北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

NATOはウクライナを如何に迎え入れるか【3】NATOオブザーバー国であったロシアと東欧諸国NATO加盟

2023-05-27 20:23:02 | 国際・政治
■ロシアとNATO東方拡大
 ルビコン川を最早わたってしまい後戻りできない時代であるのは関係修復の可能性は残っているのか。

 ウクライナのNATO加盟問題について、一つ大きな視座はNATOはロシアとの関係を修復する余地を考えていないのか、という問題です。発言から一ヶ月以上を経てもストルテンベルク事務総長からの修正発言が出されないことを考えれば、これは事務総長の視座ではなくNATO全体の意志であることを示しています。むろん時期は明確には示さないが。

 ロシアとの関係、少なくともプーチン政権の統一ロシアとの関係を考えれば、ロシア-ウクライナ戦争の開戦がウクライナからのロシアへの攻撃という一種の陰謀論、ウクライナがNATOに加盟しウクライナにアメリカの攻撃兵器が置かれるという陰謀論、これがキューバ危機などと異なるのはロシアが証拠を示さず開戦後実際無かったためですが。

 NATOへのウクライナ加盟を政治的な論点に持ち上げた背景を考えれば、次にロシアがウクライナへ侵攻した場合は第三次世界大戦の覚悟がある、という決意にほかならないとともに、ロシアとNATOとの関係はプーチン政権が存続する間は修正しない決意の表明にもほかならず、いわばNATO側から新しい冷戦構造の醸成を覚悟することにほかなりません。

 難しい視点は、G7がG8であった時代にはロシアは世界政治において安全保障上の問題には思い切った行動をとることで知られていました、いちばんの筆頭はシリア介入、ISILが跳梁跋扈しアメリカが介入するまでは、ISILは一種無敵に近い状態で数年後にはウィーンを包囲するのではという、歴史に影響されたような想像力のある警鐘もありました。

 ISILへのシリア介入は、アメリカがシリア内戦とアサド政権の関係、そしてイラク治安作戦を2003年以来継続し膨大な戦死者から厭戦機運の高まりとともにアメリカのオバマ政権が躊躇していたなか、先陣を切って爆撃機を派遣したのはロシアであり、いわばウクライナ支援におけるイギリスのような役割をG8加盟国では果たしていたのですね。

 ロシアとNATO,もちろん関係が開戦前にもどることはありません、次はスヴァルキギャップかポーランドか、特にポーランドは1939年にソ連に侵攻された経験、スヴァルキギャップに隣接するバルト三国もソ連に併合された歴史があり、そしてなによりもカリーニングラードとの関係を考えれば警戒を強化するのはむしろ当然ではあるのですが。

 NATO東方拡大、プーチン大統領が批判していますが、わたしはロシア自身がNATOオブザーバー国として准加盟国の位置へ進んだ、つまり2007年にNATOオブザーバー国を離脱するまでの期間でしたが、あの行動をもってロシアがNATO東方拡大を批判することができなくなったように思います、あのときはロシアはNATO加盟へ進んでいましたから。

 歴史、という分野になるのでしょうか、1990年代にはロシアのNATO加盟が現実的な流れとなっていて、これが実現するならばNATOの仮想敵国は日本なのか、と少々笑い話的に議論されていた、トムクランシー氏が小説"日米開戦"を発表したのはこのころでしたから。マイナーだが大石英司氏の”第二次太平洋戦争”もこのころの発表でしたか。

 まさか、ロシアがNATOへ接近したことをロシアがNATO東方拡大だ、と批判することはできないでしょう、何よりこの施策はロシア政府自身が進めたのですから。逆に東欧諸国はロシアとともにNATOへ向かう、それはソ連時代の厳しい教訓を反映するものでしょうし、逆にロシアがNATOに向かう以上、自国も向かわねば仮想敵国となりかねません。

 ロシアとの決別の覚悟があるのではないか、というNATOの姿勢ですが、同時に隔靴掻痒もあるのでしょうか。ウクライナ空軍の戦力不足などが背景にありますが、今回のロシアウクライナ戦争はNATOが重視するエアランドバトル、航空打撃力とヘリボーン戦力を最大限活用し第二梯団を叩く戦術を多用するならば、短期的に勝利を得られた、という。

 仮にNATOへのウクライナ加盟が実現し、その上で次の戦争となれば、今のように支援を長期にわたり行うことなく、通常戦力でも短期的にロシア軍に決定的な打撃を加えて領域外に追い出し、一方でロシアの切り札という核戦力はNATO自身の持つ強力な核戦力により抑止力を行使し、脅し以上に使わせない、という選択肢をとることができます。

