宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

国会の見える化さらに進む 衆・予算委が22日に公聴会 月内可決が確実に

2011年02月16日 18時56分32秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意
[衆・予算委員会 2011-2-16]

 衆院予算委員会の中井洽委員長は、公聴会(中央公聴会)を22日(火)に開くことを提案し、採決。民主党、日本共産党などの賛成多数で可決しました。ちなみに、NHKの中継は直前の集中審議「外交と安全保障」の柿沢未途さんの質問終了と同時に終わったと思います。放送終了から1分後の出来事で、実は国会を前に進めているのは、ルールに基づく手続きなのですが、どうにもTVを見て、政治を語るのには限界があります。

 アメリカ連邦議会の上院下院の本会議・委員会を3チャンネルで放送する「C-SPAN」(しーすぱん)のようなケーブルテレビが欲しいところですが、やはり当面は、ニコニコ生放送ということになるでしょうか。日本では、ケーブルテレビの導入が早かった横須賀市議会の生中継で、審議が活発化し、民度も上がったとされています。だから、米軍相手に抗議文を出せる勇気が生まれてくるんですよね。

 一方、英国議会のツイッターでは、「党首討論の議事録は、あと3時間ほどで出来上がりますので、ホームページでみてください」としており、日本の衆院事務局・参院事務局も見習って欲しいですね、人はいっぱいいるんですから。

 今後の衆・予算委は、あす17日(木)は一般的質疑、18日(金)はパシフィック・パートナーに関する参考人質疑が予定されています。社民党、自民党、公明党、共産党など各党が法人税率の引き下げに反対していることから、所得税法改正案の修正が必要な情勢になってきました。なお、予算委が審議している予算案の「歳入」の「租税」の「法人税収」は見積もりなので、修正の必要はないのではないでしょうか。このほか、「歳出」の普天間基地の移設に関する予算を落とすよう社民党が要求しているので、「1年先送り」という意味合いで、全額減額してしまえばいいでしょう。

 きょうの衆院財務金融委員会では、財務大臣の野田佳彦さんと金融担当・郵政改革担当の自見庄三郎大臣の所信聴取が終わりました。一般質疑を経て、来週には赤字国債臨時特例法案と所得税法改正案が審議できると予想しています。赤字国債法案は分割など修正のしようがありませんが、所得税法の方は、各党の意見を取り入れて、「法人税率を下げる」改正条文はすべて削除して、法人税率はそのままにした方がいいと、筆者は思います。私としては中小法人への3年間の下げ「18%→15%」もなくていいと思います。ただし繰越欠損金控除の所得金額の8割までの制限は必要です。とはいえ、中小企業の繰り越し期間が7年から9年に延長し、引き続き全額利用できる制度はやるべきです。あるいは、民主党政権として新進党解党をわびるために、2007年12月を含む決算期から、13年間の繰越欠損を認めるべきではないでしょうか。

 ところで、なぜ古本伸一郎筆頭理事が率いる衆・財金委は開かれたのに、黄川田徹筆頭理事が率いる衆・総務委はきょう開かれなかったのでしょうか。黄川田さんは一新会の会合でも忙しかったのでしょうか。古本さんはゆうべの常任幹事会も東海ブロック選出常幹として参加していて忙しかったと思うのですが。

 先日、中曽根康弘さんの週刊ポストのインタビューを紹介しましたが、この中で「今の日本は訓政期にあるので、国民や野党は民主党政権への忍耐が必要だ」としていました。この「訓政」という言葉はなじみがなく調べてみたのですが、どうやら孫文のベストセラー『三民主義』の言葉のようです。孫文は軍政→訓政→憲政とデモクラシーは成長していくんだ、との論を展開して、清王朝の腐敗した政治に悩む中国人の喝采をかったようです。そして100年前、辛亥革命を果たします。さきほどのエジプトのムバラク大統領の退陣では、「革命だ!」と喜ぶカイロ特派員の記事を日本の新聞でも見かけますが、エジプトでは軍の協議会に政権が移っていますから、軍政に戻ってしまった段階です。わが国は、あらためて言うまでもなく、アジアで初めて憲法を持ち、立憲議会を持った国です。しかし、憲政は、昭和10年代には実質的に軍政へと戻っていき、戦後アメリカの力で、新しい憲法(手続き上は憲法改正)の下、参議院も加えた新しい国会として再スタートを切りました。今また訓政に戻ったとはいえ、もう一度、憲政の常道を取り戻すために、今が踏ん張りどころです。昭和10年代に戻るわけにはいきません。アジアや太平洋の国々はほとんどが憲政になっているのですから、まさにシニア日本の正念場です。

 民主党の「国会見える化」路線で、力強く前進しています。予算成立はもうメドが立ちました。その余裕を使って、「普天間」修正をかけて欲しいです。玄葉光一郎さんへの試練です。フィギュア・スケートでは、より高くジャンプできる選手の方が、体をひねったりして、表現の場が広がります。ちょうどあの状態を中井洽コーチがつくったので、玄葉選手に金メダルをねらってほしいです。国民のみなさんには、この年度越えまでは、政権政党が財務省にアタマを下げて、分割法案、つなぎ法案、念のための暫定予算を作っておいてもらうことを堪忍して欲しいと思います。また、財務省ファミリーのみなさんには、武藤敏郎さんが日銀総裁になれなかったことが、小沢一郎被告の「東大法学部嫌い」のひがみによる命令とはいえ、お詫びしたい。

 新聞報道では錯覚してしまいますが、実は追い込まれているのは、統一地方選改選議員を多く抱える公明党と自民党と日本共産党です。とにもかくにも、民主党はきょうも1歩(公聴会設定)、1歩(財金委所信表明)、1歩(党倫理委員会開催)、前に進みました。

国会の見える化が進む 予算関連法案が予定どおり審議入り 衆院本会議

2011年02月15日 22時22分33秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]予算関連法案の質疑にのぞむ、衆院財務金融委員の岡田康裕さん=衆議院インターネット審議中継

 きょう2月15日は雪が積もりました。皇居→国会議事堂→議員会館→議長公邸→議員宿舎と、あいだに民間ビルを挟みながら配置されています。その衆議院議長公邸ではごらんのようなパウダースノーの状態だったようです。



[写真]衆議院議長公邸(議員会館の国会から遠い側、赤坂側)の雪化粧=横路孝弘議長撮影、gooブログ「衆議院議長よこみち孝弘です」から

[衆院本会議 2011-2-15]

 さて、責任政党・民主党は、予算関連法案を当初の予定通り本会議で審議入りさせました。1時間半ほど開会が遅れ、本会議後の財務金融、総務両委員会での提案理由説明はきょうは流会となりましたが、民主党は「国会の見える化」をめざして、ブルドーザーのように前に進みました。

 民主党は財務金融委員会を代表して、兵庫10区の岡田康裕(おかだ・やすひろ)さんが質疑に立ちました。

 岡田さんは「いよいよ審議入りする予算関連法案はまさに国民の生活に直結するものであります。先日こちらにいらっしゃる(野党・自民党の)谷垣(禎一)総裁から『カド番の八百長相撲につきあえない』という発言がありましたが、多くの国民のみなさんは与野党がぶつかるだけで、何も決まらない、何も進まない形骸化した姿を八百長と見ている」と与党第1党党首(シャドウ首相)を名指しで痛烈に批判する皮切り。

 「カド番なのは、まさにこの国の経済であり、社会保障であり、財政であります」として、「多くの国民が不安を持って、この(予算関連)法案の行く末をみており、党派を超えて、国民生活の議論をしていこうではありませんか」と出口である参院側を見すえて、訴えました。

 岡田さんは薄いブルーのネクタイに、最近では珍しくネクタイピンをするという自分を抑えた1年生議員らしい姿でありながら、野党第1党を名指しで批判しながら、参院側の出口を見すえたすばらしい演説でした。

 

 一方、答弁に立った総理の菅直人さんは、先日の永江孝子・民主党幹事長補佐らのアドバイスもあってか、濃い赤色の自分をアピールするネクタイ。

 

 また、日ごろ本会議で登壇する機会が少ない、民主党政調会長(兼)国家戦略大臣の玄葉光一郎さんも岡田さんの指名で登壇。こちらは青地に緑のストライプで総理をあくまでも支えるために脇役に徹していることを感じました。玄葉さんは政調会長として、いわば、1年生議員全員を含む政府外議員のキャプテン、兄貴ですから、こうやってドンドン答弁者として指名したらいいと思います。きょうも、予算関連法が「仮に」失効したときの国民生活への影響について、具体的に数字を挙げながら説明してくれました。これを聞くと、組織代表の自民党参院議員も、造反の誘惑にかられるほど、一部の人に大きな影響がでます。そうです、ビビルのは国民ではありません。自民党参院議員、たとえば、重油でJA、不動産連盟から支援を受けている議員、離党がある鹿児島、沖縄の議員(離党向けの飛行機の燃料税の減税失効)、公共事業関係者から支持を受けている参・国対委員長、恩給(年金と違って全額税金)と関係ある副議長(無所属)たちが、国民よりもっと困るのではないか、と私は感じました。それで、こういう答弁を総理や財務相にさせるわけにいきませんから、ドンドン玄葉さんに答弁に立ってもらえば、1期生の声をうまく紹介しながらも、卓越した政治センスでバランス溢れる本会議答弁にしたてて、総理と民主党を助ける。頑張れ!岡田、頑張れ!玄葉。

