今は市の図書館の見える場所に陳列されていない辻邦生
北杜夫の親友で「夏の砦」「背教者ユリアヌス」
「春の戴冠」などの名作をものすごい勢いで連発した
最近は離れていたが、今は再読のタイミング!と
本棚のこれが訴えるように目に入った(タイトルがなかなか詩的だ)
「ある生涯の7つの場所」と名付けられた100の小説からなる辻邦生らしい作品で
黄いろい場所からの挿話、赤い場所からの挿話、緑いろの場所からの挿話、橙いろの場所からの挿話
青い場所からの挿話、藍いろの場所からの挿話、菫いろの場所からの挿話から成り立っている
色には色独自の気分があるので、それを一まとまりの主題(場所・人物)を象徴するものとして
アイデアが浮かんだそうだ
これを読んだ頃は辻邦生の創作欲に圧倒されて、勢いで読んだようなもので
部分部分で印象に残るものはあったが、覚えていないというの正直なところだ
本棚から引っ張り出して気になったのは、このきれいな装丁の本の値段だ
それでページ数と価格を確認してみた
最近は毎月のように値上げが続いているが、この質感で980円とか1100円で
販売されていたことに驚く
そう言えば三島由紀夫の「豊饒の海」の単行本も今の文庫本くらいの価格だった
再読は同じ色の挿話をまとめて読んでみようと思う
間に何かを挟むと最近の記憶力では肝心なことを忘れてしまいそうだ
幸い一つ一つはそんなに長くないので、寝転がって読むには最適だ
プロと素人の違いは創作欲とそのエネルギーだとつくづく実感する
素人の自分は味わうだけだが、それでもエネルギーも必要だ
秋になってきたし、ようやく集中して読めるようになってきたかな