ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

衆議院で「なぜ安住単独」明かされぬまま鈴木大臣不信任案は否決、参議院「梅村」かなり混乱で波高く

2023年05月18日 18時02分50秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]ちょうど2年前のきょうのNHKニュース7の映像、入管難民法改正案の衆議院での審議中断・廃案が決まり、法務省で上川陽子大臣と会う、ウィシュマ・サンダマリさんの遺族と指宿弁護士。

 岸田文雄首相は政府専用機でサミットに出発。といっても、広島空港で、米大統領も既に入っています。総理不在の衆議院本会議では鈴木財務大臣不信任決議案が否決。参議院法務委員会では入管難民法をめぐって日本維新の会の象徴ともいえる「大阪選挙区トップ当選」梅村みずほさんが混乱し、馬場代表が処分を検討。衆議院法務委員会では性犯罪刑法をめぐって自公立維新協議へ。

【衆議院本会議 きょう令和5年2023年5月18日(木)】
 安住淳さん以外は事前に知らずに立憲民主党が単独で提出した「鈴木俊一財務大臣不信任決議案」が上程されました。言及はありませんでしたが「東北の財務大臣はオレだ」という意地が安住さんにあるはず。東北6県は多様性の宝庫ですが、東海道の均質性があればもっと製造業は盛んだったはず。安住さんを除けば口下手な東北政界も区割り変更で静かに構造変化していきそうです。

 桜井周さんは趣旨弁明で「昨年末に総理が打ち出した防衛費倍増は2015年の集団的自衛権行使容認の安全保障関連法案と併せて、戦後70年の我が国の安全保障政策を転換するものです」とし「法案の名称に、我が国の防衛力の抜本的な強化とあるのに防衛力強化に繋がるかどうか不明だ」とやりこめました。元海自の参考人の意見を紹介し「国土防衛ではなく、組織防衛に走ってしまった」と防衛省も批判しました。

 採決の結果、投票総数451、賛成108、反対343で否決されました。

 「放送法及び電波法改正案」(211閣法40号)は共れ反対、自公立維国賛成多数で可決し、参議院に送られました。
 「遊漁船業の適正化に関する法律の改正案」(211閣法53号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。
 「不正競争防止法、特許法、意匠法などの改正案」(211閣法54号)も全会一致で可決し、参議院に送られました。
 「国立健康危機管理研究機構法案」(211閣法49号)と「その実施のための関係法律整備法案」(211閣法50号)は立共れ反対、自公維国賛成多数で可決し、参議院に送られました。

●参議院外交防衛委員会は外相不在のため開催されませんでした。
●衆議院法務委員会は「性犯罪刑法改正案」(211閣法58号)は自公立維4党協議が始まりました。

【参議院法務委員会】
 「入管難民法改正案」(211閣法48号)と立共れ沖対案「難民等保護法案」(211参法8号)「入管難民法改正案」(211参法9号)は大荒れの審議となりました。
 本会議の質疑でウィシュマさんの「詐病」「ハンガーストライキ」を支援団体から口添えされたとの独自の見解を表明した日本維新の会の梅村みずほさんは、連日のテレビ・インターネットの批判に耐えかねたのか、「私はエホバの証人の2世。母と姉はいまでも信者だ」として、優しい言葉をかける人が良い人とは限らないとの見解を表明。支援団体の在り方を、斎藤健法務大臣が検討すべきだとの支離滅裂な論理を展開しました。大臣は「名古屋局の問題だ」として報告書は名古屋入管の対応を中心にしたものだとしました。偶然ですが、梅村さんは名古屋市出身とプロフィールにあります。国会クラスタでは、精神状態を懸念するつぶやきも出ています。馬場代表はきょうの記者会見で、党として対応することを明言しました。共産党の仁比聡平さんは、自分の質疑の暴騰で、ウィシュマさんの遺族は午前中傍聴していたが、午後は傍聴にたえないのではないかとの弁護士の助言もあって傍聴していないとし、梅村さんへの各方面からの不快感を表明しました。

 野党対案については、れいわ新選組の木村英子さん、沖縄の風の高良鉄美さんも答弁しました。

【衆議院憲法審査会】
 コロナ明けの政治課題が少なく、緊急事態条項挿入の衆参改憲発議による国民投票と衆議院解散総選挙を同日にやるのではないかとの観測も3割程度の確率にすぎませんが、浮上しています。

 4月は「9条」だった改憲与党(自公維国有)ですが、5月は再び緊急事態条項に話は戻っています。その中で、参議院憲法審査会と両輪で「現行憲法における参議院の緊急集会」を議論しています。きょうは参考人質疑。大石・京大教授、長谷部東大教授という現在の権威2名が登場しました。改憲与党とあまりかみ合わなかった印象です。

