【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

施政方針演説「自民党政治刷新本部」と「賃上げモメンタム」に言及

2024年01月30日 20時07分41秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
 衆参とも、施政方針など政府4演説だけでした。昨秋の臨時国会で所信表明演説のことを施政方針演説と誤ってインターネットで発信するジャーナリストがいますが、信用しないようにしましょう。「新・国会事典」をみると、通常国会だけ施政方針と呼ぶことに根拠はないようです。「國会議員要覧」と「新・国会事典」は国会クラスタ、ジャーナリスト、カメラクルーは必ず買いましょう。定価だと7251円をポケットマネーで買いましょう。「新・国会事典」は第3版でなく第2版を中古で買えば安いかもしれません。「國会議員要覧」は第26回参院選後の直近1年半のものに限ります。こういうことを書くと、貧乏な読者から面倒くさい反応をされるのが、無料のインターネットニュースですが、最初に言っておきます。

【衆議院本会議 きょう令和6年2024年1月30日(火)】
【参議院本会議 同日】

 政府4演説だけが議題でした。

 岸田文雄首相の演説のポイントは2本。

 政権再交代後、10年以上「自民党総裁でなく首相として答弁しているから憲法改正は答弁しない」と言い続けてきた安倍・スガ・岸田政権ですが、「自民党総裁として極めて遺憾であり、心からお詫び申し上げます」と述べ「政治刷新本部において集中的な議論を行いました」と党内の組織に触れました。そのうえで「中間とりまとめにおいては、運用面での改革を先行して進めつつ、制度面での改革については、各党各会派との真摯な協議を経て、政治資金規正法改正など法整備を実施していくとしています」と演説しました。

 賃上げは「昨年は、30年ぶりの高い賃上げ水準となり、最低賃金も過去最大の上げ幅となりました」と述べ「政労使の意見交換において、昨年を上回る賃上げを強く呼びかけ、春季労使交渉ではそれに呼応する動きが広がっています。政府としてもこのモメンタムを保っていくべく全力を挙げます」「春からの賃上げに加えて、6月からは一人4万円の所得税・住民税減税を行」うとし「賃金が上がり、可処分所得が増えるという状況を、確実に作り、国民の実感を積み重ねることで、長年続いてきた縮み志向の意識ではなく、賃金が上がることが当たり前だ、という前向きな意識を社会全体に定着させてまいります」と述べました。

 ところで、筆者から付け加えると、「モメンタム」はアメリカンフットボールでよく使われる言葉で、時の運とも翻訳されます。例えば、モメンタムがこちらのチームに来ているから、遠投の受け渡しが得意なチームだけど、ショートパスを小刻みに続けることでモメンタムを敵にとられずにタッチダウン得点しようというニュアンスの言葉です。行動制限撤廃後の8カ月間、東京23区経済は選ばなければ必ず仕事がある状況。賃上げがなかった零細企業正社員も、来月の月収の不安がないから物価高騰の生活防衛はしていないという人が多いようです。実質賃金がマイナスで推移しても、6月に前後して支持率が回復することが予想されます。

 外交演説は上川陽子外相、財政演説は鈴木俊一財務大臣、経済演説は新藤義孝内閣府特命担当大臣(経済財政政策)が行いました。

【衆議院の国会のデジタル化に向けた検討会 同日】
 きょねん末に、遠藤敬・議運理事兼維新国対委員長から提案があった検討会の第1回会合がありました。議運の小委員会とは違います。参考人のオンライン出席、委員室へのモニター設置など。合意があれば、その都度、議運に上がるたちになりそうです。

【野党国対委員長会談 同日】
 立憲の「第二控室」で開催。立憲(社民と共同会派)、維新(教育無償化を実現する会と共同会派)、共産、国民(7議席に激減)の4党が一堂に会する「連絡協議会」が開かれました。自民党が「裏金議員リスト」を出さないと、令和6年度予算案の基本的質疑に応じられないとしました。

【与野党国対委員長会談 同日】
 安住委員長が浜田委員長に伝えたところ、総裁に確認しますとのことになりました。

●明日の予定
 代表質問1日目は、泉健太代表、自民議員、現行・長崎3区の山田勝彦さん。

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