 70歳、さて長期戦となればロシアは勝てるという指摘があるようですが、プーチン大統領は今70歳でまもなく71歳です、仮に十年単位の戦争となれば80歳、しかもおなじく高齢のバイデン大統領とは異なり彼は選挙ではなく政変で政権が変わる権威主義国家の大統領です、十年二十年、戦えるほど若くはない点を加味する必要があるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-河原町三条,美味しいは正義!そうだステーキを食べよう

2023-05-27 14:10:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 今日は5月27日で海軍記念日です。日本海海戦の戦われた火を海軍記念日としたわけですがまあ日常に色々と誰でも記念日はあると思う。

 はるなさん。29日でなくともお肉は食べたくなるものでして、なんというか美味しいものを満足げに食べるというのは栄養摂取以外にストレスというか鬱憤を晴らす一つの健康法なのだと思う、やり遂げた日や気分転換やなにか区切りの日には焼肉かステーキがいい。

 ジントニックを注文しまして、未だ混雑する前のお店を見渡します。古い建物を今風に内装を改築する、大きな窓からは坪庭もみえるのですが、坪庭というのは短歌のように無駄をそぎ落とした、しかし優雅と優美を兼ね備えた装いが、あこがれるように好きなのです。

 ステーキ、とともに古民家といいますが古い京風建物を改造して落ち着いた店内としていますが、テーブルの間隔も広く、調度品も気取り過ぎていないが落ち着いていて、照明一つとって居心地が良い。三条河原町の繁華街に隣接しているのに、という印象なのです。

 美味しいお肉をお手頃に頂ける、穴場という訳ではないのだけれどもちょっとお気に入りのお店が、河原町三条を下った直ぐのところ、大黒町のところにあります。いや坪庭が有り、ちょっとお高そうな雰囲気を醸しているところ、ステーキが待っている、舞っている。

 MASAYOSHI-正義、サーロインステーキやハラミステーキにフィレステーキと牛タンステーキ、こんなにお手頃にと思う様な価格帯なのですが、実に美味しく、数を焼いて場数を踏んでいる故の絶妙な焼き具合と熟成さで美味しさを届けてくれるところなのですが。

 アンガス牛ステーキが、ちょっとお勧めで、チリワインや南アワインでカベルネやリブシャクなんかと取り合わせて赤身のお肉を頂くのも良いのかもしれません、ワインはグラスワインも、しかしお勧めはハーフボトルといいますので、白か赤か迷いつつ嗜もう。

 ステーキには、卵ダレがおすすめされて、成程滋養あるタレでスタミナをつけるのもよいのですが、A-1ソースやしょうゆベースのソースに塩ポン酢や山葵と黒こしょうに岩塩と濃い口しょうゆにガーリックバター、卓上に備えられていまして、自分で味をカスタムする。

 MASAYOSHI-正義、河原町通りからちょっと高瀬川の方へ入った場所なのですが、分りやすく言えばクロスホテル京都の向かい側にあるお店です。ワインとお肉、いやチョリソやエビフライというような、ちょっと肴を先に、という愉しみ方も出来るお店が迎えてくれます。

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ウクライナ情勢-レオパルド1A5戦車110両引き渡し開始間近とロシア軍戦術核兵器ベラルーシ配備情報

2023-05-27 07:00:48 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 バフムト攻防戦がウクライナ軍の市域外への後退の一方で攻撃の主力を担ったワグネルが攻撃衝力を使い果たし交代するという状況下、春季攻勢の行方で気になる発表がありました。

 ドイツ政府からレオパルド1主力戦車110両の供与が開始される、ウクライナの駐ドイツ大使であるマケイエウ大使が24日に発表しました。供与されるのは第二世代戦車のレオパルド1A5戦車で、日本の74式戦車と同世代のものです。ただ、ドイツでは1990年代までに暗視装置を熱線暗視装置とする等、第三世代戦車の技術により改良が為されています。

 レオパルド1A5戦車は第二世代戦車ですが、105mm戦車砲は改良型砲弾によりT-72戦車などを正面装甲貫徹可能とされ、第二世代戦車は攻・走・守の三要素の内で技術的限界から二つまでしか充分な能力を有していませんが、攻撃力と機動力に重点を置いた優秀な戦車です。なお、大使がこのように発言している点ですが具体的日程は発表されていません。
■ベラルーシ核配備
 ロシア政府が発表していたベラルーシへの戦術核兵器配備がいよいよ開始されたもよう。

 ベラルーシへロシアからの戦術核兵器配備が実際に開始されました。これはベラルーシのルカシェンコ大統領が発言したもので、ルカシェンコ大統領自身がモスクワを訪問した際に、移転が開始されたので保管場所を準備する、と発言しています。ロシア政府は7月に移転するとして保管場所整備を行うとしており、かなり前倒しされた事を意味するもの。