 ◇

 公明党の竹内譲さんは、「法人税減税は、菅総理が『失敗した』と主張していた『第2の道』ではないか」として、法人税率下げを批判しました。

 日本共産党の佐々木憲昭さんが「(予算案や税制改革法案の)法人税率の引き下げには反対だ。昨年6月のG20財務相会合での峰崎直樹さん(当時財務副大臣、現在は内閣官房参与)が先進各国に提案した『法人税引き下げ競争からの脱却』をめざすべきだ」としました。法人税率の引き下げについては、社民党が予算案の修正で要求しています。私はコミュニストではありませんが、衆・財金委員と衆・議運委員を兼ねる隠れたキーパーソンである佐々木さんの意見に賛成したいと思います。この辺に修正協議のカギがありそうです。

 また、菅首相は、社民との中島隆利さんへの答弁で「(地方税である)法人二税への影響(=減収)はない」と強調しました。

 ◇

 財金委に付託されたのは大平内閣から毎年時限立法でやってきた「平成23年度財政運営のための公債発行特例等法案(177国会閣1) 」と「所得税法等改正法案(177国会閣2)」の2つです。あす午後12時30分からの財金委で、提案理由説明をめざします。

 また、総務委員会に付託される「地方税法改正案」「地方交付税法改正案」に加えて、1971年(環境庁発足の前年)から10年ごとに延長してきた「公害防止事業に係る国の財政上特別措置法改正法案(177国会閣6)」も審議入りしました。とくに「公害防止事業の自治体財政特措法」は自民党こそ、賛成すべき法案だと考えます。

 ◇

 さて、予算関連法案について、おとといのNHK日曜討論で、民主党国対委員長の安住淳さんが「予算関連法案の分割」を持ちかけたので、先週中に決まっていたきょうの本会議での予算関連法案の審議入りがどうなるのか、出し直しになるのか、と思いましたが、1時間半遅れで審議入りし、自民党らも出席したようです。

 やはり国会の見える化で、国民の目が、衆参与野党に向かっているので、自民党もお得意の「TVカメラの前では優等生&野党批判、TVカメラが去ればぐうたら」という戦術をとれなくなってきたようです。ちなみに、日本銀行政策委員室に務めた小野塚勝俊さんは、自民党本部に「ご説明」に行ったときのその姿が嫌で嫌でしょうがなくて、民主党からの出馬を決意するきっかけになったようです。小野塚さんも今国会で財務金融委員に選ばれています。さて、予算関連法案の賛成討論に抜擢するのはだれでしょうか。それも興味深い。国対や古本伸一郎筆頭理事が誰を選ぶか。身びいきですが、小山展弘君を選んで欲しいけど、理事経験もある柿沼正明さんも年の功があるし、苦労している。注目です。

 岡田康裕さんについて。私はこの人の質問デビューを、財金委の一般傍聴席で聞きました。このときは玄葉光一郎委員長、篠原孝筆頭理事(現・農林副大臣)という布陣でした。そのときは、答弁席の副総理と財務大臣を兼ねる菅さんに対して「ワニの口(収入と支出の差)がどうしたこうした」「イタリア財政はこうだ」という話をして、菅さんは持ちネタだった「先日G20に行ったらギリシャ財政が話題ばかり」「日本はギリシャになってはいけない」と答弁。正直言って、何が何だか訳が分からない審議だったのですが、選挙区から遠いので東京のスタッフや友人だと思いますが、岡田さん目当ての傍聴人が10人ぐらい来ていたようで、人望を感じました。

 苗字は岡田ですが、、岡田克也さんとは「残念ながら親戚ではない」というのが岡田康裕さんの弁。一方の岡田克也さんは「50代さかのぼれば親戚かも知れない」と、相変わらず優しいのか厳しいのか分からない岡田節。岡田康裕さんも「残念ながら」など言わずにのっけから自民党総裁を名指しで批判する勇気と自信があるんだから、「民主党の岡田」といえば、岡田康裕になるかもしれませんね。岡田克也さんもうかかしてられません。3年前まで、「野田」といえば」99%「野田聖子」でしたからね。

 
[画像]自民党本部6階の総務会室前の廊下で総務会(民主党でいうところの常任幹事会)の開催を阻止するため、先輩に胸ぐらをつかまれながら抗議する1年生議員(通称・小沢チルドレン)の岡田克也さん、1993年6月、テレビ朝日さん映像からキャプチャー

 岡田康裕さん、その名に恥じぬ立派な代表質問でした。

そして、これから国会のみえるところで、修正協議をする。こんなの、当たり前ですが、自民党では当たり前どころか、同党の総務会・政調会でシナリオが出来ているという、八百長相撲どころか、(一部をのぞいた「プロレス政治」が数十年続いてきました。もちろん激しい議論はあったわけで、それが外に出て、オープン化されたから、うんざりするような場面もあるし、新聞社のデスク連中はアタマが切り替わっていないから、予算関連法案のゆくえに不安が出てくるわけです。平成になってからはずっと衆参はねじれています。心配はありません。必ず成立します。年度内かどうかは確約できませんが、前例がないから、新しい歴史が生まれる瞬間をみんなで一緒に見ていきましょう。

 また、国家国民のために、業界団体の方は、ぜひとも支持する自民党の参院議員に圧力をかけてくださいますようお願いします。

 きょうは、社会的地位の高い読者から朝メールをもらい、「赤字国債臨時特例法案の成立と国債(長期金利)について不安だ」「(前エントリーの)年金支給の口座からの溜まり金の引き出しのエントリーは、きょうではなく、4月15日アップに先送りした方がいいのではないか」とのご意見をいただきました。その、お返事を書いていたら、私はかえって不安がなくなりました。というのは、分割&つなぎをやれば、年度をまたぐかもしれませんが、必ず成立します。ぜひ、みんなで支え合って、国会を見ていきましょう。自民党も何だか少しずつ焦りだしている気がします。


議長公邸の雪化粧 - 衆議院議長 よこみち孝弘です

 15日(火)、東京は今年初めての積雪となりました。都心では1,2センチの積雪で、北海道の方にとっては何でもないでしょうが、こちらでは歩行者の転倒や電車の遅れなど、それなりに影響が出ています。執務室から見た議長公邸の庭は一面の雪ですが、玄関部分は朝から職員総出で雪かきが行われました。

 今日は、衆議院本会議で、公債発行特例法、国税関連法、地方税関連法の趣旨説明とこれに対する各党の質疑が行われます。3時間を超える長い本会議になりそうです。国会では、来年度予算の審査が進められていますが、これと並行して、重要法案の本会議趣旨説明を経て、各委員会で法案の審査が本格化いたします。国民生活に直結する重要な案件ですので、各委員会において充実した審議が進められることを期待しております。


[呼びかけ]厚生年金支給日 受給者はすぐに銀行から引き出して→銀行は国債(子孫へのツケ)を買います

2011年02月15日 00時00分00秒 | その他


 厚生年金受給者の方にお願い。

 2月15日ということで、2ヶ月分の年金が口座に振り込まれていると思います。技術的には、前日夜にすでにお金を入っていますから、早朝にATMに行ってもすでに、口座にはお金があると思います。

 ぜひ、そのお金を、支給額ピッタリ分引き出して欲しいと思います。

 というのは、年金が口座に入った後に、受給者が引き出さないお金、仮に「溜まり金」という言い方をさせてもらうと、最近は銀行はこの溜まり金をあてにしていて、さっそく国債を買っているようです。

 そのため、日銀が金融緩和をしているのに、銀行にマネーストックがたまり、貸し出しに回らない事態になっていて、市中・まちなかにお金が流れない状況がおきているようです。

 ですから、厚生年金受給者の方は、窓口に行ったりして、支給日に現金で引き出して欲しいと思います。使うアテがなければ、複数のバンクと取引がある人なら、たとえば、三菱銀行からおろして、住友銀行に移してもいいでしょう。銀行としては「アテ」が外れたことになりますから国債の発注額が減るかも。とにかく、厚生年金を自身の口座に滞留させないようにしていただきたいと思います。

 そして、すべての金融機関営業マンに告ぐ! もっとチャリンコ(自転車)を漕げ!
 チャリンコを漕がない金融マン(融資をせずに国債を買う金融マン)など、バッジを持たないセンセイと同じ。存在そのものを疑われます。

 どうか、厚生年金受給者のみなさんには、ご協力いただきたいと思います。あなたが口座に滞留させた厚生年金は、国の借金に回ります。子孫の負担になります。田舎の生活が嫌で、東京に出てきて、サラリーマン人生をまっとうした方も、子孫に美田を残しましょう。理論や理屈が分からないという方は、私・宮崎信行を信じてくださる方に限り、よろしくご協力のほど、お願いします。

 もちろん、国民年金受給者の方にも、同様のご協力をお願いします。


ナント!参院決算委員会が「平成20年度(!)決算」をようやく(平成22年2月)承認 

2011年02月14日 20時49分57秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(未定稿)

[参・決算委員会 2011-2-14(月)]

 参院決算委員会は14日、民主党、自民党、公明党、みんなの党、統一会派「新党改革・たちあげれ日本」の賛成多数で、「平成20年度決算」を承認(是認)しました。また、委員会としての「政府に対する警告決議」を、決算に反対した日本共産党、社民党も含めた全会一致で可決しました。念のため、もう一度書きますが、「平成20年度(2008年度)決算」です。2008年度といえば、福田内閣が編成した予算案で、道路特定財源、ガソリン値下げ隊の揮発油税の1ヶ月間失効、そしてリーマン・ショックによる麻生内閣の補正、そして「定額給付金」補正があった、あれが平成20年度予算・決算です。それが、きょう委員会を通過し、これから本会議に上がります。なお、衆院側では予算委員が「平成23年度予算案」の地方公聴会のため、出張していたので、野田佳彦財務大臣ら9閣僚が答弁席に座りました。

 遅い!!

