宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

小宮山洋子・厚生労働副大臣が答弁 

2010年10月14日 13時18分10秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
(このエントリーの初投稿日時は2010年10月14日 午後1時)
連日、国会審議が続いていますので、エントリーの投稿順は前後します。後から、エントリー日時を調整します。

【参院予算委員会 2010年10月14日】

 参院予算委員会は、前田武志さんが委員長となり、きょうから質疑が始まっています。

 自民党の林芳正元経財相の質問に対して、菅改造内閣で、厚生労働副大臣に就任した小宮山洋子さんが答弁。子ども手当の制度設計者の一人として、子ども手当の本来の狙いは「控除から手当へ」の税制改正だという本質を改めて強調しました。この辺は、誤解している方の方が多いですから、改めてマニフェストの原点を確認して頂きたいと思います。

 この基本的考え方を具現化した政策なので、所得制限は絶対にあり得ないとの見解を政府として重ねて示し、子への扶養控除の廃止に加えて、ゆくゆくは配偶者控除の廃止で財源をつくっていき、社会全体で子育てをする環境を整えたいとの考えを示しました。子ども手当の恒久法案提出に意欲を示しました。

 小宮山さんはNHKアナウンサーから、同局史上初めて、NHK解説委員に昇進。現在の道傳愛子さんの先輩になります。メリハリが必要なテレビ育ちゆえか、「圧倒的に」という言葉が口癖なのですが、不安と先行き不透明感が支配する2010年、その笑顔が与える安定感のために、「圧倒的に」は心の中にとどめていただき、歳出に占める比重が圧倒的になった厚生行政のスポークスマンとして重責を果たしてほしいと思います。
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幹事長の岡田克也さんが民主党金庫を掌握のもよう 菅代表「岡田さんに任せた」

2010年10月12日 14時04分01秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

【衆院予算委員会 平成22年(2010年)10月12日(火)】

 谷垣執行部の9月の党役員人事で、新しく自民党幹事長になった石原伸晃さんが登場し、小沢問題をはじめ「政治とカネ」の問題は民主党議員に集中していると攻めました。

 これに対して、内閣総理大臣である民主党代表の菅直人さんは、「民主党代表選でも、先日の所信表明でもクリーンな政治を約束しました」と述べました。

 党代表選の政見では、「クリーンでオープンな民主党の原点へ」との見出しで、「民主党らしい、クリーンでオープンな党運営を行います」、「カネのかからないクリーンな政治の実現」を党内に公約しました。今臨時国会初日の所信表明でも「カネのかからないクリーンな政治の実現。国民の強い要望です。私自身の政治活動の原点です」と党内外に語りかけました。

 菅総理(代表)は、「岡田(克也)さんに幹事長になってもらい、党の中をクリーンで透明にしてもらっている」と答弁し、党金庫を岡田さんに任せており、それが「クリーンでオープンな民主党」の公約実現の一歩につながるとの理解を求めました。

 これまで、党代表者である菅さんが、幹事長として党本部の留守居役となる岡田さんに、党財政に関してどのような指示を出したかは、私が記憶する限り、公になっていなかったと思います。岡田さんの幹事長就任が今回で3度目であることは有名ですが、実は2回目の幹事長の際には党金庫を掌握できていなかった可能性が高いと指摘されています。1回目は菅直人代表-岡田克也幹事長でコンビを組んでおり、2004年の年金国会を立派に戦いましたが、つまらぬこと(未納3兄弟)で菅さんは代表を去り、岡田代表が緊急リリーフをして、第20回参院選で、結党以来初めての改選第1党に躍進し、自民党は49年目にして初めて改選第2党に転落しました。 このときはいいのですが、2度目の幹事長は、昨年5月~9月という短い期間でしたが、「第45回衆院選で政権交代を実現した」という最高の結果を残しました。しかし、この4ヶ月間、鳩山由紀夫代表、岡田克也幹事長は、党金庫を掌握できず、党本部内をうろうろしている小沢一郎・選挙専従代表代行が金庫を握り続けていたとされています。

 向こう2年間の安定した権力基盤を確立している今回の菅民主党は、幹事長が党金庫を握るという本来あるべき姿に戻ったもようです。岡田さんは家業が日本最大の小売業「イオン」ですから、仮にお金儲けをしたければ政治家ではなく、通産省をちょうどいい塩梅の頃に退職して、家業に転じていたはずで、選挙に出てくるわけがありません。東京の事務所は国会議員会館1カ所だけ、三重にも川越町の1カ所の事務所でコンパクトに回しています。党財政を預けるには最適任者です。

 一方、菅さんもせっかく代表になったのに、なぜ党財政をいくら信用しているとはいえ他人に任せちゃうかと言うと、これは、菅さんは首相公邸にしろ、武蔵野にしろ、借家住まいですから、失う物が少ないからでしょう。だから、総理在任中は、首相官邸・公邸、国会議事堂の中でがんばって、党本部は岡田さんに任せっきりにしちゃった方が、気楽だし、政権も安定するでしょう。つまり、カネはないけど弁は立つ菅直人さんは「クリーンでオープンな熟議の政治」に最適な政治家だといえます。何事もほどほどがカンジンです。お金も不動産も、生活に困らない+アルファだけある状態がイチバン幸せです。いろいろと溜め込むと高血圧になり、突然死するリスクが高まりますからね。

 私たち国民も、少なくとも戦後生まれの人ならばたいてい「ことし2010年がイチバンカネがない!」という人が多いでしょうが、「カネがなくても勇気を持って前に進む植木等さん」のような菅さんと岡田さんの背中を押していきましょう。

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民主党政調会長代理が党と内閣をつなぐ 城島光力さんが衆院予算委で質問

2010年10月12日 09時38分18秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
【衆院予算委員会 2010年10月12日】

