和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

名セリフ。

2011-02-27 | 手紙
新刊の竹内政明著「名セリフどろぼう」(文春新書)。
う~ん。この新書を一言で紹介するなら、2011年版「お楽しみはこれからだ」(笑)。
この新書では、テレビドラマのセリフをすくい上げております。
「テレビドラマのセリフも命は短い」。
あとがきには
「心に残るセリフを一つひとつ丁寧に布でぬぐい、手製の宝石箱に並べてみたい。そんな思いから、この1冊を編んだ。・・・ひとさまが心血をそそいで編み出した言葉に寄りかかり、余談と蛇足を継ぎ足してエッセイを僭称するのは・・・二冊目である。」(p206~207)

二冊目なので、肩の荷がおりた感じで書いております。前作「名文どろぼう」より、私は気楽に入り込めました。ちなみに、あいうえお順の目次となっており、最初の「あ」が挨拶で、「ん」があとがき。

今ぱらぱらと読んでいるところなので、最初の「あ」だけ紹介しときます(笑)。
一項目が4頁。余談と蛇足がひかります。
最初の1ページをつかって倉本聰『前略おふくろ様』から9行の会話。
一行づつの短いやりとりを引用しておりました。
つぎのページから、竹内政明氏の料理。
料理の素材は、野村克也著「野村ノート」(小学館)
谷沢永一著「文豪たちの大喧嘩」(新潮社)
村山吉廣著「評伝・中島敦」(中央公論新社)
この3冊から適宜素材をもってきて組み合せての3ページ。
年賀状・手紙の返事という内容なのです、
私、そこからはじめることに、まず感心しちゃいました。

すこし引用しましょ。

「評論家、谷沢永一さんの『文豪たちの大喧嘩』によれば、荻生徂徠は若いころ、尊敬する伊藤仁斎に教えを乞う書簡を出した。返事が来なかったので、仁斎を一生憎み通したという。大儒学者にして、かくのごとし。たかが手紙一本、年賀状ひとつと片づけられないところが人交わりのむずかしさである。」

「『山月記』などで知られる作家、中島敦もかなりの筆不精だったらしい。旧制一高に通っていたとき、両親は満州にいたので、敦は東京・本郷にひとり下宿していた。わが子を不憫に思ってだろう、満州からは季節季節に衣類やら何やら、心のこもった小包が届く。敦はいつも返事を書かない。たまりかねてか父親が小包に手紙を添え、『これからは必ず、荷物が着いたかどうかを知らせろ』と叱りつけてきた。
ある日、一高の友人が敦の下宿を訪ねると、投函するつもりの葉書が机の上に置いてあり、文面にはただ一文字『着』と大きく書かれてあった。この返事のために父親からいっそう厳しく叱られた・・・」


う~ん。手紙の返事を書かなかった例を出してくるという余談が、何より返事を書かない私の肩の荷をおろさせ、しかも書かなければいけないと思わせる(笑)。
「前略おふくろ様」のセリフは、え~と、読んでのお楽しみ。
名コラムニストによる、これからはじまるお楽しみ。
コメント
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