【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

元・参秘書協事務局長の熊谷裕人さん(枝野側近)「岸田首相は岸田派会計責任者を訴えるか」個人受領寄付は所得税法違反で税務調査対象に、政界初局面か

2024年01月29日 15時45分52秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
 変則日程で、衆参予算委で「政治資金等集中審議」をやり、あす火曜日が政府4演説となります。

 派閥からの還流分と党からの政策活動費は雑所得だとして国税庁が所得税法違反で税務調査すべきだとの潮流が「岸田鈴木コンビ」と立憲民主党の双方から上がり流れができました。日本政界で初の局面だと考えられます。

 元参議院秘書協議会事務局長で、さいたま市議を経て、参議院議員となった立憲民主党の熊谷裕人さんは「岸田派会計責任者を背任容疑で訴えるのか」とし、疑いのある議員が手を上げさせたり、派閥の解散日を事前に示したりしないと、五月雨式の訂正が続くのではないかと、自民党議員秘書にも配慮した質問をしました。熊谷さんは、26年前に、私が担当していた政党所属議員の政策担当秘書で目立つ存在でした。そのときは枝野幸男議員は違う党でした。その後、どうされたのかなと思っていたら、もともと大宮区の生まれでさいたま市議を経て、5年前に参議院議員に。前回衆院選の枝野代表のマイク納めは大宮駅前という大将としてはぶかっこうなかたち。テレビ埼玉記者からもぶら下がりで突っ込まれました。熊谷参議院議員が枝野選対本部長として代表が到着するまで場を温めていて、枝野さんも3学年年上の熊谷さんを信頼しているさまがみてとれました。

 リクルート事件は、竹下登首相の青木伊平秘書の怪死で幕を下ろしましたが、今回も自民党内で死人が出そうです。

 岡田克也幹事長が「たたかう」と柱を建てた政党から幹事長個人への政策活動費の廃止。藤田文武・日本維新の会幹事長(当選2回)が立憲のヤジに反応して「馬場さんやってないからね、いらんこと言うなよ、ええかげんにせいよ」と感情をむき出しにした場面もありました。

[写真]維新本部を取材する筆者、大阪市中央区で。

【衆議院予算委員会 きょう令和6年2024年1月29日(月)】 
 まず岸田総理の発言3分間。「自民党の政策集団の政治資金を巡る一連の問題で、国民の皆様方の信頼を損ねる大変深刻な事態を招いていることについて、まずもって自由民主党総裁として、心よりお詫びを申し上げます。またこの問題に関連して、昨年、臨時国会閉会後の12月14日、閣僚4名、副大臣5名、大臣政務官1名から職を辞したい」「私自身を本部長とする総裁直属の政治刷新本部を立ち上げ集中的な議論を経て、先般、信頼回復の第一歩として、中間取りまとめを行ったところです」としました。
 法制については「まず、自民党として運用面でできるところからとりくむ」と答弁しました。政策調査費をめぐる藤田幹事長の発言について首相の答弁は「政策活動費については、これは政党等の政治活動の自由に関わる問題。これをどう使ったかについては全議員共通のルールに基づいて明らかにすべき」と前向きな答弁をしました。党から議員個人への寄付の話で、岸田さんは幹事長の経験がないから前向きなのかもしれません。

 松本剛明総務大臣は「もらい事故にあたっちゃった」というような表情だったように感じます。小泉龍司法務大臣は野党から地位に関する質問は受けませんでした。

【参議院予算委員会 同日】
 桜井充委員長が、総理陪席のもとで就任あいさつし「政府は簡潔、明確に答弁して」と付け加えました。
 異例に思えますが、自民党のトップバッターは前の官房副長官の磯崎仁彦さんで「自民党としてはしっかり説明責任を果たすべきだ」と総理をかばいました。これも余談になりますが、今世紀初頭から使われる「説明責任」は英語でアカウンタビリティーで、直訳すると「会計する能力」という意味なので、あまり説明責任を裏方に続けさせると、第50回衆院選に前後して死人が出るかもしれません。

 元選挙部政治資金課の小西洋之さんは、二階派の収支報告書の訂正で、中抜きの日付が分からない(「令和4年不明」)としている例があると指摘しました。分からないのは、派閥から政治団体ではなく個人に現金で渡したからではないかと「説明責任」をうながしました。


[画像]「令和4年不明」などと18日付で修正された二階派の政治資金収支報告書、総務省ウェブサイトからスクリーンショット。

 熊谷さんは秘書団をかばいました。熊谷さんは「どの議員が関わったのかは、総理から自己申告しろと言えば済むんじゃないでしょうか。すぐにでも、修正する前でも構わないので、自分が関わったという議員をまず手を挙げさせて、そして1人ずつ聞き取りをしていく。なかなか言い出せない議員が出てくるんではないのか」と首相の判断を求めました。そのうえで、熊谷さんは「いつまでに実態を解明するか、総理は期限を切っていつまでやるつもりでいるか」と問いました。首相は「先ほど申し上げたように、検察の捜査を受けて、政治資金収支報告書の修正がこれまでも行われてきましたが、これからも続いていきます。それを確認する」。その後に、「政治的な責任についても、党としてしっかりと実態把握に努めていく」とし、修正の後に判断すると述べました。

 鈴木財務大臣は、政党から個人への政策活動費と、派閥から個人への寄付は「個人所得なら雑所得なので、課税対象で税務調査の対象になる」と答弁しました。


[写真]第49回衆院選のマイク納めを地元選挙区でやるぶかっこうな形となった枝野幸男・立憲民主党代表(当時)だが、熊谷裕人選対本部長(左、参議院議員)はかなり信頼されている印象だった、3年前の2021年10月30日、埼玉・大宮駅で、宮崎信行撮影。

 衆議院では二階俊博さん、参議院では世耕弘成さんの参考人招致が求められました。和歌山コンビですが、和歌山県も過疎化で、山口、広島両県同様に、第50回衆院選での定数1減が決まっています。

●あすは政府4演説。残り6日間の京都市長選で、自公立新人と、共産党が単独で「支援」する新人の当欄線上のつばぜり合いが注目されます。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2024年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。