきほどの記事に全文を書きましたが、大臣は発言を求め「名古屋局における令和3年3月3日の記載についてウィシュマさんが自ら発言したとする虚偽の記載があるのではないかとのご指摘があり」とし、階猛さんが指摘したビデオにない発言が生煮えになっていたことを確認。法相は「そのような認識を生じさせるような表現となっている」とし「入管庁から補足説明の書面を理事会に提出させたい」「ビデオを全面開示をすることが困難であるとの見解について改めて検討し、法務省としての考え方を整理して今国会の会期中に理事会に書面で提出させたい」としました。

 この後、「オンライン民事訴訟法改正案」(208閣法54号)の3日目の審議となり、議員の対政府質疑の1巡目がありましたが、与党のみ40分だけで終わりました。あすは参議院で委員会が久しぶりに開かれます。次回の衆法務委は15日(金)。

【衆議院外務委員会 同日】
 ウクライナ問題で大臣が参議院第一委員会室に呼ばれやすく朝8時半開始が板につきましたが、水曜朝9時開議に戻りました。残り7条約承認案です。

 きょうは一般質疑だけで終わりました。既に記事に書きましたが、岡田克也さんは日米安全保障条約に基づき米軍が日本自衛隊の基地を使って海外に進むときに求められる事前協議制度に関して、日本の法律、国会法、内閣法、政令、NSC規則などのどこにも手続き規定がないことを述べました。岡田さんは1997年2月5日の予算委員会での橋本龍太郎首相・池田行彦外相・大森政輔内閣法制局長官に質問したことを披露。その後も手続法がないのは、1960年の藤山愛一郎・マッカーサーによる朝鮮有事に出撃できるとする密約のために、国内法制定をさけたのではないかと指摘しました。外相が一人で答弁し、運用だけで可能だとしました。

【衆議院国土交通委員会 同日】
 「宅地造成・盛土規制法案」(208閣法45号)と「それに対する維新対案」(208衆法18号。208衆法19号)。これに加えて、「政府原案に対する小宮山泰子さんらによる修正案」が提出されました。小宮山泰子さんら、立憲・共産・有志の会・れいわ4会派共同で、アセスメントや審議会の活用などが盛り込まれました。きょうにも採決との観測もありましたが、選挙区の渡辺周さんらが質疑し、散会しました。

【衆議院内閣委員会 同日】
 午後開かれ、道交法改正案(208閣法52号参先議)が趣旨説明されました。二之湯智国家公安委員長が読み間違えましたが、すぐに訂正しました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】
 重要広範議案の「薬機法改正案」(208閣法42号)と「それに対する立憲民主党対案」(208衆法16号・208衆法20号・208衆法21号)の質疑が続きました。

【衆議院経済産業委員会 同日】
 「省エネ法改正案」(208閣法43号)の法案審査1日目で、専門的な議員が質問しました。次回は15日(金)午後1時。

【衆議院農林水産委員会 同日】
 「農地改革関連2法案」(208閣法55号・208閣法56号)の参考人質疑。

衆議院環境委員会、衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会の理事懇談会が開かれ、今後の日程を協議しました。

【参議院地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会 同日】
 「第12次地方分権一括法案」(208閣法51号参先議)を質疑し、全会一致で可決すべきだと決めました。

【参議院国民生活と経済に関する調査会】
 最終報告書に向けた自由討議がありました。芝博一会長(三重選挙区、今夏勇退)がどこかさみしそうでした。上述のNSCを法制化したときの特別委員会の理事が芝さんと福山哲郎さんで福山さんは京都選挙区(定数2)で再選を目指します。

【参議院情報監視審査会 同日】
 この審査会も芝さんが理事をした特別委員会で大枠が決まったものですが、シールドルームで開かれました。

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「シールズの夏」から6年余、岡田克也、「日米安保条約で米軍が日本基地使う事前協議の国内手続法が無い」外相「運用で、閣議だし緊急時は首相だけ国民の関心が高いので国会にも報告する運用をしたい」

2022年04月13日 14時34分04秒 | 岡田克也、旅の途中
 平和安全法制の夏から6年ちょっと。32ある1人区での野党一本化路線はなし崩しになりそうで、自民党幹事長も先週福島県連で「構図が変わりそうだ」と立憲共産党というデマが使えないことに懸念を示したようです。

 岡田克也さんはきょう令和4年2022年4月13日(水)の衆議院外務委員会で質問に立ち、日米安全保障条約の「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する」との条文の国内手続き法がどこにもないのではないかと指摘しました。

