北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ロシア軍久々のカリブルミサイル使用とウクライナ軍キンジャール極超音速兵器迎撃の背景,バフムトの状況

2023-05-15 07:00:48 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 本日も朝の話題はウクライナ情勢の最新情報です、ロシア軍はカリブル巡航ミサイルを日本のミサイル艇程度の艦艇に搭載している事で知られます。

 ロシア黒海艦隊の動向についてイギリス国防省によれば5月8日から9日にかけカリブル巡航ミサイルによる対地攻撃を実施したと発表しました。今回使用されたのは8発で、最近低調となっているロシア海軍による巡航ミサイル攻撃となっています。過去二カ月間でカリブル巡航ミサイルによる攻撃は一度のみ、そして8日の攻撃が二回目となりました。

 カリブル巡航ミサイルはウクライナ戦争開戦直後はかなりの数が発射されていますが、過去二カ月間は低調となり、弾薬備蓄が尽きたのか射程3000km級の艦対地巡航ミサイルを将来のNATOとの対立に備えて温存しているかが注目されていましたが、少数でも継続的に使用されている事から泥縄式に生産分を発射する、備蓄不足が原因なのかもしれません。
■ペトリオット実戦運用
 日本の防衛という視点から考えた場合は極超音速ミサイルの迎撃が技術的にどの程度の難易度なのかという命題ですが、今回貴重な実戦事例がありました。

 キンジャール極超音速ミサイルのウクライナ迎撃、アメリカ国防総省関係者からの情報を報じたCNN報道によればペトリオットミサイルによるキンジャールミサイル迎撃成功はキンジャールミサイルの標的が供与されたばかりのペトリオットミサイルシステムであり、ペトリオットミサイルからの電波情報を逆探知し攻撃を加えた可能性が高いとのこと。

 ペトリオットミサイルを運用するウクライナ軍防空砲兵部隊は、自らに対して接近するキンジャールミサイルへ複数のペトリオットミサイルを発射し命中させた、これによりキンジャールミサイルは目標へ命中せず撃墜判定となった分析があるようです。キンジャールは残存数が徐々に限られている装備ですが、ペトリオットを最優先目標としたのでしょう。
■バフムト近郊の異変
 バフムト近郊でのロシア軍後退はロシア国防省も認めたところですが実はかなり重要な地形で緊要地形を明け渡した構図のようです。

 バフムト近郊から撤退したロシア軍部隊はイギリス国防省分析によれば新設のロシア大3軍団に所属する第72自動車化狙撃旅団であるとのこと。第72自動車化狙撃旅団は装備が限定していた状況でバフムト南方地域を防衛しており、撤退計画に基づかない潰走に近い後退であったため、ウクライナ軍は短期間で1kmに渡り領土を奪還したとのことです。

 第72自動車化狙撃旅団後退の戦況全般に与える影響は、地形障害であるドネツクドンバス運河というウェットギャップの西岸地域での撤退となった為、ウクライナ東部戦線において更なる渡河による領土奪還の可能性を示した事となります。ただ、ウクライナ軍春季攻勢の攻撃軸はこの時点でも秘匿されており、主攻か助攻かの分析は慎重であるべきです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日曜特集】小牧基地オープンベース2019【4】KC-767空中給油展示とOH-6のはやい帰投(2019-11-09)

2023-05-14 20:21:35 | 航空自衛隊 装備名鑑
■KC-767空中給油輸送機
 初号機の岐阜基地到着を見上げたものですからKC-767はある意味で特別な機種といえるかもしれません。

 KC-767空中給油輸送機とF-2戦闘機による給油展示、小牧基地航空祭の一つの名物です。いや実際に給油している訳ではないのですが、こう密集して編隊を組んで飛行してくれますと、空中給油機の配備されている基地なのだ、という実感がわく。他の基地でもやるが。

 F-2戦闘機などは北大路機関創設当時は支援戦闘機、という呼称が残っていましたが、もともとF-86戦闘機がF-104戦闘機の配備開始により陳腐化した際に、500ポンド爆弾を搭載して反跳爆撃を行い日本に接近する敵艦隊を叩く装備として、支援戦闘機区分が生まれた。

 ソ連のミサイル巡洋艦に500ポンド爆弾片手に亜音速のF-86戦闘機で戦うのは恰も台湾沖航空戦やマリアナ沖海戦のような状況になりそうですが、ロプチャー型戦車揚陸艦位が相手ならばなんとかなるのか、いやならない、としてF-1支援戦闘機が開発されています。

 F-1支援戦闘機は、限界がいろいろある航空機で、まず超音速練習機が基本型であるので重量のある対艦ミサイルを二発搭載すると機動性がかなり厳しい、基本設計が1960年代なので中距離空対空ミサイルが搭載出来ない、まともな電子戦装備を搭載していない、など。

 ASM-1空対艦誘導弾、ただ射程40kmのミサイルを搭載しているので攻撃が成功する可能性は十分あった、そしてF-1を置換えるF-2戦闘機は射程を150km以上に伸ばしたASM-2空対艦ミサイルを4発搭載、中距離空対空ミサイルも搭載でき、区分が戦闘機となる。