 移転が開始されたので保管場所を準備する、これは保管場所が無いのに持ち込まれたのか、実際の核弾頭が持ち込まれたのではなく移転準備が具体的に始まっただけと二種類の解釈が成立ちますが、ルカシェンコ大統領は、移転が始まった可能性があるだけで実際に移転されたかは帰国した後で確認する、としており、確証或る情報ではないのかもしれません。
■クレムリン無人機攻撃
 攻撃に使用されたものは小型機でありウクライナ本土から投射した場合は到達は難しいでしょうが、特殊部隊等が近距離まで持ち込んだ場合は別です。

 クレムリンへの無人機攻撃へウクライナが関与した可能性、アメリカのCNNやニューヨークタイムズなど複数のメディアが3日に発生したロシア大統領府のクレムリンに対して2機の無人機が攻撃した事件について、ウクライナ側が関与した可能性があるという複数のアメリカ政府当局者の分析を報道しました。これは単なる憶測という訳ではないようです。

 クレムリン周辺の通信傍受を行った通信内容の解析から、無人機攻撃を予測できておらず、自作自演ではなく第三者による攻撃、という分析を行ったもよう。他方、ウクライナのゼレンスキー大統領が計画を承認していたかは不明であるようで、ニューヨークタイムズでは、ゼレンスキー大統領はしらなかった可能性が高いとの当局の分析を報道しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和五年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.05.27-2023.05.28)

2023-05-26 20:22:32 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 台風二号がかなり大きな勢力となってグアムを襲い来週には南西諸島に接近するという緊張感と共に、今週末の行事予定を紹介しましょう。

 美保基地航空祭、日曜日に行われます。この基地は自衛隊の空輸部隊の拠点であると共に陸上自衛隊部隊等が駐屯している。航空祭は航空自衛隊美保基地が実施、第3輸送航空隊司令が基地司令を兼ねています。航空隊隷下にはC-2輸送機を運用する第403飛行隊とKC-46A空中給油輸送機を運用の第405飛行隊が置かれ、輸送機大編隊は一見の価値あり。

 静浜基地航空祭、日曜日に行われます。静岡県の東海道本線藤枝駅が一応最寄となり4km程離れている立地、第11飛行教育団が展開する練習機の基地です、最近NHKに特集される等漸く有名になっている芙蓉部隊の拠点基地であり、過去にはT-3練習機を彗星攻撃機塗装として飛行展示を行った事もあります。現在運用しているのはT-7練習機、小回りが利く。

 鹿追駐屯地創設66周年記念行事、日曜日に執り行われます。第5旅団隷下の第5戦車大隊が駐屯しています、第5戦車大隊は第5師団の第5旅団改編に際し本部管理中隊を持つ第5戦車隊へ拡大改編された後、第5戦車大隊へ縮小改編された、今年3月に更なる縮小改編を受け、第5戦車隊となりました。隊の名の難しさを示す部隊、90式戦車の戦車部隊です。

 北宇都宮駐屯地創設60周年記念行事、土曜日、実施予定です。数ある今週末の行事の大半は日曜日に行われますがこちらは土曜日、ご注意ください。そして近くに宇都宮駐屯地がありますが、今週末開催されるのは北宇都宮駐屯地、ご注意を。航空学校宇都宮校と第12ヘリコプター隊第1飛行隊のUH-60JA多用途ヘリコプターが装備されている駐屯地です。

 高田駐屯地創設73周年記念行事、日曜日に実施されます。駐屯地には新潟県に二つある2日連隊の一つである第12旅団隷下の第2普通科連隊、そして東部方面隊直轄の第1施設団隷下部隊である第5施設群等が駐屯している。駐屯地に隣接し越後高田藩の高田城址がありまして、復元建築物として三重櫓などがあり、駐屯地祭に合わせて探訪もよいでしょう。

 大久保駐屯地創設66周年第4施設団創設62周年記念行事、日曜日に執り行われます。宇治市に所在する陸上自衛隊駐屯地で、旧陸軍飛行場建設が行われていた遺構でもある。この為に伊丹駐屯地や千僧駐屯地と比べ、式典会場が広いのが特色です。駐屯地には第4施設団が駐屯、また過去第3師団が甲師団であった時代には第45普通科連隊が置かれていた。

 徳島駐屯地創設11周年記念行事、日曜日に執り行われます。第14施設隊等が駐屯し2012年に創設された新しい駐屯地、第2混成団の旅団改編により新設されたよく似た名前の施設に徳島空港に隣接する北徳島分屯地がありますが徳島駐屯地は徳島市よりも20kmほど南の阿南市、阿波赤石駅から141号線沿いに4kmの場所にありますので間違えられぬよう。

