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子どもの心に応える道徳の話

2014年11月15日 | 読書
 「2014読了」123冊目 ★★

 『子どもたちが身を乗り出して聞く 道徳の話』(平 光雄  致知出版社)


 ちょっと意外な出版社からの発刊だなあと思った。
 しかし,さくら社から出た『究極の説得力』がなかなか面白い本だったので,買い求めてみた。

 「自尊」から始まって31項目。それぞれの「価値」に対する著者の考え,そして子どもたちに向けた指導の実際の言葉と,若干の補足で構成されている。
 簡潔で,読みやすく,教育現場で十分有効だと思う。
 実践部分は,字体を変えるとか囲みを使うとか少し工夫があればなあと思ったが,このある意味の平板さ,淡々さが致知出版なのかもしれない,などと余計なことを考えた。

 さて,内容は「説得力」について著書を出すほどの方であるから,間違いない。
 前書きに,数多の失敗を重ねた末の実践であると,こう記している。

 累々たる失敗の歴史の中で,「確かに子どもたちの心に伝わり,残った」と実感できたものだけを集めた。すべて子どもたちを相手にした実践をくぐらせたものばかりである


 具体的ななかみについては触れないが,その手法として「紙芝居」(これは芝居というより,図化,補助絵の使用ということである)と「携帯フレーズ」があることが特徴である。
 理解させ,実践化させていくために,この二つをセットしていく,いかにも現場教師ではならの発想が徹底している。

 特に「携帯フレーズ」,これはいわば警句やスローガン化といってもいいだろう。それは担任教師にとって自分自身を振り返る意味でのいいポイントになるのではないか。

 野口芳宏先生の指導の中でも,そういう発想が目立つと感じている。


 著者はこう書いている。

 「どんな子どもでも成長の欲求を強く持っている」と断言できる。

 ここを読み,野口先生から応えていただいた,「子どもの見方の原則」と全く同じだと頷いた。先週初めに,学校報にそのことを書いたばかりだった。やはりそれは道徳に結びつくのだと,この文章で意を強くした。
 学校報に書いたのは,こんな文章だった。

 (野口先生が発せられた言葉は)「子どもはみんな『よくなろう』と思っている」それに応えるのが道徳と言っていいのかもしれません。