 大企業でも零細企業でも、こんなに遅れたら、融資も受けられないし、税務署に叱られる。自治体だって、前年度決算を議会が承認して、翌年度決算を首長が編成して、提出します。

 質問に立った、第22回参院選で初当選した自民党の若林健太さんは、「トヨタ自動車は世界に広がる決算を(3月31日にしめて)5月上旬に出している」「東京都は複式簿記・発生主義会計を平成18年から取り入れて、3月決算を9月に出している」として、財務省や会計検査院による決算書の提出が遅いと批判しました。若林さんの質問を受けた・政府特別参考人の西村正紀・会計検査院長は「数字のチャックをもれなくする計数処理と全国出張による実地調査で、翌年6月までかかり、(総理に手交する)報告書をまとめるのは10月ころになります」と答弁しました。

 これについて、散会の1時間後に開かれた民主党の定例幹事長会見で岡田克也さんは、「決算の細かい数字が必ずしも特定されなくても、概算で(決算委員会の)議論でやってもいいのではないか」との新方式を発案しました。これに先立つ参院委員会質疑の中で若林さんも検査院に対して、「今まで会計検査院の計数チェックの結果、数字が大きく違ったことがあるのか?」と質問し、西村政府特別参考人は、「特にない」と答えました。若林さんは「現場とのチェックは期中から初めて、期中と期末のメリハリある検査が必要ではないか」と提案しました。

 若林健太さんは、「ミスターリリーフ」こと若林正俊元農相の後継者として、第22回参院選長野選挙区に出馬。定数2のなか、293,539票を獲得し、防衛大臣の北澤俊美さんを「3、512票・得票率0・3%差」でかわしてトップ当選。俊美さんは当選4回目にして初めてトップ当選を奪われました。NHKの当確は開票開始1時間44分後という大苦戦でした。で、その若林さんを直に見たのはきょうが初めてでしたが、まさに「敵ながらアッパレ!」の質問でした。

 岡田幹事長は「参院が決算審査に熱心に取り組んでいることに敬意を表する」と述べましたが、これに先立つ若林さんの質問でも、「財政法では、決算書の提出時期を、通常国会の冒頭としているが、参議院(の先輩たち)の取り組みで、(およそその2ヶ月前の)前年11月20日ごろとなっている」として、野田財務相に財政法の改正を要求しましたが、野田さんは「官庁会計システムなど改善したシステムを運用しているが、全府省をまたぐ格好となると、現時点では難しい」として、前に進むものの、法改正は拒否しました。

 平成20年度決算審査は例年より1年近くスケジュールがずれ込みましたが、討論の中で、社民党副党首の又市征治さんは、「平成20年度予算は自公政権が編成して、平成20年度決算は民国政権が提出した。与野党を越えて国会の審議をして、(平成23年度)予算に反映することができなかった」と批判しました。又市さんは初当選以来、参院決算委員をつとめているそうです。そのうえで、次の決算審査(すでに平成21年度決算書は昨年11月に全国会議員に配布済み)について、「平成21年度予算は自公政権が編成して、政権交代で民国政権が執行停止や補正したものになる」として、さらに難しい審査になるので、参院として各会派が協力し合うべきだと主張しました。なお、岡田さんは記者会見で「決算書が出てきたときには(総選挙で)政権が変わっているということがなるべくないようにスピードアップしたい」と述べました。

 ちなみに、参院決算委員会と岡田さんの定例会見を並べて書いていますが、岡田幹事長は民主党役員会で「小沢一郎議員の党員資格停止を常任幹事会に発議する」という仕事をしていましたので、参院決算委員会を見ていたということはないでしょうが、私が質問したら、このような答えをもらえました。分かっているのに、なかなか前に進まない国会改革。

 討論の中で、自民党の岡田直樹理事(森喜朗首相の親戚)は、「100年に1度の危機を言えるリーマン・ショック後の2度にわたる補正は、当時の(麻生自公)政府のタイムリーな政策であり、これがなければ、今の経済状態はもっと悲惨なものになっていた」として決算承認に賛成しました。そのうえで、委員長と理事が作成した「政府に対する警告決議案」について、「(府省、自治体、公益法人などに)不適正支出があり、政府に対して対応を求めるために、警告決議案に賛成する」として、「最後に昨年の通常国会で承認する手はずが、臨時国会を越え、ついには(翌年の)通常国会まで来てしまった。政府と与党に反省を求める」として、役人と民主党に責任を転嫁するような発言をしました。

 みんなの党の柴田巧さんは景気回復については、「我が党の代表である当時の渡辺喜美・金融担当大臣の対応」、行政改革については「我が党の代表である渡辺喜美・行革担当大臣の対応」が良かったので、決算に賛成するという趣旨の発言をしていました。

 このように非常に原稿にしずらい、切り取りにくい審議なので、あまり新聞記事にならないと思います。

 なので、私も好き勝手に書きます。

 ◇

 きょうの決算委員会は、直接国会に出向いて傍聴しましたが、「決算とは確認ということだな」と思いました。

 というのは、私はこのブログの中で、別段民主党マニフェストに書いていない自論を展開してきました。国の出先機関(地方支分局)の統廃合について、「まずはとりまとめ役の総務省が総務省行政評価局を本省・出先機関とも全廃して、身を切って、他府省に出先機関の廃止を迫るべきだ」。その理由は「なぜなら、きょう突然なくなっても困らない唯一の出先機関は、管区行政評価局だからだ」「本省と含めて1250人の雇用を確保(他部署へ異動)すれば誰も困らない」と書いてきました。これはきょうの審議を聞いても、民主党も、自民党も、みんなの党も、違う方向性の話をしている訳で、私の政策はまったくの「河村たかしさん状態」なんだけど、私はきょうの決算審査を聞いて、自分の論に自信を持ちました。

 みんなの党の柴田さんの質問では、「まず総務大臣に聞きたいのは、消えた年金の解決にあたる年金確認地方第三者委員会は管区行政評価局にあり、本来の業務を減らして、消えた年金の確認業務にとられている」として、総務大臣から他の大臣への勧告が、柴田さんによると年間12件から年間6件に減っているとのこと。そして、総務庁行政監察局が総務省行政評価局に衣替えして10年経つけど、片山善博・総務相の答弁では「行政評価局は、事業仕分けの後、行政刷新会議に触発されて、ミッション(使命感)に目覚めた。年金確認の仕事が終われば、行政評価や行政相談の仕事に早く戻りたいので、(年金確認の仕事が早く終わるよう)厚労省と密に行動したい」と述べました。私は総務大臣の勧告が半減したことが各府省の金遣いが荒くなった理由とは思えないし、事業仕分けに触発されて、ミッションに目覚めたとすれば、おそらくこの1年間の話である。どう考えても、この局はいらないだろうと思う。決算委員会で自分のアイディアの方向性は正しいのだろうと確認することが出来た。ちなみに、上で触れた西村正紀・会計検査院長は、略歴を見てもらえば一目瞭然で、総務庁で「中部管区行政監察局長」も務めたバリバリの総務庁行政監察局(現在は総務省行政評価局)のキャリア官僚なのです。

 ◇

 ヒジョーに様々な切り口があるので、また衆参の本会議のときにでも、きょうの傍聴ノートから何か書くかも知れませんが、やはり党派・当選回数を問わず、すべての国会議員に反省して欲しい出来事です。とはいえ、政権交代時の決算委員会の運営については、参院事務局が諸外国の事例を調べたり、かなりの苦労があったやに聞きます。お疲れ様でした。

 きょうの内閣府のGDP速報によると、日本は世界第3位に転落しました。トヨタ自動車が全世界の連結決算を1ヶ月半後に出しているのに、日本の国会はスピードが遅すぎます。とはいえ、なかなか味わいある充実した審議を聞けて、満足しました。決算委員会というのはなかなか面白いですよ。岡田さんは「政府も努力して早く・・・決算を出したときには政権が(自民党に)代わっているということで意味がありませんので・・・早く出す工夫が必要だ」と述べました。“事業仕分け”の要素も決算審議に取り組んでいけば、予算委(抽象的)よりも決算委(具象的)が花形ということになる可能性もあると考えます。

(このエントリーの中の、質問・答弁の正確な表現は、参議院インターネット中継や、後日できあがる会議録をご参照下さい)


安住淳国対委員長、予算関連法案を分割へ NHK日曜討論

2011年02月13日 10時18分31秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意
 13日放送のNHK日曜討論で各党の国対委員長が集まり、予算および関連法案の成立について議論しました。司会はNHK解説委員で中央大学辞達学会出身の島田敏男さん。

 この中で、9時25分ごろ、民主党の安住淳・国対委員長は、予算関連法案に関して、「関税定率法案や、それぞれの法案で全会一致で可決できる部分、国民生活に影響がでる日切れ法案は別々にお願いしたい」として、予算関連法案を分割する考えを示しました。時期や担当に関しては、「私があした(14日)にでも、それぞれ(各党の国対委員長室に)おじゃまをして、お願いしたい」と話しました。民主党は15日(火)午後1時の衆院本会議で、予算関連法案(歳入・歳出とも)のうち、財金委と総務委に付託する法案について、趣旨説明と代表質問をする予定ですが、この日程への言及はありませんでした。閣法を出し直すという考えもありますが、国会で修正するという新しい国会を見てみたいと、私は感じました。

 これに先立ち、自民党の逢沢一郎・国対委員長は「民主党は与党としてもっと苦労しないといけない。もっと苦しんで年度越えをしなければいけない。もっと本気にならないといけない、と国民も見ている」として、マニフェストの撤回を要求しました。また、予算案、赤字国債臨時特例法案に反対すると明言しました。

