元海上保安官の一色正春氏の本を読むと、
その経歴に目がいきます。
まず、卒業してからの最初の仕事が、「民間商船会社勤務中、オイルタンカーやLPGタンカーに乗船し東南アジア、ペルシャ湾、北米、ヨーロッパ、アフリカ航路に従事する」とあるのでした。
これについて、一色正春著「何かのためにsengoku38」(朝日新聞出版)では、
ビデオを、どこで出せばより効果的なのかを考察している箇所があるのでした。
たとえば、ここ
「当時、国家機密扱いになっていたビデオの内容を日本の放送局が放映できるのか、また日本のテレビは恣意的な偏った報道が多いので放映したとしても正確に放映するだろうかということを考え、日本のメディアは避けることにした。できるだけ多くの人に余計な解説がついていない事実だけを見てもらい、そして自分自身で考えてほしかったのである。他人の余計な主観は必要ないどころか邪魔なだけである。今思っても、やはり日本のテレビ局では、あのビデオを正確に放映することは難しかっただろうと思う。」(p112)
そこで、C社東京支社に動画データを郵送したのでした。
結局、それは無駄になるのですが、なぜC社なのかが、最初のタンカー乗船の仕事とつながっておりました。
「私がアメリカのテレビ局の中でもC社を選んだのは、私がペルシャ湾と日本を行き来しているころに起こった湾岸戦争の際に、C社が行った報道が印象に残っていたからである。自分が、数日後に行く港の近くで戦争が起こっているのであるから、当時の私は毎日、真剣にニュースを見ていた。そのときの現地レポーターが最後に決まり文句で言うC社の名前が私の印象に強く残っており・・・」(p118)
このタンカーでの経験は
私は、たとえば、以下の場面を思い浮かべます。
それは、谷沢永一・渡部昇一著「修養こそ人生をひらく」(到知出版社)。
すっかり内容を忘れていたので、あらためて開いてみました。
そうすると、こんな箇所があります。
【渡部】 ・・・日露戦争が終わると、お国のことを第一に考えなくなったんですよ。昭和に入ってからの戦争を見ますと、もう自分たちのことが第一ですね。・・・・
その典型が昭和19年秋の台湾沖航空戦ですよ。アメリカ軍と日本の基地航空部隊の戦闘ですけれど、このとき日本軍がアメリカの航空母艦を十何隻も沈めたという情報が大本営から流されたんですね。ところが、海軍の情報機関は『一隻も沈んでいない』と言っている。また陸軍情報参謀の堀栄三という人も戦果発表に疑問を抱いて大本営にその旨を伝えています。ところが、大本営は情報を訂正するでもなく、海軍も陸軍へ確度の高い情報を知らせなかった。その結果どうなったか。陸軍は大本営発表を鵜呑みにして、ルソン島へ送るはずだった兵隊をレイテ島へ送るように方針変更した。ところが、壊滅したはずのアメリカ艦隊が現れて、なすことなく全滅したわけです。師団長が戦死した場所もわからないし、死骸も出てこないのは、このレイテ戦だけですよ。それほど悲惨な戦争になってしまった。だって、航空母艦を十何隻も沈めたはずなのに実際は一隻も沈んでいないんだから。
【谷沢】参謀本部が画策して嘘の情報を流した。
【渡部】嘘の情報に乗ってしまったわけです。海軍の中でもインテリジェンス担当は『沈んでいない』と言っているのに作戦部は沈んだことにしたんですからひどい。
【谷沢】その状況を冷静に判断して口外すると敗北主義者と言われるわけです。・・・・
(p175~176)
佐々淳行著「彼らが日本を滅ぼす」(幻冬社)では、
「前原誠司外相は記者会見で『世界に説明することが大事だ』と述べ、『中国漁船が『体当たり』してきたことは、ビデオを見れば一目瞭然』と語っている。海上保安庁の巡視船は、体当たりの一部始終をビデオに撮っていたので、これを公表すれば中国側がいかにでたらめな主張をしているか、その一端がわかる。前原外相のこの危機管理は正しい。もしそのときのビデオを公表していれば、中国の反日暴動も防げたかもしれない。しかし、菅総理・仙石官房長官は中国に対する過剰な気遣いと保身のため、刑事訴訟法を持ち出して『裁判まで資料は不公表が原則』としたのだった。・・・」(p20~21)
もういちど、一色正春氏の本へともどります。
「私は民間の船会社に勤めているときに、イラン・イラク戦争や湾岸戦争が起こっている最中のペルシャ湾から日本へのエネルギー輸送に従事していた経験から、日本の国が外地にいる日本人を積極的に守ってくれるケースは少ないことを知っていた」(p58)
また、こんな箇所も書かれております。
「2010年に入ってから中国漁船が尖閣諸島付近の日本領海内での中国漁船に対する立ち入り検査の数が2010年9月現在で14件になっていることからもあきらかである。
この14件という数字は、少なく感じられるかもしれないが、通常、海上保安庁の巡視船は尖閣諸島付近の領海内にいる外国漁船に対しては領海外へ退去するよう求め、相手がそれに従ったならば、それ以上のことはしない。つまり、日本の領海内にいる外国漁船に対しては領海外へ退去するよう求め、相手がそれに従ったらば、それ以上のことはしない。つまり、日本の領海に侵入してくる中国漁船は、この何十倍以上いたが、その中でも海上保安庁の指示に従わない船が急増していたということである。
衝突が起こった当日も尖閣諸島周辺には約150隻の中国漁船がおり、そのうちの約30隻が日本の領海に侵入していたのだ。・・・」(p77~78)
C社はダメだったのですが、一色氏はこう語っておりました。
「私は別にC社を非難するわけでなく、むしろ感謝している。どのようなテレビ局でも、YouTube以上の効果は期待できなかっただろうからである。」(p120)
「私が驚いたのはインターネットの情報拡散能力である。反応の大きさは大方予想通りであったが、映像が広がる速度が正直ここまで速いと予測はしていなかった。それよりも私が望んでいたこととはいえ、いとも簡単に国家機密とされる映像をYouTubeから転用して国営放送を始めとするテレビ局が繰り返し放映していたことに疑問を持った。それはテレビ局が自らの手でニュースの情報源を探さないで、インターネットからの情報からニュースを作っていることにほかならないからである。本来、あの衝突事件で中国漁船が何をしたのかを、自らが取材して正しく国民に伝えるのがメディアの役割ではないのか。」(p128)
最後に、この箇所も引用しとかないとね
「私の妻は韓国生まれの韓国人であり、私が業務で韓国語を学ぶ過程で知り合って結婚し、それから日本に住んでいる。私は、別に韓国人だから妻と結婚したわけでなく、惚れた女がたまたま韓国人であり、この女と離れたくないと思ったから周囲の反対にもかかわらず結婚しただけである。最初は、大反対した私の両親も今では私以上に妻を信頼している。・・・・最近、妻は日本の文化や日本人の風習もようやく理解してくれるようになってきていた。今回も、私が『国のため国民のためにやったのだ』と簡単に説明すると、あっさと許してくれ、そのうえ『私も日本に住んでいる人間の一人として、あなたに感謝し、そしてあなたの妻であることを誇りに思う』とまで言ってくれた。ただ、これだけのことをやったのだから、体を壊したり、私より先に死んだりしてはいけないという条件つきで。」(p133)
その経歴に目がいきます。
まず、卒業してからの最初の仕事が、「民間商船会社勤務中、オイルタンカーやLPGタンカーに乗船し東南アジア、ペルシャ湾、北米、ヨーロッパ、アフリカ航路に従事する」とあるのでした。
これについて、一色正春著「何かのためにsengoku38」(朝日新聞出版)では、
ビデオを、どこで出せばより効果的なのかを考察している箇所があるのでした。
たとえば、ここ
「当時、国家機密扱いになっていたビデオの内容を日本の放送局が放映できるのか、また日本のテレビは恣意的な偏った報道が多いので放映したとしても正確に放映するだろうかということを考え、日本のメディアは避けることにした。できるだけ多くの人に余計な解説がついていない事実だけを見てもらい、そして自分自身で考えてほしかったのである。他人の余計な主観は必要ないどころか邪魔なだけである。今思っても、やはり日本のテレビ局では、あのビデオを正確に放映することは難しかっただろうと思う。」(p112)
そこで、C社東京支社に動画データを郵送したのでした。
結局、それは無駄になるのですが、なぜC社なのかが、最初のタンカー乗船の仕事とつながっておりました。
「私がアメリカのテレビ局の中でもC社を選んだのは、私がペルシャ湾と日本を行き来しているころに起こった湾岸戦争の際に、C社が行った報道が印象に残っていたからである。自分が、数日後に行く港の近くで戦争が起こっているのであるから、当時の私は毎日、真剣にニュースを見ていた。そのときの現地レポーターが最後に決まり文句で言うC社の名前が私の印象に強く残っており・・・」(p118)
このタンカーでの経験は
私は、たとえば、以下の場面を思い浮かべます。
それは、谷沢永一・渡部昇一著「修養こそ人生をひらく」(到知出版社)。
すっかり内容を忘れていたので、あらためて開いてみました。
そうすると、こんな箇所があります。
【渡部】 ・・・日露戦争が終わると、お国のことを第一に考えなくなったんですよ。昭和に入ってからの戦争を見ますと、もう自分たちのことが第一ですね。・・・・
その典型が昭和19年秋の台湾沖航空戦ですよ。アメリカ軍と日本の基地航空部隊の戦闘ですけれど、このとき日本軍がアメリカの航空母艦を十何隻も沈めたという情報が大本営から流されたんですね。ところが、海軍の情報機関は『一隻も沈んでいない』と言っている。また陸軍情報参謀の堀栄三という人も戦果発表に疑問を抱いて大本営にその旨を伝えています。ところが、大本営は情報を訂正するでもなく、海軍も陸軍へ確度の高い情報を知らせなかった。その結果どうなったか。陸軍は大本営発表を鵜呑みにして、ルソン島へ送るはずだった兵隊をレイテ島へ送るように方針変更した。ところが、壊滅したはずのアメリカ艦隊が現れて、なすことなく全滅したわけです。師団長が戦死した場所もわからないし、死骸も出てこないのは、このレイテ戦だけですよ。それほど悲惨な戦争になってしまった。だって、航空母艦を十何隻も沈めたはずなのに実際は一隻も沈んでいないんだから。
【谷沢】参謀本部が画策して嘘の情報を流した。
【渡部】嘘の情報に乗ってしまったわけです。海軍の中でもインテリジェンス担当は『沈んでいない』と言っているのに作戦部は沈んだことにしたんですからひどい。
【谷沢】その状況を冷静に判断して口外すると敗北主義者と言われるわけです。・・・・
(p175~176)
佐々淳行著「彼らが日本を滅ぼす」(幻冬社)では、
「前原誠司外相は記者会見で『世界に説明することが大事だ』と述べ、『中国漁船が『体当たり』してきたことは、ビデオを見れば一目瞭然』と語っている。海上保安庁の巡視船は、体当たりの一部始終をビデオに撮っていたので、これを公表すれば中国側がいかにでたらめな主張をしているか、その一端がわかる。前原外相のこの危機管理は正しい。もしそのときのビデオを公表していれば、中国の反日暴動も防げたかもしれない。しかし、菅総理・仙石官房長官は中国に対する過剰な気遣いと保身のため、刑事訴訟法を持ち出して『裁判まで資料は不公表が原則』としたのだった。・・・」(p20~21)
もういちど、一色正春氏の本へともどります。
「私は民間の船会社に勤めているときに、イラン・イラク戦争や湾岸戦争が起こっている最中のペルシャ湾から日本へのエネルギー輸送に従事していた経験から、日本の国が外地にいる日本人を積極的に守ってくれるケースは少ないことを知っていた」(p58)
また、こんな箇所も書かれております。
「2010年に入ってから中国漁船が尖閣諸島付近の日本領海内での中国漁船に対する立ち入り検査の数が2010年9月現在で14件になっていることからもあきらかである。
この14件という数字は、少なく感じられるかもしれないが、通常、海上保安庁の巡視船は尖閣諸島付近の領海内にいる外国漁船に対しては領海外へ退去するよう求め、相手がそれに従ったならば、それ以上のことはしない。つまり、日本の領海内にいる外国漁船に対しては領海外へ退去するよう求め、相手がそれに従ったらば、それ以上のことはしない。つまり、日本の領海に侵入してくる中国漁船は、この何十倍以上いたが、その中でも海上保安庁の指示に従わない船が急増していたということである。
衝突が起こった当日も尖閣諸島周辺には約150隻の中国漁船がおり、そのうちの約30隻が日本の領海に侵入していたのだ。・・・」(p77~78)
C社はダメだったのですが、一色氏はこう語っておりました。
「私は別にC社を非難するわけでなく、むしろ感謝している。どのようなテレビ局でも、YouTube以上の効果は期待できなかっただろうからである。」(p120)
「私が驚いたのはインターネットの情報拡散能力である。反応の大きさは大方予想通りであったが、映像が広がる速度が正直ここまで速いと予測はしていなかった。それよりも私が望んでいたこととはいえ、いとも簡単に国家機密とされる映像をYouTubeから転用して国営放送を始めとするテレビ局が繰り返し放映していたことに疑問を持った。それはテレビ局が自らの手でニュースの情報源を探さないで、インターネットからの情報からニュースを作っていることにほかならないからである。本来、あの衝突事件で中国漁船が何をしたのかを、自らが取材して正しく国民に伝えるのがメディアの役割ではないのか。」(p128)
最後に、この箇所も引用しとかないとね
「私の妻は韓国生まれの韓国人であり、私が業務で韓国語を学ぶ過程で知り合って結婚し、それから日本に住んでいる。私は、別に韓国人だから妻と結婚したわけでなく、惚れた女がたまたま韓国人であり、この女と離れたくないと思ったから周囲の反対にもかかわらず結婚しただけである。最初は、大反対した私の両親も今では私以上に妻を信頼している。・・・・最近、妻は日本の文化や日本人の風習もようやく理解してくれるようになってきていた。今回も、私が『国のため国民のためにやったのだ』と簡単に説明すると、あっさと許してくれ、そのうえ『私も日本に住んでいる人間の一人として、あなたに感謝し、そしてあなたの妻であることを誇りに思う』とまで言ってくれた。ただ、これだけのことをやったのだから、体を壊したり、私より先に死んだりしてはいけないという条件つきで。」(p133)