潮出版社「人間万事塞翁が馬」は、谷沢永一対談集なのでした。
その最初が会田雄次氏との対談。
題して「阪神大震災でわかった日本人の苦い側面」。
そこに登場しているのが村山富市首相。
谷沢】 ・・・村山首相は何をしていたか。たとえば翌日に予定されていた、ホテルオークラでの財界の方々との会食などをのんびりやったというではないですか。
会田】 被災地へ来たのは、その後、三日目のことでした。
谷沢】 どこかの新聞が「なぜ行かないんだ」と訊いたら、「スケジュールの調整がつかないので」と答えました。なんという偉大なる平常心の持ち主でしょう(笑)・・・
谷沢】 ようやく現地に行ったときでも、何の政策も用意せず、ただ、機械的に体を運んだだけ。政治家が何かの現場視察に行くときは、すぐにその場で「こういうことをいたします」という対策と約束を用意して行くべきです。・・・・
谷沢】 さらに、呆れ果てたのは、1月23日の衆議院本会議で、村山首相は、「今回の震災について私は最善を尽くしました」といったんですね。この世に最善というものがあるもんですか。ことに不幸な出来事があったときに、もっとああすればよかった、こうもしたらよかったという、そういう後悔の念がまず先に立つはずです。それを、あれだけの災害のあとで最善を尽くしたといえる、これは尋常じゃありませんよ。・・・・
谷沢】 それから、どこかの記者が河野外務大臣に「ODAを削減して、国内向けに急遽カネを動かすべきじゃないか」といったら、即座に河野さんは「そんなことはできません」と答えましたね。
会田】 あの人も呆れるほどダメな人ですなあ。ただでさえODAは多すぎる。外務官僚などが多きな顔をするために、国民の血税を無駄遣いしすぎているのだから、それを減らすのに絶好のチャンスだった。「これは半減せざるをえない。こんなときですから、ご了承願います」と、宣言すべきだった。・・・・結局、村山首相も河野外務大臣も政治家ではないんです。・・・
会田】 ・・・政治家がいない。一生懸命になって能力を発揮しているのは、行政官、それも末端の行政官です。戦争のときでも、いちばんよかったのは熟練した下士官です。・・・ところが、上へ行くほど・・・
谷沢】 ・・・結局、政府が機能しない状態というのも、政治家が悪いんじゃない。そういう状態にもっていった日本国民が未成熟であり、悪いのだと思います。政治家というのは、今回のような一種の戒厳令が必要な事態に際して、非常措置、一時はやった言葉でいうならば超法規的措置を断固としてやる。そういう決断力と度胸、そして最後は自分が責任をとる断固たる決意があれば、それでいい。
さてっと、最後の方にこうあります。
谷沢】 こんなことをいうと語弊があるけれども、今回の震災は小規模すぎた。被災者には非常に申しわけないんですが、しかし、日本の覚醒のために、あえていわせていただきたい。思いのほかうまく復興したりすれば、政治家たちを安心させ、のさばらせること必定です。・・・・・(~p25)
谷沢】 私が不満でたまらないのは、「村山首相やめろコール」が、国民のあいだでまったく起こらないことです。日本人には為政者に怒るという神経がない。・・・・(p27)
その最初が会田雄次氏との対談。
題して「阪神大震災でわかった日本人の苦い側面」。
そこに登場しているのが村山富市首相。
谷沢】 ・・・村山首相は何をしていたか。たとえば翌日に予定されていた、ホテルオークラでの財界の方々との会食などをのんびりやったというではないですか。
会田】 被災地へ来たのは、その後、三日目のことでした。
谷沢】 どこかの新聞が「なぜ行かないんだ」と訊いたら、「スケジュールの調整がつかないので」と答えました。なんという偉大なる平常心の持ち主でしょう(笑)・・・
谷沢】 ようやく現地に行ったときでも、何の政策も用意せず、ただ、機械的に体を運んだだけ。政治家が何かの現場視察に行くときは、すぐにその場で「こういうことをいたします」という対策と約束を用意して行くべきです。・・・・
谷沢】 さらに、呆れ果てたのは、1月23日の衆議院本会議で、村山首相は、「今回の震災について私は最善を尽くしました」といったんですね。この世に最善というものがあるもんですか。ことに不幸な出来事があったときに、もっとああすればよかった、こうもしたらよかったという、そういう後悔の念がまず先に立つはずです。それを、あれだけの災害のあとで最善を尽くしたといえる、これは尋常じゃありませんよ。・・・・
谷沢】 それから、どこかの記者が河野外務大臣に「ODAを削減して、国内向けに急遽カネを動かすべきじゃないか」といったら、即座に河野さんは「そんなことはできません」と答えましたね。
会田】 あの人も呆れるほどダメな人ですなあ。ただでさえODAは多すぎる。外務官僚などが多きな顔をするために、国民の血税を無駄遣いしすぎているのだから、それを減らすのに絶好のチャンスだった。「これは半減せざるをえない。こんなときですから、ご了承願います」と、宣言すべきだった。・・・・結局、村山首相も河野外務大臣も政治家ではないんです。・・・
会田】 ・・・政治家がいない。一生懸命になって能力を発揮しているのは、行政官、それも末端の行政官です。戦争のときでも、いちばんよかったのは熟練した下士官です。・・・ところが、上へ行くほど・・・
谷沢】 ・・・結局、政府が機能しない状態というのも、政治家が悪いんじゃない。そういう状態にもっていった日本国民が未成熟であり、悪いのだと思います。政治家というのは、今回のような一種の戒厳令が必要な事態に際して、非常措置、一時はやった言葉でいうならば超法規的措置を断固としてやる。そういう決断力と度胸、そして最後は自分が責任をとる断固たる決意があれば、それでいい。
さてっと、最後の方にこうあります。
谷沢】 こんなことをいうと語弊があるけれども、今回の震災は小規模すぎた。被災者には非常に申しわけないんですが、しかし、日本の覚醒のために、あえていわせていただきたい。思いのほかうまく復興したりすれば、政治家たちを安心させ、のさばらせること必定です。・・・・・(~p25)
谷沢】 私が不満でたまらないのは、「村山首相やめろコール」が、国民のあいだでまったく起こらないことです。日本人には為政者に怒るという神経がない。・・・・(p27)