(かつてのホテル HOTEL AM STADEN)
左側2本の柱があるところが入り口だった。
以前に、このブログでフランス国境に近いドイツの都市ザールブリュッケンの小さなホテルについて記したことがあった。17世紀の画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールが生まれ、活動したロレーヌの地を、最初に探訪した時に拠点とした場所だった。1970年代のことであり、30年余りの年月が過ぎていた。当時、ザールブリュッケン大学で教壇に立っていた友人夫妻が、この地に住んでおり、共にロレーヌの町や村々を訪ね歩いた。
その後、ふとしたことで、ホテルの現在の様子を知りたいと思ったことがあった。インターネット上で調べてみると、残念ながらすでに廃業しているということが分かった。しかし、あの静かで家庭的なホテルの跡は、その後どうなっているのだろうかという思いは頭の片隅にあり、いつか訪ねる機会でもあればと思っていた。
驚いたことに、このブログ記事をザールブリュッケンに近いフランス側の都市メッスに在住される日本人の主婦の方が読んでくださっていた。ご自身も大変心温まる、ほのぼのとしたユーモアが漂うブログ「棚からぼた餅」(現在は「キッシュの街角」)を運営されている。そして、ザールブリュッケンに行かれた折に、わざわざこのホテルのあった場所までご足労いただき、撮影した写真を送ってくださった。
ホテルの建物は昔と変わりなく、住宅街の一角に残っていた。写真に添えられたご説明によると、1階には半地下のなかなか素敵なレストランがあり、上の階は事務所などになっているらしい。しかし、建物の外壁は色も当時のまま、ほとんど変わっていなかった。辺りの環境も当時の面影を残している。
文字通り、時空を越えて、タイムスリップしたようだ。驚きは一瞬にして大きな感謝に変わった。世の中のブログの主流とはほど遠いIT世界の片隅で、何度か店じまいにしようと思ったこの「変なブログ」だが、また新しいエネルギーをいただいた。もう少しがんばってみよう。
下記に、ご好意の写真を転載させていただいた。HOTEL AM STADEN (かつてのホテル)、ザール川近傍の静かな雰囲気が伝わってくる。
Photo credits: (c) momoko, 2008