 連休明けの臨時国会は衆参で予算委員会が開かれます。

 民主党はトップバッターとして、城島光力さんが質問。城島さんは政調会長代理です。ご存じのように、民主党は党と内閣の一元化のために、党政調会長の玄葉光一郎さんが国家戦略大臣として入閣しています。内閣の決定には、玄葉政調会長のサインが必要となります。きょうの質疑で面白いなと感じたのは、玄葉さんは答弁席にいますので、質問者席には城島さんが立って、党と内閣をつないでいることです。

 城島さんはまずは、週末のG7について野田佳彦財務大臣に質問。その後、先週8日(金)に閣議決定した、追加経済対策について、「(民主党政調におかれた)直嶋正行前経産大臣が座長を務めたプロジェクトチームの案を政府(の追加経済対策の中身)には十分に受け止めていただいた(と評価している)」として、政調と内閣が心を一つにした経済対策がつくれたと、予算委を使って確認しました。

 民主党代表で総理大臣の菅直人さんは、「代表選を経た内閣と党の改造で、(過去1年間で)政務三役を経験した人に党の役職に、党の役職を経験した人に政務三役に就いてもらった」ことで、「党と内閣が一体化して政策を進める体制をつくることができた」と自賛しました。その上で、先週の代表質問の感想として、「野党には真正面から政策論争に入って欲しい」と注文を付けました。

 政策も大事ですが、民主党は統治のしくみをしっかりとつくることが先決です。この1年間の民主党政権は、細かい政策で前のめりしていました。大所高所から俯瞰する民主党政調の役割は重要です。

 ただ、追加経済対策を肉付けした補正予算案はまだ国会に提出されていません。ですから、きょうの予算委員会も「平成22年度予算の執行・実施に関する調査」です。ときどき、予算委員会で外交や安保の質疑をしていることを「おかしい」という人がいますが、予算の執行ですから、国政全般について質問することができます。ただ、第175臨時国会、第176臨時国会とも衆参予算委員会はこの「予算の実施に関する調査」で、補正予算案など具体的な議案がかかっていません。野党は露出が増えてうれしいでしょうが、政権の具体的な実績にはなりませんから、時間を空費している印象は否めません。

 質疑は現在も続いています。
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岡田vs小沢、“天命”の最終戦がスタート 新進党解党から13年

2010年10月11日 21時52分25秒 | 岡田克也、旅の途中

 民主党代表で総理の菅直人さんから、「小沢問題」の対応を100%委任された幹事長の岡田克也さんは12日の党役員会から話し合いをスタートします。「国会議員が検察審査会により強制起訴される(予定)」というのは日本憲政史上初めてのケースで、民主党に限らず、他党も含めた先例になりますので、ていねいに、国民が納得いく対応を求められます。また国会開会中ですので、他党の動きや、同日告示される衆院補選(北海道5区)の状況もみながらも、安定した判断をしなければなりません。岡田さんにしかできない芸当です。

 岡田さんは3度目の幹事長就任について、「これも天命なのかな」と述べました。やはりそうだったようです。

 岡田克也さんは小沢幹事長が陣頭指揮をとった1990年の第39回衆院選で初当選しました。二世議員でない岡田さんが自民党公認を得られたのは、山本幸雄・代議士(元自治大臣)の後継者だったからですが、経世会の竹下登元首相が早大商学部の後輩である、岡田卓也さんに息子を出すよう働きかけたともいわれています。そして、小沢一郎さんは岡田夫妻の媒酌人であり、そして岡田さんの“政治の父”です。そして、ともに羽田派(改革フォーラム21)結成、自民党離党、新生党結成と、濃すぎる1期生時代を経て、細川・羽田内閣では各党若手のまとめ役(いしずえ会事務局長)、新進党結党では、準備委員会の主要メンバーを務めました。

 しかし、1995年の党首選で、岡田さんが羽田孜陣営に加わり、小沢陣営によりフェアでない党首選に憤慨しました。そして、1997年の党首選では、鹿野道彦陣営に加わり、大健闘しましたが、あわや党首の座から転落しかけ肝を冷やした小沢一郎党首の結論は「新進党解党」でした。岡田克也さんと中田宏さんは最後までに対抗し、両院議員総会では「新進党と書いてくださった有権者に対する裏切りだ」と抵抗しました。実はこの姿を、今でも多くの公明党議員の目に焼き付いているようです。ここで小沢氏とたもとを分かち、「新党・国民の声」(鹿野さん、石井一さん、岡田さん)の救命ボートに乗り、先行離党していた太陽党(羽田孜さん、北澤俊美さん)と合流。細川護煕さんも加わり「民政党」を結党し、第2次民主党の政調会長代理になりました。

 歴史にもしたらは禁物ですが、1997年11月には山一証券自主廃業・北海道拓殖銀行破綻と金融不安が相次ぎました。またこの不況は、結果論ですがグラフを見ると、消費税を5%に引き上げたことが発端となっています。橋本内閣・自民党の処理は上手かったのですが、その8ヶ月後の参院選で自民党は地滑り的大惨敗します。ですから、12月に新進党を解党していなければ、新進党は政権に大きく近づけていたことになります。

 小沢一郎(氏)による新進党解党は歴史への大罪であり、失われた10年の発端だったことは間違いありません。

 1990年代、多くの日本国民はバブルは弾けたものの、給料は右肩上がりで上がり続けると信じていました。そして政治に対して無関心と侮蔑と「触らぬ神にたたり無し」との態度を決め込んでいました。しかし、欧米先進国と同様の政権交代可能な二大政党デモクラシーの導入が2009年まで遅れたことで、日本は一等国から転落し、国民には住宅ローン債務と残業だけが残りました。