 大村航空基地一般公開、日曜日に行われます。大村航空基地は西日本の哨戒ヘリコプター部隊総元締めである第22航空群司令部が置かれ、隷下の第22航空隊が展開しています。この他に群隷下には小松島の第24航空隊が置かれている。第22航空隊隷下には第221飛行隊と第222飛行隊及び第223飛行隊等で、SH-60J/K哨戒ヘリコプターが配備される。

 中止、第4師団創設61周年福岡駐屯地祭、土曜日に行われる予定でしたが、中止となりました。第4師団とともに西部方面隊には第8師団が北熊本に置かれていますが、先月発生の師団長搭乗航空機遭難事故の関係でしょうか。第4師団は地域配備師団となり、戦車や火砲が廃止されている部隊で、前回行って以来すこし興味が在った行事だけに残念です。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・5月28日:鹿追駐屯地創設66周年記念行事
・5月27日:北宇都宮駐屯地創設60周年記念行事
・5月28日:高田駐屯地創設73周年記念行事
・5月28日:静浜基地航空祭
・5月28日:大久保駐屯地創設66周年第4施設団創設62周年記念行事
・5月28日:徳島駐屯地創設11周年記念行事
・5月28日:美保基地航空祭
・5月28日:大村航空基地一般公開

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ウクライナ情勢-ロシア情報収集艦イワンクルスをウクライナ無人水上艇部隊が急襲,市ヶ谷で供与車輛引渡式

2023-05-26 07:00:40 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 イワンクルスという情報収集艦は大きさですと試験艦くりはま一回り大型というところでしょうか。

 ロシア海軍の情報収集艦イワンクルスが5月24日、黒海海上においてウクライナ海軍の攻撃を受けたもよう、25日付イギリス国防省ウクライナ関連情報として発表されました。イワンクルスはユーリーイワノフ級情報収集艦の2番艦で満載排水量4000t、2010年代に建造され2018年に就役したばかりというロシア海軍最新鋭の情報収集艦となっています。

 ユーリーイワノフはウクライナ海軍の無人水上艇による攻撃を受け、少なくとも3隻の無人水上艇が攻撃に参加、ロシア海軍はこのうち1隻を撃沈したと発表していますが、攻撃の瞬間とされる映像によれば複数の無人水上艇がユーリーイワノフの近距離で爆発しています。ユーリーイワノフは自衛用に機関銃等を搭載している。損傷の程度は不明とのこと。
■ベルゴロド騒擾続報
 ロシア軍が2014年にウクライナ東部で行った方式とも共通点があるようなきもしますが。

 ベルゴロドでパルチザンによる攻勢について、イギリス国防省ウクライナ関連情報にはロシアの反体制派が関与を主張しているという点、そして戦闘はグライヴォロン市周辺で戦端を開いており、装甲車両が参加しているとのロシア側発表は既にあったものの、イギリス国防省によれば火砲と無人航空機が参加していた。火砲が迫撃砲や榴弾砲かは不明です。

 イギリス国防省はこの攻勢への分析として、鉄道施設への妨害攻撃など既に派生しているロシア領内での騒擾とともに国境地域の治安脅威増大に対応を求められることとなる後方警備という視点、そしてもう一つの視点としてロシア領内へのウクライナ側の攻撃を主張する際に利用できるプロパガンダ的な視点、この二つの視点から分析しているもよう。
■自衛隊車両供与
 自衛隊車両の引き渡し式が防衛省で行われました。

 わが国がウクライナへ提供を決定した自衛隊車両について、防衛省は24日、市ヶ谷の防衛省においてウクライナのコルスンスキー駐日大使と井野防衛副大臣が出席し、目録の引き渡し式が行われました。井野副大臣は今回供与されるものは自衛隊で活躍してきたものとし、全国の陸上自衛隊部隊から協力を受け逐次ウクライナへ輸送する方針を示しています。

 この発言からは今回供与されるものは用途廃止車輛であり、用途廃止車輛に所用の整備を施したうえで順次供与するものと理解できます。供与車輛は新規生産車輛ではないかという憶測がありましたが、この場合は自衛隊向けの車両を転用するとしても数カ月を要します、しかし用途廃止車輛であればいち早く供与できる、こうした決定背景があるのでしょう。

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NATOはウクライナを如何に迎え入れるか【2】欧州は次のウクライナ戦争を看過しない事を視野にいれている

2023-05-25 20:21:59 | 国際・政治
■NATO加盟の厳しい壁
 NATOの統合運用は日米同盟の自衛隊とアメリカ軍とでは比較にならない程に深いものです、故にNATOへ加盟するには指揮系統の共通化など深いものを含む。