【衆議院地域・こども・デジタル特別委員会】
 「デジタル社会形成基本法改正案」(211閣法47号)でフロッピーディスクで提出できた届出をオンラインでできるようにする内容。「デジタル臨調」が政策過程をリードしていくことになります。

【参議院国土交通委員会】
 「道路整備特別措置法改正案」(211閣法18号)が審議入り。天下り問題も議論されます。

【厚生労働委員会】
 「水道行政の厚生労働・環境省移管法案」(211閣法45号)が賛成多数で可決すべきだと決まりました。たいていの場合、川田龍平さんが附帯決議案を朗読する慣習となっていますが、川田さんは水道に詳しいようです。

【経済産業委員会】
 「GX電源法案」(211閣法26号)を審議。連合審査会のてはずも整えました。

【農林水産委員会】
 「漁港漁場整備法及び水産業協同組合法改正案」(211閣法52号)を可決すべきだと決めました。

【衆議院議案課】
 与党と、野党が、LGBT差別解消法・理解増進法の法案を各々提出しました。

このエントリーの本文記事は以上です。
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梅村みずほ「私はエホバの証人の宗教2世」「ウィシュマさんの支援団体正しいのか」など乱れた審議で、参議院法務委員会が維新・鈴木宗男さんの質疑中に、暫時休憩に

2023年05月18日 15時50分00秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]法務省前の曲がって見える白線、3年前の夏、宮崎信行撮影。

 参議院法務委員会は午後3時40分頃、暫時休憩となりました。
[追記 15:52]が、午後3時51分頃、再開しました。[追記おわり]
 
 ちょうど2年前のきょうは、上川陽子法相・森山裕国対委員長が衆議院での「入管難民法改正案」の成立を断念した日になります。

 「入管難民法改正案」の質疑で、日本維新の会の割当時間を梅村みずほさんと鈴木宗男さんが折半。鈴木さんが外国籍の人物の所在について、出入国管理庁次長が個人情報だから明かせないというやりとりが行わており、これが原因だったかもしれません。

 しかし、この委員会は異常な状態になっていました。梅村みずほさんが午前中はウィシュマさんのご遺族が傍聴していたが、自分の時間にはいないなどと指摘。そのうえで、梅村さんは、自らの母親と姉が現在もエホバの証人の信者であり、優しい声をかけてきた人物らによって、小学校5年生のころに家庭が崩壊したという趣旨の打ち明け話を展開。これについて法務省の見解を問いました。

 そのうえで、入管庁の名古屋局の対応をめぐり、ウィシュマさんが「詐病」「ハンガーストライキ」などをするよう支援団体から促されていたことが否定できないと主張。

 話の展開として、エホバの証人の優しい声をかけてくた人物と、難民申請や入管収容者の支援団体とを重ね合わせているということのようです。梅村さんは憲法の院外で責任を問われない免責特権があるからタブーに切り込んでいるなどと独自の主張を展開。「支援団体の在り方」を問う質問に斎藤法相は正面から答えず、関心を持っていただきありがたいという趣旨の答弁で終わりました。この後の鈴木宗男さんの質疑でもたびたび罵声が飛び交う展開となりました。このため暫時休憩となりました。

 今国会の法案審査で、野党・維新の時間帯に審議が中断して休憩になったのは初めてと思われます。

 以上です。
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岡田克也幹事長、解散は「党としては、この国会の会期中に解散があっても十分対応できるように準備を進めている」

2023年05月18日 11時56分16秒 | 新・立憲民主党2020年9月15日結党
[写真]岡田克也後援会事務所(三重3区総支部)を初めて訪れた筆者、元信用金庫支店を改装した堅ろうな建物で、大看板を立てて選挙事務所としても使われる、きょねん5月21日、三重県川越町で、宮崎信行撮影。

 立憲民主党の岡田克也幹事長はおととい2023年5月16日(火)の記者会見で「解散を決めるのは総理大臣です。ですから、我々にはわかりません。ただ、いろいろな状況から見て、解散があっても不思議ではない状況ですから、党としては、この国会の会期中に解散があっても十分対応できるように準備を進めているということです」と語りました。

 筆者が、同党の20年以上連続当選している衆議院議員の事務所で、今週末の広島サミット後から6月21日の会期末までに解散がありそうだから「今月から選挙事務所を借りたい」とする地元事務所と、「解散しそうな雰囲気はない」とする会館事務所が電話で口論になり、「だったら自費で借りろ」と身内の必死さゆえの見解の相違が多発しているとの取材内容を念頭に質問したことに答えたものです。

 以上です。
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