 KC-767空中給油輸送機とC-130輸送機の空中給油展示、恐らく、なのだけれども先月実施したスーダン政情不安邦人輸送任務で、このKC-767空中給油輸送機とC-130H輸送機の空中給油を、実任務で行っている。これにより現地への移動時間を半分以下に短縮した。

 C-130H輸送機は、これでも導入当時は“航続距離が長い!周辺国に脅威を与える”とか“外国を侵略するつもりだろう”とか、いや内局や大蔵省の官僚からも“俺の目の黒いうちはC-130は導入させない”と反対論が在った機体ですが、性能を見ればフツーの輸送機です。

 戦略輸送機・戦域間輸送機・戦術輸送機、輸送機というものは旅客機を転用した人員輸送機や連絡機を除けばこの三種類に区分でき、戦車はじめ重装備を積んで世界中にどこでも行けるが長大な滑走路が必要な戦略輸送機、An-124輸送機やC-5B輸送機などがこれ。

 戦域間輸送機は、世界中ではないがかなり遠くまで飛行でき戦車程度や装甲車ならば搭載出来るとともに野戦飛行場でも充分発着できるという装備、C-17輸送機と共に生まれた定義で、Y-20輸送機とIl-76輸送機にA-400M輸送機とC-2輸送機が含まれるものです。

 C-130H輸送機はその一つ下の戦術輸送機で、戦域といういわば一つの戦闘地域内で運用するというものです。過去自衛隊が初めてモザンビークへPKO部隊を派遣した当時は五日間掛けて現地まで飛行しました、飛べる距離が短いので何度も着陸する必要があるのです。

 アフリカへ日本からC-130輸送機で向かうのは、所用時間的に普通列車だけで快速に乗らず鹿児島から北海道の稚内まで行くようなものです、行けない距離ではないのですが、普通はテレビ番組や学生や好事家の電車に乗る為の旅行以外では、やらない選択肢ですよね。

 スーダンへは空中給油機を使う事で経由地に着陸する事無く移動したのだと思う、現地までの到着は28時間くらいでしたので、これはまあ、語弊はあるが寝台特急なは、寝台特急トワイライトエクスプレスを乗り継いで鹿児島から札幌まで移動する様な所要時間という。

 1980年代の“航続距離が長い!周辺国に脅威を与える”とか“外国を侵略するつもりだろう”と云っていた方々は、こういう状況ならば、非戦闘員は平和憲法を守るために自決せよ、とでもいうのだろうか、飛んでくる銃弾にケンポーキュージョで落とせとでもいうか。

 邦人輸送任務は、課題はあった、今回はスーダンの首都ハルツームから輸送拠点となったジッダまで700kmを避難民がチャーター車両で自走して移動する事が出来たのですが、もし戦闘地域がもっと広範囲広がっていた場合は陸上輸送も自衛隊が検討する必要があった。

 輸送防護車というオーストラリア製ブッシュマスター耐爆車両を陸上自衛隊は8両程度装備していますが、今後のこうした状況を考えると、ブッシュマスターと同程度の車両を普通科連隊の高機動車の後継車両として大量配備し、派遣する体制も必要ではないかと思う。

 C-130H輸送機、そしてこれは良い輸送機なのだけれども、老朽化がかなり進んできています、なにしろ自衛隊が導入して40年を経た。後継機が必要だ。数が必要な輸送機だからC-130J-30を15機揃える選択肢と、少数のC-2輸送機で置換える、どちらになるのだろう。

 小牧基地からは美しい山が一つ見えます、岐阜県の伊吹山です。そしてこの岐阜県には岐阜基地があり、その岐阜基地に隣接して川崎重工岐阜工場が、ジェット練習機と輸送ヘリコプターに観測ヘリコプター、哨戒機とそして輸送機の製造を担当している。C-2もね。

 UH-60救難ヘリコプターが離陸準備を開始します。この離陸準備の様子をかなり後ろの方から撮影したのだけれども、やはり基地というのは水はけを考えて航空機格納庫は一段高い位置に建設されているのですね。最前列の方が飛行機が見やすいのが分るのだけれど。

 発着の様子を格好よくカメラで写真に収める、という航空祭の醍醐味はあるのですが、しかし純粋に発着ならば、平日に何とか休みを確保するならば日常訓練を公園や県営名古屋空港から撮影出来ない事はない、すると航空祭らしい撮影位置は、と考えてしまうのだ。

 C-130H輸送機の機動飛行が行われます。C-130H輸送機というのはアメリカのロッキードマーティンが製造、いや開発当時はロッキード社でしたが、戦術輸送機の決定版というべき装備でした、そのひとつ前の決定版という輸送機はC-46輸送機で、良い輸送機でしたが。

 C-46輸送機、よい輸送機じゃないか、とKC-46空中給油輸送機を見上げながら云わない様に、別物です、KC-46空中給油輸送機はボーイング767が原型機ですがC-46輸送機は民間ではDC-3という旅客機が基本で、まあ2tの貨物を搭載出来る使いやすい輸送機です。

 戦術輸送機、C-46の難点は貨物扉が側面にあるためジープなどを輸送できない事でした。いやいまでこそ胴体の後部にカーゴハッチを配置する選択肢が輸送機の基本ですが、その為の主翼の配置など、C-130輸送機が開発されるまではかなり右往左往していたのですよ。