 集団安全保障機構であるNATO,この北大西洋条約機構という枠組みは高度に各国軍隊を統合運用しており、いわゆる陸海空軍の統合運用という限られた領域ではなく、各国軍がNATOの欧州連合軍最高司令部へ軍事力を供出する枠組みを前提としています、つまり有事の際の指揮権はNATOが各国軍を指揮するため、各国政府の関与は制限されるのだ。

 日米同盟と比較しますと、例えば日本の護衛艦艦長にアメリカ海軍の中佐が補職されることはありません、もちろん陸上自衛隊の一佐がアメリカ海兵隊のMEU海兵遠征群を指揮することもありませんし、有事の際には共同運用を行うといっても、せいぜい一つの作戦に分担して自衛隊とアメリカ軍が参加する程度、物資融通さえ近年まで制限されていました。

 橋本内閣時代の日米新ガイドラインにおいて漸く燃料などの消耗品の相互融通が可能となりましたが、小銃弾や野砲弾こそ自衛隊がNATO規格を採用しているために日米の相互互換性はあるのですが、例えばミサイルは対戦車ミサイルや地対艦ミサイルに地対空ミサイルで日米は全く別の装備を運用しているため、弾薬の相互融通はまったくできません。

 指揮系統などは第二次安倍政権時代に漸く集団的自衛権行使、つまり一つの目標に対して日米が協調作戦を行う指針に目処が立った段階なのですから、指揮の統一というものは全くできず、中隊長が戦死した場合に同盟国の将校が引き継ぐような方式などは全く想定外、そもそも英語力の問題があります。が、NATOはそこまで踏み込んで統合されている。

 ウクライナがNATOに加盟した場合、ウクライナ軍は平時にはウクライナ政府の所掌となりますが、独自の軍事作戦を行うには大きな制約が加わります。例えば、仮に今の戦争が停戦した際クリミア半島がロシア占領下のままの場合、ウクライナは現時点では独自に奪還の軍事行動を行う選択肢はある、しかしNATOに加盟した場合はそうはいかない。

 ストルテンベルク事務総長の発言、NATO外相会談ののちの発言には、ウクライナ戦争が停戦した後に、ロシアからもウクライナからも戦闘が再燃することを避けるために、ロシアに対し抑止力を行使する必要があるのと同等に、ウクライナ独自の軍事行動を起こさせたくない、とした視点もあるのかもしれない。悪い表現だが瓶と蓋の理論ともいえます。

 トルコだって独自にクルド自治区へ越境攻撃を何度も行っているではないか。こうした反論はあるかもしれません、1996年のイラク侵攻を契機に、トルコ政府はテロ組織に指定しているクルド労働者党が、トルコ国内でのテロ行為を実施した場合に度々越境攻撃を実施しています、それも空爆だけではなく戦車を含む地上部隊侵攻なども実施しています。

 越境攻撃の可能性は残るのではないか。こう問われますとウクライナNATO加盟を将来進めた場合に、それが戦争再燃を回避する切り札にはならないのではないかとの指摘もあるかもしれません。ただ、トルコの越境攻撃は北大西洋条約第五条に基づくものではなくNATOの支援は受けられません、この定義を含むならば実例となるものは幾つかある。

 サーバル作戦、2013年にはマリ政府が武装勢力騒乱状態を自国政府では鎮静化できないためにフランス政府へ救援を要請し、サーバル作戦が実施されました。これには有志連合の形で各国がC-17輸送機提供など支援を行いましたは北大西洋条約第五条発動はありませんでした。いや2000年にシエラレオネに対し実施したイギリスのパリサー作戦も同じ。

 指揮系統を一体化する場合、クリミア奪還などの軍事行動には相応の兵站準備が必要となり、隠し通せるものではありません、すると戦争再燃を避けることが欧州各国の目的となるならば、NATO加盟という選択肢は一定の抑止効果もあります。もちろん、今回の戦闘が継続する最中でウクライナ軍が独自の戦力でクリミアを奪還できた場合は別の話です。

 ロシアの反発は、ものすごいこととなるでしょう。ただ不思議なことにロシア政府はストルテンベルク事務総長の4月5日発言に対して目立った反論をしていません、いや中国政府の台湾問題のように一つ一つ事細かに発言しないためなのかもしれませんが。それともやはりロシア政府はウクライナ戦争に対して何らかの必勝の信念があるためなのか、と。

 農業国であり産油国でもあるロシアの強みは、この戦争が五年十年続いたとしても戦い続けられる可能性があることです。時に現在は地球温暖化の時代であり、寒冷期と異なり食料生産に余裕があります、歴史上温暖な時期の戦争は十年単位で長続きすることが多い。戦争の出口戦略というものはいつの時代も難しいものだと再認識されられる命題でしょう。