 私たちは私たちを越えなければいけません。歴史を前に進めなければいけません。

 そのためには信賞必罰、判断ミスをした政治家を退場させなければなりません。

 これは民主党支持者に限らず、公明党(創価学会)のみなさんにも協力して頂きたい。
 小沢一郎は民・公(創)共通の敵です。

 公明党委員長だった亡き石田幸四郎さんと小沢一郎氏(新進党結党大会)  
[画像]新進党結党大会のフィナーレでの全議員登壇の風景、(左)政権交代ある二大政党デモクラシーを信じて新進党に参加した今は亡き石田幸四郎・旧公明党元委員長と小沢一郎氏、(右)故石田幸四郎さん、小沢一郎さん、旧公明党元書記長だった市川雄一さんのスリーショット(ともにNHK映像から拝借)

 小沢一郎氏の政治的影響力は急速に低下しています。そして、今やかつての“父”・小沢氏と同じく与党幹事長となった岡田克也の背中には、渡部恒三さん、江田五月さん、北澤俊美さんら「新進党被害者の会」に限らず、菅直人さん、枝野幸男さん、鉢呂吉雄さんら頼もしい限りの仲間がいます。そして、小沢氏はひとりぼっち。

 この論争の結論は一つです。小沢一郎氏はデモクラシーの敵であり、彼を歴史から退場させ、日本を前に進めなければいけません。

 さあ、みんな、小沢一郎(氏)を倒すために、勝ちどきをやろうじゃないか。

 エイエイオー! エイエイオー! エイエイオー! エイエイオー!

 闘いましょう!

 

岡田克也の背中を押して、歴史を前に進めましょう!!

当ブログは「岡田が決めたらどこまでも」まっすぐにひたむきに岡田克也(1953-)さんを追いかけていきます。

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「一歩前進」 北沢俊美防衛相が中国国防相と会談

2010年10月11日 20時16分31秒 | その他

[画像]北澤俊美防衛大臣と中国の梁光烈国防相、2010年10月11日、ベトナム・ハノイ(NHKニュース)

 菅改造内閣で再任され、政権交代後同一の省をただ一人連続して担当している防衛大臣の北澤俊美さんは、11日、ハノイの国際会議の合間に、中国国防相の梁光烈(りょう・こうれつ)さんと話し合いました。先月の尖閣諸島での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事故の後、ASEMで総理の菅直人さんと温家宝国務院総理が廊下で会談しましたが、その後の安全保障閣僚の会談はこれが初めてとなりました。

 国会開会中ですが、北澤さんが鉢呂吉雄国対委員長に頼んで、野党各党の理解を得た上で実現した海外出張で、北澤さんは「一歩前進だ」と語りました。

 中華思想の華夷秩序のなかで、聖徳太子の時代から中国と適度な距離をとってきた日本と、中国に飲み込まれたり対抗したりしてきたベトナム。その違いは、日本と中国との間に日本海・東シナ海があったというたった一つの幸運によるものでしかない、と私は考えております。

 上海万博が今月末で閉幕しますが、延期されていた中国政府による日本人学生1000人招待も実現しそうです。大学の後期授業が始まっている団員も多いでしょうが、ぜひ、上海を訪れて、将来どの国で活躍するにしても、一生忘れ得ぬ思い出をつくってほしいと思います。

 聖徳太子が小野妹子に「国書」を持たせて以来、日本と中国は対等な関係にあります。正直言って、日中が常に平和な状態になるということは難しい。過去1000年以上、日中友好の礎は常に文化交流と人的交流でした。鑑真和上のような立派な人物はもう出てこないでしょうが、次の1000年のために、もっと隣人をよく知る努力が両国民に求められています。外交と言っても、まずは人です。今回は、最年長閣僚が迅速な判断、行動で、模範を示してくれました。

“日中連絡システム 整備を” NHKニュース


ベトナムを訪れている北澤防衛大臣は、中国の梁光烈国防相と会談し、さきの中国漁船による衝突事件を受けて、東シナ海など日本近海で中国側と不測の事態を招かないためにも、日中の防衛当局で即座に連絡を取り合うシステムを整備するよう求めました。

この中で北澤大臣は、尖閣諸島沖で起きた中国漁船による衝突事件ついて、「日本側の立場はすでに中国側に伝達済みであり、この場で議論するのは生産的ではない」と述べました。そのうえで、北澤大臣は「戦略的互恵関係の原点に立ち返り、今後は日中の防衛当局間で理解を深めていくことが重要だ」と述べました。これに対し、梁国防相は、中国漁船による衝突事件について、「両国関係を大局的に見て、適切に処理されたことをうれしく思う」と述べたうえで、「戦略的互恵関係を進めていくことが両国の国民にとっての利益になる。日中の防衛交流の発展に努力したい」と述べ、戦略的互恵関係の発展に向けて日中両国の防衛交流を促進させることを確認しました。そして、北澤大臣は、東シナ海など日本近海で中国側と不測の事態を招かないためにも、日中の防衛当局で即座に連絡を取り合うシステムを整備するよう求めました。一方、日中の防衛交流の一環として、今月15日から海上自衛隊の練習艦隊が中国の青島に寄港する予定でしたが、会談の中で梁国防相は、予定どおり実施することに慎重な姿勢を示しました。会談のあと、北澤大臣は記者団に対し、「会談ができたことは一歩前進だ。ただ、中国国内では、まだ関係改善に完全に前向きになっていない雰囲気がある。もう少し時間が必要かもしれないという印象を受けた」と述べました。


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渡部恒三さん「男が自分のことで泣くようになったら終わりだな」「小沢君はかわいそう」

2010年10月10日 06時46分33秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
 民主党最高顧問に復帰した渡部恒三さんは、10日放送のTBS「時事放談」で、小沢一郎氏が強制起訴が決まりながら、離党も議員辞職もしない意向を示していることについて、「男は他人様(ひとさま)のことで泣くならいいけど、自分のことで泣くようになったら終わりだな」と述べました。恒三さんは、小沢一郎氏は以前は涙なんかは一切出さない男だったと指摘し、小沢氏の変貌ぶりに「かわいそう」と同情しました。そのうえで、恒三さんは「自分のことよりも、党のこと。党のことよりも国のこと(が大事だ)。国のことがダメだったら、渡部恒三なんてあした死んでもいいんだ(という心構えでいる)」とし、そういう心構えが小沢氏にないと批判しました。