 C-123輸送機の開発当たりでアメリカは覚悟を決めたのですが、それまでは真剣に旅客機型の輸送機で重装備を運ぶ、DC-6輸送機などが検討されていた、要するに旅客機型の機体に統一して機種を整理したいという考えが在ったのでしょうが、体系として二分化してゆく。

 C-130輸送機の凄い点はC-130Eなど初期の機体から自衛隊が運用するC-130H輸送機、そして最新鋭輸送機として自衛隊に採用が期待された1990年代のC-130J輸送機、その胴体を更に延伸して嵩の在る装備を搭載出来るC-130J-30など、進化を続けた点があげられる。

 野戦飛行場は勿論草地のような場所でも発着できるよう着陸装置が兎に角頑丈で、逆に言えば完成系の航空機である為に、改良は出来ても置換える後継機の開発に苦労している、いやアメリカでも無尾翼化するとか、一定角度まで主翼を可動させ短距離型などを考えた。

 しかし、完成した形のものを別の形にするのは難しいです、例えばノートパソコンとか、新機種は出ても液晶を固定化するとかキーボードをマウス入力だけにするとか、そういう改造は出ませんしタブレットPCもノートパソコンを置き換えるには至らない、それと同じ。

 OH-6D観測ヘリコプターが、飛行展示とは無関係に離陸を開始しました。まだC-130H輸送機は飛行を継続している、いや機動飛行の後には編隊飛行をもう一回行いそうな飛行経路でしたので、慌てて航空祭プログラムを見るが、航空祭プログラムを視ましても、ない。

 航空祭プログラムは入場の際に手荷物検査を終えた少し先などで配っているのですが、こういう時の為に入手しておくと即座に確認できます、そしてカメラバッグに仕舞ったままにしておいて、奥の方や底の方に五年前渡河のプログラムが出てくるとか、多いですがね。

 OH-6D観測ヘリコプター、もしかして帰投フライトなのかもしれない。そしてこの2019年というのはOH-6D観測ヘリコプターが全機用途廃止される年度ですので、これは撮影しておきたいものです。いや、だから早めに帰投フライトを済ませるのかもしれないけれど。

 帰投フライトは航空祭を行う基地の側としてはかなり難しいもので、外来機で珍しい機体や退役が迫る機体や米軍機が来ていると、かなりの来場者がその離陸を撮ってから帰ろうとする、しかし基地側としてははやく後片付けを終えてしまいたい、難しい状況になる。

 OH-6D観測ヘリコプターは早めに帰る事としたのでしょう。そして、このOH-6D観測ヘリコプターは、自衛隊に必要な航空機なのですが後継機が選定される事無く廃止されてしまいました。無人機でも対応できるという言い分はありますが、無人機では後継は無理だ。

 着弾観測だけならば無人機で行えるのでしょうが、陸上自衛隊が二人乗りのOH-55観測ヘリコプターの後継にOH-6D観測ヘリコプターを導入したのはもう少し幅広い運用を考えて。その次にOH-1観測ヘリコプターを導入したのは敵戦闘ヘリコプターの迎撃に備えて。

 OH-1観測ヘリコプターが開発され、もっとも当初計画の250機大量生産は難しいのではないか、とは思ったのですが130機くらいは量産されると考えていました、また技術研究本部と川崎重工はデータリンク能力付与を実験していましたし、改良型も提案していました。

 斥候にしても情報収集にしても、結局は人間が視た印象、敵が居そうか、どの程度準備をしているのか、こうしたものはまだ、特に光学情報だけでは把握できません、無人機が不要だとは云わないのですが、同じくらい有人の情報収集手段も重要だ、と考えるのです。

 MQ-8ファイアスカウトのような無人機を本気で導入するならば、まあそんな手もあるよね、と書くところではある。MQ-8ならばOH-6と同程度の行動半径がありますし、連絡機野球間輸送には対応しませんが、物資輸送能力と、そして対戦車戦闘能力が若干ありますし。

 OH-6D観測ヘリコプター、しかしこれは“官僚は間違いを犯さず”の原則からOH-1観測ヘリコプターの調達失敗を文面から受け入れられず、まあ困るのは内局じゃないし、と区分ごと廃止するよう行政的に決定し、現場に押しつけたようにも思えてならないのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都発幕間旅情】近鉄本線の菜の花が咲く中に特急通過と急行一本普通一本毎時停車駅ホームの牧歌的な風景

2023-05-14 18:11:41 | コラム
■菜の花と近鉄電車
 こういう日曜日の過ごし方もあっていいと思う、あまり考える事無くお城を巡って電車で移動して焼肉でというような。

 近鉄青山町駅、伊賀線の伊賀神戸駅から名古屋方面へ一駅の立地なのですが、特急列車以外すべて停車するという駅ながら、それ程乗降客が居ないということで、伊賀神戸駅でも列車本数が少ない中で青山町行の急行が来まして、興味本位で乗ってみよう、と。

 上本町から77kmという青山町駅、特急以外は全部停車するという事で何気なく行ってみたのですが、びっくりしたのは時刻表で、昼間の時間帯は一時間に急行が一本と普通列車が一本、要するに全部停車するのではなく急行を停めないと誰も利用しないダイヤという。