 一方、日本共産党の穀田恵二・国対委員長は、「むしろマニフェストをしっかり実行しなさいというのが共産党の立場だ」として、まずは賃上げを要求しました。

 公明党の漆原良夫・国対委員長は「マニフェストの年金部分の破綻は明らかで、修正ではなく、首相が謝罪すべきだ」と話しました。

 水野賢一・みんなの党国対委員長は「みんなの党はただ反対のための反対、の党ではない」としました。

 友好政党・社民党の照屋寛徳・国対委員長は「マニフェストをすべて修正すべきということではない」として、「マニフェスト変更の理念が必要だ」として、部分的な修正を求めることを示唆しました。

 与党である国民新党の下地幹郎・国対委員長は「マニフェストは着実にスタートしている。まだ完成していないだけだ」としながらも、「マニフェストになかったTPP、法人税減税、消費税増税」が出てきたことに苦言を呈しました。

 島田解説委員が安住さんに「予算関連法案が参院で否決された場合は衆院で3分の2での再議決に踏みきるのか」と問うと、安住さんは「できるだけ合議で行きたい。(3分の2は)非常に微妙だ」と述べました。

 その上で、「柵がないのが策だ」として、国会に法案を出した上で、オープンな過程で議論し、修正可決も視野に入れる、八百長がない国会運営を民主党はやっていく方針を力強く打ち出しました。

 自民党の逢沢国対委員長は、「小沢問題は国民はうんざりしている。政倫審も(本人が出席しないので)ダメなんでしょう。民主党が(予算委で賛成して)証人喚問を実行すべきだ」と述べました。公明党の漆原さんは「起訴後に証人喚問を受けた例は6人いる」として、「刑事事件で争われている事実以外に、(小沢さんには)周辺で聞きたいことがいっぱいある」と述べました。水野さんは「国会で説明しないで、インターネット番組で発言する姿勢を問題視している」とのみんなの党の立場を示した上で「収監中の人間に出張尋問した(証人喚問の)例もある」と強い覚悟でのぞむことを示唆しました。これについて、下地さんは「番組で説明しているから問題ない」と小沢さんをかばいました。照屋さんは「社民党としては公開した上での政倫審で説明すべきだという姿勢でずっと変わらない」としたうえで、「民主党の決意と覚悟が問われている」としました。安住さんは「小沢先生は政倫審で説明すると言っている。執行部としては今国会が始まる前に出席して欲しかったのだが」として、理解を求めました。

 3月危機への懸念について、安住さんは「いろいろ言われているが、政権交代後に民主党で採決に造反した例は1件も出ていない」と強調しながら、「政権与党にいて、予算案や予算関連法案に反対するのは相当な覚悟が必要だ」として、小沢グループ(一新会、北辰会)を徹底的に締め上げる可能性を示唆しました。

 番組を通して気がかりだったのは、安住さんがかつてないほどプレッシャーを感じた行き詰まった表情だったことです。NHKの先輩の島田さんから安住さんへの優しくも厳しい、NHKの社風らしい、軽妙かつ助け船にも思える質問には、的確と感じられる返答をしていましたが、野党の発言に対して、反論するという場面はまったくありませんでした。

 なんとか、この苦しい局面を党員・サポーター一堂で支えていきましょう。なお、今週、小沢さんの党員資格停止に向けた手続きが始まると思いますが、党内でバカな動きをした国会議員はストレス解消も含めて、国対に半殺しにされると思います。

 予算関連法案を分割するのもいいですが、2ヶ月間のつなぎ法で、統一選(4月24日終了)の後、に審議して、5月31日まで議論の時間を延長するというアイディアもあると考えます。とはいえ、ぜひ提出した閣法は、どんどん趣旨説明(提案理由説明)して、衆院で審議入りさせちゃってほしいと思います。

 私は、鉢呂吉雄さん、安住さんらの「オープンな国対」「国会見える化」を支持します。自民党や参議院も同調して欲しいと願います。

菅直人耐えて行け克て時は寒

2011年02月13日 09時09分39秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 おはようございます。お寒うございます。

 きょうの朝日新聞11面の「朝日俳壇」で、時事俳句の投稿が入選するという面白い出来事がありました。
 選者は俳人、金子兜太(かねこ・とうた)さんで、投稿者は八王子市の田中由紀子さん。

 「菅直人耐えて行け克て時は寒」。

 「菅(カン)」と「寒(カン)」の韻をふんで、「耐えて行け!克て!」とエールを送っています。

 朝日の学芸記者が書いた記事では、「本日の朝日俳壇欄、金子選に時事俳句が選ばれた。実験的な句を選ぼうとする金子さんにしても「ここまでストレートな表現は普段はとらない(=選ばないとの意味)」。--と書いており、極めて異例な出来事なようです。懐の寒さ、世情の寒さを反映して、俳壇も心がまっすぐに伝わる三多摩からの応援俳句を季語がしっかり入っていますので、入選させたようです。この朝日新聞紙面が後の世の人から見て、どういう風に感じられるのか、気になるところですが、前に進むしかありません。

 記事では、作者の田中さんがインタビューを受けたようで、「逆境の菅首相にエールを送りたかったのが最初の思い。韻を踏んで〈時は寒〉という季語を選んだ時、ことしの厳しい寒さと世の中の寒々しさが重なった」と話し、「菅首相だけでなく、世間にもうすぐ春が来ますよ、と伝えたい」とのこと。この田中さん、楽天主義者のように思いますが、春は必ず来ます。地球が太陽の周りを回っていれば、日本列島は3月か4月から春になります。だから田中さんは楽天主義ではなく、当たり前のことを、ちょっとアタマをひねって、俳句にしたためただけのことなのです。

 ちなみに、行け!克て!ということで、「勝」と「克」はどう違うのかな、と白川静『字源』をみたら、「克」は象形文字で、刻む道具が由来。なので、「かつ(勝つ)」の他の意味として、「きざむ」、「たえる」、「「うちかつ」という語感(ニュアンス)もあるようです。菅さんは衆院選挙では10連勝していますが、己(おのれ、自分)に克つのはあまり得意でないかもしれない。歴史に名を刻み、己に克つまで、菅直人は前に進むしかない。それが国民生活の窮乏を脱出する唯一の道です。

 朝日俳壇では4人の選者が毎週10句ずつ選んでいます。

 兜太さんは「菅直人耐えて行け克て時は寒」を入選させた理由を次のように評しています。「こういう俳句があってもよい」--達観したような表現に、現在91歳の兜太さんが、元気に長生きされている秘訣を見た思いがしました。


民主党は「小沢詐欺フェスト」を撤回すべきだ 衆院予算委、子ども手当

2011年02月12日 08時52分08秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]厚労副大臣の民主党・小宮山洋子さん

【衆・予算委員会 一般的質疑 2011-2-10など】

 2月7日週は、子ども手当についてが最大の論点となりました。

 月曜日(7日)の一般的質疑で、公明党の竹内譲さんが、「なぜマニフェストの子ども手当の1人あたりの月額が1万6000円から2万6000円に引き上げられたのか?」と問題提起しました。

 岡田代表時代の04参院選マニフェスト(自民党を49年目にして改選第2党に転落させる大勝)、05衆院選マニフェスト(民主党結党以来初の議席減の大敗)では「子ども手当は月額1万6000円」だったのに、小沢代表になった07参院選マニフェスト(非改選とあわせて第1党に躍進)、鳩山代表が引き継いだ09衆院選マニフェストでは「月額2万6000円」になっています。

 これについて、公明党理事の富田茂之さんが10日、「小沢代表のときに選挙目当てで、エイヤー!と1万円上げて2万6000円になったんじゃないのか、と私はずっと思っていました」と発言しました。この富田さんの発言について、岡田克也幹事長の その日の夕方の定例記者会見で私が質問したところ、「個別の議員の発言についてはコメントしない」とし、2万6000円になった経緯については「(2005年9月~2009年5月は役員でなかったので)承知していない」と答えました。

 国会審議では、質問者が答弁者を指名できます。これは野党の作戦でしょうが、子ども手当については、7人ほどの閣僚(細川厚労相、菅首相、野田財務相、玄葉国家戦略相(兼)民主党政調会長、枝野官房長官、与謝野・税と社会保障の一体改革大臣、片山総務相)らに質問をぶつけるので、答弁が混乱しています。自民党の加藤勝信さんが9日、「これじゃあ質問できません」と中井洽・予算委員長に政府統一見解の提出を要求すると、「あす朝の理事会で政府に提出させます」と中井さんが、その場で職権を発動するほどのグチャグチャな状態です。中井さんの対応は良かった、と私は考えます。

 政府統一見解が出た後の、10日の質疑で富田さんは、「民主党『子ども手当』政策の変遷」と題する資料を配付しました。当ブログは独自にこのペーパーを入手しました。これをみると、1998年6月5日の98参院選選挙公約の「言及なし」から始まり、10マニフェストまでの12年間にわたって、マニフェスト・選挙公約・インデックスの変化を示しています。これは公明党は「マニフェストは破綻しているので、撤回して、予算案を修正しろ」という方向に政局を持っていこうという考えがあると思われます。仮に撤回したら、公明党はどうしてくれるのでしょうか?

