ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

高市早苗大臣「捏造でなければ大臣辞任・議員辞職」の行政文書で「読んだのは4枚だけ」とトーンダウン「礒崎陽輔元補佐官と局長の証人喚問を」

2023年03月06日 17時32分45秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]高市早苗経済安全保障担当相、おととし2021年9月、衆議院議員会館で、宮崎信行撮影。

 第211回国会はきょうで52日目で3分の1が過ぎました。岸田文雄首相の「検討」「説明」が続く無風国会でしたが、高市早苗大臣の「捏造でなければ辞職」発言で私は覚醒しがぜん元気になりました。私はことし立憲民主党「会派の無所属」ビラのポスティング要員をしていましたが、党名で罵声を浴びたことは一度もなく、政権交代に続く長い坂道をのぼり始めたように思います。

【参議院予算委員会 きょう令和5年2023年3月6日(月)】
 「令和5年度予算案」は5日目で、集中審議1回目「外交・安全保障等現下の諸課題」。テレビ入りですので、午前9時前スタートで、質疑と答弁の時間を同時にカウントする「往復方式」で行われました。

 きょねん夏の参院選で、立憲当選者では最下位だった石橋通宏さんですが、西村ちなみ代表代行の「4人中唯一の女性の代表候補」擁立の立役者。国のかたち研究会・サンクチュアリ・立憲フォーラムのナンバー2の地位を占めており、これからの5年半で、立憲リベラル系で最大の実力者になりそうです。

 石橋さんは金曜日の小西洋之さんから引き継いだ、礒崎陽介首相補佐官が安倍晋三首相とともに、総務省情報流通行政局などに放送法の解釈変更を迫ったとみられる文書を取り上げました。小西さんが示した「行政文書」は78ページのものだと認識されていますが、高市早苗大臣は先週より静かなトーンで「私が読んだのは4枚だ」とし、「時間があれば1枚ずつ話したい」と求めました。これを石橋さんは「文書で出してほしい」とすくい上げ、理事会で協議することになりました。総務省官房長は「行政文書について要望があれば対応する」とし、石橋さんが「高市大臣に対する大臣レクの全部を出してほしい」と踏み込み、全部提出される方向で理事会協議となりそうです。

 石橋さんは「礒崎陽輔元総理秘書官と、安藤高明局長(平成6年郵政省入省)の証人喚問を求める」としました。

 高市さんは、今月告示の奈良県知事選で、現職(元運輸官僚)の対抗馬として、大臣時代の3人いる事務秘書官のうちの1人(平成9年旧自治省入省、奈良県出身で東大寺学園卒業)を擁立しています。これをめぐって自民党奈良県連が保守分裂となっており、旧総務庁、旧郵政省・テレコム系の関与を疑って、「捏造でなければ議員辞職」という極めて不用意な答弁につながったかもしれません。

 おととしは悪役となってしまった山田元情報流通政策局長ですが、きょうは石橋さんが「放送法の根幹に関わる話だと、本来であれば審議会等をきちんと回した上で行うか、そうでなければ放送法改正となる話ではないのか。どこのメディアもこれで萎縮するであろうと、言論弾圧ではないかと当時の山田秘書官は明言されております。真っ当な問題意識、懸念だと思います」と山田さんを評価し、官邸の圧力を問題視しました。

 岸田さんが最後の最後まで高市さんを守り切るとも思えないため、所管の内閣委員会などが荒れることも予想されます。

 福島みずほさんは「GX電気事業法及び原子力基本法など改正案」(211閣法26号)について問い、「原子炉を60年使う場合は、休止期間があったにしても、劣化するのではないか」と問い、山中伸介原子力規制委員長は「原子炉の劣化は進む」とし、休止期間も劣化は進んでいるとしました。

 石川大我さんは、同日朝「同性婚法案」(211衆法 号)の提出に立ち会ったとし、首相に対してLGBTQ法制と同性婚を認める法制を今国会で結論を出すよう求めました。また、きょう3月6日は、ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった日だとし、収容施設の改善を求めました。