 上本町に出るまでは急行を利用しますと滅茶苦茶な所要時間ということはないのですけれども、それにしても菜の花が咲いている牧歌的な田園風景の中を列車が行き来している情景とともに、全然本数の無い時刻表を見ますと、近郊線でさえないという印象をうける。

 お昼ご飯でも頂こうかと、なにか青山町という駅名に期待していたのですが、聞いてみると駅前に喫茶店、少し離れたところに北京があるだけ。北京というと大都会を期待するかもしれませんが街中華のひとつでして、京浜急行の青物横丁駅のようにはまいりません。

 アーバンライナーの通過、実はお昼御飯がまだでしたので、北京というのも良いかな、と街中華に期待しましたけれども、よくよく聞いてみますとこれもランチタイムのあとはディナータイムまで暖簾を下ろしてしまうようでして、それならばと春の風を愉しみました。

 青物横丁駅ならば東横インもあるのだしなあ、そんな事を想いつつ、まあ食べるお店は遠いですし僅かしかありませんが、自販機で缶コーヒーを買い求めて間をおいて時折くちに含みつつ列車がやってきましたならば撮影する、そんな日曜日の昼下がりをすごしました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バフムト後退-ロシア国防省が認める,ルガンスク占領地ミサイル攻撃とロシアブリャンスク近郊でSu-34撃墜

2023-05-14 07:00:41 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 有事の際に日本もウクライナ軍の様に上手く政治と国民と防衛力が協力できるのかという思いと共に、最新情報です。

 CNN報道によればロシア国防省は12日、バフムト北部地域での後退が事実であると認めました。バフムトはロシア民間軍事会社ワグネルなどが攻撃を続けていましたがワグネルは部隊当たりロシア正規軍数倍の弾薬を消費しており、ワグネルの要求を受け限られた弾薬をワグネル優先により支給した結果、補給の限られたロシア軍部隊が後退したかたち。

 バフムトはロシア側がウクライナ東部における交通要衝であると主張し、無理な攻撃を継続していました。そしてこの攻撃は5月9日のソ連対独戦勝記念日までにバフムトを陥落させる狙いがあると推測、この日までに陥落させられなかった事からロシア軍は戦線の後退に移行した可能性があります。ただ、東部地域交通要衝はバフムトだけではありません。
■ルガンスクへ反撃
 2014年以降ロシア勢力圏となっている占領地へ反撃です。

 ルガンスク占領地へウクライナ軍は長距離攻撃を実施しました。ルガンスクは2014年からのウクライナ東部紛争においてロシア軍占領を受けていた地域であり、ルガンスク人民共和国を自称している地域です。長期の占領から2022年ロシアウクライナ戦争以降はロシア側が装甲車両や戦車を修理する重整備工場などが置かれていますが、ここが攻撃された。

 ルガンスクはウクライナ軍の長距離打撃装備であるHIMARS高機動ロケットシステムより運用されるM-30やM-31GMLRSの射程外にありますが、今回の攻撃ではADM-160デコイミサイルと併用した大規模な攻撃であり、囮として防空網をかく乱するADM-160は残骸が回収されました。9年前に事実上占領した占領地への攻撃はロシアには衝撃でしょう。
■Mi-8とSu-34が撃墜
 戦闘機などが撃墜されるのはこの戦争の常ですが報道によれば両国国境付近のロシア側でとなれば話は別です。

 ウクライナ北部地域のロシア側ブリャンスク近郊において、ロシア軍Mi-8ヘリコプターが1機乃至2機とSu-34戦闘爆撃機1機が撃墜されたとのこと。Mi-8ヘリコプターの墜落はロシア国営通信が報じていますが、撃墜か事故かについては発表されていません。またタス通信はブリャンスク州内でSu-34が撃墜されたと報道、Su-35も撃墜との報道もある。

 S-300地対空ミサイルによる攻撃の可能性があります。これは推測ですがS-300はこれまでキエフ防空など縦深の奥に展開していました、しかしNATO援助のペトリオットミサイル供与により首都防空に目処が立ち、射程の長いS-300ミサイルを前線付近へ前進させる事で、地対空ミサイルによる航空優勢確保という選択肢を執り始めたのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

T-38は何故墜落したのか?【2】各国留学生迎えるアメリカ空軍と国防語学研究所英語語学センター英語課程

2023-05-13 20:11:41 | 国際・政治
■二度の空軍事故調査
 日本国内では基本的に英語による意思疎通を必要とせず高等教育を受ける事は可能です、逆に英語だけでの日常生活を送る方が日本では難しい。

 アメリカ空軍主幹の国防語学研究所英語語学センターという組織が中心となりまして、テキサス州サンアントニオのラックランド基地において、アメリカ留学の各国空軍士官が先ずここで英語課程を履修、ここで合格しなければアメリカでの操縦訓練を受けることは出来ません、日本でT-7練習機での練習課程を受けていた場合でも、例外はありません。

 英語課程、難易度は“アメリカ人と電話での議論ができる程度”が最低ラインとされていまして、最終試験では事前に内容を知らされていない状況で電話を用いて試験を行うとのこと。ここを課程修了となりますと、同じテキサス州のランドルフ空軍基地に移動、T-6練習機という、レシプロだがエンジン出力が大きい練習機による訓練課程へとすすむのです。