 先に、この問題のキーパーソンはだれかということを書きます。それは、野党・民主党税調で頑張ってきた小宮山洋子さん(現厚労副大臣)、それと“子育て費用1人月2万6000円”の積算をしたとされるママさん議員で現文科政務官の林久美子さんということになると思います。ところで、蛇足ですが、自民党の女性衆院議員が、同期当選同い年の女性議員(自民党→新進党→自民党)と仲が悪く衆院本会議場でののしりあったことは有名です。うってかわって、民主党では女性議員同士は仲良し。プライベートで海外旅行にでかけるほどです。たとえば、衆院本会議場では、田名部匡代さん(現農水政務官)菊田真紀子さん(現外務政務官)が隣席で、そのおしゃべりの輪に郡和子さんや、小宮山洋子さんが加わり、衆議院議長が入場してくるとあわてて自席に戻るという光景はよく見かけます。参院本会議場では林久美子さんと蓮舫さん(現・行政刷新相)が隣席で、おしゃべりしながら、参議院議長が入ってくると背筋を伸ばすという光景をたびたび見ました。

 ですから、小宮山厚労副大臣も、1万円引き上げの経緯について「何ででしょうね」とTVカメラに答えるのではなく、勇気ある告発をしていただきたい。正直、ホントウのところは分からないのでしょうが、お願いだから、推論で良いから、「おそらく小沢さんが選挙に勝つために財源を考えずに1万円上げたのではないでしょうか」と発言してもらいたいです。ところでキーパーソンのはずなのに、キーパーソンでない人。これは藤井裕久さん(現官房副長官)。税調の柱ですが、05郵政選挙から07参院選の直前まで、落選していて、衆院にいませんでした。ですから、この間の経緯が分からない。この「1万円増額の経緯」はホントウに誰も知らないというのが実情でしょう。

 富田さんの質問に戻ります。富田さんは、小宮山厚労副大臣が野党時代に、配偶者控除と扶養控除の廃止で1万6000円にする、としており、3兆円の財源が必要だと05マニフェストで言っている。なぜ2万6000円が出てきたのか?と玄葉さんに聞きましたが、玄葉さんは「分からない」と答弁。富田さんは「玄葉さんらしくない」としながら、冒頭に引用したとおり、「私は小沢代表のときに選挙目当てでエイヤーっと1万円上げて2万6000円になったんじゃないのかと私は思っていました」。

 さらに富田さんは、政権交代で発足した政府税調の「第100回会合の議事録」というものを持ち出します。ホントウに与党になると徹底的に野党に調べ上がられるんですね。そのなかで、小宮山厚労副大臣が「最初は、控除から手当へ、という基本理念のもと、男女共同参画と子育て支援の目的から1万6000円にした」という趣旨を述べていると指摘しました。これは、配偶者控除を廃し「専業主婦が原則」から「共働きが原則」という家族観に税制を変えるものです。ただ、「共働きで子育て」はタイヘンなので、その分を手当てする。また、控除を廃止すると、高額所得者で著しい不公平や税額の変化が起きるのを防ぐ。さらには、控除を廃止するだけでは、非課税(低所得)の世帯にはメリットがないので、手当ということで現金をつぎ込む。これに加えて、財務省・国税庁が悲願とする納税者番号制にも近づきます。非常によく出来た政策だと思います。

   
[画像]05マニフェスト(画像をクリックすると大きくなります)

   
[画像]07マニフェスト(画像をクリックすると大きくなります)

民主党の過去のマニフェストはこちらをクリックするとご覧になれます(民主党ホームページ)

 第21回参院選で勝って、ねじれ国会になり、「法案の嵐作戦」(参院で民主党の議員立法を可決させ、衆院に送る作戦)をやっていたころの民主党ニュースに次のような記述があります。

[2007年12月26日付の民主党ニュースから引用はじめ]
http://www.dpj.or.jp/news/?num=12437

 民主党は26日、中学校修了までの子どもに、一人当たり月額2万6000円の「子ども手当」の支給を実現する「子ども手当法案」を参議院に提出した。法案提出には直嶋正行政調会長はじめ、法案発議者の神本美恵子『次の内閣』ネクスト子ども・男女共同参画担当大臣、島田智哉子、羽田雄一郎、林久美子、小林正夫、大河原雅子各議員が臨席。(略)

 神本ネクスト大臣は月額2万6000円に設定した根拠について、各種家計調査データ等をもとに算出したもので、中学校修了までの子どもにとって最低限必要な基礎的経費であると説明。林議員は「民主党は子どもが生まれてから社会に出ていくまで一貫して育ちを支えていこうというスタンスに立っている」と表明し、中学校修了までは同法案で支え、その後は公立高校の無料化、奨学金制度の拡充など、学びたいと思う子どもたちをサポートしていく制度を整えていく用意があることを明らかにした。

[引用おわり]

 これを読むと、この段階で、「控除から手当へ&ジェンダーフリー」の子ども手当1万6000円という1階部分におんぶに抱っこするように「子どもは社会の共有財産」という中2階が乗り、さらに屋上屋を架すように、「高校無償化」が盛り込まれたように感じます。この後、09マニフェストでは「高校無償化法案」は独立した政策となります。そして政権交代して、文科省が高校無償化を予算にし、子ども手当は中2階があるまま厚労省が予算化したことになります。そして、中2階を財務省が税外収入で支えている格好になります。

 例えば、私のブログを振り返ってみても、2007年10月17日付のエントリーで次のように書いていました。

当ブログ内の過去のエントリーから引用はじめ]

 民主党怒濤の法案ラッシュ。今度は参院選マニフェスト「3つの約束」の2つめ、「子ども手当」です。(略)
 民主党は「控除から手当へ」、「コンクリートから人づくりへ資源配分」を基本方針に、確定申告での(子ども向けの)扶養控除を廃止することなどで財源を捻出する考えです。ただ、それだけでは財源は足りませんから、補助金・交付金の削減なども進める方針です。
 今までは確定申告で、税務署に申告して、税金から引いてもらう方式でしたが、手っ取り早い現金給付に変更しようというものです。(略)民主党の少子化対策の目玉ですが、参院での審議では自民党から財源を同手当するのかツッコまれるでしょう。(後略)

[引用おわり]

 筆者(宮崎信行)自身が読みかえしてみても「それだけでは財源は足りません」と控除廃止だけでは財源不足だということについて、恐い物知らずの状態だったことに驚かされます。そして、それを「補助金・交付金の削減」などのムダづかい削減で何とかなると、たかをくくっていた節があります。また、「控除から手当へ」の税制改正と、「少子化対策」の両面の政策だということは理解していながら、2万6000円のうち、それぞれに、いくら、いくら、回るのか、かなりいい加減に考えていた感じがします。また、控除や財源について、国と自治体の分担については、どうやらまったく考えていなかったようです。

 こうやって少しずつ骨折してきて、ついには与謝野さんが「財源の一部に消費税を充てる」、枝野さんが「将来的には全額国費負担もあり得る」と答弁する始末で、大混乱。また、私は今週初めて気付いたのですが、ことしから恒久法案になるものだとばかり思っていたら、内閣が1月28日に国会に提出したのは「平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案」(177閣法9号)であって、またしても1年間の時限立法だったとうことに気付いてがっかりしました。

 子ども手当の平成23年度の国予算は2・2兆円ほどですが、満額支給となると6兆円ぐらいになりますから、国の税収のおよそ1・5割が自動的に子ども手当に流れることになります。最低保障年金は全額消費税増税分で賄うにしても、それでも財政の硬直化は著しく、経済政策での自由度は大きく損なわれます。そう考えると、小沢07マニフェスト、小鳩09マニフェストはかなりムチャクチャで、「詐欺フェスト」だったと、今になって気付きました。とはいえ、民主党は第45回衆院選を「2万6000円」で闘ってしまい、それは「国民からの命令書」(初代厚労大臣の長妻昭さん)だということで、第1次与党期に入ったわけです。このマニフェストをを第46回総選挙前に修正できるのは至難のわざ。小沢さんが丸坊主になって謝ってくれたらいいのに。小沢さんを切っても、マニフェストに残る小沢さんの亡霊。仮に小沢さんが死んでも、マニフェストにその亡霊が残ります。どうやら第1次与党期は、小沢さんの亡霊を最後まで引きずることになりそうです。

 2007年夏の「1万円ドーンと上げて、選挙に圧勝」した逆転の夏を思い返しながら、先日の、東京新聞政治部長、高田昌也さんが講演で何度も聞いた言葉を私もつぶやきたくなります。

 「民由合併をしなくても、政権交代はできた」

 ◇

 ところで、過去のマニフェストをみましたが、こんな自民党のホームページを見つけ、爆笑してしまいました第22回参院選で山梨選挙区で惜敗した自民党の宮川典子さんのホームページです。

  
[画像]自民党(山梨)の宮川典子さんのホームページ「日本をあきらめない。」

 日本をあきらめない。

 5年ちょっと前に、どこかで聞いたキャッチコピー。電通の残間さんが酷評していましたが。やはり時代を先取り過ぎたのでしょうか、私はそうは思いませんが。「国家百年の計」で選挙は勝てないのでしょうか。まあ、予算は通りますから大丈夫でしょう。予算関連法案も、2ヶ月間のつなぎ法案で、統一地方選後のゴールデンウィーク明けに結論を先延ばしする手もあります。しかし、統一選後は、ホントウに公明党に助けてほしいと思います。マニフェスト撤回、暫定マニフェストによる民公連立による内閣で、来年あたりに解散という訳にはいかないでしょうか。新進党の仲間じゃないですか~。散々新進党をいじめたくせにいつのまにか連立に参加している亀井静香さんなんか小沢と一緒に追い出して、民公連立やりましょうよ。

 
[写真]mixi の「岡田克也トピックス」の「にや」さん撮影の写真をお借りしました。

 まあ、いつかは分かってくれます。長生きが必要です。青山社中の朝比奈一郎さんのツイーとによると、孫文は辛亥革命の前に8回失敗していて、リンカーンは8回落選しているとのこと。朝比奈さんは「絶対的な前向き・楽天志向こそが世界を変える」

