耽美なイプシロンに触れた後、私は尾車氏と共にランチに出掛けた。会場は、びっくりドンキー系列のイタリアンレストラン「ペペサーレ」である。
私のチョイスは「チリトマトカルボナーラ」(税込627円)。価格的にも、なかなかリーズナブルである。
パスタの上に乗った生卵を、どのように処理すればいいのか悩んだが、割ってかきまぜて食してみた。それが正しいのかどうかは謎だが・・・
そのようにして食すと、卵がチリソースの辛さを中和しながらも、そこにはピリッとした刺激が残り、なかなかのテイスト。
粗挽きウインナーとトマトクリームとの相性も良く、極めて満足である。コレ、ウチでも作ってみよう。
自動車メーカー統合の波を受け「ランチア」から「クライスラー」にブランドが変わり、ついに日本正式輸入の運びとなった、「イプシロン」。我々取材班2名は、早速クライスラーのお店に駆け付けた。
なんと嬉しいことに、そのお店には試乗車も用意されていた。試乗させていただいたのは、「Gold」(税込車両本体価格235万円)であった。
5ドア車でありながらも、一見3ドア車のように見えるデザインの、サイドビュー。
指針やレタリングまでもがアートなセンターメーター。
絵表示式の空調パネルも、愉しいデザインである。
基本的には、メカニズムを共用するフィアット500に近いドライブフィール。ステアリングはしっとりと軽めで、スイスイと軽快な乗り味だが、ノイジーさは否めないといったところ。
「デュアルファンクション」という5速セミオートマの変速マナーは、昨年6月に乗ったフィアット500よりも、若干ながら良くなったようにも思えた。だが、やはりATモードでは、ギクシャク感は否めない。MTモードでスロットルの抜き差し加減を工夫しながらスムーズに走らせるのが、このクルマを操る醍醐味というか、メンドくささと言えよう。
まあ、最初から3ペダルのMTにしてくれたほうが、よっぽど気遣いなく走らせることができそうな予感がするのだが・・・
いや、このクルマは、その気品と個性に溢れたエクステリアとインテリアのデザインを愉しんでしまえばいいのだ。
私はこのイプシロンというクルマを、大いに賞賛する。一番の問題は、「自称ユニクラーの私には似合わない」ということかもしれない。ううっ。
一般庶民の方はあまりご存じではないかもしれないが、日本には「カーオブザイヤー」が2つある。
本年の両カーオブザイヤーが決定したので、個人的感想を記そう。
まずは、2013年次のRJCカーオブザイヤーから。
「より透明性が高く公明正大なイヤーカー選びを実現するために、1991年設立」したのが、RJCである。日本の自動車工学の礎を築いた学識経験者や、三本和彦、星島浩といった自動車ジャーナリズムの先達が名を連ねる」という。
RJCのカーオブザイヤーは、「国産車」と「インポート」で、カテゴリーが分けられている。
まずは、国産車。ノミネート車と得票数は上の表のとおりで、本年の最優秀賞は「日産ノート」である。
ここで、私は頭を抱えた。ノートは確かに悪いクルマではないと思うが、「渾身の一作」でもないと思う。個人的には、「アクア」か「CX-5」の方が、ずっとインプレッシヴだった。クルマ好きのアナタも、この結果には納得できないのではなかろうか。
そもそも「BRZ/86」がノミネートすらされていない点も、不可解極まりない。どういう力学が働いてこのような結果になったのだろう。謎めいているとしか言いようがない。
輸入車は、「BMW3シリーズ」&「VWup!」が同点首位。こちらの結果は、まあ、順当なところか。
個人的には、up!を自分でお金を出して買うことは、まずあり得ないのだが・・・あくまでも、私の個人的な意見ですが。
そして、COTYこと、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」。1981年から続く、由緒ある賞である。
だが、2008-2009(第29回)の受賞車が、その時点ではまだ一般に発売されていなかった「トヨタiQ」だった。その時に、私はこの賞の選考基準について、大いなる疑問を持ったものだ。
なお、こちらの賞は、国産車と輸入車のカテゴリー分けはされていない。
そして、今年のイヤーカーは、「マツダCX-5」。これには、私も納得である。CX-5はマツダ渾身の力作だ思う。もうちょっと幅が狭ければ、私自身も買ってもいいと思うほどの、素晴らしいクルマだ。
COTYの2位は、86/BRZ。イヴォークがup!よりも上位なのも、大いに首肯できる。そして、ノートは得点10点で第9位。2つのイヤーカー選考結果を比べると、COTYの方が、ずっと私の感性に近い。
で、ここで私個人のイヤーカーを発表しよう。それは、なんてったって、「インプレッサ」である。
このインプレッサが、どちらの賞にもノミネートすらされていないのは、どういうワケなのだろう。昨年11月30日公式発表で12月20日販売開始という、タイミングのせいなのだろうか。いや、だったら、かつてのiQの受賞は何だったんだ!ここに私は、トヨタとスバルの政治力の差を感じる。
賞よりも大事なのは、やはり販売実績なのだという感を、私は強く持った。インプレッサの開発チームに、私は心からの拍手を贈る。