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最も深い考えはどれか,と問う

2014年11月13日 | 読書
 「2014読了」122冊目 ★★★★

 『道徳 授業の教科書』(野口芳宏  さくら社)


 先生を本町の教育講演会にお招きすることが決まったときに買い求めておいたのだが、この体たらくで、直前の今になるまで開かなかった。
 良き習慣が身についていない、と実践力の無さを嘆いてしまう。
 で?この「教科書」を読めば少しは道徳性も高まるだろうかと期待を持って向き合う。
 
 雑誌連載で目にしている文章を再読しながら、姿勢を正さねばという気持ちになる。
 「第一章 道徳教育の根本的考え方」は、小学館の総合教育技術誌の連載がもとになっている。
 野口先生の道徳に対する構えが、ぴしっと筋の通った形で提示されている内容だ。
 つまり「教えることを躊躇うな」ということ。「教育の目的」は一つであり、それは教育の方法が発達段階に応じて相違は見せても揺らぐものではない、という明確な主張に支えられている。

 次の一文はふだん私たちが忘れがちな点でもある。

 生活習慣の乱れも、忘れ物が多いことも、勤労意欲や学習意欲の低下も、「子どもとして」困るのではなく、将来の「よい大人づくり」の視点からこそ憂慮されなければならない問題である。


 私は初任の頃から道徳の授業には不熱心だった。
 というより反感を持っていた。
 可愛がっていただいたM校長が、宴席で私にむかって「ヌマ、一週間に一回ぐらい、一つのことについて話し合ってみる時間があったって、いいべ」と、繰り返し説得?を試みられたことを今でも思い出す。

 ほとんど授業しない自分を、全県大会の研究部委員に選抜したわけが今頃になってわかる。メンバーでは当然最年少だった。
 しかし、申し訳ないことに、私はそこから何も学べなかった。今考えると、ある分かれ目があったのかもしれない。
 しかし、結果的にはそうした当時の自分の行動が、民間の教育運動に目を向けさせ、野口芳宏先生を引きあわせてくれたと言えなくもない。

 と、こんな昔話も詮無いが、つくづく「浅い」生き方をしてきたものだなと思う。
 それゆえ、先生の授業実践のなかの次の発問は、ぐさりと突き刺さる気がする。

 最も深い考えはどれか?


 私たち学校現場の職員は、現状を考えると、その精神を持ち続けることは、指導をするうえでも、授業づくりのうえでも、必須なことではないか。
 むろん、その通りにできないこと山ほどある。しかし、その眼差しは捨て去ってならない気がする。

 第三章に収められた、授業記録と解説がやはり楽しい。4つ全てが実際にお聞きしていることと重なっているが、文章に起こすとまた味わい深かった。

 今日の先生のお話にも期待が膨らむ。