 ねばり強く、辛抱強く、がんばりましょう。まっすぐに、ひたむきに。

tags 細川律夫 菅直人 玄葉光一郎 枝野幸男 与謝野馨 片山善博


来週から予算関連法案の審議スタート 今後の政治日程を更新しました

2011年02月11日 10時43分42秒 | その他
雪ですね~@東京

さて、いよいよ来週から予算関連法案の審議が衆議院で始まります。正直、どういう結末になるか分かりませんが、つらくてもしっかり見つめましょう。

それにしても、不景気・雇用難は深刻。TVも良いけど、溜まっている本を読んでみる3連休はどうでしょうか。TVもタダのようで、電気代はすさまじいですからね。

とはいえ、昨年の「百識王」でご一緒した仲から、イノッチこと井ノ原快彦さんは、NHK朝の顔8時15分からの「あさイチ」として視聴率10パーセント、藤ヶ谷太輔君は、日テレ水曜日夜10時の連続ドラマ「美咲ナンバーワン!!」で準主役、岡本圭人君は、3月のTBS「3年B組金八先生ファイナル」で準主役で出演ということで大活躍。やっぱり「百識王」の収録のとき、ジャニーズJr.のお辞儀の深さは民主党候補者よりずっと深かったから、出世するとは思っていたけど、ここまでとは。どんな分野でも出世する要素は同じです。


今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行

今後の政治日程の方、更新しました。

http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65&entry=17649


最初の一ヶ月間は無料で、次の月から、840円(税込み)となります。

「河村劇場は自民党にも深刻な事態」「共通の危機意識が必要」岡田幹事長

2011年02月08日 17時39分55秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]笑顔で衆院を去った河村たかしさん(野党・民主党)。2008年通常国会。後ろは、前原誠司外相、岡田克也前外相、高木義明文科相ら(=与党になってからの肩書き)、毎日新聞さんの記事から拝借した写真です。

 民主党幹事長の岡田克也さんの2011年2月7日の記者会見では、名古屋市長選(出直し)・愛知県知事選(任期満了)・名古屋市議会解散の住民投票(リコール署名)のトリプル選挙で、河村たかしさんのチームが圧勝した「河村劇場」について、質問が集中しました。

 冒頭自ら、「申し訳ない」と謝罪。敗因として、(1)有権者の議会を見る目への問題提起(2)政治への失望感・閉塞感--などを挙げました。自らが民主党代表・ネクスト総理として大惨敗し多くの仲間を討ち死にさせてしまった2005年9月11日の「郵政選挙・小泉劇場」と同じワンイシュー(シングルイッシュー)の選挙だったとみずから発言し、「私はワンイシューは良くないと思っている」と述べました。これは、今後の政治人生で、選挙の構図を設定できる立場にあったとしても、「劇場型選挙」はしない。また、政権交代可能な政治を根付かせるために、国政選は、「与党の腐り方による政権交代の必要性および野党(政権準備党)の政策・人材の備え」を問う選挙システム・政治文化をつくりあげたい考えを示したものだ、と私は受け取りました。

 私が質問で、「増税」・「新税」に限らず、住民税「減税」も自治体の課税自主権であり、河村さんは国会議員時代によく勉強していたと指摘すると、岡田さんは「地方自治として、課税自主権をやる首長が出てきて欲しい」としましたが、岡田さんは「今減税をやる態勢なのか(疑問であり減税すべきではない)」と財政規律派らしい答え。それと、(河村減税は)多くの人にとっては(控除の関係で)減税になっていないということも申し上げたい」としました。ただ、私は大都市・名古屋から減税をきっかけに地方議会改革まで持っていくという大実験はもう余裕のある自治体がどんどん減っていく中で、パイロット自治体としてやってもいいと思うし、国政与党の幹事長が名古屋財政にそこまで言及すべきなのかというところで、珍しく、岡田さんと筆者の間でミゾを感じた記者会見でした。 

 2年前の名古屋市長選とは違い、民主党は今や国政与党です。国政与党の国会議員・秘書が東京から続々と名古屋に降り立ちし、幹事長が「名古屋がダメになる」とまで演説したのは、自民党の小沢一郎幹事長による「磯村尚徳候補擁立(対抗馬は鈴木俊一3選知事)」、鈴木都知事引退後の「7代の総理に仕えた官房副長官・石原信雄候補」、そして、青島幸男都知事引退後の「国際連合事務次長・明石康候補」と、「国政与党が下部組織の東京都に候補者(天下り候補)を送り込むという構図の選挙」で、私自身東京っ子として反感を覚えました。そして、現実に「天下り候補」は大差で落選しました。岡田さんが小沢さんに似てきているような気がして心配です。来月の出直し名古屋市議会議員選挙の結果までみないと「河村劇場」の判断はできませんが、岡田さんには反省して欲しいと考えます。

 岡田さんは「名古屋の選挙は自民党にとっても深刻な事態で、共通の危機意識が必要だ」としました。2月7日の衆・予算委員会では公明党幹事長代理の高木陽介さんが、「民主党の人は優秀だけど、現場を知らないんですよ」として雪害対策を批判しました。私が注目しているある民主党議員が「地元の自治体幹部と、臨時地方交付税(臨交)をすばやく措置することで一致しました」とツイート。一方で違う媒体で、「雪かきをする公明党地方議員の写真」を私は見ました。この辺にも民主党が抱える問題点を感じます。私はむしろ、民主党は国会議員が多い逆三角形政党のままでいいようにも、漠然とですが、感じます。

 河村たかしさんが一夜明けた月曜朝のNHKニュースに全国生出演しました。


[画像]再選を決めた河村たかしさん(左) 翌朝のNHKニュース「おはよう日本」の全国ネットで阿部渉アナウンサーの質問に答える(NHKさん映像からキャプチャー)

 この中で、地域政党「減税日本」とは何かと問われた河村さんは「(国政では)昔から政党というのはどっちが勝つかの団体戦なんです。昔なら、新進党自民党か。今なら民主党自民党か。(地方議会は)違うんですよ。(海外のニュース映像などで)よく見るでしょう、夜議会とかやって。ボランティア型にしていく。早く変わっていって、いろいろな人が入って。ボランティアって言ったって、(職業議員よりも)そっちの方が(地域や職能の)専門家なんですよ。それを「減税日本」という格好でやっていこうと思うんです」と話しました。

 この河村発言、まずは昔は「新進党か自民党」と新進党の名前を出してくれたのがうれしい。河村さんは市長選に出る1年前ぐらいでも、「僕は今でも新進党議員だと思っている」と話していました。小沢一郎氏による新進党解党後、河村さんらしいといえばらしいのですが、世渡りに失敗し、自由党に行ってしまいました。が、小沢氏の「保保連合構想」は二大政党制から遠のくとして、離党し、無所属を経て、民主党にちょっとだけ遅れて馳せ参じました。だから、新進党が解党していなければ、河村さんは「ハマコー的存在」として活躍してくれていただろうと残念です。

 「おは日」で河村さんは「日本の(国・地方)政治は言っちゃ悪いけど、八百長みたいなもので、それを本気に戻す(きっかけが)減税なんです」と語りました。一方で、岡田さんは「減税をするような財政状態にない」と反論しているわけですが、これは、ある意味、名古屋と四日市の商家のお坊ちゃん同士のけんかに思います。岡田さんは地方自治を知らないのではないか。北九州市長に再選した北橋健治さんに少し教えてもらった方がいいかもしれません。北澤俊美さんは県議5期ですが、今でも国政同期の釘宮磐・大分市長とよく食事をしているそうで、先日は総理官邸で菅総理との3者面談も首相動静で報じられていました。

 私は岡田会見で、新進党の仲間で、首長に転出していった達増拓也さん(次期知事選の推薦は常幹で決定済み)、松沢成文さん、上田清司さんに国会に帰ってきて、与党を助けて欲しいと思いませんか?と聞いたら次のような答えが返ってきました。「力を貸してもらいたいという気持ちになることもある」。

河村氏完勝、既成政党に衝撃…首長新党は追い風 : 地方選 : 選挙 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 減税と既成政党への批判を掲げた河村たかし・前名古屋市長の再選、大村秀章・前自民党衆院議員の愛知県知事の初当選は、4月の統一地方選を前に各党にショックを与えた。

 首長が地域政党をつくって議会の多数派形成を狙う「首長新党」の手法も、他の地域で勢いづく可能性がある。

 ◆圧勝の図式

 市長選の河村氏と知事選の大村氏は、「日本初の市民税、県民税の10%減税」を共通公約に掲げて「計600億円の減税で2000億円の経済効果」と主張。これで選挙戦を終始リードした。

 自分と対立する市議会を解散し、自らの支持者を議員に送り込んで議会を掌握したい河村氏。描いたシナリオは、知事選で同じ減税を掲げる候補を担ぎ、自らも任期途中で辞職して出直し市長選に出馬、タッグを組んで有権者の支持を得る――というものだった。この選挙と同時に行った住民投票で市議会も解散となり、有権者の喝采を引き出す戦術が的中した。

 名古屋市は赤字地方債(臨時財政対策債)を400億円発行している。このため、対立候補は「恒久減税を行う財源などない」と批判した。だが、減税の主張と一緒に展開した市議の「厚遇批判」も有権者の関心を集め、これも大きな勝因になったとみられる。

 ◆首長新党

 もう一つの戦術が「首長新党」という手法だ。河村氏は市長選で自ら率いる政党「減税日本」公認で出馬し、大村氏も知事選直前に「日本一愛知の会」を発足させた。これで支持率が低迷する民主党など既成政党への批判を演出した。