 これに先立ち、自民党の佐藤正久さんは自衛官の処遇改善を求めました。

 国民民主党の川合孝典さんは、「合計特殊出生率と希望出生率の統計などの違いをそろそろ政府は整理すべきだ」と語りました。

 共産党の山添拓さんは「存立危機事態における反撃能力はいつ解除されるのか」と事態認定の想定を問いました。

●天畠さん2度目のテレビ入り
 れいわ新選組は天畠大輔さんが今国会テレビ入り2度目の「あかさたな話法」を披露。優生保護法をめぐる国の敗訴連発をうけて、弁護士が参考人として認められ、平成31年の「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」だけでは不十分だとの認識を強調しました。

●N党、参政党との小競り合いに続き、突然共産党批判
 NHK党では、きょうの審議中にガーシー議員がトルコに着いたとするインスタグラム配信を行いましたが、浜田聡さんはそれに触れませんでした。N党と参政党の小競り合いが新橋街頭演説会などで起きていますが、浜田さんは共産党批判を展開。自・立筆頭理事の協議を受けて、末松信介予算委員長は「あなたに質問権はございます。しかし、政府に対して質疑をする場であることをご認識ください。良識を持ってほしい」とたしなめました。

【衆議院情報監視審査会 同日】
 行政における特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する件を非公開で議論しました。

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岸田文雄さん総裁選公約の「健康危機管理庁」の法案から「重広」法案審議あすスタート

2023年03月06日 16時52分37秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]岸田文雄・自民党総裁兼次期首相=当時、おととし2021年9月、東京都内で、宮崎信行撮影、宏池会と警視庁警護課による取材妨害で不鮮明。

 岸田文雄さんがおととし秋の自民党総裁選で「健康危機管理庁を設ける」と公約しましたが、それを法律に落とし込む「新型インフル特措法及び内閣法改正案」(211閣法6号)があすの衆議院本会議で審議入りすることが分かりました。

 政府は先月7日(火)に国会に提出していました。内閣官房に「内閣感染症危機管理統括庁」を設けたり、都道府県知事の権限を市町村よりも強くしたりする法案。

 首相に対して本会議での登壇と、委員会での一時間強の質疑出席を求める「重要広範議案」となっています。今国会では例年と違い、税制法案の重広指定を見送ったため、重広の審議入りはあすが初めてとなります。あすの本会議の所要時間は2時間程度の見通し。

 先週火曜日に提出された「GX電気事業法及び原子力基本法など改正案」(211閣法26号)も首相入りで審議するため、衆参の内閣委員会が渋滞することが予想されます。

 与党が順風な今国会で、泉健太代表率いる立憲民主党など野党が、きょねんの臨時国会の救済法4党協議のような「修正路線」をとるか、審議未了廃案をめざす「抵抗路線」をとるかは現時点では未定とみられ、内閣委を通した議論の盛り上がりでサミットに前後して様々な展開が予想されます。

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匕首を突きつけられた高市早苗元総務大臣、大臣辞任・議員辞職発言、行政文書の国民的理解も議題に

2023年03月06日 07時48分22秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]末松信介参議院予算委員長、礒崎陽輔元首相補佐官、菅義偉前首相、5年前の平成30年2018年、参議院議院運営委員長室で、宮崎信行撮影。

 このあと8時55分から参議院予算委員会集中審議1本目となります。基本的質疑最終日に突如浮上した「安倍晋三首相と礒崎陽輔補佐官、今井・山田秘書官と総務省のやりとり」をめぐる行政文書で高市早苗大臣が、どういうことか「捏造なら議員辞職する」と語ってしまい、最大の焦点になります。きょうは、NHKの労働組合「日放労」の支援もあった石橋通宏さん(サンクチュアリ・国のかたち研究会・立憲フォーラム3団体の「代貸」)と社民党党首で共同会派「立憲民主・社民」の福島みずほさんが連続してこの件を冒頭に質問します。