 T-38練習機での練習課程はその次となっていまして、基地もテキサス州からミシシッピ州のコロンバス空軍基地へ移動、超音速のT-38練習機による訓練が開始される。T-38練習機は1950年代の設計ではありますが改良と補強が行われています、最近後継機のT-7A練習機が完成しましたが、脱出装置などの不具合から量産開始は2025年まで遅れる。

 超音速練習機の基本訓練から他の基地への航法訓練、夜間飛行訓練などを経て念願のウイングマーク授与、となるわけです。そして最終段階で8週間、今度はAT-38というレーダーを搭載した高等練習機による戦闘機操縦訓練を行う。昔自衛隊ではT-2練習機が充てられ、いまでは少々厳しいと指摘があるけれどもT-4練習機により行っている課程です。

 航空学生と幹部候補学校課程修了者が戦闘機操縦士へ進む、こう説明しましたが、いろいろ調べてみますと、ほぼ航空学生から米国留学へ進む事例はここ十年間無いということです。差別、と思われるかもしれませんがここには事情があり、航空学生はその途中で幹部候補生学校へ飛行幹部候補生として入校しなければなりません、学校は奈良にあるのです。

 奈良の幹部候補生学校課程入校は、全員同じ時期に入学するために途中入校という制度はありません、そして米国留学課程の場合は期間が一年半から二年弱という、数か月間の不確定要素があるためで、まだ幹部ではない航空学生を米国留学に派遣しますと、航空自衛隊は旧軍の反省から操縦士が全員幹部自衛官という制度を採っているため、厳しいことが。

 飛行課程は中断して幹部候補生課程へ進むという選択肢が日本国内ならばあるのですが、米国留学課程を中断して23週間幹部候補生課程を履修、という方法は、先ずビザ取得が難しい、往復の航空券はじめ予算が一回の渡米と二回の渡米では大きくなりすぎる、アメリカで借りるVOQ独身幹部官舎の問題、などなどあり、幹部が派遣されるのはこのため。

 モンゴメリー空港でのT-38練習機事故、学生操縦士である一等空尉は2019年に六か月間の英語訓練をアメリカにおいて受けており、また留学課程の最初に行われるラックランド基地での英語理解度試験には合格しています。国防語学研究所英語語学センターの水準では、この試験に合格すると、語学的に伸びる素養有、として教育課程にすすみます。

 国防語学研究所英語語学センターでの成績は、事故調査報告書によれば、平均から平均より少し上、成績はつけられていますが、関係者の聞き取り調査などから“語学の壁”に苦しんでいたという証言、技術的航空用語を話すことや理解に苦労しており、操縦席では語学という集中と操縦という集中、両方を同時に遂行することができなかったとされている。

 米国留学課程、アメリカ空軍ではこの2021年事故そのものの影響よりも、この事故を受けての航空自衛隊の萎縮の方が問題だという認識があるようです。これを受け、アメリカ空軍全体で訓練施設の点検が行われるとともに、航空自衛隊関係者とともに何度かの検証会合が開かれているのですが、問題とされているのは、英語教育期間が十分であったか。

 アメリカ空軍によれば、アメリカは同盟国や友好国から毎年100か国6000名の教育訓練を受け入れているという、しかし、この中で国防語学研究所英語語学センター英語教育課程を履修する操縦士課程留学生は50か国の350名という。6500名に対して350名はあんまりだ、と思われるかもしれませんが6500名な操縦士以外を含めた留学生の総数です。

 350名という人数は、アメリカが受け入れている留学生のうち、NATO加盟国からの留学生は、英語教育の必要がないとして受けていないためです。オーストラリアやニュージーランドといった英語圏、欧州でもスウェーデンなどNATO加盟国でなくとも英語話者が多くこうした問題はないのでしょう。一方、無線を通じた会話は難しい部分もあるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-愛知,一宮市国道22号線沿いで小牧基地とケーキのマリアージュ

2023-05-13 14:11:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 遠出して、基地を巡るだけでは気分が消化不良でふと誰もいないようなしかし美味しいものとの巡り合いを期待したい。

 コロナの時代に自衛隊行事が総崩れとなった際に、自動車で行く事の出来る舞鶴基地と岐阜基地に小牧基地で自衛隊艦艇や自衛隊機を巡るというのは一つのライフワークとなりまして、しかし毎回のように改めて思うのはもう少し基地は近ければなあ、と思うもの。

 小牧基地から国道22号線と21号線と8号線を経て移動しますと高速道路を使わずとも京都まで直ぐです。しかし流石に長時間運転しますと疲労も蓄積しますので休憩したいところなのですけれども、国道22号線の愛知県一宮市、ここで休憩する事としました。

 東海道本線の尾張一宮駅の方へ向かう、国道22号線の大和という交差点の向こうに朝日という信号交差点があって、これ両方とも海軍の戦艦の名前だなあと思いつつ朝日のところで一宮市中心部の方へ曲がり、一宮市民球場の前あたりに、そのお店はあります。

 ムッシュムラ。ムッシュムラムラではなくムッシュムラというお店、どうでしょう、なんとなく名前で選んだだろうと思われるかもしれないけれども、実際そんな名前のお店なのだから一つ寄ってみよう、という点が含まれているパティスリー屋さんに寄ってみる。