 林芳正外相は「アメリカからの事前協議の諾否を考えるのは、閣議だが、緊急の場合は首相だけで諾否を決められる」「行政府に属することであり、国会の手続きはいならいが、国民にとっては重大な関心事だと思うので、国会に事後に報告することもある」などと答弁しました。事前協議とNSCの関係については部内での取り決めもないことを認めました。

 岡田さんは「大臣は極東という懐かしい言葉を使ったが、米軍の活動範囲は広がっている。米軍が日本の基地から外国に攻撃するために飛び立つこともあるだろう」「もう少し判断基準をはっきりしていないと米から事前協議を元円られたときに、政府も混乱するし、国民の理解も得られない」と語りました。

 岡田さんは1960年に、朝鮮有事のときに直接出撃できると密約した、藤山・マッカーサー口頭合意のため、外務省などが長年国内法制化できなかったのではないかと、最近思うようになったと推論を示しました。

 岡田さんは「国際条約の実施だから、国内手続きがいらないわけにはならない。武力攻撃事態・重要影響事態・存立危機事態の認定は閣議決定して、事後に国会に報告することになっているが、米軍からの事前協議の諾否は、国会においても、閣内においても、運用だけで手続きが決まるのはおかしい」と述べました。

 最後に「時間が来たので、次も質問します」と終えました。なお、45分間、林大臣が一人ですべての質問に答弁しました。

 ウクライナ憲法の緊急事態条項と開戦直前からずっと首都キーウのウクライナ国会が動いていることが感動を含めて衆議院憲法審査会で議論されています。但し、日本で日米安保の根幹の手続きが法律で定められていないのに、憲法に戒厳布告をする緊急事態条項の改憲案が発議できるのかという方向に飛び火するかもしれないし、しないかもしれません。

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19日ぶり衆・委員会で古川禎久法相が階猛「改竄の疑い」認める、入管庁・名古屋ウィシュマさん衰弱死直前に「頭の中が電気工事をしているみたいに騒がしい。耳の奥で波の音がして聞こえづらい」

2022年04月13日 12時21分46秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]施設内で衰弱してきょねん3月3日亡くなったウィシュマ・サンダマリさんのご遺体、きょねん5月22日放送のTBS報道特集から、宮崎信行撮影。

 立憲民主党の階猛筆頭理事がウィシュマさん死亡事案の報告書で、その衰弱死の直前に「頭の中が電気工事をしているみたいに騒がしい。耳の奥で波の音がして聞こえづらい。もう死んでもよい」と語ったとする記述について、ビデオでは「もう死んでもよい」との発言しか確認できないとして改竄の疑惑を追及したことをめぐりストップしていた衆議院法務委員会が19日ぶりに開かれ、会議の冒頭、古川禎久法相が発言をし、「そのような認識を生じさせる表現となっていることは理解できるところであり、真摯に受け止めたいと考えている」と語り、「今国会の会期中に補足説明の書面を提出したい」と述べました。

 階さんが指摘した不明朗な部分があることを、法相が認めた発言。

 この発言を受けて、きょう令和4年2022年4月13日(水)の衆議院法務委員会は正常化され、「オンラインの民事訴訟法改正案」(208閣法54号)の与党議員による初めての対政府質疑がありました。が、懲役刑・禁固刑を一本化する「刑法改正案」(208閣法57号など)の審議が今国会で間に合わない可能性が出てきました。さらに、ロシアによるウクライナ侵略でのウクライナ人避難民の「準難民」認定の法的根拠となる改正法案の作成の暗礁となりそうです。

 古川法相の発言は次の通り。

 「今般、名古屋局における死亡事案の調査報告書の令和3年3月3日の記載について、ウィシュマさんが自ら発言していない言葉を自ら発言したかの虚偽の記載があるのではないかとのご指摘があると承知しております。この点については、私自身も調査報告書の記載とビデオ映像の双方を確認しておりますが、そのうえで、調査報告書は客観的な資料に基づくものです。もっとも、当該記載がそのような認識を生じさせうる表現となっているとの指摘は理解できるところであり、真摯に受け止めたいと考えております。ついては今国会の会期中に調査報告書がこのような記載となった理由について整理し、委員長のお許しをいただいたうえで、入管庁から補足説明の書面を理事会に提出させたいと思います。また、国会へのビデオ映像の全面的な開示を求めるご意見があることを承知しており、法務省としてこれに応じることは困難であるとの見解をお示ししてきましたが、この点についても、改めて検討し、法務省としての考え方を整理して、今国会の会期中に理事会に書面を提出させたいと思います」。

 閉会中のきょねん12月24日に衆議院法務委員長室で理事と希望する委員がビデオを視聴。そして、3月23日に階筆頭理事や、共産党の本村伸子委員らが、ビデオと報告書を突き合せた結果だとして指摘し、記者会見していました。

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