[写真]立憲民主党の近藤昭一さん、きょねん2022年9月、宮崎信行撮影。
【衆議院本会議 きょう令和5年2023年3月16日(木)】
4法案がすべて政府原案のまま全会一致で可決し、参議院に送られました。
「在外公館名称・位置・給与法案」(211閣法4号)
「駐留軍離職者臨時措置法及び国際協定締結に伴う漁業離職者臨時措置法を5年延長する法律案」(211閣法3号)
「戦没者妻に対する特別給付金支給法10年延長法案」(211閣法4号)
「水産加工業施設資金融通臨時措置法5年延長法案」(211閣法5号)。
そして議院運営委員長が登壇。
「議院法制局法改正案」(211衆法 号)が全会一致で可決し参議院に送られました。衆議院法制局の定員を2名増やして「法案審査部」を設けるもの。この「法案」というのは衆法のことで、閣法の粗探しをする仕事は野党職員に任されそうです。
この後、重要広範議案「健康保険法改正案」(211閣法16号)が審議入りしました。出産育児一時金50万円への引き下げとかかりつけ医登録制度の新設。かかりつけ医には日本医師会が反対しているとの見立てもありますが、全面反対だったら自民党政調審議会を通るわけがないので、あっさりとした議論になるかもしれません。きょうも高市早苗大臣も答弁に登壇しました。
【衆議院憲法審査会 同日】
「憲法及び基本法制」3回目は12分遅れで始まりました。新藤義孝さんは「今週から国民投票法についても審議したい」と語りました。立憲民主党の1番目の発言者は毎回変わりますが、きょうは近藤昭一さんが話しました。近藤さんは、前日も原発違憲判決の裁判長を招いた院内集会を開いたばかりの「立憲フォーラム」の代表兼国会議員団長で、旧赤松グループで自治労・日教組関係議員の「サンクチュアリ」の代表もつとめています。立憲党内最左派で、連続当選9回で64歳の重鎮です。
近藤さんは「現行の国民投票法の附則4条は、公平および公正な国民投票が確保されるという憲法上の要請が満たされなくなっていると思います。附則4条の趣旨からは根本的に欠陥が是正され、公平公正が確保されない限り、憲法改正発議はできないと考えます」として、CM規制の強化の必要性を説明しました。近藤さんは「憲法審査会は憲法96条及び附則4条の趣旨にのっとり現行国民投票の重大な欠陥の是正に真摯に取り組まなくてはなりません。憲法改正手続きの重大な欠陥を放置したまま改憲発議することは絶対にあってはならない」と強く語りました。
立憲民主党内で、改憲を絶対阻止する最左派の存在について、党憲法調査会は国会で発言してもらうことによって、それ自体が改憲プロセスの時間稼ぎになると考え、党内がバラバラではなく、まとめる時期を先延ばしする深謀遠慮が働いているとみられます。
【衆議院総務委員会 同日】
おとといに続き、「令和5年度NHK予算承認案」の質疑の2日目(1巡目後半)がなされました。立憲民主党の奥野総一郎さんは、政府参考人として1人だけ認められた総務省情報流通行政局長に質問。共産の宮本岳志さんに対して、行政文書ファイル管理簿に登録がないと答弁しました。採決の結果、共産党反対、自公立維国などの賛成多数で承認すべきだと決まりました。
【衆議院内閣委員会・厚生労働委員会連合審査会 同日】
「新型インフル特措法及び内閣法改正案」(211閣法6号)。
【衆議院災害対策特別委員会 同日】
大臣所信に対する一般質疑。
【参議院第1種常任委員会 同日】
あす予算の委嘱審査があるため、定例日木曜日は財政金融、総務の2つだけ開かれました。●財政金融委員会では「所得税法改正案」(211閣法2号)の合計3日目で維新の浅田均さんから質問。●総務委員会は「地方税法改正案」(211閣法8号)と「地方交付税法改正案」(211閣法9号)が大臣から趣旨説明され、すぐに審議入りしました。こちらでは自治労の岸真紀子さんが質問に立ちましたが、小西・高市文書については特に質問せず「自治労枠」だったようです。
【参議院ODA及び沖縄北方問題特別委員会 同日】
【参議院地方創生・デジタル特別委員会 同日】
【参議院消費者問題特別委員会 同日】
令和5年度予算案の委嘱審査がありました。
●東京電力労組元委員長が復興特別委員会で「私たちはどうすればいいのか」
【参議院東日本大震災復興特別委員会 同日】
令和5年度予算案の委嘱審査で、福島第一原子力発電所爆発事故以降で初当選した参議院議員である国民民主党の竹詰仁さんが質問に立ちました。
竹詰さんは「東日本大震災から12年経ちました。改めて、お亡くなりになられた方への哀悼の誠をささげますとともに、被災された方へ、心よりお願いを申し上げます。私は電力関連産業で働く仲間で組織する労働団体、電力総連の組織内議員でございます。参議院議員になるまでは電力総連の副会長そして東京電力労働組合の代表者でございました。東京電力福島第1原子力発電所の事故により福島県の方々をはじめ多くの方々にご迷惑、ご心配、ご負担をおかけしていることに東京電力労働組合の代表者であったものとして深くお詫び申し上げたいと思います」と語りました。