 今回の結果に勢いづくのが、橋下徹・大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」で、「既成政党の機能不全が証明された。次は大阪だ」(浅田均政調会長=府議)という。同会は自民・民主両党を離党した府議や大阪・堺両市議らをメンバーに橋下知事の「大阪都構想」の実現が旗印。統一地方選で行う府議選、大阪・堺両市議選で過半数獲得を目指す。

2011年2月6日22時13分  読売新聞)

野党の達人、中曽根康弘さん「民主党の完熟には5年かかる」「国民にも野党にも忍耐する義務がある」

2011年02月07日 05時02分16秒 | その他

[写真]元総理・中曽根康弘さん(同氏ホームページから)

 最近コメント欄が「炎上」ならぬ「混乱」になって、かなり疲れています。このブログを客観的に見てくれている旧い友人によると、1月31日の「小沢起訴」から「タガが外れた状態」になっているようです。しばらくコメント欄は閉じます。とにもかくにも、3月末に予算関連法案を通す方策をいろいろ考えています。衆・予算委一般的質疑は、歳入のはなしと歳出のはなしがごっちゃになりがち。自民党の田村憲久さんが、「マニフェストの問題は歳入なんですよね」と言っていて、センスの良さ、厚労委員の長さを感じました。議会政治先進国では歳出委員会と歳入委員会が分かれていて、また「歳出法案」など議案そのもの(審議の入り口)が分かれている国の方が多いです。日本の国会も見直すべきです。基本的には予算委の下に「歳入小委員会」をつくり、予算委本体で歳出・歳入をやる方がいいでしょう。もちろん、総務委・財金委が「歳入委員会」という考え方もできます。ただ予算委で区別できていない議員が与野党とも大半です。あまりにもレベルが低い!

 ◇

 さて。

 私は原理主義者と言っていいほど、前半生を「政権交代可能な二大政党(+α)デモクラシー」の確立を人生の目標にしてきました。元自民党の与謝野馨さんの税と社会保障の一体改革大臣としての入閣を歓迎しているのは、70歳を超えていることと、中曽根康弘元首相の直弟子だからです。中曽根さんは野党の達人で、「初当選は民主党」ですし(後述)。

 ◇

 中曽根さんは、国会閉会中に、「週刊ポスト」で、インタビューに答えています。その中から民主党、自民党、双方の支持者に読んでいただきたい部分があります。ねじれ国会の中での安定感ある知見を感じました。

[週刊ポストから部分的に引用させていただきます。はじめ]

(前略)

 --政権交代から1年半も経って「仮免許だから」というような民主党政権では心もとない。

 中曽根

 日本の政治は二大政党制になったけれども、政策的な二大政党制はまだ成就していない。特に外交においては、あまりにも長く野党にいた民主党は、この分野ではまだ処女性が強く、うぶな面がある。鳩山外交から今日まで民主党外交は失敗ですね。
 それが国民から見ると落ち着きがなく不安に映る。鳩山政権時代には、言葉が走ってしまって現実がついてこなかった
 では菅政権はどうかというと、その後始末に追われているだけで新しい菅外交というものは見えないですね。主体性が見えず、おっかなびくびくやっている。それが国民に政権の脆弱性を痛感させる結果になっている。

 --二大政党制は失敗だったという見方もある。

 中曽根

 政治を訓練する期間、訓政期という言葉がありますが、まあ国民も野党の自民党も、もう少し忍耐強く民主党が完熟するのを待ってもいいのではないですか。鳩山政権は、初めて政権を持った野党がどういうものかを見せつけましたね。直観的な発言をバンバンやって、後始末に困ってしまった。菅政権になると、今度は冒険的な発言をまるでしなくなった。追われてばかりいて、押し返す力がない。
 あと1年くらい経てば、政権も3年目で、落ち着きと慣れが出てくる。そうすれば独自の戦略も生まれてくるかな。しかし首脳部の力量不足が目につく。

 --うぶな鳩山政権が国民を不安にしたのは事実だが、かつての自民党政治に回帰しようとしている今の菅政権にも、政権交代を支持した国民は失望している。

 中曽根

 処女性の魅力を失ってはいけないが、しかし未熟さを早く脱却しないと国民に見捨てられる、そういうジレンマですね。
 しかし、そう短気になってはいけないんです(笑い)。この選挙制度、政治制度というものが成熟するには3年、5年はかかります。新しい路線を目指して進むという以上は、国民にも忍耐する義務があると私は思いますね。

 --民主党政権のどこが新しいのかが見えない。

 中曽根

 自民党政権との違いということならば、自民党が官僚寄り、財界寄りであった点を是正しようということでしょう。最初は極端にやろうとして官僚からも財界からも見放された時期が続いた。それを反省して修正し、その修正が続いているのが今の段階でしょうね。しかし、修正の時代は、長く続く、太く強靱なものを国民に示すというところまでできない。そこがこの政権の弱みです。(略)

(中略)

 --(略)日本に二大政党制が根付く可能性はあると思うか。

 中曽根

 ありますね。今はそこに行く過渡期でしょう。だから早く民主党は完熟する必要があるのです。

 --一方では、大連立も取り沙汰されている。

 中曽根

 考えや言葉が専攻し過ぎている。現実の必要性から出ている言葉ではない。大連立の理由にされている「ねじれ国会」などは政治の常道で、これまでいくらでもあったころです。
 例えば、憲法改正とか経済的危機を克服するために大連立というのならあり得る話だろうが、そういう現象もないのに言葉が先行するのは政治的に未熟な発送ですね。

(後略)

[引用おわり]

 ◇

 中曽根さんが野党経験が豊富で、「初当選は野党・民主党だった」と書くと、何のこっちゃ?と思う方が大半でしょう。

 中曽根さんは、現行憲法での初めての国会選挙(第23回総選挙)に、28歳の若さで打って出ました。ちなみに、同じ高崎周辺を地元とする、年長の福田赳夫さんは大蔵省主計局長を務めてから、第25回総選挙で初当選するので、年齢と当選回数がねじれて、両者の争い(上州戦争)はややこしくなります。ご存じのように、福田さんが先に総理になりますが、「三角大福」が激戦で消耗してくれたおかげで、中曽根さんは5年間の長きにわたり、総理をやれました。

 第23回総選挙は、女性も初めて参加し、「戦後ニッポン」のホイッスルが高らかに鳴った総選挙であり、内務省を辞めて、出馬した中曽根さんは政治センス・歴史観があったということでしょう。政権交代の夏(第45回総選挙)をテレビで見て、それから民主党に公募資料を送った2000人近くの人が、第22回参院選で落選したり、統一選で苦労したりしているはある意味では当然だ、と私は思います。28歳の中曽根代議士は、既に総理大臣で、新憲法で初出馬した吉田茂と同期なのです。

 中曽根さんの「民主党公認」はもちろん、今の民主党とは違う政党で、芦田均が党首でした。芦田は後に首相になりますが、衆院憲法調査委員長として、日本国憲法第9条第2項に委員長職権で重要な法案修正をした偉人です。芦田は第21回総選挙で無所属(非翼賛議員)として当選しており、非翼賛議員からは、後に多くの首相が出ています。三木武夫首相まで数えると、その30年以上後まで総理を輩出したことになります。この辺にも歴史観・政治センスが政治家に必要なことを感じます。例えば、自民党の逢沢一郎さんの祖父、逢沢寛さんも非翼賛議員。逢沢国対委員長は先週のツイッターで、「理事会のネット中継」に前向きに取り組む考えを示しており、ぜひ実現して欲しいと思います。

 中曽根議員は、民主党の次に、「苫米地訴訟」で有名な苫米地義三総裁の「国民民主党」に。そしてその次に、不屈の外交官で杖と共に国会議事堂に進んだ重光葵を党首に仰いだ「改進党」。そしてその次に、公職追放が明けて軽井沢から東京に戻ったのに、吉田茂に首相の座を明け渡してもらえず宙ぶらりんの鳩山一郎率いる「日本民主党(鳩山民主党)」へ、と渡り歩きます。そして、1955年の保守合同(自由党と民主党の合併)で自民党に入り、勤続8年で初めて与党を経験します。その後は連続38年間与党で、総理もやりました。1993年8月の第40回政治改革総選挙で自民党は第一会派ながら下野します。細川・羽田内閣(1993年8月~1994年6月)では下野しましたので、合計9年間の野党経験があります。

 その8年間の野党暮らし。中曽根さんは、南極を訪問したり、原子力予算というものをつくったりして、さっそく目立つ存在だったようです。2005年の「9・11」の大ショックを受けた岡田克也さんは中曽根さんから「kill the time」のススメを受けました。岡田さんは、それから3年間、全国を2周以上周り、気候変動枠組み条約のインドネシア会議に「NGO民主党」として参加したり、米中の人脈を太くしたりしました。現在幹事長補佐に起用している1期生は、3年間の副代表時代に応援演説をしながら、後援会作りを観察していたメンバーです。

 中曽根さんの野党時代の議事録を調べてみました。

 国会の会期で言うと、第1回特別会(1947年5月20日召集)から第22回特別会(1955年3月18日召集)まで。それと第127特別会(1993年8月5日召集)の首班指名から第129通常国会(1994年1月31日召集)まで。通常国会で数えると、9つの通常国会を野党で過ごしています。