 恒三さんは「今は景気対策が大事だ」として、小沢問題は国会での野党の出方を見ながら対応すればよくいいとして、「今はまだその時期ではない」と、離党勧告や除籍にはタイミングが早いとの長老の見立てを示しました。コロンビア大学教授で、古川元久さん、小泉進次郎さんらの師匠で知られるジェラルド・カーチス教授は「離党するのなら分かるが、離党しないと言っても、裁判には1~2年(以上)もかかるでしょう。たぶん日本人の多くはスッキリしていない」と世論を読みました。

 司会の御厨貴さんから「アメリカの例はどうですか?」と聞かれたカーチスさんは、「アメリカでもいろいろなケースがあるんですよ」としながら、議員辞職する人は次の選挙で落選する可能性が高くなった人だと指摘し、「岩手の有権者が彼を(第46回衆院選でも小沢一郎氏を)選ぶんだったら、辞めないのも一理ありますよ」と理解を示しました。ただ、「離党するのは常識だが、離党しなければ除名(除籍)するかという問題なんですよとして、「小沢さんはもう権力がないでしょう。裏で操ったりということはもうないでしょう」と指摘し、日本政治は小沢問題よりも景気対策、日中関係などに注力して、前に進むべきだとの認識を強調しました。

 カーチス教授は番組の最後に菅直人さんに対して、「原稿を読まないで、テレビに向かってハッキリと国民に語りかけて欲しい」として、向こう2年間の安定した政権基盤をいかすために、野党に協力を呼び掛けるばかりでなく、国民に直接語りかけるリーダーシップを求めました。

 10月6日(水)、7日(木)、8日(金)の衆参本会議での国務大臣の所信表明に対する代表質問で、菅直人さんは、小沢一郎氏の処遇については、民主党幹事長の岡田克也さんに預けることを内外に表明しています。
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小沢さん、もう潮時だよ

2010年10月07日 13時52分02秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]小沢一郎(氏)と筆者(1993年夏、静岡・箱根の函南町、2007年12月、中国・北京の人民大会堂)

 小沢一郎(氏)に雨天の友なし。

 晴れた日には傘(お金)を借りろと言い、雨の日に傘(お金)を返せ、と言うのは銀行屋だとよく言われますが、小沢側近も同じようです。
 東京新聞の手間をかけた取材によると、平均30歳の未来を担う若人たちに「起訴すべきだ」との議決を受けた小沢一郎(氏)。ひと晩あけた5日は、国会近くの個人事務所に終日こもったものの、一人の訪問者もいなかったようです。これから有罪になるにしろ、無罪になるにしろ、微罪(ただし公民権は停止される)になるにしろ、裁判終了までは5年ほどかかると思われますので、政治生命は絶たれたと言っていいでしょう。

 6日の衆院本会議で、自民党総裁でシャドウキャビネット首相の谷垣禎一さんは小沢問題を冒頭に扱いましたが、あまり時間をかけませんでした。やはり、民主党が小沢問題を引きずってくれた方が、統一地方選で自民党有利、民主党不利になるという狙いがあるのでしょう。第22回参院選はこの戦術が見事的中しました。民主党が自浄作用を発揮するしかありません。

 晩節を汚す落ちた剛腕。友達は不動産と犬だけ。奥さんや3人の息子ともほとんど会話しない昨今のようです。

 そもそも、1997年12月末の新進党解党は万死に値します。新進党解党がなければ政権交代可能な二大政党制はもっと早く確立し、小泉政権の労働法制改悪は避けられたし、少子高齢化は進んだとはいえ、私たちの平均年収はおよそ100万円は高かったと思いますよ。その罪は万死に値します。

 小沢さん、もう潮時だよ。

 小沢一郎さんの離党と議員辞職を望みます。

東京新聞:小沢氏、事務所にこもる:政治(TOKYO Web)


 民主党の小沢元幹事長は五日、国会近くの個人事務所に終日こもり、車による自宅との行き帰り以外は報道陣の前に姿を現さなかった。

 検察審査会の議決を受けた四日は側近議員らと会談し、起訴議決に「分からないよな」と漏らしていた小沢氏。しかし、この日は一人の訪問者もなく、事務所周辺は静まりかえった。

 小沢氏は四日に発表した談話で「裁判の場で無実であることが必ず明らかになる」と決意を示したが、公判は長期化も予想される。

 側近議員からは「このままでは兵糧攻めだ。(裁判に)三年ぐらいかかったら、小沢氏の気力がなえてしまう」と心配する声も出ている。


tag 新進党を解党した小沢一郎を歴史法廷の断頭台に送ろう。

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【小沢一郎氏強制起訴】衆議院や民主党は「起訴休職制度」を検討したらどうか

2010年10月05日 15時16分08秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
[写真]強制起訴される小沢一郎氏(同氏公式ホームページ)

 近く強制起訴される小沢一郎氏ですが、初公判は来年夏になりそうです。そして、地裁判決で仮に無罪でも、おそらく検察官役の弁護士は、まず控訴するでしょう。そして有罪ならば、小沢被告は当然控訴、上告するでしょうから、いずれにしろ、最高裁までいくことになり、確定まで数年かかりそうです。

 小沢一郎氏は、現時点で、民主党離党も、衆議院議員辞職もしない意向と思われます。現時点で記者会見に応じていませんが、離党・辞職の意向を示していません。

 起訴休職という言葉を初めて知ったのは、佐藤優さんが2002年5月~2009年6月まで「起訴休職外務事務官」という肩書きで、本を書いたり、メディアに出ていたからです。その後、2009年6月に有罪が確定したので、「作家」と名乗っていると思います。

 一方、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長だった村木厚子さんは、2009年7月=2010年9月まで起訴休職でしたが、無罪が確定したので、復職し、内閣府に出向し政策統括官(局長級)になっています。