 ケーキは色々あり、これだと誰でも迷うのでしょうね、ショートケーキとかなり迷ったのですけれども、ガトーフランソワーズを注文しました、チョコレート系もよさそうだけれども、さっぱりした甘酸っぱいものが欲しかったのだ、勿論イートインで直ぐいただく。

 ガトーフランソワーズにアイスティーをセットにしまして頂くさいにはアイスクリームがお皿についています、ただ、なによりアイスティーのさっぱりしたのみ心地が、疲れている身に染みわたると共にこのケーキでわたしはビタミンを補給しているんだあ、と。

 ショコラ系とするかフルーツ系とするかプリンとクリーム系とするかバタークリーム系とするかは毎回のように悩むのです、それは珈琲にするか紅茶にするか、暖かいものが良いのか冷たいものでぐっと行くのかに直結するのですが、体調と気分で相談するのです。

 アイスティーとともにアイスクリームが解けるまえに、でもケーキの方も早く頂きたいんだよなあ、と上品な甘さと直ぐに溶ける訳ではないほど良いクリームの解け具合を、そこでまた紅茶でさっぱり流して、ローテーションの様に愉しんでゆくというひとときを堪能しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ストームシャドウ巡航ミサイルイギリス供与とL-159高等練習機チェコ供与示唆ーウクライナ空軍強化へ前進

2023-05-13 07:00:39 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 イギリスがウクライナへ巡航ミサイルを供与しました。射程を見ますと自衛隊が導入を開始したJSMミサイルと同等水準の装備となります。

 ストームシャドウミサイルはイギリスとフランスが2002年に共同開発した空中発射巡航ミサイルです、輸出仕様の射程は250km以上とされ入り偽リス空軍とフランス空軍へ配備されているものは射程は560km、GPS精密誘導とデジタルマップ地形追随方式を併用し超低空を飛翔し、終末誘導では熱線映像誘導方式により目標へ正確に命中するミサイルです。

 実戦への初投入は2003年のイラク戦争の際であり、トーネード攻撃機より運用されています。フランス空軍はリビア内戦介入作戦においてアルジュフラ空軍基地など固守目標へ投射され命中しています。輸出事例ですが、フランスがラファール戦闘機とともに輸出している為サウジアラビアやエジプトとインドやカタール、ギリシャなどへ輸出されています。

 ウクライナ空軍は、ストームシャドウの運用能力を持つ戦闘機は保有していませんが、ウクライナ軍は過去にHARM対レーダーミサイルを無線LANにより接続し投射させ目標へ命中させた事例があり、今回もその手法が用いられるのでしょう。1994年の段階でイギリスはストームシャドウを1000発程度備蓄するとしており、保有在庫は充分あるようです。

 空軍作戦機の更なる供与について、チェコ政府が新しい可能性を示唆しました、これは軽攻撃機として運用可能な高等練習機の供与です。チェコ共和国のペトルパヴェル大統領はチェコ空軍が保有するL-159練習機の供与可能性を示唆する発言が在った、10日のロイター通信報道があります。このL-159練習機は冷戦時代のL-59練習機を発展させた機種だ。

 L-159練習機については1997年に初飛行していますが、量産機の製造は2000年から2002年までの期間で72機の引き渡しが短期間で実施され、いちばん新しい機体でも21年を経ています、そしてチェコ空軍の規模からみれば72機という規模は大き過ぎるよう思われるかもしれませんが、実際運用されているのは25機、ほかはモスボール保管されている。

 L-159,どんな航空機かと問われましたら映画“007-トゥモローネバーダイ”にて作品冒頭でジェームズボンド氏が原型のL-59の更に原型機であるL-39にて武器密売市場から奪った機体で活躍している描写が有ります。国際市場への提供では、イラク空軍への輸出はハンガリー空軍への貸与実績があり、特にイラク空軍はISIL攻撃へ実戦使用しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

令和五年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.05.13-2023.05.14)

2023-05-12 20:10:30 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 地震がやけに続く中不安を持たれている方も多いでしょうが本日は金曜日ですのd自衛隊関連行事の紹介です。

 宇都宮駐屯地祭、今週末は土曜日に開催されます。やや行事が少ない印象でこの他は静岡ホビーショー2023へ自衛隊車両が展示される等いくつか催事があるようですが自衛隊関連行事となりますと、宇都宮駐屯地祭のみのようです。もう少し何か開催されそうなものなのですがお気づきの点がありましたならばコメント欄にてお教えいただければ幸いです。

 宇都宮駐屯地は中央即応連隊と第12特科隊等が駐屯している駐屯地でかつては第6地対艦ミサイル連隊も置かれていましたが、防衛環境の変化を背景に廃止されています。しかし南西情勢の悪化を背景に来年度には第7地対艦ミサイル連隊が新編される計画がありまして、それなら88式地対艦誘導弾を廃棄せず保管しておけばよかったのに、とおもうのだ。

 中央即応連隊は廃止された中央即応集団隷下の緊急展開部隊として新編された普通科連隊で、中央即応集団そのものは司令部機能をそのまま陸上総隊の幕僚機構へ置き換える形で廃止された部隊です。そして中央即応連隊は、いまではかなり少なくなりましたが装甲化された普通科連隊として、邦人救出任務の際などで即座に投入できる部隊とのことでした。

