和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

蟻のつぶて(?)。

2014-05-02 | 本棚並べ
益田勝実と梅原猛の雑誌「文学」(3冊)での論争を
読めてよかった。
思い浮かんだのは「梨のつぶて」。
これはその反対で「蟻のつぶて」(?)
だなあと妙に感心したのでした。

まず、益田勝実氏の最初の文と、
最後の文を読んで、おもむろに、
真中の梅原猛氏の文を読みました。

ここに論争があった。あった。
ただ、現代は梅原猛氏に答える
益田勝実氏の存在が、希少価値の時代なんだ。
うん。いつの時代でも希少価値なんだ。
などと、思いながら読んでおりました。

そういえば、
小谷野敦著「バカのための読書術」(ちくま新書)に

「しかし、私は、梅原の凄まじい闘争心に感心した。
格闘技なら、この闘争心だけで十分評価に値するだろう。
梅原は学生時代には、
師匠の田中美知太郎と二度にわたって衝突し、
無名の立命館大助教授時代には、
当時の権威的知性だった丸山真男や小林秀雄に
論戦を挑んで無視されている。
学問の世界ではこういう闘争的な姿勢は『大人げない』と
言われるものだが、私は、梅原がいろいろと怪しいことを
言ったり権力闘争をしているのは知っていながら
どうしてもこの人が嫌いになれないのは、
この闘争心ゆえである。
古い雑誌からは、こういう面白いものも、
見つけることができる。」(p57)

この新書は2001年に出ており
山村修著「遅読のすすめ」は2002年。
その「遅読のすすめ」には

「小谷野敦は右の論争について・・・
『私は、梅原がいろいろと怪しいことを言ったり
権力闘争をしているのは知っていながらどうしても
この人が嫌いになれないのは、この闘争心ゆえである』
と書いている。私もそう思う。
しかし私はまた、ご先祖さまに向かって
『いま、京都の梅原さんという論客にぶったたかれて、
弱っとります』と窮状を訴えた益田勝実も気に入った。
この人も内部にひそかにヒョウタンツギを養っている。
梅原猛という人は、その存在そのものが
文化におけるヒョウタンツギであろう。」(p125)


うん。論争が読めた、よ~し。
次に、益田勝実を読む番だ。
コメント
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