 ツイッターを見ていて、とても驚きショックを受けました。行政文書という言葉は、1998年情報公開法と2010年公文書管理法の第2条の定義規定に出てきますが、官報と白書をのぞく文書は基本的に行政文書です。行政文書の無謬性などありません。自民党1期生から課に電話があり「入札価格を教えろ」と脅されたら、メモにして課内で共有し、大臣官房の局の審議官あたりまで上げるのが当然ではないでしょうか。自分たちを守るためです。固有名詞の間違いがあっても構わないし、稟議・決裁印などない方が当然では、これが行政文書という公文書であり、補助金交付の公印入り決定書など見せられても、政策形成プロセスなど何も分かりません。行政文書は民主主義のインフラであり、行政文書は国民共有の財産だとは、まったく日本人の世論に対する効力を有していなかったことに初めて気づきました。政権交代ある政治が必要だという私の30年の持論。実は、2009年総選挙の3300万票という極端なランドスライド(地すべり効果)に気づいた当時からリアルタイムで、私の持論は理解されていないと、私は田舎者の日本人を疎ましく思っていました。今回の有識者を含めた国民の「行政文書」の無理解にはかなり心に深手を負いました。シオノギから特許庁に出した文書が漏洩したら金銭的損失は多大で、被用者のどの立場からも批判されて当然ですが、礒崎さんに圧力をかけられた総務官僚の文書が流出しても、金銭的被害など誰にもありません。なんでこんな簡単なことが理解できないのか。1億人の有権者の1・9億個のめんたまをえぐりだしたいような気さえする怒りです。

 総務大臣や財務省理財局長が情報公開法・公文書管理法の根幹を理解していなかったとは、大変なショックです。

 きょう審議が再開される内容についての、先週金曜日のやりとりはおおむね次の通りです。

 小西洋之さん。
 「私のこの配付資料総務省の職員の方から提供された。2015年にたった一つの放送番組で政治的な公平を判断し、そして最後には放送局の電波も止めることができるというですねこうした解釈それが違法であることを記した文書の配布は認められませんでした」

 「岸田総理、この文書なんですが総務省の職員の方から、こちら受け取るときにこのような言葉をいただいています。私が総務省の行政官である証として、これを小西議員に託したい。私は、放送行政に携わる総務省の職員としてこのような国民を裏切る違法行為を見て見ぬふりをすることはできない。どうかこの資料を使って国民の皆さんの手に放送法取り戻して日本の自由と民主主義を守ってください」

 「当時の礒崎陽介補佐官のこの解釈の改変の目的はTBSのサンデーモーニング、そういった個別の番組が政権批判的な印象を受け取ってるんでしょう。その個別の番組がけしからん。これを違法とできるような、そういう放送法の解釈を作るんだという目的でございます」

 岸田首相。
 「ご指摘の点について、きのう委員も記者会見を開かれたと聞いております。(中略)要は個別の法案の解釈についての経緯でありますので、これは個別の法案を所管する大臣がお答えしなければならないと考えています」

小西さん。
「首相官邸の中において礒崎補佐官と安倍総理がこの解釈を認めてやっているわけです。ですからこれは内閣の責任者である岸田総理の問題で行わなければいけません」

高市早苗経済安全保障担当相(元総務大臣)。
「小西委員がですね、入手された文書の信憑性について私は大いに疑問を持っております」
「もしも私と安倍総理の電話の内容がですねそのような文書に残ってるとしたら、私の電話に盗聴器でもついてるんでしょうか大臣室にもし盗聴器がついてたと思う安倍総理が何をおっしゃったかなんていうのは入らないはずです。全くそれは捏造文書だと私は考えておりますそのような話をしたこともないし特定の番組名を伺ったことすらございません」

「総務省の最高幹部ですね事務次官級や局長そうした複数の幹部に共有されて、その内容、あるいはこの整理の仕方もう超一級の行政文書です。私もこれほど事実、あるいは関係が正確にまとめられた文章はないところなんですね。高市大臣もおそらくこの文書を私がどのような経緯で入手したか、岸田総理はさっきご存じだというふうにおっしゃっていただきましたにもかかわらず、これを捏造の文書だとおっしゃるんであれば、仮にこれが捏造の文書じゃなければ大臣そして議員を辞職することでよろしいですね」
高市国務大臣。
「結構ですよ」。

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