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すべては「観を磨く」ことで

2014年11月22日 | 読書
 今月号の総合教育技術誌は、特集がまた「全国学力」かと少し呆れたが、それ以外に結構心惹かれる内容があった。

 まず巻頭インタビューの天野浩教授の言葉が本当にいい。

 学問とは人のために尽くすものである。

 このシンプルさ、力強さ。
 学校教育に携わる私たちは、もう一度噛みしめるべきではないか。
 大きく誌面が割かれているランキングの目的はいったい何なのか、深く考えてみるべきだろう。



 「アドラー心理学に学べ!」の特集では、上越教育大学の赤坂真二先生が、講演でよく言っている言葉として、下の名言?を紹介している。

 「勇気は人の為ならず」

 なるほど。「情け」だけではなく、行動は全て自分に返ってくるものだと考えると、どうあればよいか、どう声をかけるか、おのずと見えてくるのではないか。
 唾を吐くような行為であれば、それはいつも天を向いているということだ。



 ふだんはめったにページも開かないのだが「学校だより 文例と作成の要点」の文例エピソードが面白かった。

 自宅裏の工場の音が響いて眠られなかった女性作家が、夫に愚痴を言ったら、その夫がこう返したと書いている。

 「自分は聞こえる耳があって有り難いと思ったよ。また、一晩中仕事をしている人もいるのに、自分は蒲団の中で休んでいられることも有り難いと思ったよ」

 見事なまでの受け取り方の違い。筆者は「どちらが心豊かか」と問う。


 これは、野口芳宏先生の連載「道徳の授業『観を磨く』」と見事に重なる。

 前号は、針金のハンガーを見せて「見る角度によって、つまり見方によって見え方は違ってくる」ことから「観」のことを教えた文章だった。
 そして、廣池千久郎の伝記をもとに「善なるものへの憧れ」を持たせた後、自らの行動を振り返させて、具体的な反省を導いていた。
 こう結ばれている。

 望ましい観が持てるようにと自分を振り返りながら、自分の観を望ましく育て続けることを『観を磨く』と言う。