©︎R.Lansbury 2024
どうしてここにペンギンが?
昨年、晩秋のある日、オーストラリア人の友人R.L夫妻が来日した。半世紀近く続く友人で、夫はシドニー大学教授を引退して、今は世界各地を講演やサイクリングをしたりで過ごしている。70歳代後半に入るが、とにかくその活動ぶりには驚かされてきた。
今回の来日の旅は、なんと能登半島を一周し、日本アルプスを巡り、白川郷にも宿泊するという旅程だった。日本のサイクリング・クラブの一行に入り、共に旅をするという。これまで、阿蘇や北海道一周などを、同じ形式で旅し、日本人の寛容さなどに魅力を感じたのが今も続いている理由だとのこと。当ブログ筆者とは若い頃、日光の山々などを共に歩き、鄙びた温泉などを巡ったことなどがあるが、今の筆者には残念ながらバイクでも旅をする体力はない。ただ、旅行ガイド?として、日程や見どころの相談に乗っただけであった。
彼らは無事、北陸の旅を終わり、シドニーに戻った。能登ではほとんど自転車 bike cyclingで旅していたが、電動バイクは日本の九州での旅で初めて経験し、その便利さに魅せられ、能登でも電動バイクにしたとのことだった。他国ではなかなか電動バイクのサイクリングはできないらしい。
彼らにとって強烈な驚きだったのは、元日の能登大震災発生のニュースだった。筆者が新年の祝賀と併せ、能登の震災を知らせたところ、彼らもすでに知っていて、大きな衝撃だったようだ。無理もないことだ。
南船北馬の旅*
さらに、代わって筆者が驚かされたのは、彼らは日本から帰国後、昨年末から南極へ旅をし、なんと、新年元日にシドニーへ戻ったところで、能登大震災を知った。能登に続き、南極へ行っていたのだ。北の日本では馬ならぬ電動バイク、南の南極へは船で旅をしていた。旅好きなことは知っていたが、まさかここまでとは思わなかった。
*南船北馬
淮南子・斉俗訓
各地を忙しく駆け回ること。源:その人や所に応じて、それぞれに相応しい手段や方法があるということ。胡人便於馬、越人便於舟
それによると、かねて希望していた南極半島への10日間の旅(NB)で、崩れ落ちる大氷山に加え、ペンギン、鯨、鳥など多くのものを目の当たりにして、その壮大さは実に衝撃的であったと記してあった。さらに、ウクライナ、ガザなど地球各地が戦火に見舞われる今の時代、南極協定 the Antarctic Treatyで多数の国が科学的調査以外の行動を制限することをほぼ遵守しているということに深く感銘したと記されてあった。
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南極探検船 Polar Pioneer
未来に希望を託して
平然と人間が相手を殺戮しあう今日。人間が戦争を根絶できないのは、何によるものだろうか。新年はまた重い課題を伴って始まった。
R.L夫妻は来年も日本でバイク・サイクリングの旅をすることを決め、来日すると知らせてきた。
N.B.
ここに記された南極探検は、友人RLによると、2023年12月21日から2024年1月1日まで10日間の計画で実施された。ローカルな新聞記事の発案に始まり、冒険心を維持するために小規模な船舶 Polar Pioneer に50人程度の’市民科学者’を志す人たちを収容し、航行するとのこと。乗組員には南極の歴史、その他の関連テーマのレクチュアが行われ、さらに氷上歩行、カヤック、スキーなどの指導、実施も実施された。航海はシドニーを出発し、アルゼンチンの都市ウシュアイア Ushuaiaを経由し、南極へ向かった。詳細な航行メモ、南極半島での調査記録などを送付してくれたが、今回記事の目的ではないのでこれだけにとどめる。