 このような起訴休職制度を、衆議院規則や、民主党規約などに設けることはできないでしょうか。

 例えば、起訴休職中は、本会議に出席したり、委員会に所属しなくていい。そして、気になる歳費ですが、これは支払うということでいいのではないでしょうか。というのは、衆院議員の場合は、どんなに長くても起訴休職から4年以内に解散総選挙を迎えます。起訴休職とはいえ、その間は国会議員として積み上げることができないので、落選の可能性が高くなります。そのため、文書交通滞在通信費(年間1200万円)はストップするものの、歳費は支払う。ただ、有罪が確定(ないしは公民権停止が確定)した場合には返還という格好にしないと国民が納得しないかも知れません。

 いずれにしろ、小沢さんが民主党にいる限り、民主党政権が個人向けに増税したり、法人向けに減税したりすることは「納得がいかない」ということで、有権者はそっぽを向けるでしょう。

 衆議院や民主党は新しいルールを作る必要があるのではないでしょうか。
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小沢一郎さんが強制起訴へ 自ら出処進退を決めるべきだ

2010年10月04日 15時53分20秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]小沢一郎さん(NHK)

 東京第5検察審査会は、小沢一郎さんを起訴すべきだと議決しました。裁判所が指定した弁護士が検察官役を務めて、東京地裁で裁判がスタートします。

 民主党としては小沢さんが自ら離党しない場合は、常任幹事会がお願いして、最高顧問兼倫理委員長(元裁判官、参議院議長)の江田五月さんによく調べてもらうことになります。

 
[画像]ギャベル(木槌)を叩く参議院議長時代の江田五月さん(参議院ネット中継)

 ことし1月、民主党衆院議員・石川知裕さんが、初当選前に働いていた職業にかかわる事案で、起訴され、離党しています。小沢氏の場合は、衆院議員としての事件です。

 新進党を解党した小沢一郎さんですが、同時に改革フォーラム21と新生党の代表幹事であり、細川内閣、羽田内閣生みの親であり、新進党結党大会準備委員長であり、第21回参院選・第45回衆院選の民主党勝利の立て役者です。

 先日、小沢さんは自らの政治資金パーティーで「天命が下るのを待つ」という発言をしたと、出席者を語っています。小沢さん本人が歴史における自分の存在を客観視し、出処進退を自ら決めることを望みます。

 歴史を前に進めましょう。

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海上保安庁の増額補正で全党一致 補正予算をめぐり国対委員長

2010年10月03日 10時59分36秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

 熟議の第176臨時国会で、菅直人首相が最重要議案だと位置づけた第1次補正予算案に関して、3日生放送の「NHK日曜討論」の中で、全党の国対委員長の意見が完全に一致する極めて珍しいケースがありました。

 さる9月7日に尖閣諸島の魚釣島付近で、中国漁船と我が国の海上保安庁巡視船が衝突する事案が発生し、海保は当該船長らを公務執行妨害で逮捕しました。その後、乗組員は釈放、証拠品となる漁船を先方に返還し、そして、中国からの圧力が集まった9月24日、那覇地検が処分保留のまま容疑者の船長の身柄を釈放して、帰国するという事案が起きました。私は9月1日告示9月14日投開票の民主党代表選に向けて「日本の歴史を前に進める平成の西南戦争だ」とがんばっており、その後の人事と含めて、あまりこの問題をフォローしておらず、このブログでも扱っておらず、反省しております。

 さて、平成22年度(2010年度)の当初予算一般会計では、海上保安庁の当初予算総額は「1820億円」で前の年度比「294億円」減っています。沖縄1区選出で国民新党の下地幹郎国対委員長は日曜討論で、海保の第11管区海上保安本部の石垣島の基地には敷島級の巡視船は2隻しかなく、「2隻で尖閣諸島を含めた海域をカバーするのはムリだ」としたうえで、「海保全体でも橋本内閣(1996年~1998年)以来、新規に巡視船を建造していないんですよ」とのこと。今年度当初の海保の船舶建造費(予算コード95014-1204-15)はわずか「243億円」で「前年度比98億円減」っています。おそらくこれは建設国債が使えるから、財源の問題もないでしょう。

 ここで船舶建造費をつける、増額補正してあげる。景気対策としては、造船会社は自民党、そのはたらく仲間は民主党、そして部品会社などは公明党の支持者が比較的多いでしょう。もちろん景気対策に限りません。予算を増額補正してあげることで、それ自体が対中国、対ロシアへの外交カードになります。

 熟議の第一歩になりそうです。そして、そのスピード感にも期待したいです。

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菅首相が所信表明で「熟議の国会」を呼び掛け 補正予算案が試金石に マニフェスト・鳩山演説の内容が戻る

2010年10月01日 23時59分37秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[写真]第176臨時国会開会にあたって所信表明する菅直人首相(首相官邸ホームページ)

 第176臨時国会が2010年10月1日、スタートし、衆参で院の構成(常任委員長の選出)が決まった後、菅直人首相が所信表明演説をしました。

 この中で、菅首相は、「今国会の最大の課題は(略)経済対策のための補正予算の成立です」として、デフレ脱却・景気回復を軌道に乗せる補正予算案が最重要課題だとして、「与野党間での建設的な協議に心から期待いたします」としました。

 所信表明では、野党時代からの舌鋒鋭い「攻撃型菅直人」はすっかりと息をひそめ、低姿勢のまるで土下座しだすのではないかと思わせる「ねじれ国会与党型菅直人」に変貌しました。

 そして、演説を「私は今回の国会が、具体的な政策をつくり上げる“政策の国会”となるよう願っています。そのために、議論を深める“熟議の国会”にしていくよう努めます。結論を出す国会になるよう期待します」としました。

