おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書51「幕末明治百物語」(一柳廣孝・近藤瑞木編)国書刊行会

2009-11-13 19:46:49 | つぶやき
 ボンヤリ系装幀本の一つ。内容にふさわしいか。掲載の写真を見ても、何だかよく分からない。背表紙で書名が分かるのみ。よく見ると、三遊亭円朝や桂文治など当代一流の落語家やら新聞人など、いわゆる「好き者」の名が刻印されている。
 この書物。明治27(1894)年「やまと新聞」に連載された「百物語」から採りあげた怪談・怪奇集。新聞だけのことはあって絵入りになっている。さらに注にはかの有名な円山応挙「幽霊図」なども載せられている。
 構成的にはおどろおどろしい感じが醸し出されている、と言いたいところだが、いたって学術的になっているのは、さすが。 
 江戸末期から明治初期の「実際に」「聞いた」話を、それぞれの演者が語って聞かせる形式になっている。当時は、こうした催しがはやったらしい。一日一夜、これぞと言う語り手の強者が話を次々と集会参加者に語っていく・・・。
 向島辺りで開いた、幸田露伴などが主催した会だとか森鴎外などの会が有名である。この会は、浅草で実際に行われた座談を収録したもののようだが。
 江戸時代から、夜のお伽、つれづれに、こうした怪談・怪奇話を持ち寄るという習わしがあったらしい。
 明治に入って、文明開化のもと、西洋科学思想の移入によってこうした怪談話を「科学的に」分析、批判するというような趣旨もあったようだ。けれども、そうした科学的評価を抜きにして、実に多彩な話の集まりであった。 
 なお、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『怪談』に所収の「むじな」の原話になった話も、掲載されている。
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