佐藤優著「3・11クライシス!」(マガジンハウス)は、大震災の早い頃から、雑誌などに掲載された文を早い時期に、そのままに、まとめ一冊。もう3ヶ月が過ぎて、その時の様子が、うっすらと忘れられそうになる頃です。あらためて、読むのにふさわしいと思いました。
「日本の官僚やエリート会社員の能力は高い。東京電力の原子力専門家も世界の最高水準を誇っている。ただし、日本のエリートは完璧主義で訓練されているため、責任追及を過度に恐れる傾向がある。日本のエリートはひよわだと批判することは簡単だ。筆者を含む大多数の日本人がこのようなひよわさをもっているという現実から出発しなくてはならない。専門家が後で責任を追及されると考えると萎縮してしまい、判断を間違えたり、リスクがある措置をとらなくなることがある。マスメディアに求められるのは、専門家が萎縮せずに専門知識と職業的良心に基づいて、所与の条件下、リスクを伴っても最善の措置をとれるようにする可能性を閉ざさないことだ。危機管理の要諦は、最悪の事態を回避するためにリスクを恐れないことである。東日本大震災からわれわれが学びとる教訓がたくさんある。」(p81~82)
「危機的状況において、国家意思は政治指導者によって体現される。・・・
確かに菅首相を見ていると、危機管理への対応ができず、ときどき感情的になり、実に情けなく、ふがいない。しかし、ここで一歩引いて冷静に考えてみよう。太平洋戦争後のぬるま湯の中で暮らし、雄々しさを失ってしまった21世紀に生きるわれわれ一人ひとりが、菅直人氏に通底するふがいなさ、情けなさを持っている。・・・・筆者は日本人の雄々しさ(ををしさ)を信じる。いまこそ、われわれは雄々しさを取り戻さなくてはならない。そのためには、他人のあら探しや揚げ足とりをするのではなく、どうすれば日本の国家体制を強化することができるかについて、真剣に考えなくてはならない。」(p203~204)
「日本の官僚やエリート会社員の能力は高い。東京電力の原子力専門家も世界の最高水準を誇っている。ただし、日本のエリートは完璧主義で訓練されているため、責任追及を過度に恐れる傾向がある。日本のエリートはひよわだと批判することは簡単だ。筆者を含む大多数の日本人がこのようなひよわさをもっているという現実から出発しなくてはならない。専門家が後で責任を追及されると考えると萎縮してしまい、判断を間違えたり、リスクがある措置をとらなくなることがある。マスメディアに求められるのは、専門家が萎縮せずに専門知識と職業的良心に基づいて、所与の条件下、リスクを伴っても最善の措置をとれるようにする可能性を閉ざさないことだ。危機管理の要諦は、最悪の事態を回避するためにリスクを恐れないことである。東日本大震災からわれわれが学びとる教訓がたくさんある。」(p81~82)
「危機的状況において、国家意思は政治指導者によって体現される。・・・
確かに菅首相を見ていると、危機管理への対応ができず、ときどき感情的になり、実に情けなく、ふがいない。しかし、ここで一歩引いて冷静に考えてみよう。太平洋戦争後のぬるま湯の中で暮らし、雄々しさを失ってしまった21世紀に生きるわれわれ一人ひとりが、菅直人氏に通底するふがいなさ、情けなさを持っている。・・・・筆者は日本人の雄々しさ(ををしさ)を信じる。いまこそ、われわれは雄々しさを取り戻さなくてはならない。そのためには、他人のあら探しや揚げ足とりをするのではなく、どうすれば日本の国家体制を強化することができるかについて、真剣に考えなくてはならない。」(p203~204)