 そして扇形の議場を眺めながら、「この場にいる我々を隔てるものは、どこに座っているかではありません。野党の皆さんにも真摯に説明を尽くし、この国の将来を真剣に考える方々と、誠実に議論していきます。そして、何とか合意できないか知恵を絞ります。国民に選ばれた国会議員が全力を尽くし、この国の政治を築いていく。真の国民主権の政治に向け、共に頑張りましょう」という異例の働きかけをしました。

 国会というのは、日本社会の縮図ですから、ご多分に漏れず、このところピリピリしていて雰囲気が重いです。しかし、菅さんの言うとおり、この臨時国会の最重要議案が景気対策の補正予算案、それと地球温暖化対策基本法案、郵政改革法案、労働者派遣法改正案の合計4本ということになれば、これはすべて与野党合意で、衆参で可決することは可能だと思います。あるいは、むしろ公明党などの意見を取り入れて、「修正可決」となる方が「熟議の政治」として望ましいかも知れません。

 昨年の政権交代により、二大政党が政権交代を繰り返す政治システムが導入されつつあります。その8年~12年程度と思われる長期的な変化の間に、第三極との話し合いを踏まえた中短期の変化で国会を動かしていく、その仕組み作りをする国会になります。

 補正予算案はよい題材です。

 これに先立つ、民主党代議士会で岡田克也幹事長は、「国会の役割は従来以上に重要になっている。しかし、それはホントウに日本に真の民主主義(デモクラシー)を構築する、新しいモデルを構築する。そのスタートラインに立っている」「国会とくに委員会が大事で、(法案の)修正など委員長や筆頭理事にご苦労をかけます」としました。鉢呂吉雄国会対策委員長は「全員が国対委員長だという思いであたって欲しい」と述べて、各委員会の“現場”が自主的に法案にかかわる自覚を促しました。

 また、菅さんは所信表明で、国の出先機関の見直しについて8月までに各府省がまとめた8月の“自主仕分け”について年内に出し直させることを明言。ひも付き補助金の廃止→地方一括交付金の創設についても、踏み込んで、国民や自治体に対して約束しました。

 このほか、6月の首相就任時の所信表明よりも、09マニフェストや、昨年9月・ことし1月の鳩山演説の言葉が復活した部分が多く見られました。また、「女性を乳がん・子宮頸がんから守る、子どもを貧困や虐待から守る、あらゆる人を自殺や災害から守る。強者の論理ではなく、弱者に寄り添い、こうした課題にも応えなければなりません」と語りました。おととい(29日)の深夜に、長期間の薬石効なく子宮頸がんで63歳という若さのお母さんを亡くしたばかりの民主党の森山浩行議員も上京して気丈にこの演説に耳を傾けました。

 1月の鳩山施政方針の「命を守りたいと思うのです」は、私は違和感を覚えました。なぜなら国が国民の生命と財産を守るのは当たり前のことであり、一々言及する必要がないからです。菅演説は、とくだん心にずどんと響くキーワードは出てきませんでした。6月の就任時のように「第三の道」という独自のフレーズも出てきませんでしたが、民主党政権は、らせん階段を周りながらも、少しずつ、ホントウに少しずつですが階段を昇っているように思えました。

 まあ、とにかく補正予算を仕上げることです。が、これはハードルは低いように、私は感じます。一つ一つ、ハードルをこなしていきましょう。

第176回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説

 一 はじめに
 国民の皆さん、国会議員の皆さん、菅直人です。六月に政権を担って四か月、九月に民主党の代表に再選され、党と内閣の改造を行い、政権を本格稼働させる段階に入りました。「有言実行内閣」の出発です。何を実行するのか。一言で申せば、これまで先送りしてきた重要政策課題の実行です。経済低迷が二十年続き、失業率が増加し、自殺や孤独死が増え、少子高齢化対策が遅れるなど、社会の閉塞感が深まっています。この閉塞感に包まれた日本社会の現状に対して、どの政権に責任があったか問うている段階ではありません。先送りしてきた重要政策課題に今こそ着手し、これを、次の世代に遺さないで解決していかなければなりません。それが、「有言実行」に込めた私の覚悟です。解決すべき重要政策課題は、「経済成長」、「財政健全化」、「社会保障改革」の一体的実現、その前提としての「地域主権改革の推進」、そして、国民全体で取り組む「主体的な外交の展開」の五つです。本日は、この五つの課題について、私の考えを申し上げます。

二 経済成長の実現―経済対策と新成長戦略の推進
(成長と雇用による国づくり)
 まず最初の課題は、経済成長です。国内消費を取り巻く状況には、厳しいものがあります。需要が不足する中、供給側がいくらコスト削減に努めても、値下げ競争になるばかりで、ますますデフレが進んでしまいます。これでは景気は回復しません。供給者本位から消費者目線に転換することが必要です。消費も投資も力強さを欠く今、経済の歯車を回すのは雇用です。政府が先頭に立って雇用を増やします。医療・介護・子育てサービス、そして環境分野。需要のある仕事はまだまだあります。これらの分野をターゲットに雇用を増やす。そうすれば、国民全体の雇用不安も、デフレ圧力も軽減されます。消費が刺激され、所得も増えます。その結果、需要が回復し、経済が活性化すれば、さらに雇用が創造されます。失業や不安定な雇用が減り、「新しい公共」の取組なども通じて社会の安定が増せば、誰もが「居場所」と「出番」を実感することができます。こうした成長と雇用に重点を置いた国づくりを、新設した「新成長戦略実現会議」で強力に推進します。

(円高、デフレ状況に対する緊急的な対応―第一段階)
 そのため、まず、今から来年度に向けて「三段構え」で成長と雇用に重点を置いた経済対策を切れ目なく推進します。既に、その「第一段階」、急激な円高・デフレ状況に対する緊急的な対応を実行に移しています。政府・日銀は、為替介入を実施しました。今後も、必要に応じ、断固たる措置をとります。また、即効性のある雇用対策に重点を置いて予備費約九千二百億円を執行します。特に、新卒者の就職に力を入れます。仕事を探す側、雇用する事業者、双方の負担を軽減し、ワンストップで雇用を「つなぐ」仕組みを全国展開します。さらに、低炭素産業の新規立地を補助して雇用を「守る」取組や、地域の雇用を「創る」取組も盛り込みました。日銀に対しては、政府と緊密な連携を図りつつ、デフレ脱却の実現に向け、さらなる必要な政策対応をとることを期待します。

