パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

視点の変化

2009年09月15日 20時02分22秒 | Weblog
秋というのに少しばかりブレーキがかかっている読書
そこで日曜日に、勢いづけにミステリーを!
と書店に向かった

単に殺人事件だけでなく、
いろんなうんちくのあるものを探していたところ
フト目にしたのが松本清張「Dの複合」

浦島伝説、古代史、民族説話と現代の事件を結ぶ
雄大な構想から生まれた本格的長編推理小説
裏表紙に紹介文があった
気分的にすんなりと久しぶり松本清張でも読んでみようか
となったので買い求めたのだが
確か以前読んだ事があったような記憶があるような、無いような

読みかけの印象
それは明らかに、現代の消費するだけの
この手のミステリーとは違う様に感じられた
丁寧に書き込まれている
一方、現代のは読みやすすぎる
少しツッカリがあるくらいの方が骨っぽくていい

ところでそんな事よりも気になったのが
松本清張のこの小説の話の持っていき方
以前は内容自体に夢中になったのだが
今回は話を展開していく方法、技術に関心がいった

結構強引な話の持っていき方があるもんだ
ミステリーだから、またフィクションだから仕方ないとは言え
ある意味ではしんどいところもある

そんな風に思うのはこれだけではない
実は少し前に読んだ「1Q84」でも
主人公の男性の塾の講義のところの描写もそうだ

数学がロジカルでスッキリしていて、それ自体の美しさを
みたいなところがあったが
この表現はあまりにも通俗的すぎる
まるで名探偵が数学的な才能がある人!
とパターン化されているのと似ている
正直なところ進学塾の数学の講義では
数学のシンプルな美しさより
解答に向かうテクニックを教えているだろうから
この描写は当てはまらない(と違和感を持った)

どうやら最近は年齢を重ねた所為で、話自体よりも
作者の視点の方が気になってきたようだ

そういえばNHKの「天地人」も話自体より
俳優さんというのは表情、涙、話し方など
その技術そのものに感動したり
話の持っていき方も
やたらと男が涙を流すシーンが多いのは
女性が脚本を書いているからなのだろうか
などと、よそ事の方に関心がいっている

歳をとると涙もろくなる
これは実体験として、その通り!
だが反面、行間の違和感などを
感じられる様になるのもこれまた事実

年齢を重ねるという事は
知らず知らず視点の変化をもたらすものだ
それが幸せかどうかは分からないけれど


コメント
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