[画像]頭を下げる竹詰仁参議院議員、きょう2023年3月16日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
竹詰さんは続けて「本特別委員会に参画させていただいたことに感謝申し上げ被災地の復興再生に向けて政治の場でも一生懸命に努めたいと思います。また、福島第1原子力発電所の廃炉を安全に進めるため賠償を丁寧に行うため、除染を着実に進めるため、復興を成し遂げるため、東京電力グループおよび関連企業で働いている仲間の努力や思いを理解しているひとりとして実直に発言をさせていただきたいと思います。私は働く仲間には福島第1原子力発電所の事故の教訓を常に念頭に置き、思いは深く、姿勢は謙虚に目線は前にしっかりと活動することが私達の役割であり、責務であると伝えて参りました。私達の仲間は懸命に取り組んで来ましたし、これからも努力を続けてまいります。ぜひ特別委員会をはじめ国会においても東京電力が福島への責任を果たしていくために現場が進捗するよう現地で働いている者が前を向いて進めるように後押しをしていただければありがたく存じます。渡辺大臣の所信の結びに、福島の復興なくして東北の復興なし東北の復興なくして日本の再生なしと強い決意を伺いました。大臣におかれましては、その決意を貫いていただきたいですし、私自身もその一助になりたいと思っております。福島第1原子力発電所の廃炉。地域の除染を安全かつ着実に進め、避難された方、仕事や事業を失われた方への賠償を真摯かつ確実に行うことで、復興に繋がっていくものと思っております。大臣にお尋ねさせていただきました。震災から12年が経過いたしましたが、福島の復興再生を成し遂げるにあたり、改めて東京電力の責任。東京電力がなすべきことを大臣はどのようにお考えでしょうか?お伺いいたします」と語りました。
再登板となった渡辺博道復興大臣は竹詰さんの姿勢にうたれたのか「委員から、東京電力の責任ということで、冒頭謝罪に近いことがありました」としつつも「賠償、廃炉について東京電力が最後までしっかりと対応していく責任があると認識をしているところであります」とつきはなしました。
竹詰さんは東電について「2011年度には約3万8700人いた社員が2021年度には約2万7700人と1万1000人も減少しております。社員の約7割に減ってしまっています。今後の定年退職予定者と新規採用計画者さを考えるとさらに減少することが見込まれます」と苦境を語りました。そのうえで、政府に「福島の責任を果たせる果たさなければならない東京電力が多額の赤字といえますけども、東京電力の経営状況をどう見ていらっしゃるか見解をお尋ねしたい」と質問しました。経済産業大臣政務官は「ご答弁申し上げます。東京電力の2022年度第3四半期における連結業績としては、ご指摘の通り大幅な赤字となっております」「経常損益が5020億円の赤字、純損益が3170億円の赤字の見通しでありまして東京電力は大変厳しい経営状況にあると認識をしております」と政府から「大変厳しい経営状況」との答弁を得ました。
竹詰さんは「仮に東京電力が経営破綻、あるいは会社分割して今の社員、従業員がいなくなってしまう場合は、廃炉、除染賠償などの福島への責任を果たすために必要なことは誰が見られるのかという不安が生じます」と述べました。
そのうえで竹詰さんは「現在東京電力の株式の約54%を原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有しており、ある意味、国に管理されている会社でございます。国管理されている東京電力の経営状況が厳しい状況であるということでございます。東京電力関係会社の社員、従業員が福島の復興再生に滞りなく取り組めるよう、国会、政治の後押しをお願いして質問を終わらさせていただきます」と述べました。
非拘束名簿式比例代表になってから、電力総連(東京電力・関西電力)は全勝しており、竹詰さんも国民3議席のトップで当選しました。電力総連の組織内地方議員は80名近くいて、すべての産別で最も多いです。例えば、東京電力不動現役正社員兼世田谷区議会議員という人もいて、仲間内からも「年収はいくらなんだろう」「そっちで十分だから元秘書なのに小沢一郎さんに挨拶もしない」と言われる「労働貴族」も中にはいます。東電は長く無配ですが、東電本社の正社員の平均年収は750万円程度はあるようです。
[写真]筆者から原子力発電に関する見解を問われて、お互いに目を合わせない、電力総連・東電組織内の小林正夫参議院議員(当時、昨夏引退)と玉木雄一郎代表、4年前の2019年1月、東京永田町で、宮崎信行撮影。
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