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ウクライナ情勢-NATOのF16戦闘機ウクライナ操縦士転換訓練開始と自衛隊車両100両ウクライナ供与

2023-05-25 07:00:10 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 F-16戦闘機のウクライナへの供与がいよいよ家艇に伴い操縦士の機種転換訓練が始まる。

 NATOはウクライナ空軍操縦士へのF-16戦闘機機種転換教育を開始します。ポーランドなどがすでに準備中とのことで、イギリスやオランダが訓練支援にあたるとのこと。G7広島サミットにおいても議題となったウクライナ軍へのF-16戦闘機供与が漸くアメリカの協力を得る事となり、ポーランドは自国のMiG-29からF-16への転換教育を応用し支援する。

F-16戦闘機は、NATOではオランダ空軍とデンマーク空軍がF-35戦闘機導入により約50機が退役し余剰機となっています。アメリカはこれまでF-16戦闘機供与へ消極的でしたが、AMRAAMやHARMなどのミサイルを既に供与し、無理矢理ではあるもMiG-29から運用していました。これらミサイルはF-16に最適化されており、戦況を変え得る一手でしょう。
■ロシアシュトルム航空団
 ロシア軍は漸く空軍力の投入に踏み切るようです、いままでこの現代戦における必須の要素を果たしてこなかった背景には練度不足があったもよう。

 ロシア航空宇宙軍はウクライナ作戦専門航空団“シュトルム”を編成する、イギリス国防省22日戦況解析により明らかにされました。これはロシア空軍がこのウクライナ戦争において実施してこなかった空軍力による近接航空支援や地上目標攻撃に当る専従部隊とされ、ウクライナ上空の厳しい戦場において地上目標を識別し、攻撃する選抜部隊という。

 シュトルム航空団は、Su-34戦闘爆撃機とSu-24戦闘爆撃機から成る混成飛行隊と機種不明の攻撃ヘリコプター飛行隊から成る2個飛行隊編成とのことで、既存飛行隊では移動する目標の識別や友軍と敵軍の区別が出来ないために、地上目標攻撃が難しい事から、出来高払いによる臨時ボーナスを提示し、選抜要員と共に退官した操縦士をも募るとのこと。
■自衛隊車両100両供与
 日本のウクライナ支援が僅かに前進しました。

 日本政府はウクライナ政府へ非装甲の自衛隊車両100両を供与することとなりました。高機動車、小型トラック、資材運搬車などが供与されます。自衛隊は毎年高機動車だけで400両程度新規取得しており、耐用年数を超えた車両は用途廃止されています。用途廃止車輛でも数年程度は充分実用に耐えるもので、これらを廃棄せずに供与するのでしょう。

 高機動車は装甲防御力こそありませんが、トヨタ製で加速性や不整地踏破能力や登攀力の高さと整備性から高速道路を利用した1000kmの機動展開から演習場での軌道性能まで普通科部隊では幅広く配備され支持されている車輛です。小型トラックは所謂パジェロ、やはり防弾装甲などはありませんが、連絡車やミサイル輸送などに活用されている装備です。

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【京都幕間旅情】仁和寺-御室桜,この寺院が関わった摂関政治の時代に陣定という制度と院政には時代の議定

2023-05-24 20:23:58 | 写真
■仁和寺と院の御所での議定
 今年は思った以上に桜前線が早かったもののその後の涼しい季節とで不思議な情感でしたが、いよいよ今年の桜花の話題も今回までとなります。

 仁和寺、御室桜とともにしかし花見に終わらせるには勿体ない程の歴史を秘めているものでして、たとえば太平洋戦争主戦交渉の秘密の舞台となっていた寺院でもあります、しかしそれ以前に、大日本帝国という巨大な今の日本のひな形を形成する舞台でもあった。

 古代日本が中世日本に進んだのは、そりゃあ誇大が有れば中世が在るのは当然だろう、と思われるかもしれませんが天然痘の流行により滅びかけた日本が、一つの中央集権国家に拡大してゆくのは、実はかなり難しい道程と政治改革を経ていた、そこに仁和寺があった。

 律令制度以上に日本が一つの国家として機能する為には専制政治を経る必要があり、ここでいわば限られた地域の直接統治と広い地域の限られた統治関係ではなく、日本という国そのものを統治するには、前者の場合は天皇親政が有り得たのですが後者は難しい点が。

 陣定、じんのさだめ、と読むのですがPCですとジンの定めという名探偵コナンか寺町三条のBARのような響きの変換になってしまう、律令国家から摂関政治時代に掛けて国家権力の安定化とともに、天皇親政では、決済する項目が多くなり過ぎる問題が当然生じます。

