和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

そふで御座らぬさりながら。

2014-05-11 | 本棚並べ
今日。5月11日の
毎日新聞の今週の本棚と
産経新聞の日曜読書欄と、を読む。

数冊欲しい本がみつかる(笑)。

気になったのは、
今週の本棚の「昨日読んだ文庫」。
上方文化評論家・福井栄一氏の文。
とりあげられたのは岩波文庫の
『耳嚢(みみぶくろ)』。

「著者は、根岸鎮衛(やすもり)(1737~1815)。
南町奉行を17年も務めるなど、
旗本の三男坊から異例の出世を遂げた彼は、
市井の人々から聴いた珍談奇話を三十余年に
わたり、営々と書き溜めた。
収録話に怪異譚が多いこともあり、
歴史学ばかりでなく民俗学の立場からも
注目される同書だが、巷説稗史入り乱れる中に、
時々、はっと胸を衝かれるような視点や深遠な
人生訓が顔を出すから油断がならない。」

こうして、一例として引用されたのが
魅力的です。

巻之一「諺歌(げんか)の事」にあるそうで。


「ある人がやって来て、最近聞き知った
『世渡り上手の歌』と『世渡り下手の歌』
というのを教えてくれた。曰く

【世にあふは左様で御坐る御尤(ごもっとも)
これは格別大事ないこと】
【世にあはじそふで御座らぬさりながら
是は御無用先規ない事】

二首を意訳すれば、

〈 巧く世渡りするには、『おっしゃる通り!』
『ごもっとも』『それで問題ございません』
とだけ言っておけ 〉
〈 『そうではない!』『しかし、私が思うに・・』
『こんなことは無用だ』『前例がないから無理だな』
なんてことばかり言ってたら、
人生、ロクなことにならんぞ 〉

と相成る。・・・・」


うん。『耳嚢』は上・中・下の三冊。
思わず開きたくなります(笑)。

最近つくづく思うのは、
勿論、本は内容なのですが、
さりながら、
その本を紹介してくださる、
きっかけも、
それにおとらず貴重でござる。
ゆめゆめ、
その機縁をぞんざいにはすまい(笑)。

ということで、
本との機縁に、着目し、そこを、
このブログに、書き込めたなら。
どなたよりも、まずは、
私自身が読み直したいと思います(笑)。
コメント (4)
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