オシムさんは日本代表の監督時代、PK合戦になった時
見ていられなくなってベンチから離れたという話があった
どうやら心臓に少し悪いところがあって
ドキドキするのは体に良くなくて、見ないようにしたらしい
オシムさんの代表監督は日本だけでなくユーゴスラビアも経験している
ストイコヴィッチがまだあまり知られていないころで
今でも覚えているのがワールドカップのアルゼンチン対ユーゴスラビアの戦い
マラドーナがいたアルゼンチンに対して、退場者が一人出て
不利な条件のなか獅子奮迅の活躍をしたのがストイコヴィッチ
サビチェビッチがチャンスを決めていればベスト4まで行けたのに
(そこまで育て上げたのがオシムさん)
最終的にはPK合戦で負けてしまった
(ストイコヴィッチは外してしまった)
あのときのユーゴスラビアはすごかった
東欧のブラジルといわれ、技術的にも優れた選手が多かった
だがその後のユーゴスラビアの分裂と同様に
個性的な選手の集合というのは難しかったのだろうと思われる
ユーゴスラビアは多民族、多宗教、多言語でチトー大統領の力で
なんとかまとまっていたのと同じように、個性的な選手もオシムさんの力で
まとまっていたのではないか
あの試合はビデオに残しているが、実は監督がオシムさんだったと
気づいたのは日本代表をすることになったときだった
日本代表時代は、オシム語録が面白かった
逃げるうさぎは痙攣を起こさないとか
走れ、考えろ、、単に根性論に徹するのではなく
含蓄のある言い回しで言葉は力を持つものだと感じさせたものだった
当時もうひとつ有名になったのは多数の色のビブスを使った練習で
敵味方だけでなく味方も2色に分けて、パスを交換できる選手のビブス
の色を決めていて、いろいろ状況が変化する中で選手は近くにサポートにいったり
離れたりをポジションをときには無視して行わなけれならない
このポジションにこだわらない考え方が好きで
自分もコーチ時代にこの練習を真似てみたことがある
すると思いのほかこの練習は効果的だった
まずは顔を上げることが多い、味方の選手がどこにいるかを常に気にするようになる
そして状況判断を、時には例外的なことも選択する
監督の色が確かにチームのカラーとなる
グランパスは風間さんのときはダイレクトパスを多用し、攻撃に特化していた
点は取れそうだったが、守りはしょぼかった
その全く反対が去年のグランパスで、フィッカデンティ監督は
失点しなければ負けない精神でチームづくりをした
子供のサッカーも監督とかコーチの考え方でチームカラーが違ってくる
自分はオシムさんに近い流動的な形が好きだった
決められた形で守りを固めるよりは、自己判断のもとプレイの選択をするようにした
(守りはほっといても心配性の子が後ろに構えることが多かった)
練習最後のお楽しみ試合の時間は、ざっくりしたポジションを決めた
前目の人、後ろの人、その間の人、、それにどこでもいい人を
じゃんけんで決めたりした(みんなどこにでも行ける人になりたがった)
小学校1、2年の子たちの試合には「ボールに20回以上触ること」
と課題を設けてみた
どちらに向かって蹴ろうが進もうが、まずはサッカーの試合に参加する
その楽しさとか舞い上がった気持ちを味わってほしかった
低学年だとざっくりポジションを決めても実際には守れない
すぐに団子状態になる
ところが、これが役に立たないかというと彼らは少しづつ慣れて
離れてチャンスを待つ子が出てくる
試合は一番の練習になるし子どもたちもやりたがった
この団子状態のサッカーは前に進む力が強い方にボールは落ち着いていく
縦の力が強い方にボールがこぼれてくるのは大人の世界でも同じだ
あと一つ、オシムさんのことで覚えているのは5対5でミニゲームをしていた時
オシムさんは片方のチームにもうひとり入るように指示をした
一人多いチームは当然有利になってゲームが進んだが、ゲームの途中だったか
終わってからか忘れたが、オシムさんは
「なぜ数が少ないチームはもうひとり自発的に入るようにしなかったのか」
と怒ったそうだ
言わんとすることは指示されたことを行うのではなく、
自分で適切なことを判断をするようにということだった
この発想は「言うは易し行うは難し」の部類だろう
そして自己判断で何かを行ったり、自己の考えを他人に伝えるというのは
この国(日本)では思いのほか難しいということも、少し考えてしまう
ということで、オシムさんことからいろいろ思い出したということ
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