【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

政府が辺野古新基地を代執行で大浦湾に石投入して着工も普天間基地返還の道筋見えぬ泥沼化へ「永遠の代替施設」か

2024年01月10日 20時56分49秒 | その他
[写真]玉城デニー知事、7年前の2017年6月、国会内で、宮崎信行撮影。

 政府は、アメリカ海兵隊辺野古新基地建設の行政不服審判や最高裁判所の手続きが整ったと判断し、きょう、沖縄本島・名護市辺野古(東海岸・大浦湾)沖に、土砂を投入して地盤造成を強引に始めました。完成には十数年かかる見通し。そして、橋本緊縮内閣で米大使離任間近のモンデール元副大統領と官邸で共同会見したSACO合意による、アメリカ海兵隊「普天間飛行場(普天間基地)」(宜野湾市)の返還の確約はありません。普天間は沖縄本島の「ボトルネック」に位置し、返還後に公道を拡幅を含めた再開発が期待されますが、辺野古新基地が永遠の代替施設として両立してしまうことも予想され、きわめて大きな転機を迎えました。

 報道によると、玉城デニー知事は「工事の着手が強行されたことはていねいな説明とは到底真逆の極めて乱暴で粗雑な対応がなされたものと申し上げざるを得ません。予定の期間で工事を終えられるかどうかも明らかではない。畳みかけるように工事を進めあきらめ感を醸し出そうという考えは間違っている」と政府をなじりました。

 立憲民主党沖縄協議会座長の福山哲郎元外務副大臣は、「政府は県の設計変更手続きを代執行するかたちで、埋め立てに着手しました。県が上告手続きを行っているにもかかわらず埋め立て工事を強行することは、県民の民意を踏みにじるもので、工事の即刻中止を求める」などとしたコメントを発表しました。

 立憲民主党では、民主党政権でやり直したいテーマとして菅直人さんが「脱原発エネルギー」、野田佳彦さんが「消費税増税」の動きを十年以上続けています。

 その一方、「最低でも県外」に奔走した、岡田克也、玄葉光一郎、福山哲郎の正副外相経験者らは、この政策でストップしました。2番目に大きな党なのに、沖縄県連の所属地方議員がゼロになったからです。が、現在では15人に回復。

 このため、きょねん2022年3月29日に「沖縄協議会」を立ち上げ、喜友名智子(きゆな智子)県議らが上京し、リモート会議システム「ズーム」と混合して本部と県連の協議会がようやく再開しました。


[写真]きょねん2023年3月29日に開かれた「沖縄協議会」第1回会合にのぞむ福山哲郎さん、岡田克也さんら国会議員と、喜友名智子(きゆな智子)県議ら県連メンバー、衆議院第一議員会館で、宮崎信行撮影。

 長年、戦闘とは縁がない印象だった、八重山諸島の石垣島・石垣市にも陸自が駐屯。国境の警戒としては必要な実力と考えられますが、「台湾有事」という定義がよくわからない言葉が自民党議員やジャパン・ハンドラーズから頻出し煽られています。

 首相は3月に「国賓訪米」する予定で調整中。次の総選挙はことしと考えられることから、沖縄県内や国民の世論は流動的なようすとなってきました。


[写真]辺野古を訪れた筆者、16年前の1998年5月。

以上です。

意味深、木原誠二さんが実務者に、首相最側近で玉木雄一郎国民民主党代表と大蔵省同期「トリガー条項凍結解除」の自公国3党実務者協議で

2024年01月10日 10時37分47秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]木原誠二さん、3年前の2021年9月、宮崎信行撮影。

 自公国3党の「原油価格高騰・トリガー条項に関する実務者協議」の実務者として、首相最側近の幹事長代理、木原誠二さんが起用されることが分かりました。

 取材しておきながら書くのが遅くなりましたが、きょねん12月28日(木)に自公国3党の政調会長が会談。渡海紀三朗新政調会長は「年を越す前に新任の挨拶をしたかった」と語りました。記者団の取材に「3党協議も開催する」と語りました。「日程は」との問いに「決まっていない」と答えて、記者団から、たなざらしか、という空気が広がったように私は感じましたが、渡海さんは察したのか「年明け早々にやります」と明言。あさって1月12日(金)早朝に第1回実務者協議が始まることになりました。

【追記 11:15】

[写真]渡海新政調会長と初顔合わせをした、大塚耕平・国民、高木陽介・公明ら自公国3党政調会長、きょねん12月28日、国会内で、宮崎信行撮影。【追記終わり】

 自民党の実務者は、木原さんに加えて、片山さつき元地方創生大臣の2人で、ともに大蔵省出身。公明党は杉久武、国民民主党は磯崎哲史両参院議員の合計4名となりました。

 揮発油税法のガソリン高騰時に1リットル25円値下げするトリガー条項の凍結を解除する法改正を、玉木雄一郎代表はおととし夏の参院選前から言っています。きょねん3月にも自公国党首会談を開いていますが、いまだに実現していません。

