東京の郊外。どこにもある(かつてはあった)ような、特色もない商店街。その一画にある(あった)「魚春」が舞台の短編の連作。
人の命のはかなさと生きていた時の「業」の深さと、それ故の人の心の機微が淡々と描かれている。
「魚春」の主人「平蔵さん」となくなった奥さんの「真紀さん」とそれにからむ「源さん」とその他市井の庶民が、織りなす人間ドラマ。生と死の世界。どこにでもあるような話のようであって、どことなく現実離れした話の組み合わせ。それでも、しっとりといつまでも心の片隅に残る話。「センセイの鞄」以来、ペーソスにあふれた語り手の姿が読む人に思い浮かんでくるような・・・。
芥川賞作品の、ちょっと「えっ」と思ったような(お茶大の理学部での才媛のものした)小説から作風が少しずつ変化してきて、それでも貫かれている、「人間」への愛情・憐憫、期待?などがつつましやかに語られている。
ちょっぴりすてきな小説。結婚、浮気、疑い、死・・・、一歩間違うとどろどろしてしまいそうなテーマを見事にまとめ上げています。
谷内六郎さんの絵がとてもよくマッチしていました。懐かしい趣がぴったり。
人の命のはかなさと生きていた時の「業」の深さと、それ故の人の心の機微が淡々と描かれている。
「魚春」の主人「平蔵さん」となくなった奥さんの「真紀さん」とそれにからむ「源さん」とその他市井の庶民が、織りなす人間ドラマ。生と死の世界。どこにでもあるような話のようであって、どことなく現実離れした話の組み合わせ。それでも、しっとりといつまでも心の片隅に残る話。「センセイの鞄」以来、ペーソスにあふれた語り手の姿が読む人に思い浮かんでくるような・・・。
芥川賞作品の、ちょっと「えっ」と思ったような(お茶大の理学部での才媛のものした)小説から作風が少しずつ変化してきて、それでも貫かれている、「人間」への愛情・憐憫、期待?などがつつましやかに語られている。
ちょっぴりすてきな小説。結婚、浮気、疑い、死・・・、一歩間違うとどろどろしてしまいそうなテーマを見事にまとめ上げています。
谷内六郎さんの絵がとてもよくマッチしていました。懐かしい趣がぴったり。