初夏の訪れとともに、目に触れる植物などの生長の早さに驚かされる。半月ほど前まではほとんど緑が見えなかったような土地に、あっという間に雑草が生い茂っている。
同じようなことが身の回りに起きる。1年も経たない間に、いつ増えたのか、書類・書籍が仕事場を覆うようになる。これまで何度も経験してきたことだ。時々、時間をかけて整理をしないと、必要なものがどこにあるのか分からなくなる。
この作業自体は存外楽しいところがある。後でゆっくり読もうと思っていた本が、埋もれていた山の間から顔を出したりする。今回もいくつかおもいがけない発見をする。この書籍(表紙上掲)、10数年前にフランスの古書店で求めたものだが、その時はまったく気づかないで過ごしていたあることを発見し、驚いた。タイトルは下記のごとく、イタリア、SKIRA社の美術史シリーズの一巻である。
LA GRANDE HISTOIRE DE LA PEINTURE, RÉALISME ET CLASSICISME AU XVIIe SIÉCLE, Text de Julián Cállego, SKIRA, 1973, pp93.
この書籍は題名から明らかなように17世紀、とりわけ1600-1670年頃のイタリア、フランスを中心に、リアリズムとクラシシズムの代表的な画家24名を選び、解説を試みたものである。ひとりひとり、主要作品の図版を入れて、紹介している。このブログでもおなじみの名前が多い。
今回、整理をしながら驚いたことは、図版(一部を除きカラー印刷)の部分が、すべて別紙で貼り付けられていることであった。言い換えると、挿絵に当たる部分は、別に作成され、丁寧に該当ページに貼り付けられている。今回、気がついたのは、刊行されてから40年近い年月が経過し、日本の湿気の多い気象条件が影響したのか、図版が貼り付けられたページが、波を打って歪んだようになっていることからであった。それまでは、うかつにも図版は本文と同じように、同ページに印刷されていると思っていた。
1973年というと、カラー印刷が出始めた頃ではないだろうか。イタリアの著名な美術出版社だけに、印刷は大変美しく、近年の印刷と比較しても遜色ないほどである。本書がどのくらいの部数、印刷されたのか分からない。しかし、図版を一枚、一枚、該当ページにしっかりと貼り付ける作業は、かなり大変な労力を要したのではないかと思い、改めて時の経過と印刷技術の進歩に目が覚める思いをした。
LE CARAVAGE
BIERA
GENTILESCHI
VAN HONTHORST
TERBRUGHEN
CALLOT
VALENTIN DE BOULOGNE
GEORGES DE LA TOUR
ATELIER DES LE NAIN
LOUIS LE NAIN
LE GUERCHIN
ANNIBAL CARRACHE
LE MONINIQUIN
PIERRE DE CORTONE
LE GUIDE
ORAZIO BORGIANNI
VIGNON
VOUET
POUSSIN
BOURDON
GASPARD DUGHET
CLAUDE LORRAIN