 再開した実務者協議に、玉木代表と大蔵省同期で個人的にも親しいとされる、首相最側近の木原さんを起用するのは非常に興味深いところ。

 もちろん政策としては財務省は認めたくないでしょうから、協議の見通しはつきませんが、岸田文雄首相と木原さんが、玉木代表に対してはしごを外した決定的な恥をかかせるわけにはいかない。これだけは読み取れそうです。

 郷里と大蔵省の大先輩、大平正芳首相を尊敬する玉木代表は大平さんの「楕円の論理」を重視。玉木代表が自分の党の磯崎実務者だけでなく、木原さんも巻き込んだ「楕円の発信力」に期待したいところです。

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【追記あり】陸幕副長(坂本雄一陸将の一つ前の第八師団長)靖国神社を公用車で参拝「しんぶん赤旗」写真付きスクープに「私的(参拝)ですけど」「毎年ですけど」

2024年01月10日 07時35分54秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]靖国神社から出てきた小林弘樹陸上幕僚副長、きのう令和6年2024年1月9日、しんぶん赤旗のきょう付け紙面を著作権法41条にかんがみて拝借し最近の空気を読んで一部モザイク加工。

 日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」はきょう(2024年1月10日)の紙面で、陸上自衛隊で統幕幹部をのぞいてナンバー2にあたる陸上幕僚副長の小林弘樹陸将がきのう9日、休暇を取得して防衛省所有車のミニバンで靖国神社にあらわれ、神職に先導されて本殿に入り参拝したと報じました。赤旗の直撃を受けた小林陸将は「毎年やっていますけれど、私的です」と答えたとしました。

【追記 9:52】小林弘樹陸将は、きょねん3月29日まで第八師団長。バトンタッチした坂本雄一陸将は4月20日に殉職しました。【追記終わり】

 防衛省・自衛隊はきょねん財務省などとともに「防衛財源確保法」「防衛基盤強化法」の成立にこぎつけました。ことしの国会でこのような大型法案を審議する見通しはありません。が、三宅伸吾防衛大臣政務官の「ここに来るとみんな人魚になるんだよ」とのセクハラ疑惑は払しょくはされていません。岸田文雄首相が3月に国賓として訪米をする日程が調整されており「防衛増税」への世論に影響することも考えられます。

 明治維新の官軍をまつり広大な土地を持つ靖国神社(宗教法人靖国神社)には、展示施設「遊就館」によると日露戦争の英雄・広瀬武夫さんのほか、A級戦犯の東条英機元首相らも合祀。これに、昭和天皇が激怒し、上皇陛下が改築に立ち会ったほかは、今上天皇も明治神宮(宗教法人明治神宮が経営)を参拝(親拝)しており、靖国神社を一度たりとも参拝していません。この事実は「遊就館」が展示で認めています。また、太平洋戦争に従軍した現在およそ100歳になる軍事恩給受給者も、組織的な参拝はしておらず団体も解散しました。

 最高裁判所は憲法20条「政教分離」は「国家と宗教の分離を制度として保障することで、間接的に国民の信教の自由を保障するものだ」としています。自衛官は新規採用時に、現在どの宗教を信じて、万に一つ靖国神社にまつられることを希望するかどうかのアンケートを受けているかと思います。その両面から言って、集団的自衛権・平和安全法制により活動が広がった今日、陸将が私的参拝をすることは、不安を与える可能性が高いともいえます。防衛大学校に法学部がないことの弊害が指摘され、法学部卒の内局が補っているのが実質だとされていますが、陸将が休暇を取って私的参拝することは、そもそも内局は把握していなかったと推測されます。

[写真]木原稔防衛大臣、きょねん2023年6月、衆議院第二議員会館内で宮崎信行撮影。

[写真]「遺族」の立場で昇殿参拝するため第二鳥居をくぐろうとする筆者、今から12年前の2012年12月15日。



[写真]靖国神社から出てきた小林弘樹陸上幕僚副長、きのう2024年1月9日、しんぶん赤旗のきょう付け紙面を著作権法41条の提供で拝借し最近の空気を読んで一部モザイク加工。

 おりしも、今月1日の能登半島・奥能登大震災で、災害出動中で、正月返上となった陸上自衛官も多いです。陸将の行動に、自衛官が内心でその本意を訝る空気が出てくるかもしれません。

 その一方、予備自衛官から能登にすすんで行きたいとの声が上がったり、いわゆる習志野空挺団の降下訓練始めは予定通り実施されたり、陸自をめぐる明るいニュースもあります。

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