おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書53「悪党芭蕉」(嵐山光三郎)新潮社

2009-11-15 19:20:33 | つぶやき
 「芭蕉は大山師だ」と言ったのは、芥川龍之介である。芭蕉が「詩聖」に祭り上げられ、「神」としてありがたく押し頂く存在になったことと芸術の貧困への憤りがそこにはある。
 嵐山さんは、この言葉を出発点として、俳諧の歴史における、芭蕉と弟子たちの存在を緻密に探っている。名歌「古池や」の句のいかがわしさ(?)、当時の「生類憐れみの令」のもとで、けなげな抵抗・・・。
 弟子には悪党?が揃っていたか、その悪党を束ねていたのが芭蕉であった、と。
芭蕉在世中からの弟子同士の主導権争い、没後の分裂などを描きながら、出版業界の繁盛と事業の成功、弟子・パトロン筋への巧妙な配慮の人であった、芭蕉それ自身を浮き彫りにしている。
 俳諧が数多く紹介され、丁々発止として句会の有様、句集の編集の苦労、弟子同士の微妙なバランス感覚・・・、など楽しませる内容が多かった。蛙は飛び込まない、従って音などしない、清澄庭園でじっくり観察した結果など、どこまでホントウやら。
コメント
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