 自衛隊最強部隊を自称して許される部隊の一つが宇都宮駐屯地の中央即応連隊です、宇都宮駐屯地祭の訓練展示は別名“機関銃駐屯地祭”とわれまして、中央即応連隊は機関砲や火砲を有していないのですが、近接戦闘を重視するために小銃戦闘と機関銃の効果的な運用に長けた精鋭部隊ですので、訓練展示では状況開始から延々撃ち続けている印象がある。

 中央即応連隊、精鋭部隊なのですが自衛隊の冷戦後における運用の悩みというものを具現化した様な印象の部隊の一つです。これは新編当時、自衛隊の機動運用部隊は機甲師団である第7師団や第1空挺団と第1ヘリコプター団など限られた部隊を除いては、基本的に座布団配置という、自分の管区内からは隣接方面隊協力を除きあまり動かない部隊でした。

 北転準備など、例えば北海道有事などに限定して展開する訓練は行われていましたが、世界規模の邦人救出などの運用までは踏み込んでおらず、各師団に持ち回りで待機させる誘導隊の編成などを泥縄式に行っていた時代に中央即応集団は編成されました。ただ、創設当時はかなり装甲車を重視した編成であり、現在の改編を考えれば手本的な部隊となる。

 2022年国家防衛戦略を見れば、地域配備師団と機動師団という区分を廃止して全ての部隊を機動運用させるという大転換を発表しましたので、言い換えれば旧地域配備師団には中央即応連隊程度の装甲車を、いまは即応機動連隊にかなり装甲車を引抜かれていますが、その前の段階程度の装甲車を配備させる必要を感じ、その予算確保が政治の責任とおもう。

 空挺団ではなく中央即応連隊を創設したのに対して、いっそのこと空挺団を増強して3個大隊基幹の現在の空挺部隊に併せて第2空挺連隊のようなかたちで、輸送機の輸送能力が向上した事も受けて輸送機による装甲化された普通科部隊を空挺運用する、落下傘で降下させるのではなく空路で空港に展開させる運用というものを検討しては、とは思いました。

 地対艦ミサイル連隊のはなしもそうですが、自衛隊関連行事とともに駐屯地資料館などで部隊の歴史を見てゆき、その上で国が公刊する防衛関連資料などを見ますと、官僚は間違いを犯さず、という原則で空費されている装備予算等が見えてくるように思いまして、なんだかなあ、とも思うのですが、こうしたものを行事を通じ見る事も大切なのかもしれませんね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・5月13日:宇都宮駐屯地創設71周年記念行事

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

G7広島サミットに忍び寄る北朝鮮軍事偵察衛星打ち上げ-発射いつ?軍事偵察衛星一号機計画内打ち上げを発表

2023-05-12 07:00:39 | 国際・政治
■臨時情報-G7サミット
 バイデンアメリカ大統領が国内債務上限問題の調整から来週のG7広島サミット来日中止を示唆しました。しかしこれは表向きの理由で、日本の防衛力不足と危機管理の問題を危惧しているのかもしれない。

 北朝鮮の人工衛星打ち上げ、自衛隊は人工衛星軌道下に飛来物が落下する懸念があるとして沖縄救援隊を先島諸島などに派遣していますが、この打ち上げが来週に予定されているG7広島サミットへ重大な影響を及ぼす可能性があります。そもそも事の発端は4月18日に北朝鮮の金正恩総書記が国家宇宙開発局を視察した際の報道が危機の発端となりました。

 軍事偵察衛星一号機が完成し計画している期間内に打ち上げる、この発言が発射予告であると認識し我が国では軍事衛星の軌道投入経路を逆算し過去の例から沖縄県が危険区域になると判断、この為にペトリオットミサイルが配備されている沖縄本島に加え、ペトリオットミサイル部隊が配置されていない先島諸島に九州のミサイル部隊を展開させたのです。

 G7広島サミットは5月19日から21日に掛けて、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、先進七カ国の首脳を招き広島で開催されます。人工衛星とはいえ、過去の人工衛星発射では北朝鮮が実質長距離弾道ミサイル実験を行う口実としていた事例があります、最初に行われた1998年の実験、東北地方上空の飛翔したものがこれにあたる。

 サミット開催中に事実上のミサイル発射と同じ長距離弾道弾技術を応用した人工衛星が発射された場合、僅かでも核弾頭による奇襲攻撃という懸念があるために、そもそもこうした脅威が放置されたままではG7サミットそのものが中断される、若しくは緊張の高まりと共に急遽その日程に影響が及ぶか、来日するG7各国首脳の日程に影響さえ考えられます。

 発射は。北朝鮮のロケット計画では発射準備が衛星写真などで確認されて後実際の発射まで時間がかかるのです。また日本政府が繰り返し落下物を警戒している為、発射計画を発射の二週間程度前に発表する事例が、2009年3月、2012年3月、2012年12月、過去三回ありました。一方で2016年12月の発射では予告を突如前倒しし前日予告後打ち上げた。

 現段階で具体的な打ち上げ日程を北朝鮮は発表していません。しかし、4月中旬に発射計画そのものは公表している為、広島サミットへ軍事的示威行動を含めて打ち上げを行い、日本全土にJアラートが発令されるという可能性は否定できません。一昨日、バイデン大統領は国内調整の関係から出席しない可能性を示唆しましたが、こうした危機も日本には在るのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

