ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「捏造でなければ辞任」の高市早苗大臣窮地「行政文書だと省で確認した」と現総務大臣、宇宙担当相として「H3ロケット打ち上げで国内から衛星の経済安全保障の宇宙先進国になる」と事前原稿修正できず読み上げる

2023年03月07日 17時00分02秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]左を指さす高市早苗さん、きょねん2022年1月12日の共同通信きさらぎ会で、宮崎信行撮影。

 第211回通常国会は53日目。初めて重要広範議案「新型インフル特措法及び内閣法改正案」(211閣法6号)が審議入りしました。衆参の常任委員会のうち「火曜日が定例日だ」とされる委員会の大臣の所信的あいさつが漏れなく開催されました。

 そして、火曜日の定例閣議の後、松本総務大臣が、小西洋之さんが先週金曜日に配布しようとしたペーパー78枚は「行政文書で総務省が所有している」と断定しました。高市早苗大臣は「私に関しての部分は4枚でございますが、作成者が書いてない、日時特定できていない、内容が不正確であるといったことで、私はこれは不正確であると理解しております」と述べ「捏造でなければ議員辞職する」ことを、きょうの段階では実行しませんでした。

 3代目男性2人と争った高市さん。あすは国際女性デー。きょうは本人の誕生日。しかし、宇宙政策担当大臣としては、JAXA・三菱重工の「H3ロケット初号機」が指令爆破され、元総務大臣としても公文書の理解の甘さを露呈。綸言汗のごとしというよりも、これだけ不運が重なるならば、奈良県知事選より前にやめてしまってもいいのではないでしょうか。

【参議院予算委員会 きょう令和5年2023年3月7日(火)】
 「令和5年度予算案」は6日目で、一般質疑の1日目(1巡目の前半)。自民党の山田孝男さんが「コメの生産調整」を取り上げました。国会審議では久しぶりのような気がしました。あすは小西洋之さんが登場します。

【衆議院本会議 同日】
 岸田文雄さんの公約「健康危機管理庁」ですが、「内閣感染症危機管理統括庁」となり設置根拠となる「新型インフル特措法及び内閣法改正案」(211閣法6号)。立憲民主党の中谷一馬さんは「小西文書」を冒頭に持ってきて質問し、岸田首相が答弁しました。

【衆議院財務金融委員会 同日】
 「関税定率法改正案」(211閣法13号)が審議入りし、1巡目与党のみ質疑。次回は、あす午前8時半から。

【衆議院法務委員会 同日】
【衆議院農林水産委員会 同日】
【衆議院国土交通委員会 同日】
【衆議院環境委員会 同日】
【衆議院安全保障委員会 同日】

●衆議院総務委員会は開かれず

 6つの常任委員会で大臣の所信的あいさつと、副大臣らの予算説明がありました。

 安保委で浜田靖一防衛大臣はきょねんの岸大臣と比べると、やはり勇ましくなっています。「昨年12月に決定した」文書は「スタートラインにすぎません」と述べました。副大臣も「防衛生産基盤の強化のため防衛産業の販路の拡大などに向けた抜本的な強化策を推進します。また将来の戦い方に直結している分野に集中的に投資するとともに、他国に先駆け、先進的な能力を実現する」と話しました。また林外相も「拡大抑止を強化する」と核兵器を前提とした外交を強調しました。但し、おとといの読売新聞でリチャード・アーミテージがウクライナ戦争と台湾有事を同列だと主張しましたが、林外相は「台湾海峡の平和と安全も重要です」とし、台湾海峡と日本の南西諸島を区別し、ことさら危機をあおるような表現はありませんでした。

 法務委で斎藤健法相は「我が国に住む外国人との共生社会の実現を進めてまいります」としました。今年度中に第2次再犯防止計画をまとめると示しました。そして「旧統一教会の社会的問題については、法テラスの一元的な相談体制で被害者の実効的な救済に取り組んでまいります」としました。出入国在留管理庁の組織の改革にとりくむことも明言しました。

【参議院第1種常任委員会 同日】
 参議院の第1種常任委員会もすべて同時に開かれ、大臣の所信的あいさつを聞きました。

 内閣委員会では、高市早苗・経済安全保障・宇宙政策担当大臣が登場。ここで「宇宙政策については、現在宇宙システムが経済、社会を支える基盤であり、経済安全保障を含む安全保障の対応からも定着させることの重要」としました。そのうえで、「H3ロケットの打ち上げ能力を抜本的に強化し、必要な衛星を国内から打ち上げていきます。本年夏をめどに宇宙基本計画を改定します」と「原稿」を読みました。この1時間強まえにH3初号機が司令破壊し、衛星も喪失したわけで、少なくとも調査が終わるまでに、宇宙基本計画の改定の議論は止まるでしょう。大臣所信は活字で印刷・製本され、与野党委員に配布されています。しかし、機関決定はなされていないと思います。柔軟に原稿を修正することはできなったのでしょうか。

 総務委員会は松本総務大臣が所信的あいさつをし、杉田水脈前政務官に代わった長谷川淳二衆議院議員が就任あいさつをしました。また、衆議院側の予算審議による開店休業中に行われた委員視察の報告として「神戸市長、淡路市長と懇談した」などと野党議員らが委員長にかわり説明しました。

【衆議院議院運営委員会・理事会 同日】
 さきほど速報しましたが、あさって9日(木)の本会議で、日銀総裁・副総裁(5年)を含んだ国会同意人事を採決することになりました。
 しあさって10日(金)に本会議を開かないことも決まりました。もしよろしければ、全国のセンセイ方も、東京・両国にある「東京都慰霊堂」か、上野駅新幹線ホームまで歩いて15分の「上野公園・時忘れじの塔」を訪れてみてはいかがでしょうか。

 そして、14日(火)「GX経済移行法案」(211閣法12号)の担当大臣に対する立憲・維新2党の代表質問があります。今国会は名前が似た別議案がいくつもありますので、確認してみてください。

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【スクープ】立憲民主党も賛成を決めた「日銀総裁・植田氏案」採決の衆議院本会議はあさって9日(木)午後1時過ぎ「黒田ラスト政策会合」にあわせる立憲は「日銀プロパー内田副総裁案」に反対も決定、

2023年03月07日 16時42分44秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
 日本銀行の総裁・副総裁2名の国会同意人事を採決する衆議院本会議があさって9日(木)午後1時から開かれることが分かりました。

 この中で、植田総裁案は、自民党に加えて、立憲民主党が賛成を正式決定。氷見野副総裁案も同様です。一方、「日銀プロパー」の内田理事の副総裁案は、立憲民主党が反対することを正式決定しました。

 植田、氷見野、内田3氏の就任には、参議院本会議での同意も必要となります。

 日銀は、最高決定機関の「金融政策決定会合」を3月9日(木)と10日(金)に開きます。参議院での正式決定は黒田東彦総裁最後の会合終了と前後した時間帯になります。それを考えると、黒田総裁10年最後の会合での政策変更はなさそう。

 以上です。
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