和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

学恩というのは。

2013-07-01 | 前書・後書。
竹山道雄著作集(福武書店)全8巻。
各巻の解説と月報とを、とりあえず見る。
ちなみに、この古本の本文はきれい、読まれなかったような感じ。
ですが、解説と月報に、さりげなく、4箇所の線引きがありました。
なんだか、それだけ読んだようで、今の自分と重ねてしまいます(笑)。

5巻月報の、会田雄次氏の文が印象深い。
ということで、そこから引用。
はじまりはこうです。

「古い話になる。私は今度の大戦で20歳代の後半を、歩兵一兵卒としてビルマで戦い、部隊がほぼ全滅した状況下で敗戦を迎え、以後英軍の収容所で、その強制労働に服した。」

会田氏の文の最後も引用。

「『ビルマの竪琴』は読んでいた。しかし、上のような経験を持つ私にはこれはきれいごとに過ぎて共感できなかった。それ以外はいそがしさにとりまぎれ『心』などの論文をかいま見る程度だった。味読まで行かなかったのは今から考えて痛痕の至りである。ただ、このような進歩主義の大合唱の中で、このような人が居られるのかと教示を受けるとともに共感と安堵を感じたものである。
この『剣と十字架』はどういうことか先生から贈っていただいたのだが、私の年来の疑問に大きな光明を与えるものであった。・・・・・・それ以来私は熱心な竹山先生の読者になった。私はすぐれた著作はできる限り咀嚼し、みだりに引用などせず、ひたすら骨肉化することに努力している。そういうことで私の今日の思考にはずい分、竹山『学説』が入っているはずである。学恩というものはそういうものだと私は信じている。」


うん。まずはさっそく、
本棚に会田雄次著「アーロン収容所」をさがす。
コメント
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