 摂関政治の時代には摂関が中心として合議する陣定という機関が設けられていました。一応制度としては専制政治の時代ではあるのですが、親政は概略を示すのみとして、多くの決定は陣定の合議により確定していました。そしてこの陣定は専制政治の独裁色を薄める。

 陣定という制度は摂関政治を経て院政の時代でも維持されるのですが、院政に際しては議定という院の御所での合議制度が中央での陣定と類似した、というよりも上皇宣下とともに退位した天皇がその統治機構をそのまま院政に管理替えした、制度が存在しています。

 律令政治の時代には、官長と代官という統治機構があり、代官の裁量は思いのほかひろかった、無論これは前述の通り律令国家そのものが専制国家のような行政能力を有さなかった為という背景を踏まえるべきなのですが、ここに陣定と議定という制度が構築された。

 議定、興味深いのは陣定は官僚機構を中心に専制国家的制度を構築するのですが、議定については公卿の内の限られた貴族とともに院近臣という一種の閣僚機構、そして法親王というようなかたちで当時勢力を誇った仏教界と幅広い人材から合議制枠組を構築しました。

 仁和寺の寛助門主などは法関白と呼ばれているのですが、院政の時代に入りますと摂関政治の陣定よりも様々な視座から合議が進められた。ただ、興味深いのは院政というものの定着したイメージ、天皇の上に上皇という二重権力では、必ずしもなかった事が興味深い。

 内覧という、内乱ではなく、摂関政治の陣定は院政時代の議定と相互補完関係を構築していまして、院の議定は朝の陣定とともに内覧という調整を経て具体化されており、そして陣定は常設機構となっていましたが、議定は有事の際に臨時招集された非常勤枠組だった。

 仁和寺の僧侶、政教分離という単純な現代的視座に基づくのではなく、非常勤枠組に寺院を含めた意見の集約組織を常設の官僚機構の補完的枠組みに取り入れて国家機能の大型化に対応する、今の視座ではなく千年以上前に取り組まれた事を考えれば十分先進的です。

 御室桜を愛でるとともに、いま日本は戦後史から次の時代を想定せざるを得ない状況で右往左往している印象が否めないのですが、千年以上前、日本は思い切った改革を幾度か経て今の日本のひな形を形成していた、そうした一種の歴史浪漫に思いを馳せた次第です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】仁和寺-御室桜,古代日本のかたちは律令国家から中世国家への転換と共に存在感を示した寺院

2023-05-24 20:00:57 | 写真
■古代から中世へあゆむ
 仁和寺の御室桜は低い木々の遅咲きという観桜が春の桜花の季節の幕引きを思わせるとともに、今年早めでしたが例年であれば憲法記念日が近くなった頃に咲いていたものでした。

 光孝天皇の勅願により9世紀後半に造営されました仁和寺、驚くべきことに大日本国憲法制定よりも1000年と少しだけ前の寺院となります。ただ、ここの御寺の寛助さんなど、憲法制定よりもはるか前、国家体制を醸成する最中に影響力を及ぼした方がいたのですね。

 慣行の成文化、確たる概念が成文化されている刑法や民法や刑訴法などなどを見ていますと理念としては理解していても実感がわかない制定権力ですが、いま国際法に目を向ければ、そもそも国際法そのものが国家慣行の成文化の過渡期を歩んでいる最中故分りやすい。

 正統性と正当性の議論ではありませんが、日本の今の制度を考える際、結局のところ大本は大日本帝国憲法であり、日本国憲法は第93回帝国議会において、憲法改正、という方式を経て現在の日本国憲法になったものであり、たたき台には大日本国憲法が在ったのです。

 明治憲法や大日本帝国憲法、呼び方は幾つかあるのですが、日本の憲法を考える際に、もちろん英米法と大陸法にローマ法という手順をふまなければならない事は言うまでもないのですが、律令制度から武家諸法度までを通じた、長い歴史は意外と顧みられていない。

 桜咲く仁和寺にて、なぜそんなことを提示するかというと、実は仁和寺は日本の統治機構の変容期に幾度か出てくる寺院であり、意外にも昭和史に出てくる一方、院政の舞台ともなった場所でもあり、我が国のcommon senseの原型原点に繋がるような場所でもある。

 律令国家、護憲という呼称の遥か昔ですが、日本は律令国家制度定着の過程で天然痘大流行という国家的危機に曝されています、右大臣と左大臣が同時に死亡する様な救いようのない状況において、いわばスリムな国家構造に結果的ではあるけれども収斂しています。