(今後の動向を踏まえた機動的な対応―第二段階)
 そして、デフレ脱却、景気回復を軌道に乗せるため、今国会での補正予算の編成を含む「第二段階」に入ります。中身が重要です。野党からの提言も踏まえ、五つの柱からなる大枠を提示しました。第一の柱が雇用・人材育成、第二が新成長戦略の推進、第三が子育てや医療・介護・福祉、第四が地域活性化、社会資本整備と中小企業対策です。第五の柱として、規制・制度改革に取り組みます。例えば、再生可能エネルギーの利用拡大に向け、全量買取制度の円滑な導入を目指すとともに、大規模太陽光発電や新エネ・省エネ設備に係る規制を緩和します。日本を国際医療交流の拠点とするため、ビザや在留資格の取扱いを改善します。さらに、雇用創出効果の大きい国内立地促進策を、新設した円卓会議で早急にまとめます。いずれも国民生活に直結する課題です。与野党間で意見交換を進め、補正予算を含め、合意を目指したいと思います。

(新成長戦略の本格実施―第三段階)
 「第三段階」は、既に作業を始めている来年度予算編成と税制改正です。予算編成では、「元気な日本復活特別枠」も活用し、需要創造や雇用創出を強化します。法人課税については、税制の簡素化、海外と比較した負担といった観点から、年内に見直し案を取りまとめます。ものづくりでも、サービス産業でも、業種を問わず、新しい需要を引き出し、豊かで安心な暮らしを実現するイノベーションを起こすことが重要です。この観点から研究開発や人材育成も強化します。

 改めて申し上げます。今国会の最大の課題は、「第二段階」である経済対策のための補正予算の成立です。与野党間での建設的な協議に心から期待いたします。そして、切れ目なく「第三段階」に進み、新成長戦略の前倒し実施により、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていきたいと考えます。是非とも、ご理解、ご協力をお願いいたします。

三 財政健全化と行政の無駄削減
(財政運営戦略の実施)
 二番目の重要政策課題は、財政健全化です。現在の財政状況を放置すれば、どこかで持続できなくなります。政府は、六月に財政健全化の道筋を示した「財政運営戦略」をまとめました。二〇一五年度までに、基礎的財政収支の赤字を対GDP比で今年度の半分にし、二〇二〇年度までに黒字化を達成するものです。大変高い目標ですが、成長と雇用拡大を実現しながら、一歩ずつ達成を目指します。

(来年度予算編成に向けて)
 最初の一歩が、無駄の徹底した削減を含む来年度予算の編成です。昨年は、四百四十九の事業を仕分けし、約二兆円の財源確保を実現しました。引き続き、強力に無駄の削減を徹底します。そもそも、財政が如何なる状況にあろうと、無駄は許されません。事業仕分けを特別会計に広げるなど、幅広く事業を見直します。マニフェスト実現には、引き続き誠実に取り組みます。財源の制約などで実現が困難な場合は、国民に率直に説明し、支給の方法や対象を含め、国民が納得できる施策に仕上げていきます。

(行政改革、公務員制度改革の推進)
 歳出見直しは、単に切り詰めることが目的ではありません。行政が利用者の視点に立ってサービスを提供し、より効率的に奉仕する体制にすることが重要です。公務員制度改革も、この目標を共有しています。国家公務員の総人件費の二割削減と併せ、一体的に取り組んでいきます。また、国の出先機関の統廃合を含め、各府省の機構や定員をスリムにします。公務員諸君に改めてお願いします。行政のプロとしての皆さんの心構えが問われています。

四 社会保障改革
(改革の必要性)
 三番目の重要政策課題は、社会保障改革です。社会保障制度がしっかりしなければ、国民の将来に対する不安はぬぐえません。この不安が、消費の低迷、経済の停滞の背景になっています。改革を急がなければなりません。一般論として、多少の負担をしても安心できる社会を作っていくことを重視するのか、それとも、負担はできる限り少なくして、個人の自己責任に多くを任せるのか、大きく二つの道があります。私は、多少の負担をお願いしても安心できる社会を実現することが望ましいと考えています。
 まず、求める社会保障の姿について議論を進めます。安定した年金制度や、十分な医療・介護・福祉サービスを確保していかなければなりません。高齢化などに伴い、今のままでも、社会保障費は毎年一兆円以上増加していきます。さらに、新たなニーズも生じています。孤立したお年寄りを守る、女性を乳がん・子宮頸がんから守る、子どもを貧困や虐待から守る、あらゆる人を自殺や災害から守る。強者の論理ではなく、弱者に寄り添い、こうした課題にも応えなければなりません。社会保障の基盤となる番号制度をどう整備するか決める必要もあります。個々の課題にばらばらに答えを出しても根本的な解決策にはなりません。政府は、社会保障改革の全体像について、必要とされるサービスの水準・内容を含め、国民に、わかりやすい選択肢を提示していきたいと思います。

(与野党間の議論)
 その上で、国民の選択に当たり、社会保障に必要な財源をどう確保するか一体的に議論する必要があります。消費税を含め、税制全体の議論を進めたいと思います。結論を得て実施する際は、国民に信を問う。この方針に変更ありません。当然、与野党を超えた議論が不可欠です。それに向け、政府・与党で社会保障改革の全体像を検討する場を設け、野党の皆さんとも意見交換をしていきたいと思います。

(子ども・子育て支援の充実)
 子ども・子育て支援にも、引き続き重点的に取り組みます。どの子どもも、この国の将来を担う宝です。家族だけでなく、地域、さらには国で、大切に育てなければなりません。高校の授業料実質無償化を着実に実施し、子ども手当は、現金給付と保育所の整備などの現物支給のバランスをとって拡充する方針です。幼保一体化を含む法案を来年の通常国会に提出する準備を進めます。少子高齢化の下で、労働力人口が減少し始めています。待機児童の解消を急ぎ、働く女性を応援し、男女共同参画を推進します。

五 地域主権改革の推進
 以上の三つの重要政策課題の解決に当たっては、地域主権改革の推進が鍵となります。地域が主役となって、特色ある産業振興や、住民の要望に応じた社会サービスの提供ができるよう、我々の世代で確たる道筋をつけます。残念ながら、これまで実感のある変化は生じていません。壁を打ち破るため、まず、「ひもつき補助金」の一括交付金化に着手します。来年度予算では、各府省の枠を超えて投資的資金を集め、自由度の高い交付金に再編します。地域で、霞が関の発想に縛られない、独自のモデルを構想してください。国の出先機関が扱う事務・権限移譲については、各府省が検討結果を八月末に提出しましたが、不十分であり、やり直しを指示しました。横断的な移譲の指針を示し、年内を目標に検討を進めます。

六 国を開き未来を拓く主体的な外交の展開
(「歴史の分水嶺」における外交)
 五番目の重要政策課題は、主体的な外交の展開です。今日の国際社会は、安全保障面でも経済面等でも「歴史の分水嶺」とも呼ぶべき大きな変化に直面しています。新興国の台頭で、世界の力関係も変貌を遂げています。我が国周辺地域に存在する不確実性・不安定性は、予断を許しません。こうした国際情勢の下、天然資源・エネルギーや市場を海外に依存する我が国は、如何にして平和と繁栄を確保するのか。受動的に対応するだけでは不十分です。国民一人ひとりが自分の問題として捉え、国民全体で考える主体的で能動的な外交を展開していかなければなりません。その際、国を思い切って開き、世界の活力を積極的に取り込むとともに、国際社会が直面するグローバルな課題の解決に向け、先頭に立って貢献することが不可欠です。また、防衛計画の大綱の見直しに当たっては、真に役に立つ実効的な防衛力を整備するため、これからの時代にふさわしいものを、本年中に策定します。

(日米同盟)
 日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸です。先日のオバマ大統領との会談でも、日米同盟がアジア太平洋地域のみならず、世界の安定と繁栄のための共有財産であること、そして、日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で、安全保障、経済、文化・人材交流の三本柱でさらに深化・発展させていくことを確認しました。また、アフガニスタン・パキスタン支援、イランの核問題、気候変動、核軍縮・核不拡散など、国際社会が直面する課題へも日米が協力して対処することで一致しました。十一月のAPECの際に予定されている日米首脳会談では、さらに日米同盟深化のための具体策を詰めていきます。普天間飛行場の移設問題については、本年五月の日米合意を踏まえて取り組むと同時に、沖縄に集中した負担の軽減にも取り組みます。沖縄の方々のご理解を求め、誠心誠意説明してまいります。

(日中関係)
 日中両国は、一衣帯水のお互いに重要な隣国であり、両国の関係はアジア太平洋地域、ひいては世界にとっても重要な関係だと認識しています。近年、中国の台頭については著しいものがありますが、透明性を欠いた国防力の強化や、インド洋から東シナ海に至る海洋活動の活発化には懸念を有しています。尖閣諸島は、歴史的にも国際法的にも我が国固有の領土であり、領土問題は存在しません。先般の事件は、我が国の国内法に則り粛々と処理したものです。中国には、国際社会の責任ある一員として、適切な役割と言動を期待します。日中両国間に様々な問題が生じたとしても、隣国同士として冷静に対処することが重要と考えます。日中関係全般については、アジア太平洋地域の平和と繁栄、経済分野での協力関係の進展を含め、大局的観点から戦略的互恵関係を深める日中双方の努力が不可欠です。

(東アジア地域の安定と繁栄に向けて)
 この秋は、我が国において、重要な国際会議が開催されます。生物多様性条約に関するCOP10では、議長国としての重要な役割を果たします。また、私が議長を務めるAPEC首脳会議では、米国、韓国、中国、ASEAN、豪州、ロシア等のアジア太平洋諸国と成長と繁栄を共有する環境を整備します。架け橋として、EPA・FTAが重要です。その一環として、環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します。東アジア共同体構想の実現を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたいと思います。
 北朝鮮については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決を図り、日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、国交正常化を追求します。拉致問題については、国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くします。なお、北朝鮮の政治情勢については、引き続き注視していきます。

七 政治改革と議員定数削減
 以上の課題に臨む我々国会議員のあり方について、一言述べます。カネのかからないクリーンな政治の実現。国民の強い要望です。私自身の政治活動の原点です。民主党は、企業・団体献金の禁止、国会議員の定数削減について党内で徹底的に議論し、年内に方針を取りまとめたいと思います。その後、与野党間で協議し、まとめたいと思います。

八 結び
 本日、国会が召集されました。日本が現在抱える課題を解決し、次の世代に先送りしない責任を、国会議員が協力して果たせるか。国民の期待に応えることができるか。この国会が試金石となります。郵政改革法案、地球温暖化対策基本法案、労働者派遣法改正法案などの審議もお願いすることとなります。私は、今回の国会が、具体的な政策をつくり上げる「政策の国会」となるよう願っています。そのために、議論を深める「熟議の国会」にしていくよう努めます。結論を出す国会になるよう期待します。この場にいる我々を隔てるものは、どこに座っているかではありません。野党の皆さんにも真摯に説明を尽くし、この国の将来を真剣に考える方々と、誠実に議論していきます。そして、何とか合意できないか知恵を絞ります。国民に選ばれた国会議員が全力を尽くし、この国の政治を築いていく。真の国民主権の政治に向け、共に頑張りましょう。

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