雑誌「短歌」6月号を近くの書店で買いました。
高野公彦・栗木京子・岡野弘彦。
というページ順に読みます。
まあ、私は岡野弘彦氏の短歌を読めれば、あとはいいや。
ということで、最初は岡野氏の短歌より、
海やまのせまる狭間にせぐくまり
幾世を生きし 一族(ひとぞう)の裔(すゑ)
家も族(うから)も海(うな)底ふかく沈みたる
なげきを伝へ 世々を生ききぬ
わたつみの潮の八百路に沈み入り
帰るすべなくなりし 吾妻よ
耐へしのぶこの国びとのかなしみに
沁みてうれしき ドナルド・キーン氏
心呆けて 愚かの歌もまじるべし。
わが繰り言を ゆるしたまへな
したたりて青海原につらなれる
この列島を守りたまへな
身にせまる津波つぶさに告ぐる声
乱れざるまま をとめかへらず
この親に過ぎたる娘(こ)よとなげく父、
水漬く屍は 月経てかへる
そういえば、5月9日読売歌壇の岡野弘彦選の最初の歌が思い浮かびます。
大津波に身を挺したる女子アナウンサーに
心残してわれら生きをり
横浜市 松堂茂雄
選評】 防災無線の放送を最後まで続けた南三陸町の二人の職員。先日遺体が見つかった一人は二十四歳の女性だった。命を救われたその声は一生人々の耳に残ってゆくが・・・。
栗木京子氏の短歌も、すこし
カップ麵の蓋押さへつつ思ひをり
わが部屋に火と水のあること
元気な方(はう)の涙が出たと
合唱を聴きつつ言へり避難所の人
選歌して食べて歩いて母訪(と)ひて
余震の続く三月終はる
5月9日読売歌壇の栗木京子選の3首目
立つ音も立てたる音も音すべて
地震につながる気がして怖し
二本松市 内藤四郎
選評】 作者は福島県北部に住む。余震が続く日々、「音すべて地震につながる」の恐怖はいかばかりであろうか。どうかお大事に。
高野公彦・栗木京子・岡野弘彦。
というページ順に読みます。
まあ、私は岡野弘彦氏の短歌を読めれば、あとはいいや。
ということで、最初は岡野氏の短歌より、
海やまのせまる狭間にせぐくまり
幾世を生きし 一族(ひとぞう)の裔(すゑ)
家も族(うから)も海(うな)底ふかく沈みたる
なげきを伝へ 世々を生ききぬ
わたつみの潮の八百路に沈み入り
帰るすべなくなりし 吾妻よ
耐へしのぶこの国びとのかなしみに
沁みてうれしき ドナルド・キーン氏
心呆けて 愚かの歌もまじるべし。
わが繰り言を ゆるしたまへな
したたりて青海原につらなれる
この列島を守りたまへな
身にせまる津波つぶさに告ぐる声
乱れざるまま をとめかへらず
この親に過ぎたる娘(こ)よとなげく父、
水漬く屍は 月経てかへる
そういえば、5月9日読売歌壇の岡野弘彦選の最初の歌が思い浮かびます。
大津波に身を挺したる女子アナウンサーに
心残してわれら生きをり
横浜市 松堂茂雄
選評】 防災無線の放送を最後まで続けた南三陸町の二人の職員。先日遺体が見つかった一人は二十四歳の女性だった。命を救われたその声は一生人々の耳に残ってゆくが・・・。
栗木京子氏の短歌も、すこし
カップ麵の蓋押さへつつ思ひをり
わが部屋に火と水のあること
元気な方(はう)の涙が出たと
合唱を聴きつつ言へり避難所の人
選歌して食べて歩いて母訪(と)ひて
余震の続く三月終はる
5月9日読売歌壇の栗木京子選の3首目
立つ音も立てたる音も音すべて
地震につながる気がして怖し
二本松市 内藤四郎
選評】 作者は福島県北部に住む。余震が続く日々、「音すべて地震につながる」の恐怖はいかばかりであろうか。どうかお大事に。