 奈良時代の天然痘は、日本が国としての自我を共有する過程において大流行し、これも首都とその周辺が最大の感染地となったことから手の打ちようがなく、貿易手段は知識不足から大仏建立に国分寺造営などなど、人の密集する事を繰り返しこれが逆効果となった。

 日本の特殊性は、欧州各国の市民革命や立憲主義が、どの国でも似た条件と似た地理関係、そして全欧での安全保障の同一性、これは例えばナポレオン戦争や英仏百年戦争にドイツ三十年戦争と、全欧的危機が生じれば確実に無関係の国が無いという意味で共通が在った。

 特殊性というには、地理的な隔絶がある点を無視して、今の法体系の法源を考える事に少々無理があるのではないかな、と思うのです。ここで、律令制と中世日本への変容というもの、その為の制度構築の背景が憲法制定過程へcommon senseの面で影響が有るよう思う。

 中世の国家システム、日本の場合は律令制度が天然痘パンデミック下での限られた統治機構を原型として形成されました、島国なのに外国、というような価値観、驚くなかれこれは江戸時代まで影響を及ぼしている、つまり幕藩体制の下地といえるものがありました。

 律令制度の律令国家と地方の関係は、統治機構の麻痺を背景に一種連合国家的な、若しくは中華思想の概念を内政に取り込んだような様式で形成された、反論は多いでしょうが解釈次第では同意の得られそうな概念です。しかしこれを専制政治へ移行せねばならない。

 専制政治といいますと2020年代には気分の良くない政治制度かもしれませんが、今話すのは1010年以上前の時代です、逆に専制政治により国の統治の及ぶところと及ばないところが境界線となり、境界線を曖昧としては外交よりも外寇により国が大変な事となる時代だ。

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ウクライナ情勢-バフムト攻防戦ロシア死傷者は沖縄戦並の10万,ロシア本土ベルゴロドでパルチザンによる攻勢

2023-05-24 07:00:16 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 バフムトは駆逐艦の墓場となったガダルカナルの消耗戦を再現しているような印象が。

 バフムト攻防戦は、ロシア側が中心部をほぼ制圧しウクライナ軍は市街地の一部を維持する状況となっています。ロシア軍は9カ月間の激戦で死傷者10万名以上という、沖縄戦の日本軍死傷者を超える犠牲者を強いながら漸く人口7万の都市を制圧させつつあるようですが、他方でウクライナ軍はバフムト北部近郊の高地と南部で逆包囲を掛けつつあります。

 バフムトは要衝ではある、M03号線とM06号線が交差する道路の要衝ではあるのです、ただ、バフムトよりも交通要衝はクラマトルスク、周辺にスラビャンスクやドルジュキーウカにリマンなと都市が並ぶクラマトルスクの方が重要に見えるのですが、M03号線沿いに50km以上離れておりバフムトからロシア軍が簡単に攻略できる都市ではありません。

 ウクライナ軍はバフムトの要衝としての価値を過大に示す事でロシア軍に戦力を集中させ出血を強要したのではないか、ウクライナ軍は兵員の損耗を抑える慎重な戦闘を展開しており、逆にバフムトのような消耗戦をドンバス地域だけで十数回遂行する人的資源がロシアにあるのかという疑問符が付き、ガダルカナルのような状況をロシア軍は経験しました。
■ロシアベルゴロドでの騒擾
 それっぽい写真が在りませんでしたので記事に載せている写真は現地ではなく普通に富士総合火力演習予行の様子です。

 ベルゴロドでパルチザンによる攻勢、ロシア本土でウクライナとの国境から40kmを隔てたベルゴロドにおいて大規模な戦闘が繰り広げられた模様、不確定情報として22日頃に現地の映像が示されていました。日本では23日にテレビ朝日が報道しましたが、ファクトチェックができたようで、日本時間23日夕方にはイギリスのBBCもロシア発表を報道した。

 ベルゴロドでの戦闘は、規模としては中隊規模の部隊が攻撃を加えており、ロシア側はウクライナ軍の浸透と非難、ウクライナ政府はウクライナ軍が関与したものではなくパルチザンの行動ではないかとしており、ロシアの准軍事組織自由ロシア軍団とRVCロシア義勇軍団が関与しているのではないか、としています。偽旗作戦か、武装蜂起か、越境なのか。

 ロシアのベルゴロド州知事はロシア軍がヘリコプターによる掃討作戦を実施しているとしつつ、地元行政庁舎が攻撃されるなど被害は深刻であるとしています。ただ、ロシア軍は侵攻したウクライナにおいて実に1200kmもの戦線を形成しており、この戦線を維持するだけで相当な兵力を抽出、国内での警備能力が手薄となっている可能性は否定できません。

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