アウディのお店で、思いがけず遭遇した、まるで宇宙船のようなスタイルのそのクルマ。
シトローエンSMである。このクルマの実車を見たのは、これが生涯初かもしれない。まさに、未知との遭遇である。
マセラッティ製のV6DOHCエンジンを積む、3ドアハッチバッククーペ。ゴールドのボディに、メッキバンパーがキラリと輝く。齢40歳になろうというこのクルマが、札幌に現存していたとは!このクルマに出逢えたのは、今年一番のトピックと言っていいであろう。素晴らしい。
新型シルフィを見学した後、私はアウディのお店に向かった。
「A1スポーツバック」(7速Sトロニック:税込車両本体価格293万円)のカタログを貰うためである。
全長×全幅×全高は3970mm×1745mm×1440mm。3ドアの「A1」と比較すると、全長は同じだが、5mm幅広く、15mm背が高い。ホイールベースは、どちらも2465mm。5ドア化に伴い、ルーフラインが若干延長されたという。
ラゲッジは必要十分の広さで、リヤシートを倒した時の段差も気にならないレベル。使い勝手は悪くなさそうだ。
バックドアを開けた時に、開口部左右に反射鏡のようなモノ(上の写真の赤丸部分)が残る。コレは、他のクルマではあまりお目にかかったことが無いのだが、何のためにあるのだろう?謎である。
また、室内空間に関しては、3ドアとほとんど変わらない。ルーフラインが延長されたとのことだが、リヤシートは、相変わらず、狭い。
この小さなサイズのクルマにも、キッチリとスペアタイヤを積んでいるのが、このドイツ車の偉いところ。ドイツ人の方々も、私と同様、「パンク修理セットでは心もとない」と考えているのだろう。
インテリアの質感は、すこぶる高い。シートのカラーリングはシックで、インパネのメッキパーツが、宝石のように輝く。
そして、ザクザクかつスリッピィな冬の雪道を、走らせていただいた。このコンパクトカーは、極めて安心感高く、悪条件の市街地を直進し、しっかりと止まる。ESP(エレクトロニック スタビリゼーション プログラム)の賜物である。アクセルやブレーキを、それこそON-OFFスイッチのごとくラフに扱っても、その走りはまったく破綻しないのだ。
・・・安心といえば安心なのだが、このような安全ディバイスは、ドライバーの運転スキルを奪うという側面もあるかもしれない。このクルマを自分のモノにしてしまったら、発進時の繊細なスロットルワークや停止時の微妙なブレーキングを忘れてしまい、ESP無しのクルマに乗った時に、非常に怖い思いをするのではなかろうか。そんな危惧を、私は抱いた。まあ、遠くない将来、この手の安全ディバイスは、今のABSのごとく、「当たり前の装備」になるんだろうけど・・・
A1スポーツバックは、おおまかに表現すれば、「やや室内の狭い、お洒落なポロ」である。ファミリーカーというよりは、やはりパーソナルカーなのだろう。私には似合わないが、ヤングマダムが乗っていたら、きっと、カッコいいと思う。是非、乗ってほしい。