T-38は何故墜落したのか?【1】同盟と防衛-アメリカでなぜ航空自衛隊が操縦士を教育し養成していたのか

2023-05-11 20:11:43 | 国際・政治
■モンゴメリー墜落事故
 ご遺族が居られます事故ですので気分を害されるかもしれませんが、他意はありません、ただ何故日本でも教育できる戦闘機要員をアメリカで要請していたのかという素朴な疑問がありました。

 2021年2月19日現地時間1640時頃、アメリカアラバマ州のモンゴメリー空港付近において着陸機動中であったミシシッピ州コロンバス基地の第14飛行教育団に所属するT-38C練習機が墜落、二年間の予定で留学中であった航空自衛隊浜松基地航空教育集団学生操縦士の一等空尉とアメリカ空軍の教官である空軍中尉が死亡する事故が発生しました。

 アメリカ国防総省は、2021年2月19日に発生した航空自衛官T-38墜落殉職事故を受け、二年間にわたり、英語教育の観点からその責任の有無について検証を進めています。航空自衛隊とアメリカ空軍の事故調査委員会は既に事故発生から約半年後の2021年10月に事故原因を、学生の操縦に対し教官の異常発生遅れが主原因、という見解を示しています。

 モンゴメリー空港へ着陸機動中、教官は旋回中に進路の修正とともに速度を適正速度まで減速を支持、この指示を受け学生操縦士はエンジン出力を最小限に下げることで減速しつつ軌道修正を行います、これが、修正機動とエンジン出力低下により急激な高度低下、そしてこの高度低下にて降下速度が増大した際にも学生操縦士は減速指示を堅持しました。

 教官操縦士は、学生操縦士の操作でエンジン出力を長時間にわたり最低出力としたことで加速しているのではなく失速し墜落状態という危険な状況であることに気づかず、練習機を安全な状況、エンジン推力を最大として着陸をやり直すなどの措置を執る指示が遅れ、一方、学生操縦士はエンジン出力よりも着陸への軌道修正に注意力を集中させていた。

 長時間の最低推力による飛行と、軌道修正操作が重なり、体勢を立て直すことができず、滑走路端600mの地面に衝突した、とのことです。ただ、アメリカ空軍ではこの事故を二年間にわたり追跡調査し、アメリカ空軍が同盟国友好国外国人士官に対して行う英語教育に不十分な点があるのではないか、という視点から事故の深層原因を探ろうとしています。

 米国留学課程。航空自衛隊の戦闘機搭乗員を要請する二つの課程のうちの一つです。航空自衛隊で戦闘機を飛ばすためには、と一般的に説明されるのが、航空学生か幹部候補生学校に入校することで航空学生は高校卒業後にそのまま航空自衛隊へ入隊し101週間の課程、幹部候補生学校は防衛大学校を卒業し入入校するか一般大学から試験に合格し入校する。

 アメリカか日本かという選択はもう少し先で、その前に豊富北基地で飛行準備課程の教育を12週間から31週間、この期間の違いは航空学生として既に教育を受けているか幹部候補生出身か、というところで変わるようですが、そしていよいよ飛行機ののるのはT-7による操縦課程で22週間、このT-7による教育課程は全員共通、日本で行われます。

 T-7練習機による教育課程の次の段階で、米国留学課程か国内での課程かに分かれるという。日本では芦屋基地と浜松基地で行われるT-4による操縦課程が54週間、米国留学課程ではT-6練習機とT-38練習機による操縦課程が52週間で、この課程を修了してはじめてウイングマーク、操縦士徽章が授与されます。ただ、戦闘機に乗るためにはもう少し。

 ウイングマーク授与のあとでも日本では浜松基地においてT-4練習機による戦闘機運用を想定した訓練を8週間、米国留学課程でもT-38練習機により8週間の訓練が行われるのですが。米国留学課程は毎年、戦闘機要員では1名乃至2名が選抜されて送られています。少ない、と思われるかもしれませんがこのほか輸送機と救難からも同数が選抜される。

 アメリカでなぜ航空自衛隊が操縦士を教育し養成するのか、練習機が不足しているのか、それとも亜音速のT-4練習機では戦闘機操縦士が養成できずT-2練習機のような機体が必要だとしてT-38練習機を装備するアメリカに留学したのか、素朴な疑問がありましたが、派遣している人数が戦闘機要員で1名か2名、規模を見ますと練習機の数は考えられない。

 レッドフラッグアラスカやコープノース演習、米国留学課程による訓練が行われるのは、日米同盟強化の一環として、アメリカ空軍における訓練を行った操縦士を一定数確保しておく、という目的があるようです。実際、米国留学課程出身の操縦士は、人数は全体に占める比率では多くはありませんが、日米演習では主幹要員として参加するとのこと。

 ただ、事故調査について、アメリカ空軍の検証を見ますと、語学の問題と、そして遠回しではありますが、アメリカに留学生を派遣する国がアメリカ空軍の制度の違いと自国での教育訓練の連環体制を重視せず内部化しようとすることで、意思疎通の崩壊のようなものがある、とも強調しています。調査報告では特に、語学の問題が指摘されていました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする