和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

政治ショー。

2011-03-26 | 短文紹介
週刊誌から、櫻井よしこ氏と石原慎太郎氏の文を引用。
まずは週刊新潮の櫻井よしこ氏から、


「・・・地震発生から丸11日が過ぎた3月22日現在も、菅首相は安全保障会議も中央防災会議も開いていない。安保会議を開催し、警察法71条及び72条に基づいて緊急事態を布告すべきときに、日本国最大の危機に対処する基本的枠組みが作られていないのだ。

非常時に首相に大権を与える法律は三つある。
第一は前述の安保会議と警察法である。
第二が自衛隊法76条による防衛出動、
第三が災害対策基本法28条による緊急災害対策本部の設置である。
・ ・・・・・・・・
菅首相はたしかに国家の総力をあげて取り組むと言った。
が、そのための体制は作らなかった。
結果、およそ全ての対策が後手にまわった。」(11・3・31号、p140)

「たとえば原子炉圧力容器や格納容器内の温度を下げるために死活的に必要な海水の注入である。自衛隊によるヘリコプターからの注水はうまくいかず、警察庁による放水は確実に届かず、消防隊の放水も当初は効果が大きいとはいえなかった。東京都のハイパーレスキュー隊を中心とした緊急消防援助隊を投入し、彼らの決死の働きで漸く、最大の危機を緩和出来たのは周知のとおりだ。
これは総務省の所管だが、ハイパーレスキュー隊の投入は3月19日、事故から8日後だ。安全会議を招集していれば、こうした日本の持てる全手段が早期に活用され、原発の危機も緩和されていた可能性は大きい。
今回、首相は前述の第三の緊急災害対策本部を設置した。そのことは評価するが、首相が災害対策基本法の意味も意義も理解出来ていないために、全く結果を出し得ていない。経済戒厳令とも呼ばれる同法は、物流の統制権を首相に与えるものだ。レンホウ大臣が国民に買い溜め自制を呼びかける前に、首相がなぜ、全国の物流を割り振り、被災地への物資輸送を最優先しないのか。」


ここからは、週刊文春の石原慎太郎氏の言葉(p44~46)

「・・政府がイニシアティブをとり、強制力を持つ政令を出して、合理的な電力制限をおこなうべきです。街のネオンを深夜は禁止する、コンビニなどの営業時間の短縮や、夜間の自動販売機の停止など、なすべきことはたくさんあるはずですが、一向に拘束力の強い政令を発して、そうした措置を取る気配がない。つまり『私』を抑えて『公』を生かす、という国家として当然の決断を下せない。」

「14日、節電啓発担当大臣に任命されたレンホウさんが都庁に来たので、『節電を命じる政令を出しなさいよ』と進言したところ、『上に取り次ぎます』と答えるのがやっとでした。『上』って誰ですか。政令というのは所管大臣が決めて、総理に了解をもらって行なうものだ。つまりご自分が権限者なのに、そういう仕組みすら全くわかっていない。口で『節電をお願いします』というのでは『政治ショー』を演じているだけだ。これで『政治主導』とは、何をかいわんや、基本的な対策さえ自分たちで決められずに・・・」

櫻井氏が指摘していた原子炉の指摘は、石原氏が、こう具体的に語っております。

「ここでいっておきたいのは、こうした深刻な事態の折にこそ、互いに落ちついて正確な情報を流し、複合的・効果的な手立てを講じる必要があります。
一夜突然、菅直人総理から電話がかかって、尻込みしている東京の消防庁の部隊を早く出してくれという。そこで消防総監に電話したら、すでに部隊を送ったが、現地との連絡がとれず、途中から引き返してきたという。バカな話だ。総理も後になって知り反省していましたが。一事が万事では国民もまどわされて困る。」

そして、こうある。

「菅総理はさかんに現地視察に行きたがっているが、市民運動家というのは、やはり御用聞きなんですな。『何かお困りのことはありませんか』と町内を回るだけで、大所高所からのリーダーシップや構想力を持ち合わせていない。」
コメント
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