 それで、第1回国会から第22回国会までの中曽根さんは188回、国会で発言しています。

 中曽根さんの記念すべき国会での初めての発言は、第1回国会の衆院財政及び金融委員会。

 中曽根さんは、「預金の増強をはかるということが、インフレーションを克服する上に相当重大な意味をもつておると思いますが、最近日銀券の増徴の趨勢を巷間でいろいろ取沙汰して、あるいは政府においては、社会党はかつて唱導したところがあるので、新円に手をつけるのではないか。あるいは登録するのではないかというようなデマが横行して、若干不安な状態があるように考えられます。こういうことは政府においては絶対にないと確信しておりますが、政府としてもう一回そういうことを確認する必要があるのではないか。政府の御所信をお伺いいたします」と質問しています。何か今と似たような議題ですが、社会党vs自由主義政党という対立図式の中で、自由主義陣営の野党だという矜持を感じながら、「政府の御所信をおうかがいします」と質問しています。

 また、これは高崎では有名なのかもしれませんが、驚くべきことに、中曽根さんの一つ前に発言した人は、大蔵省の福田赳夫さん(政府参考人)なんですね。中曽根さんへの質問の答弁者は小坂善太郎・大蔵政務次官でした(1 - 衆 - 財政及び金融委員会 - 4号会議録 1947年昭和22年07月11日)。

 第22回特別国会では参議院の議事録に名前があるので、「あれ間違えた、もう与党の大臣だったのかな」と思ったら、やはり野党でした。政府本予算の共同修正者として、衆院段階での修正者として答弁に立っていて、冒頭、「どうもふなれでありまして、御満足行かないかもしれませんが、御了承願います」とかわいらしいことを言っている。(第22回国会  参 ・予算委員会  33号会議録 1955年(昭和30年06月25日)。

 「バカヤロー解散」のときには、懲罰委員会で発言。総理を衆院議員として懲罰委で裁くことの正当性を主張しています。30歳代前半で懲罰委でしゃべれたのは、やはり小さい野党にいたからなんだと思います。

 そう言う意味では、先日の常任幹事会で第46回総選挙の候補者に内定した北海道5区の中前茂之さん、岡山3区の西村啓聡さん、熊本3区の本田浩一さんの3人は、ラッキーなのかも知れません。

 中曽根さんが初当選、第1回国会で最初に質問に立ったのが財金委員会とはうれしかったです。私の大学ゼミ同窓生で唯一の国会議員である小山展弘君が初登院から今通常国会までの1年半にわたり財金委員をやっているからです。今国会の財金委員は憲政史上最強のプレッシャーがかかるのは必定。衆院側とはいえ、出口(参院側)を見通して、法案を整えなければなりません。30代前半にして老獪ゆえ、先輩たちに「かえって心配」とすら評価される(僕は全く心配していませんが、)小山展弘君が日本を代表する政治家に飛躍するチャンスを迎えています。

 ◇

 だいたい、北橋健治・北九州市長だって、河村たかし・名古屋市長だって、新進党・民主党で連続当選し続けた衆議院議員なんですよ。新進党のゴタゴタ、保保連合のゴタゴタで、北橋さんは民主改革連合、河村さんは自由党なんかに所属して、訳分からなくなってますが、その責めは小沢一郎被告にあります。そのゴタゴタがなければ、もっと早く政権交代できたし、こういった人材が首長にスピンアウトしてしまうこともなかったし、日本の衰退のスピードも緩くなっていたのはまちがいなし。

 報道各社の世論調査の「内閣支持率」「党支持率」「解散総選挙の時期」の項目を読んでいると、日本国民の2割前後が、「民主党を与党として育てよう」「それからは民主党と自民党を競わせよう」と考えているように感じられます。

 経済的に厳しいのは分かっています。だから、国民一人一人にとって、まさに正念場なのです。


英国議会の来週の予定表 日本も日程闘争からの脱却を

2011年02月05日 23時29分24秒 | その他
 英国議会のホームページでは、日本時間の土曜日朝(現地は金曜日夜)に翌週(2月7日週)の予定表が来ます。月曜日から金曜日まで。ツイッターの公式アカウントでも誘導があるし、メールマガジンもあります。日本の衆議院では、衆議院公報のメルマガがあったのですが、数年間廃止されました。これはおそらく衆議院事務局→議員会館各事務所で、メルマガは使われなくなったからでしょう。

 私の知っている限りでは、法案採決は3本線、2本線、1本線のアンダーラインが引かれていて、与党政府外議員はまったく仕事がないけど、特に3本線はしっかり出ないと院内幹事に叱られるようです。

 国会の見える化を進めてきた、自民党の逢沢一郎・国対委員長が、委員会に先立つ理事会のネット中継に前向きなツイッターを発していて、賛同できます。また、議院運営委員会の本委員会も、いずれにしろ儀礼的なものですし、本会議の議題が分かるので、中継して欲しいと考えます。


Parliament UK: Parliamentary Calendar

Monday 7 February 2011
TimeBusiness
2.30pm Oral Questions
Education, including Topical Questions
  Debate
Opposition Day (Unallotted Day) [Half Day] – Government Policy on the Cost of Fuel – Scottish National Party and Plaid Cymru
  Motion
(i) 10th Report from the Standards and Privileges Committee on the Registration of Income from Employment (ii) 8th Report 2008-09 from the Standards and Privileges Committee on All Party groups
  Adjournment
Office of Fair Trading and supermarket acquisitions in Birtley, Tyne and Wear - Mr David Anderson
Tuesday 8 February 2011
TimeBusiness
2.30pm Oral Questions
HM Treasury, including Topical Questions
  Ten Minute Rule Motion
BBC licence Fee Payers (Voting Rights) - Robert Halfon
  Legislation
Education Bill - Second reading
  Adjournment
Effect on the higher education sector of changes to the tier 4 immigration system - Mr Richard Bacon
Wednesday 9 February 2011
TimeBusiness
11.30pm Oral Questions
Northern Ireland
12pm Prime Minister's Question Time
  Ten Minute Rule Motion
Former Metal Mines - Tom Blenkinsop
  Motion
The Police Grant and Local Government Finance Reports
  Adjournment
Prices and regulation in the domestic heating oil industry - Pat Glass
Thursday 10 February 2011
TimeBusiness
10.30am Oral Questions
Energy and Climate Change, including Topical Questions
11.30am Business Statement
Leader of the House
  Backbench Business
Motion relating to Voting by Prisoners
  Adjournment
Improving outcomes for children in care - Mr Edward Timpson
Friday 11 February 2011
TimeBusiness
9.30am Legislation
Legislation (Territorial Extent) Bill - Second reading - Harriett Baldwin
  Legislation
Planning (Opencast Mining Separation Zones) Bill - Second reading - Andrew Bridgen
  Legislation
Sex and Relationships Education Bill - Second reading - Chris Bryant
  Legislation
Apprenticeships and Skills (Public Procurement Contracts) Bill - Second reading - Catherine McKinnell
  Legislation
Contaminated Blood (Support for Infected and Bereaved Persons) Bill [HL] - Second reading - Mr Tom Clarke
  Legislation
Council Housing (Local Financing Pathfinders) Bill - Second reading - Sarah Newton
  Adjournment
Future of South West London law centres - Siobhain McDonagh

小沢一郎被告は疫病神 ついに党職員まで参考人招致要請

2011年02月01日 21時15分25秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意
[衆・予算委 基本的質疑2日目 2011-2-1]

 基本的質疑2日目。野党の抵抗で、1日目の与党の質問スタートが5時間近く遅れたので、きょうは逆に自民党8人が登場する自民党デーになりました。石原伸晃幹事長はそこそこ、石破茂・政調会長はやや持論が多かったけれど、塩崎恭久・元官房長官、甘利明・元経産大臣の経済論争は大したもので、やはり自民党の産業政策は太い。次の総選挙に向けて、民主党は力をつけないといけない。

 ところで、8人目に登場した総裁候補ともされる柴山昌彦さん。小沢問題として、平成14年度(2002年度)の自由党(小沢一郎党首独裁のミニ政党)の政治資金収支報告書に関して、当時・自由党幹事長だった藤井裕久・官房副長官に質問。藤井さんは、収支報告書に関係した領収書や、会計責任者として総務大臣に宛てた宣誓書などの署名・捺印について「知らない」と答弁しました。

 そして、この後、柴山さんは、当時の自由党職員の参考人招致を中井洽委員長に求めました。このうち、Yさんは既に亡くなっていますが、2人は民由合併後の民主党本部(菅直人代表・岡田克也幹事長)の職員として、党のため、国民のために働いています。

 私はつねづね「小沢一郎に近寄った人間は必ず不幸になる」「小沢一郎は利用するものであって、利用されてはいけない」と主張してきました。柴山さんも、小沢一郎被告を証人喚問に引っぱり出す駆け引きとして当該党職員の名前を出したのでしょう。ただ、NHK全国中継で、実名(苗字)を読み上げられるのも辛いでしょう。1人の党職員のお父さんは、地元では県会議長を務めた名士です。自民党最盛期は、派閥が強すぎて、県会議員もかなり派閥に系列化されており、その息子として、小沢自由党に連いて行かざるを得なかった面もあるかもしれません。

 というか、当該職員は元々新生党本部職員なんですね。関係者として、貴重な予算審議の時間を損ねたことを、民主党、国民に私からもお詫びします。新生党→新進党→新進党解党のときに、岡田さんや私はうまく民主党に行ったわけですが、自由党に行った人は悲惨なことになりました。ホントウにそういう瞬間の政局には、赤坂の飲み友達より、飲み会を断って家の机で読んだ歴史書、法律、経済、政治、行政学、論語の方がずっと役に立ちますね。それと仮にいるならば、“第二の父”とも呼べる恩師のたったのヒトコト。

 繰り返しますが、小沢被告を擁護すると、あなたが不幸になります。小沢被告が無罪かと有罪かなどというのはどうでもいいことです。政治家としての小沢一郎を無力にする千載一遇のチャンスを、私たち日本国民は迎えています。

 小沢被告は自ら国会で説明すべきです。